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理系・文系の問題

     【目 次】
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1,理系・文系の問題とは
2,文系領域へのアプローチ
3,科学技術コミュニケーター
4,理系と教養・現代的課題
5,科学技術の見方と課題


わかりやすい経営

   【 経 営 目 次 】
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1,運営,法律  2,会計,資金
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わかりやすい年金
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工学院大学新聞
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                                 (2015/08月 更新)      [ 486523 ]
   ■わかりやすい年金講座(4) 〜【年金のことが明解にわかる】

   ■ 【4】 もう一つの柱、退職金・企業年金のしくみ         ■
  項目をクリックして下さい
1) 退職金と企業年金制度
   (1), 企業年金の歩み
   (2), 公的年金と企業年金との関係
   (3), 退職金・企業年金の概要 〜退職金・企業年金の事情など
   (4), 厚生年金基金のしくみと現状
   (5), 適格退職年金制度廃止にともなう解散・移行
   (6), 中小・零細企業従業員のための中小企業退職金共済 (中退共)

2) 確定給付と確定拠出の企業年金制度
   (7), 確定給付企業年金のしくみ 〜「基金型」「規約型」
   (8), 確定拠出企業年金 (日本版401K年金) のしくみ 〜「企業型」「個人型」
   (9), 確定給付と確定拠出の性格をもつキャッシュバランス型年金 (CB型年金)
  (10), 企業年金のさまざまな問題 〜ポータビリティ(携行性・移換)、企業年金連合会など

3) 経営と退職金・企業年金
  (11), 退職給付の雇用・労務面と会計上の意義と扱い
  (12),企業年金の積立不足の解消が続いています

4) あなたの年金をつくるために
  (13), さらにみずから努力するよう求められています
  (14), あらゆる機会を活用しよう
  (15), 学生・現役世代が年金に適切に対応するためのポイント
  (16), 定年・再就職にともなう年金などのポイント
  (17), 引退・老後そして遺族年金でのポイント

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   1) 退職金と企業年金制度

 (1) 企業年金の歩み
 ★企業年金とは
▼社会保障制度として、国が保険者になって国民の老後などの生活費を保障するのが公的年金です。これに対して企業年金は企業の退職給与の一つとして年金化した制度です。もとも と企業独自の退職年金ですが、国の社会保障政策の一環として、企業年金制度が整備、法制化されました。
 国民皆年金である国民年金を一階に、厚生年金が二階企業年金は三階部分を構成すると位置づけられています。
 引退後の老齢期の収入は、資産と公的年金を柱に、サラリーマンにとって退職金や企業年金がもう一つの柱です。

▼現在、広義の企業年金には、給付建て (確定給付型)「厚生年金基金」、「適格退職年金」、「基金型企業年金」、「契約型企業年金」 と、 掛金建て「確定拠出企業年金」 (日本版401K年金) が基本になっています。これに企業独自の 「退職一時金」「自社年金」 があります。

 ★企業年金制度の歩み
 退職一時金の年金化 〜適格退職年金と厚生年金基金の導入
退職一時金「のれん分け」 に由来するという説があります。かつて民間企業は退職一時金が中心でした。 やがて、会社が大きくなって広がりを見せると、一時金では対応できなくなり、一時金を年金化する自社年金が生まれました。

▼戦後、昭和37年 (1962年) にアメリカの制度を参考に、税制にもとづく 「適格退職年金」 ができました。昭和41年 (1966年) になると厚生年金 法が改正されて、英国の制度を参考に、「厚生年金基金」 が導入されました。前者が大蔵省 (当時) の管轄であるのに対して、後者は厚生省 (当時) の管轄で、 民間企業の退職年金に国が関与して、社会保障制度が整備されるようになりました。

▼経済成長にともなう賃金上昇と従業員数の増加から、退職一時金の上昇が続き、経営者はこの負担に苦慮することになりました。厚生年金基金は、厚生年 金の報酬比例部分を代行するとともに、これにプラスαの給付がある制度です。経営者は、一時金の年金化厚生年金基金のアプラスαb報酬比例部分 の有利な運用で退職金に代替できると考え、期待したのです。

▼しかし、従業員の退職一時金へのこだわりと労働組合が強い時代でもあったために、経営者の思惑がはずれ、厚生年金基金は退職金として機能しないまま続いてき ました。

 退職金・企業年金が変革した背景
▼1980年代後半からバブル経済崩壊後、退職金・企業年金制度の再構築が重要な課題になりました。その背景には次のような点がありました。

   【 退職金・企業年金変革のおもな背景 】
 @低金利のため年金積立金の運用収益が悪化した
 A低成長と業績の低迷で適切な拠出が行われず、資産評価低下もあって積立金不足が累積した
 B雇用の流動化と成果主義に適した退職金制度の変革が求められた
 C退職者の増加と高齢化によって受給者が増加した
 D中途退職に不利、外部積立金不足、退職金支払い保証など権利保護が不十分であった
 E国際化に伴う企業会計制度の変更で、退職給付会計の導入と年金負債の開示が求められた

▼退職時の給与と勤務月数に比例する退職一時金制度は企業にとって重い負担となり、年功序列よりも成果を重視する処遇や、雇用の流動化にも対応できる退職金制度が 模索されました。退職金の改革が行われ、成果をより反映する支給、現役の段階で前払いを選択できる制度などが導入されました。

▼これまでの適格退職年金と厚生年金基金は確定給付型年金で、企業が給付を約束したものです。増加する退職者と高齢化による受給者の増加に対して、経済成長の停滞もあっ て企業は適切な年金積立を行ってきませんでした。

 企業年金制度の変革 〜積立金不足、掛金建て (確定拠出型) の導入、制度の多様化
▼新しい企業年金制度変革の転機になったのは、2001年 (平成13年) 3月から適用されるようになった退職給付に関する新会計制度の導入です。
 国際的な会計基準では、@退職金は過去勤務による 「債務」 と見なす、A積立金不足は 「負債」 として会計処理するというものです。

▼適切に積み立ててこなかった退職金・退職年金の積立金不足が表面化し、主要な一部上場企業180社だけでも約9兆円以上に登りました。そのため退職 金・退職年金制度の見直しが進みました。

▼こうした環境にあって、国はさまざまな対策を進めました。その方向性として、@厚生年金基金の条件緩和や代行返上を認めた、A確定拠出型年金を導入 した、B適格退職年金を廃止、二つの確定給付型企業年金から移行できる多様な年金制度を導入した、C退職金・退職年金積立金不足への拠出金の15年以下の分 割償却を認めた、などがあります。

▼企業年金改革の基本になったのは2001年 (平成13年) の 「確定給付企業年金法」「確定拠出企業年金法」 です。

 【 企業年金についてのおもな改正の経緯 】
■厚生年金基金関係
 @積立金運用など 〜運用方法、予定利率の下限の緩和
 A国民年金・報酬比例の一部の保険料返納率 〜基金別に納入率を調整
 B基金の解散・移行 〜解散条件も緩和、新企業年金への移行環境を整備 2001年(平成13年)
 C「代行部分」 の返上代行部分の返上を認め、解散・新企業年金への移行環境を整備

■適格退職年金関係
 @適格退職年金の廃止 〜新規設立を認めず、既存年金も 2012年に廃止
 A年金の他制度への移行など 〜新企業年金への移行環境を整備 2001年(平成13年)

■新しい企業年金制度の整備 〜確定給付年金法、確定拠出年金法の成立 (2001年)
 @確定拠出型年金の導入 〜掛金建ての「日本版401K型年金」を導入 2001年(平成13年)
                  「企業型」 と国民年金基金加入者の 「個人型」 を創設
 A確定給付型年金の導入「基金型」 および 「規約型」 企業年金を創設 2001年(平成13年)
                   厚生年金基金および適格退職年金からも移行できる
                   確定給付型年金に対する事業主の責任・義務・保証を強化

■退職金・退職年金の引当金・積立金不足問題
 @引当金・積立金不足の解消 〜15年以内の分割償却処理を認めた
 A年金の他制度への移行など 〜新企業年金への移行環境を整備

 ★企業年金制度には課題もあります
▼2001年の企業年金改革も、いくつか未解決の課題が残っています。
 @中途退職者や転職者が、これまでの企業年金を持って他の企業年金に移るいわゆる 「ポータビリティ」 の問題です。確定給付企業年金について再就職 先の基金等に移る仕組みはまだ十分整備されていません。
 A企業が倒産したり拠出金を払えなくなり、企業年金を解散した場合について、経済界の反対で、年金支払保証の仕組みをつくることがきませんでした。
 B確定拠出企業年金は銀行など運営管理機関が提示する各種プランから個人が選ぶ形になっています。それぞれ加入者などに説明、教育する義務がありますが、 必ずしも充分に理解されるとは限りません。経済環境の変動で年金資産が減少することがあります。現に、2007年前後には、低金利のうえに運用手数料の負担もあり、退職時の 年金の目減りが心配されています。

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 (2) 公的年金と企業年金との関係
 ★公的年金と退職金・企業年金は二つの柱です
▼企業年金は、民間サラリーマンの退職金の年金化で、国民年金などいわゆる公的年金ではありませんが、退職金・企業年金は社会保障制度のもう一つの柱と見なして います。
 国民年金を基礎年金とする公的年金制度の上に位置付けて、「労働政策」「社会保障政策」 の二つを合わせた制度として厚生労働省が管轄して います。

▼企業年金は退職金の年金化ですから、事業主の負担が基本になっています。退職金は、「賃金の後払い」「功労金」 か、という歴史的な対立がありますが、 労働・社会保障および企業会計上は、前者の説をもとにして、事業主に支払い義務・債務・保証を求める方策が取られています。



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 (3) 退職金・企業年金の概要 〜退職金・企業年金の事情など
 ★退職金・企業年金制度
▼退職金・企業年金は、退職一時金と企業年金 (退職年金) の単独または組み合わせる仕組みになっています。2001年前後に企業年金制度が整備されると、給付建ての 確定給付年金と、掛金を個人単位の口座に拠出して、積み立て、その運用を個人の選択にゆだねる掛金建ての確定拠出年金を採用する企業が多くなっています。

      【退職金・企業年金制度の概要】

【企業独自の制度】
〜退職一時金、 自社年金など

【従来の企業年金】
◆適格退職年金 〜税法による退職年金制度、新規設立は不可、2012年 (平成24年) に廃止
◆厚生年金基金 〜「代行型」、代行と加算の 「加算型」、代行・加算等一体の 「共済型」 がある
             企業単独の 「単独型」、系列企業の 「連合型」、同業企業の 「総合型」 設立

【確定給付年金】 〜給付建ての企業年金
◆基金型企業年金 〜別法人年金基金を設立して運営する
◆規約型企業年金 〜事業主が主体になり、金融機関など外部契約で運営する
         【注】 確定給付型でありながら給付水準を変動できる 「混合型の年金」 もあります

【確定拠出年金】 〜掛金建ての企業年金 (日本版401K年金)
◆企業型確定拠出企業年金 企業などのための確定拠出年金
◆個人型確定拠出企業年金 企業年金のない自営業・中小企業のサラリーマンの確定拠出年金

【キャッシュバランス型年金 (CB型年金)】
             確定拠出年金と確定給付年金の両方の性格がある企業年金です
               従業員別に勘定を分けるが、事業主が運用責任をもちます

【中小企業に対応する制度】
◆中小企業退職金共済制度 中小・零細企業従業員のための外部積立の退職一時金共済

【自営業などに対応する制度】 〜国民年金基金、 個人型の確定拠出型年金


 ★退職金・企業年金の事情
 
退職金の支給額はどれほどか 〜モデル退職金 (現在価値に換算)
▼現在、退職金・企業年金は、新しい制度の導入によって、それぞれの企業に適した制度に整備が進められている段階にあります。おもな流れは、@退職一時金 を含めた退職金制度の転換、 A退職給付債務の解消、B適格退職年金の廃止と移行、C企業年金の整理・選択と移行があげられます。

▼退職金・企業年金の事情調査は、いろいろな機関・研究所で定期的に行われ、公表されています。日本経団連 (日本経済団体連合会) が隔年定期的に行っている 「退職金・年金に関する実態調査」 がよく知られいます。これと厚生労働省が平成17年に行った調査の二つの資料を参考にして 「モデル退職金」 など退職金・ 企業年金の事情を検証します。


▼60歳・38年勤務〜大学卒の場合、平成17年調査で、二つの資料を比較すると、厚生労働省調査〜2,775万円、日本経団連調査〜2,537万円となっています。対象 企業、月収差などの違いを考慮すると約2,650万円前後の水準にあるというます。
 平成15年と比較すると 約200万円前後 少なくなっています。賃金の停滞、減少もあるものの、退職金の伸びは抑えられつつあるといえます。



 退職金・企業年金制度の構成
▼退職金の再構築が始まった1980年後半は、主に一時金を中心に、退職金を @増加を抑えながら、A能力主義や雇用の流動化に対応する という方向で進められました。 「退職金の前払制」、「ポイント制」、「年功制から実績主義へ」 といった制度がとられるようになりました。

 【参考】
退職金の前払制 〜退職時支給でなく、給与などの形で前払いする制度、選択制もある
ポイント制 〜退職金を成果・能力・勤続を反映したポイントで評価、単価を乗じて算出する方式

▼2006年の日本経団連調査によると、退職金査定について、賃金の全額が反映〜14.2% 、賃金の一部を反映〜15.4%、賃金に関係なく別建て〜67.7% と なっています。この別建てのうち、75%がポイント制 となっています。

 新しい企業年金制度に移行する流れ
▼まず退職一時金の一部として企業年金が導入されて、退職一時金と企業年金を併用する企業が多くなりました。次いで、2001年に多様な新しい企業年金が整備されると、従来の 厚生年金基金と適格退職年金から、新しい企業年金に移行する流れが進みました。厚生年金基金の代行返上による解散と新企業年金への移行、特に掛金建ての確定拠出 企業年金の導入が進んでいます。適格退職年金は2012年に廃止となるため、その解散・移行が進行しています。



 従来の三つの退職金制度はどの新企業年金制度に移行するか
▼従来の 「退職一時金、厚生年金基金、適格退職年金」 が、どの新企業年金制度を選択し移行するかの流れを概観したのが次の図表です。

 【注】
 @確定給付と確定拠出企業年金の両方をもつ 「キャッシュバランス型年金 (CB型) 」 の選択もあります
 A中小企業では 「中小企業退職金共済」 の選択もあります

  ■2006年日本経団連調査
        (複数回答)
   厚生年金基金 〜18.3%
   適格年金   〜45.2%
   確定給付年金 〜44.9%
   確定拠出年金 〜30.4%
   CBP      〜24.0%
   中小企業退職金共済〜1.1%

  【参考】 【企業年金制度の概要】 (平成22年度末)
  ■厚生年金基金            〜 595基金、 加入員数 447万人、 資産残高 約28兆円
  ■確定給付企業年金         〜 10,053件、 加入員数 727万人、 資産残高 約42兆円
  ■確定拠出企業年金         〜  3,705件、 加入員数 382万人、 資産残高 約 5兆円
  ■適格退職年金(平成24年に廃止) 〜  8,051件、 加入員数 126万人、 資産残高 約 4兆円


 企業年金の減少が続いています
▼厚生労働省によると、このところ企業年金の加入件数の減少が続いています。2002年3月末の約7万5000件あった企業年金は、2012年3月末には約1万9000件と、10年間で急減しています。
 主な原因は、低金利による積立金の運用難、企業業績の低迷、退職金事情や非正規労働者の増加など労務労働事情の変化といった要因に加え、平成24年 (2012年) に適格年金が廃止されたことが大きく影響しています。
 年金積立金が不足する基金が増え、企業年金を存続できず、また、廃止となる適格年金に代えて他の企業年金に移行せず、解散・廃止する企業が増えました。特に中小・零細企業で厚生年金基金を含めて基金件数が急減しています。

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 (4) 厚生年金基金のしくみと現状
 ★厚生年金基金のしくみ 〜優良基金を除き廃止の方向
厚生年金基金は、厚生年金に加入していることが基本です。「厚生年金の報酬比例の代行」 および 独自の 「加算部分」 をもつ終身給付の確定 給付の企業年金です。ただし、加算部分は一時金を選択することができます。
 規定された範囲内の料率で保険料を納め、その積立金を運用してより有利な給付をおこなう制度です。加算部分の保険料は事業主が負担します。「代行型」、「加算 型」、「共済型」 があります。

 【厚生年金基金の概要】

 ■「代行型」 〜厚生年金の報酬比例部分を代行する、積立金の自主運営で有利な給付をする
   「加算型」代行部分と独自の加算部分の両方、積立金の自主運営で有利な給付をする
   「共済型」代行部分と独自の加算部分をいっしょにした共済組合型基金です
 ■設立母体 〜企業単独でおこなう「単独型」、 系列企業などによる 「連合型」
           同業など多数による 「総合型」 がある

 ■掛金    〜原則は事業主と加入者が折半、ただし加算部分は事業主負担が多い

 ■給付    〜「代行部分」「加算部分」、加算部分は代行部分の1割又は5割(新規設立)以上
           原則として終身支給、加算部分は一時金も可
           物価などスライドはない、代行部分のスライドは厚生年金から支給する

 ■規制    〜代行部分があり、全員加入、保険料率、最低責任積立金、運用など規制がある
 ■その他  〜@代行返上には基金の解散・移転のための準備として 「将来返上」制度がある
           A中途退職、基金の解散などに対して、「企業年金連合会」 がある



 【基金加入者の平均的な年金給付】 (平成17年度末 月額) (厚生労働省資料より)
 厚生年金基金加入者の平均的な給付は次のようになっています。

   @上乗せ部分                 1.6万円/月
   A代行部分                  3.0万円/月
                   ( 基金からの年金給付 小計 4.6万円/月 )

   B基礎年金+スライド・再評価部分  13.6万円/月

     【平均年金月額】            18.2万円/月

 ★厚生年金基金は優良基金を除いて廃止される
▼終身の確定給付の年金、収益環境の悪化などもり、代行返上が認められ新企業年金が導入されたことから、厚生年金基金の解散・移行が進んでいます。平成 10年に 1858基金 (加入者1200万人) だった基金が平成20年4月には、624基金 (加入者480万人) にまで減少しました。平成20年4月までに457基金が解散し、他の企業年金制度への移行も進みました。

▼2012年(平成24年) におきた AIJ投資顧問による詐欺を含む巨額年金基金の損失事件は、基金数84、総額 1900億円、そのほとんどが回収不能とされ、厚生年金基金が約1580億円、確定給付企業年金が約270億円にのぼるります。
 こうした巨額年金基金の損失事件を契機に、最近、厚生年金基金の「代行部分」 の積立金不足が 1兆1千億円 にも達したました。
 平成25年(2013年) の法改正で、優良企業を残して廃止か移行し、新規設立ができなくなりました。

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 (5) 適格退職年金制度廃止にともなう解散・移行
 ★適格退職年金制度の仕組み
適格退職年金は、法人税法にもとづいた年金制度です。アメリカで盛んだった制度を参考に、1962年 (昭和37年) に導入された日本で初めての企業年金です。 「適格要件」 を満たして国税庁長官の承認を得れば導入できました。掛金を損金処理できるため節税効果を活用できます。中小企業を中心に導入されました。

「適格要件」の主なものは、@一時金を含む退職年金の支給のみを目的とする、A事業主は外部信託委託契約を締結する、B掛金は事業主負担 を原則とし、従業員拠出も可、C加算部分は一時金を選択することもできるなどです。

▼確定給付の年金でありながら、適格退職年金には 「受給権を保護する」 仕組みがありません。バブル崩壊後の経済環境の変化で、年金維持が困難になり、解散する年金 が出てきました。2012年 (平成24年) には廃止されることになっています。
 制度の廃止に伴って、解散・清算するか、厚生年金基金や新しく整備された企業年金制度に移行することになります。

  適格退職年金の概要】 2012年 (平成24年) に廃止になりました

   ■設立    〜信託契約・生保契約等、国税庁長官の承認
   ■運営母体 〜事業主
   ■社内規定 〜退職金制度の一つであるため、労使双方の協議と規定の作成が必要
   ■掛金    〜事業主負担 (損金算入) が原則ですが、本人の拠出も可能
   ■積立など 〜積立義務はない、少なくとも5年毎に再計算すること
   ■給付    〜退職後の給付に限る
           給付水準、給付期間について法的な規定はない
           一般には15年未満の有期が多く、終身もある


 ★2012年 (平成24年) 適格退職年金制度の廃止にともなう移行先
▼この制度は、2001年の企業年金改革で新規契約は出来なくなり、2012年 (平成24年) には廃止されることになりました。制度廃止に伴って、解約・清算 するか、その多くは、新しく整備された企業年金制度に移行しています。

▼1993年 (平成5年) の契約数 約 9.3万件をピークに減少が続き、2002年3月 (平成14年) は約 7.4万件、2007年3月 (平成19年) には、約 3.9万件 にまで減少しました。
 2002年から2007年の5年間で約 3.5万件が解約または他の年金に移行しました。その移行先は次のようになっています。

 【適格退職年金が移行した先】 (2002〜2007年度 5年間)
    中小企業退職金共済 〜34 %
    確定拠出年金     〜11 %
    確定給付年金     〜 3 %
    解約その他       〜52 %
                    (厚生労働省資料より)

▼平成19年3月で約 3.9万件ある年金は、残り 5年以内に廃止または他の制度に移行しなければなりません。労使双方が同意できるような移行が望ましく、特に 中小企業の場合、新規導入の企業年金では事務量が増えることもあります。
 退職金制度を整えるのは、人材確保や従業員育成など労働のインセンティブに関係します。制度の廃止やどの制度に移行するかは従業員にとって重大な関心事です。

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 (6) 中小・零細企業従業員のための中小企業退職金共済 (中退共)
 ★中小企業退職金共済制度 (中退共) の仕組み 〜掛金建ての退職金共済制度
▼中小・零細企業の従業員のための社外積立の退職金共済制度で、昭和34年 (1959年) に中小企業対策の一つとして導入されました。
 制度の運用は、独立法人 「勤労者退職金共済機構」 の 「中小企業退職金共済事業本部 (中退共) が行っています。適格退職年金などからの移転先 の一つとして、38万企業、293万人 (平成20年1月末) が加入しています。

▼「中退共」 と 「退職金共済契約」 を結び、事業主が掛金を全額負担して従業員個人ごとに積み立てます。掛金月額は、5,000円30,000円 の間の16段階から、各社が退職金規定にそって選択します。掛金月額には国や地方公共団体の助成金制度があります。
 短時間労働者 (パート) には、一般労働者より低い三段階の掛金が用意されています。

▼支払われる退職金は、「基本退職金」 と、積立金の運用利率が予定基準より上回ると変動する 「付加退職金」 からなっています。掛金建ての確定拠出 の制度です。退職金は共済から直接本人の口座に支払われます。条件によって分割受取りもできます。

   【中小企業退職金共済 (中退共) の概要】

  ■法律「中小企業退職金共済法」
  ■加入できる企業と加入させる従業員
       〜常用従業員数または資本金・出資金が業種による所定の範囲内であること
        @一般企業  300人以下または3億円以下、 A卸売業 100人以下または5千万円以下
        Bサービス業 100人以下または5千万円以下、C小売業  50人以下または1億円以下
        常用関係があり賃金が支払われている従業員、原則として全員加入、事業主等は不可
  ■運用母体 〜独立法人勤労者退職金共済機構の 「中小企業退職金共済 (中退共)」 が当る
            申し込みは委託金融機関などを通して提出する

  ■掛金選択 〜16段階から個人ごとに選択、ただしパートは3段階
             5,000円10,000円 まで 1,000円単位で6段階
            12,000円30,000円 まで 2,000円単位で10段階
            掛金は非課税、 (法人企業は損金扱い、個人企業は所得控除の対象)
  ■従業員ごとの掛金月額の決め方
        退職金規定にもとづいて、例えば、勤務年数、年齢、役職、勤務評価などです
  ■通算制度
        @過去勤務の通算 〜新規加入時に限り、過去勤務分の掛金を納付することも可能
        A転職による通算 〜中退共などに加入している企業間への転職は通算可能
  ■補助金、その他
        月額掛金には、新規加入や月額変更時などに国および地方自治体の補助金制度がある

  ■給付退職金「基本退職金」「付加退職金」
        「基本退職金」 は、運用利率 1%で計算、掛金と納付月数にもとづく固定的なもの
        「付加退職金」 は、予定運用利率を上回った場合に上乗せするもの
        退職金は退職者の口座に直接振込み、60歳以上には分割払いも選択できる


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   2) 確定給付と確定拠出の企業年金制度

 (7) 確定給付企業年金のしくみ 〜「基金型」 と 「規約型」
 ★確定給付企業年金導入の理由と特徴
 厚生年金基金と適格退職年金の移行先として導入
厚生年金基金は、厚生年金法をもとに、終身給付や所定以上の年金水準維持が義務づけられているなど、公的年金の性格があります。
 適格退職年金は、法人税法にもとづくため、設立基準、事業主の責任、積立基準、情報開示など年金制度として不備な点がありました。

確定給付企業年金制度は、代行返上を認めた厚生年金基金と、廃止される適格退職年金の移行先の一つとして、2002年から導入されました。平成19年7月 時点で、約2,380件、加入者数 478万人 となっています。(厚生労働省資料より)

▼この制度は、厚生年金の適用事業所の事業主が、単独または共同で行える確定給付企業年金と位置づけています。特徴として次の点があげられます。
@代行部分のない 「基金型」 と、労使同意の規約に基づくき外部機関積立の 「規約型」 がある
A厚生年金基金の全員加入に対し、規約で必ずしも全員加入でなくてもよいなど、柔軟な制度設計
B老齢給付のほかに、障害給付、遺族給付も任意給付できる
C積立義務、年金管理・運営者の責任、情報開示といった受給権保護を明確化した

 ★確定給付企業年金制度のしくみ
 給付建て、受給権の保護など
▼まず厚生年金の適用事業所でなければなりません。確定給付企業年金には、「基金型」「規約型」 があります。
 事業主が規約をつくり労働組合との同意にもとづき、基金型は、厚生労働大臣の認可を受けて別法人の 「基金」 を設立して年金の管理運用を行うもので、 規約型は、厚生労働大臣の承認を受けて、事業主が主体となって信託会社や生命保険会社などと契約して管理運用するものです。

▼年金の給付水準は、規約に定め労使合意によって柔軟に決められます。給付建ての企業年金ですから、加入期間や給与といったものに連動する給付額など、 適切かつ合理的方法で査定しなければならないという要件がついています。
 老齢給付を基本に、障害給付、遺族給付、脱退一時金 の4種類が可能です。老齢給付は、60歳以上65歳未満で受給資格を得るとし、受給期間は 終身ま たは5年以上となっています。

掛金は、原則として事業主の負担とし、加入者が一部を負担することも可能です。税制上の扱いは、事業主負担分は 「損金算入」、加入者負担分は、 「生命保険控除」の扱いです。

▼事業主に対して、積立準備金と最低積立基準額の基準が設けられ、法的に義務化されています。少なくとも5年ごとに財政の再計算をしなければなりません。

     【確定給付企業年金の概要】

   ■法律    〜確定給付企業年金法
   ■「基金型」 〜厚生労働大臣の認可をえて基金を設立する
     「規約型」 〜信託会社などと規約を結び厚生労働大臣の承認をえる
   ■運営主体「基金型」 --- 企業年金基金
             「規約型」 --- 事業主

   ■掛金    〜労使の合意で、事業主の負担を原則として、本人の任意拠出も可能
             事業主負担分 --- 損金扱い、加入者拠出分 --- 生命保険控除の対象
             積立金 --- 加入者負担掛金分を除いた部分に特別法人税が課税される

   ■給付    〜「老齢給付」 を基本に 「障害給付」、「遺族給付」、「脱退一時金」 の4種類
             給付期間は、終身または 5年以上、(一時金で受給も可)

   ■受給権の保護など
             @少なくとも5年ごとに財政の再計算して、給付義務にみあった積立をする
             A事業主に積立義務が課され、責任準備金と最低積立基準額の積立基準がある
             B加入者に財政状況の情報開示する義務
   ■その他  〜確定拠出企業年金への移行は、@積立金の一部移行、A廃止後移行する方法が可



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 (8) 確定拠出企業年金 (日本版401K年金) のしくみ 〜「企業型」 と 「個人型」
 ★確定拠出企業年金が導入された背景
 掛金建ての確定拠出年金とは
「確定給付年金」は、掛金または保険料を所定の期間納付すると、それに見合う年金の受給が約束されるしくみになっています。国民年金、厚生年金など公的年金や確定給付 企業年金などがこれにあたります。

▼これに対して、「確定拠出年金」は、加入者ごとに区別して掛金を積み立て、積立金とその運用利益の実績にもとづいて年金が給付される制度です。
 「確定給付」「確定拠出」 の違いは、確定給付企業年金法に示されているように、前者が 「給付の内容を約す」 るもので、後者は 「拠出の内容を約す」 るものといえます。

▼アメリカの 「401Kプラン」 は、アメリカ国内歳入法の401条 (K項) にもとづいた掛金建ての退職金・財形制度を指します。企業と個人の給与から拠出して、個人別口座で、 運用機関が提供するプランから選択して自己管理、運用する制度です。転職しても次の職場で継続できます。拠出金は限度内で課税の繰り延べが認められ、節税型の企業年金制度です。
 日本の場合は 「日本版401K年金」 といわれるように、企業別の基金設立、転職による継続環境の制約、個人拠出の制約、税制上の優遇が薄いなどアメリカの制度とは違った 形になっています。

 確定拠出企業年金が導入された理由
▼確定拠出年金は、所定の掛金を拠出するが、積立金の運用利益や物価上昇などは必ずしも保障されるわけではありません。この制度が導入された理由には、「経済」、「経営・雇用」 環境の変化があります。
 「経済面」 では、低金利と経済成長の低迷によって積立資産の運用益が大きく減少し、企業年金の原資を確保することが困難になりました。
 「経営・雇用」 では、グローバルな競争激化、労務対策としての成果主義や雇用形態の変化や転職など労使双方からの雇用の流動化、高齢化による受給者増などで、フレキ シブルな退職金・企業年金への改革が求められてきました。

▼2001年 (平成13年) に施行された 「確定拠出企業年金法」 は、わが国で始めての、自己選択・自己責任を折り込んだ年金制度です。平成20年2月時点で、規約数 約2,630件、 加入者数 約268万人、個人型の加入者数 約9万人 となっています。(厚生労働省資料より)

企業の従業員および自営業等が対象で、全ての個人が加入できるわけではありません。企業合併、転職などによるいわゆる 「ポータビリティ」 (携行性) もある年金です。

               【確定拠出企業年金の概要】


   ■法律    〜確定拠出企業年金法
   ■企業型  〜確定拠出企業年金の規約について厚生労働大臣の承認をえた企業の従業員
     個人型  〜自営業、または企業年金のない企業の従業員
   ■運営主体企業型 --- 規約の承認を受けた企業
             個人型 --- 国民年金基金

   ■掛金
     企業型  〜事業主が拠出し、加入者も拠出できるようになりました
             @確定給付年金がない場合     46,000円/月額 以下
             A確定給付年金がある場合     23,000円/月額 以下
     個人型  〜加入者が拠出、事業主は拠出できない
             @確定給付年金がない場合     18,000円/月額 以下
             A自営業などの場合  国民年金基金掛金と合算で 68,000円/月額 以下
             掛金は非課税  (事業主負担分 -- 損金扱い、加入者拠出分 -- 所得控除の対象)

   ■運用    〜運用商品から加入者自身が選択・指図・運用します
             提供する運用商品、選択の方法には、リスクについての条件や規制があります
             積立金には特別法人税が課税される

   ■給付    〜「老齢給付」 を基本に 「障害給付」、「死亡一時金」、「脱退一時金」 の4種類
             老齢給付、障害給付は、終身または 5年以上の有期、(一時金で受給も可)
   ■受給要件
     老齢給付 〜原則、60歳に到達した場合に受給できる
             加入期間が10年未満の場合
               8年〜10年未満 61歳  6年〜8年未満 62歳  4年〜6年未満 63歳
               2年〜 4年未満 64歳  1月〜2年未満 65歳
     障害給付 〜60歳未満で一定以上の障害状態になった場合に受給できる

   ■確定拠出年金のポータビリティ 〜転職、退職などによる確定拠出年金の間などへの移換
     @転職先の企業型年金に移換。国民年金の第1号被保険者になれば個人型年金に移換します
     A転職先に企業型年金が無い場合、個人型へ資産を移換
     B個人型年金加入者が転職先の確定給付年金に加入すると、個人型年金運用指図者となります
     C国民年金の第3号被保険者や公務員になった場合、個人型年金運用指図者となります
      【注】運用指図者とは 〜退職・転職などで掛金を拠出しなくなり、運用の指図のみする人のこと


 ★確定拠出企業年金制度のしくみ
 掛金、運用、受給など

確定拠出年金は 「拠出の内容を約す」 が、給付は、それぞれの加入者が、株式から預金まで、提示されたさまざまなプランから選択・指図して運用します。運用方法や 実績、経済情勢によって受給額は変動します。

▼確定拠出年金には、「企業型」「個人型」 の二つの制度があります。企業年金ですから専業主婦や公務員は加入できません。
 「企業型」は、事業主が規約をつくり労働組合との同意をえて、厚生労働大臣の承認を受けます。事業主は信託会社や生命保険会社などと契約して管理運用します。
 「個人型」は、国民年金基金が主体になって、自営業や確定給付企業年金のない従業員が加入します。

企業型は、事業主が掛金を個人別の年金口座に拠出し、加入者も限度内で拠出することができるようになりました (2012年4月より)。個人型は、加入者の拠出のみです。税制上の優遇問題から、掛金には限度額が 決められています。税制上の扱いは「非課税」扱いです。
   【拠出の限度額】
  ■企業型年金 @確定給付年金がない場合     46,000円/月額 以下
             A確定給付年金がある場合     23,000円/月額 以下
  ■個人型年金 @確定給付年金がない場合     18,000円/月額 以下
             A自営業などの場合  国民年金基金の掛金と合算で 68,000円/月額 以下

▼加入者ごとの年金口座に積み立てられた積立金は、運用機関が提示した運用商品から加入者自身で選択、指図して運用します。運用商品の選択には、一つ以上の元本確保型を選ばなけ ればならないなど、リスクに関するさまざまな規制があります。

老齢給付を基本にして、障害給付、死亡一時金、脱退一時金 の4種類があります。老齢給付は、60歳になると受給できますが、加入期間が10年未満の人は加入期間に応じた61歳〜65歳 から受給できます。受給期間は、終身または5年以上の有期となっています。

▼この制度の特徴の一つは、企業合併、転職などによるいわゆる 「ポータビリティ」 (携行性) があることです。しかし、確定給付からの移入と、確定拠出年金内のポータビリティ であって、逆の確定給付年金への移換はできません。

▼転職・退職などの理由で掛金を払わなくなり、これまでの積立金の運用だけになる場合、「運用指図者」となって、運用を継続することができます。

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 (9) 確定給付と確定拠出の性格をもつキャッシュバランス型年金 (CB型年金)
 ★キャッシュ・バランス・プランとは
▼1985年にアメリカで導入され普及している年金プランで、確定給付型と確定拠出型の両方の性格がある各種制度を 「ハイブリッド制度」 (混合型) といいます。キャッシュ・ バランス・ブラン (Cash Balance Plan) はその一つで、アメリカでは一時金での受給という意味も含まれています。

▼確定給付年金と確定拠出年金の整備にともなって、日本でも平成14年より導入が可能になりました。厚生年金基金と確定給付年金に、このプランを導入することができることから、 「キャッシュバランス型年金プラン」 と呼ぶことにします。
 日本経団連に加入している企業の調査では、2006年度で大企業を中心に 24%がこの制度を導入しているという結果が出ています。

 ★日本のキャッシュバランス型年金プランの仕組み
 給付建ての確定給付年金を確定拠出年金の要素で補完
▼給付建ての確定給付年金は、事業主にとって、運用収益が低下すると追加負担しなければならないリスクがあります。一方、掛金建ての確定拠出年金では、加入者にとって 運用リスクによる将来の年金受給に不安があります。
 この両者のリスクを出来るだけ相互に緩和するのが日本のキャッシュバランス型年金プランです。

確定給付年金厚生年金基金の加算部分にこのプランを導入することができます。
 掛金を給与の一定割合または定額で、毎期、個人別の仮想の口座に積み立てる形をとるが、その総積立金を原資に運用、あらかじめ定めた利率を基本 保障として支給する制度です

 積立金、運用、給付など 〜仮想の個人別口座に累積
確定拠出年金では、運用機関に個人別口座をもち各自が選択・運用しますが、CB型年金では、個人別に仮想の口座を設けて記載・管理するものの、年金積立金は一括して運用 ・管理します。
 拠出金 (掛金) は、企業が全額負担し、加入者の拠出は認められていません。

▼運用利率が予定の利率 (指標利率) より高い場合は積立金の増額に反映されます。場合によっては累積赤字の補填にも当てられます。積立金の運用が所定より低くかった場合、規約で定められた 「予定利率」 (指標利率) で補填される保障があります。この積立金不足のリスクは事業主が負担することになります。

▼予定利率 (指標利率) は規約にもとづいて期ごとに決めますが、加入期間10年以下、10年以上で適用する利率を変えのが一般的で、従業員ごとで変える方法も可能です。一定率または国債の利回り、 「国債利回り+1%」 などが使われ、変動も可能です。

▼退職による給付は、期間ごとの運用利率 で個人別仮想口座ごとに再評価した額を累計、これがその加入者の一時金の原資となります。それを年金化するには、原資の額を規定 の数値 (年金換算率) で除すと支給開始時各自の年金額が算出されます。支給開始後、認められた方法で年金額の改定もできます。年金支給期間は、5年以上の確定年金、または終身年金です。
ポイント
 @積立不足       --- 事業主が負担>
 A予定より余剰が出た --- 支払い財源に充てられる
 B事業主にとって    --- 確定給付よりも軽減されるが、運用リスクは負う
 C従業員にとって    --- 確定拠出よりも安定だが高い運用益は得られず、目減りもある


     【キャッシュバランス型年金プランの一例】

【退職年金制度プラン】 〜3種類の制度を導入
          退職一時金 ---- 20% (確定給付)
          確定拠出年金 --- 30% (変動性あり)
          確定給付年金 --- 50% キャッシュバランス・プラン (変動性あり)


   【キャッシュバランス・プランの概要】 〜確定給付年金
  ■運営主体基金型 --- 厚生労働大臣の認可をえて企業年金基金を設立

  ■掛金    〜個人ことに拠出、全額企業が負担する
            @【基準賃金 × 拠出付与率 (= 掛金率)
            A【拠出付与率】 は勤務年数に応じて変動する
  ■運用
    指標利率@10年国債の利回りを使用、下限と上限を設ける
            A上限 --4%  下限 --1.5%または法定予定利率のいずれか下回らない

  ■給付    〜退職給付を基本に、一時金の場合もある、年金は 5〜15年の有期
    指標利率 〜年金受給期間中の積立金残に適用する指標利率は積立期間中と同じとする
    個人別の勘定残高 〜退職時の個人別の総額で、給付の原資となる
       =【毎年の拠出付与額の累計】+【運用利率又は指標利率による運用益の累計】
    年金の額
       退職時の個人別勘定残高を原資に、受給期間中の指標利率、受給年数などを考慮した
       確定年金現価率を使って算出


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(10) 企業年金のさまざまな問題
            〜ポータビリティ(携行性・移換)、企業年金連合会など
 ★確定給付年金と確定拠出年金のメリットとデメリット
▼2001年の確定給付年金法および確定拠出年金法の成立には、さまざまな議論がなされてきました。「確定給付」、「確定拠出」 の制度とはいえ、結果的に、双方に柔軟性と規制、義務を折り込んだ形の 制度になりました。この二つの制度の主なメリット・デメリットを企業と従業員の立場から比較して見ましょう。
   【確定給付年金】

  【企業】

  メリット
    @個人別の勤務評価や勤務年数など雇用政策を反映しやすい制度になっている
    A掛金の拠出を柔軟に変動することもできる
    B人材を確保し、従業員に安心感を与える点ではインセンティブとなる
  デメリット
    @年金資産運用が予定より低迷すると追加負担が発生する
    A長期勤務者など、雇用の流動化を抑える作用がはたらく
  【従業員】
  メリット
    @運用リスクが比較的少ない
    A老後の生活設計がたてやすい、CB型年金では個人別仮想口座で積立金の把握ができる
  デメリット
    @積立金の運用は比較的安定性があるが、より有利な運用機会を失う、インフレに弱い
    A転職などによるポータビリティ (携行性) に課題がある
    A倒産、退職後など支払いが完全に保障、担保されているわけではない

     【確定拠出年金】

  【企業】
  メリット
    @運用リスクを避けられる
    A追加負担が発生しない、退職給付会計上の負債にならない
    B成果主義、能力主義の面ではインセンティブに活用できる
  デメリット
    @従業員に対する情報、教育コストがかかる
    A安定性の面では、人材確保、従業員のインセンティブに課題がのこる
  【従業員】
  メリット
    @個人で運用指図がきるため、有利に運用する機会もある
    A個人別口座によって積立状況が把握できる
    B転職などによるポータビリティ (携行性) に強みがある
    C外部機関の口座に積み立てられるため、残高は確実に受給できる
  デメリット
    @運用リスクを個人が負い、退職年金が目減りすることがある
    A運用手数料が割高になる


 ★年金のポータビリティ (携行性) と移換の課題
 >雇用の流動と企業年金制度終了時のポータビリティとは
▼2005年10月 (平成17年) の改正で、企業年金のポータビリティの確保が整備されました。その背景には、雇用の流動化、企業の退職年金制度改革、合併・企業再編といった経営環境の変化があります。 もう一つ、低金利などによる年金資産運用の環境悪化による厚生年金基金の 「代行返上」 といった制度改正があります。

ポータビリティ は、一般に転職・離職及び年金解散などによる年金制度を終了させた時の年金原資、権利義務等の他制度への 「携行性」 を意味します。
 移換は年金制度から他の年金制度への移行による年金資産・受給権等を移す意味を含みます。

▼企業年金のポータビリティには、「権利義務」「脱退一時金」 の二つのポイントがあります。

権利義務の継承  〜合併などで別の制度に移転・継承する場合の通算年金
                事業所単位が基本で、個人単位でも可能
脱退一時金の移転 〜短期間勤務者の場合の通算年金
                個人単位で、加入期間が20年未満で移転前制度の受給権を有さないこと

▼ポータビリティは、@同じ制度間、A代行部分 (基本部分) のある厚生年金基金が関係するもの、B加算の性格をもつ確定給付年金と、確定拠出年金の間、に大別できます。 企業年金のすべての制度間でポータビリティが可能というわけではありません。特に確定拠出年金から確定給付年金や厚生年金基金へのポータビリティは認められていません。


 厚生年金基金の中途脱退者とポータビリティ 〜企業年金連合会とは
「企業年金連合会」 は旧厚生年金基金連合会が改組されたもので、主な業務は次のようです。
 「厚生年金基金を短期間で脱退した人 (中途脱退者) 等に対する年金給付を一元的に行い、厚生年金基金・確定給付企業年金・確定拠出企業年金といった企業年金間の年金通算事業を行う

「中途脱退者」 とは、通常 「10年未満で脱退した人」 をさしますが、基金によって違いがあり、「加入期間が20年未満で、かつ移管前制度の年金受給権を有さない人」 としたほうがいい でしょう。つまり、脱退一時金等の対象になる人です。

▼厚生年金基金には、厚生年金の報酬比例部分を代行する 「基本部分」 (代行部分) と 基金独自の 「加算部分」 があります。厚生年金基金加入者が 「中途脱退」 する時、次のような選択 をすることになります。


   【厚生年金基金 中途脱退者の選択】

  【1】脱退一時金を受給し、基本部分 (代行部分) を移転する
    脱退一時金受給し、基本部分 (代行部分) の権利義務を企業年金連合会に移転する

  【2】脱退一時金相当額を移換し、基本部分 (代行部分) を移転する
    基本部分 (代行部分) を企業年金連合会に移転する
    脱退一時金相当額の移換先
      @企業年金連合会に移換する
      A再就職先の確定給付年金に移換する
      B再就職先の確定拠出年金に移換する
      C国民年金基金連合会に移換する

  【3】脱退一時金の受給、移換及び基本部分 (代行部分) の移転を保留する
    保留して、1年を経過する間に選択する
     ( 1年経過後、選択がなければ、基本部分は企業年金連合会に移転、脱退一時金を受給 )


 ★企業年金の支払い保証の問題
▼確定拠出年金は掛金が個人別の口座に拠出されて、年金額は必ずしも保証される制度ではありません。給付の保証が問題になるのは確定給付年金の場合です。

▼厚生年金基金や確定給付企業年金の積立金については、事業主に最低責任積立金が課され、年金資産運用機関には受託者責任と情報開示が義務付けられています。しかし、これで年金支払保証制度 が完備しているわけではありません。

▼経営情勢によって企業の経営不振や倒産が発生したり、やむを得ない事情で年金基金の解散や、掛金・積立金不足も起きます。誰がこれらを負担するかの問題があります。

▼企業年金連合会では、加入の厚生年金基金をもつ企業の倒産や業界の業績悪化などで、積立金不足がおきる場合、ある程度保証をする制度を設けています。加入基金の共済事業として行われています。

▼企業年金は100%支払いが保証されているとは限りません。企業や企業年金基金の存続も不確定てすし、支払い保証制度も完備しているわけではありません。
 例えば、2012年 (平成24年) に突然もちあがった企業年金の運用会社 AIJ投資顧問会社の巨額資金消失が判明した事件がありました。中小企業や業界団体がつくる多数の厚生年金基金が運用を委託したものの、 AIJ投資顧問会社が約1900億円の大部分の運用失敗を隠ぺいした事件です。低金利の時代に、高い運用益をあげているとの説明を信用したものです。
 基本的には各企業の自己責任ということになりますが、年金受給が受給できなくなったり、企業年金の解散や場合によっては母体企業の存続にも影響することになります。

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   3) 経営と退職金・企業年金

(11) 退職給付の雇用・労務面と会計上の意義と扱い
 ★退職金の雇用・労務面での意義と扱い
▼労働基準法には退職金を支払わなければならないという規定はありません。しかし、退職金は、雇用と人材確保、労働のインセンティブとして欠かせないもので、労働慣行として定着しています。また、 社会保障の一環と位置づけられています。

労働基準法では退職金を賃金と位置づけ、退職金を支払う場合は、就業規則などで条件を規定し、労働の対価として支払う義務が生じます。また、平成20年3月には 「労働契約法」 が施行され、 雇用に当たって所定の労働条件を書面 (就業規則など) で提示・確認・締結することが義務づけられています。

「賃金の支払の確保等に関する法律」 があります。そのなかで、事業主が労働協約や就業規則などで退職手当を支払うことを明らかにした場合、「厚生労働省令で定めた額について」、「厚生労働省令 の定める措置に準ずる措置を講ずるように努めなければならない」 としています。しかし罰則規定はありません。
 賃金・退職金等の確保についてさまざまな法律がありますが、経営情勢による倒産はめずらしくありませんので、完全に保証されているとはいえないのが現実です。

 ★退職給付の会計上の扱い
 退職給付を発生した労働の債務とみなし財務諸表に反映
▼退職給付会計では、退職給付を 「一定の期間にわたり労働を提供したこと等の事由に基づいて、退職以後に従業員に支給される給付」 として、「労働の提供にとまなって発生するもの」 といのを基本にしています。

▼退職一時金の支払い、退職企業年金への掛金支払い、年金基金の積立不足といった 「退職給付」 は、従業員に対する一種の 「債務」 です。これらを財務会計上、「退職給付費用」 (損益計算書) と 「退職給付引当金」 (貸借対照表) として計上します。

「退職給付引当金」 とは、退職給付債務から年金資産などを差し引いて、マイナスになった場合の負債を指します。つまり、退職金・企業年金など支払い義務のある退職給付債務を年金資産などで まかなえない部分を負債として計上することになります。
 ただし、年金資産のほうが多くなっても利益とは見なしません。また、支払った退職一時金や確定拠出型年金の掛金などは、費用として処理するので、期末の退職給付引当金には関係しません。

 【参考】
「退職給付債務」とは
〜期末時点までに発生したとみなし退職給付を現在価値・割引評価
▼まず、将来、従業員に支払うであろう退職給付を、「退職給付見込額」 として、「基本給・勤務月数・支給率・昇給率 ・退職率・死亡率」 などを折り込んで算出します。

▼決算はあくまでも決算時点での価値ですから、退職給付見込額から、期末以降、将来に発生する部分を除外して、期末時点での負担額を現在価値に 評価・算出したのが、当期の 「退職給付債務」 です。また、積み立てられた 「年金資産」 を期末時価で評価します。

「退職給付費用」とは 〜退職給付債務から年金資産の期待運用収益を差し引いたもの
損益計算書に計上するのが、「退職給付費用」 です。当期の労働の対価として発生した退職給付を、現在価値に割り引いて計算した 「勤務費用」 に、「利息費用」 と、過去勤務や制度変更などで発生した債務の当期分 「償却費用」 を加算します。さらに、年金資産などの運用 で得られるであろう 「期待運用収益」 を差し引いたのが 「退職給付費用」 です。
 ■償却費用
  かつて発生した膨大な年金資産の積立不足の処理や、制度改正や急速な経済変動によって発
  生する年金債務などを、一度に計上すると、徴税上、経営上、不都合なため、所定の年数に分
  けて減価償却の形で処理が認められています。

「退職給付引当金」とは 〜おもに年金資産など現在価値に評価した積立不足額です
貸借対照表に計上する 「退職給付引当金」 は、退職給付債務から年金資産を差し引き、さまざまな調整を加減して算出します。 「退職給付とし現在価値に評価した、おもに当期にあける積立不足額」 といっていいでしょう。
  【注】@税法で認める以上の退職給付処理は、「損金」として認められません。
     A退職給付会計は、負担がかかるため、従業員300人以下の小規模企業等には、
       簡便法が適用されます。

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(12) 企業年金の積立不足の解消が続いています
 ★2000年4月 (平成12年) 会計基準改正にともなう企業年金の積立不足
 企業年金は責任準備金をもたなければなりません
▼確定給付企業年金には、「責任準備金」「最低積立金」 の二つの積立基準があります。
前者は、将来も年金が継続することを前提にして、将来の給付・掛金・収益を含めたものです。
後者は、現時点で年金を終了した場合に必要な準備金を意味します。
責任準備金 〜将来の年金給付をまかなうために現在保有しなければならない積立金
最低積立金 〜過去の加入期間に見合う給付が受けられる現在保有しなければならない積立金

▼厚生年金基金や確定給付企業年金は、年金法の受給権確保・支払保証の面から、財務会計基準の負債計上による情報開示の面から、責任準備金をもたなれればなりません。不足すれば積み増し計画を立てて実行しな ければなりません。

 巨額の積立不足が発生
▼長年の企業業績の停滞、低金利による積立金運用益の悪化、高齢化による受給者の増加、適格退職年金の支払義務の不明確など複数の事由から、企業は充分な積立を行ってきませんでした。
 2000年の会計制度改革を契機に、こうした厚生年金基金と適格退職年金の巨額な積立金不足が表面化しました。年金資産の時価評価の影響もあります。

▼2000年の新会計制度の導入に当っての退職金・企業年金の積立不足は、@過去勤務債務に対する不足分と、A想定運用利回りと実際利回りの差による不足分が主因になっています。この総額について、さまざまな試算があり ましたが、平成12年で 60〜80兆円にものぼり、年金積立金はその半部しかなく、約40兆円以上の拠出が必要ともいわれました。赤字決算をして一括処理した企業もありますが、まだ拠出・償却は続いています。

 ★積立不足の解消と退職金・企業年金の見直し
 退職金・企業年金制度の見直し
新会計制度の導入に当たって、巨額の年金積立不足を解消するために、企業は、@廃止を含めた退職金・企業年金制度の見直し、A積立不足解消のため拠出する、という方法が取られています。
 さらに、確定給付年金法と確定拠出年金法の成立と、適格退職年金の廃止によって、企業の退職金・企業年金制度の見直しが盛んに行われ、現在も続いています。その事由の一つに退職金・企業年金の積立不足の解消 があります。

▼@退職給付水準の引き下げ、A退職金の前払い制度、B厚生年金基金・適格退職年金について、代行返上、解散または変動性の導入、といった退職金・企業年金制度の見直しが続いています。厚生年金基金の代行返上と解散、 確定拠出年金に移行することで、積立不足を約半分にした企業もあります。

 15年以内に償却する経過措置で不足の解消が進められています
▼年金積立の解消には、拠出金を15年以内に償却できる特別措置がとられています。厚生年金基金の代行返上には、「将来返上」 という認可制度が認められ、返上資産の整理や追加拠出処理を平行して進めるこ とができるようになっています。

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   4) あなたの年金をつくるために

(13) さらにみずから努力するよう求められています
 これまで以上に自助努力が必要です
▼価値観の多様化、情報の氾濫 (はんらん)、資源・環境問題、将来の不安などなど、複雑な時代にあって、良し悪しは別にして経済が大きな影響をもつようになりました。政府の「豊かさ指標」によっても、このところ格差 の広がりを見せています。
 こうしたなかで、自分のライフスタイルを作り上げるには、これまで以上にさまざまな配慮が必要です。自立のために、これからは自分で判断し、自分で管理するよう求められます。

 あなたの年金には長い目で適切に対応しましょう 〜相互扶助も忘れずに
▼調査によると、20歳では約 6割が年金に関心が薄く、30歳から40歳になると約 7割が高い関心をもつようになっています。最近の年金問題の浮上とマスコミ報道で、皮肉にも人々の年金への関心が高くなったといえます。
 国民皆年金でり、行政の年金サービス改善がなされつつあるといっても、まだまだ 自己申告制 であることには変わりはありません。

▼年金は長期に渡って加入する必要があります。年金の将来に不安を抱いているとしても、保険料を払わないで、後で後悔しても取り返しがつきません。「年金不安という言葉」 におどらされてはなりません。公的年金 には相互扶助の役割があることも忘れてはなりません。

▼さらにもう一つの柱である退職金・企業年金も、確定拠出やキャッシュバランス型で経営環境で変動する制度を採用している会社が増えています。確定拠出では、それぞれ個人が選択・運用するなど、各自の判断が求めら れます。転職・退職にも、将来のライフ対策を意識して最善の選択をする必要があります。
 自分の年金を有利にするために、さらなる努力と選択が求められているのです。


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(14) あらゆる機会を活用しよう
 ★もっと年金をプラスに考えましょう
 社会保障に参加する義務があります
▼年金は、若い時から生涯にわたってかかわる問題で、誰でも年金を支える立場から年金を受ける立場へと変わります。
 高齢化社会などで公的年金の危機が問題にされ、いずれ年金水準が下がるのは避けられませんが、信頼を失わないことが大切です。社会保障の負担と参加する義務もあるのです。

▼しかし、引退後をすべてを公的年金で支えられわけではありません。それぞれの引退後の問題は、まわりの高齢者から教訓を学ぶことができます。自立のために自助努力が必要です。

   【自立するために】

   【1】年金に関心をもつ
   【2】それぞれがかかわる年金制度を最大限に活用する
   【3】常識としての経済や財テクについて理解して、必要な情報の選別、リテラシーを養う
   【4】自分の適切な資産を形成するために方針をもって自助努力する


▼公的年金と退職金・企業年金が、二つの柱として重要な役割をになつていることに変わりはありません。未加入・未納がないよう、市民の義務として公的年金を支えましょう。そのような余裕がなく、頑張っている方も、あ なたの将来に向けて免除制度など大いに活用することです。

▼セフティネットとしての公的年金制度は、一層の相互扶助性を高めなければなりません。企業も、難しい経営環境にあるとしても、合理性と利益追求を求めるだけでなく、社会保障と従業員福祉に努める義務が あります。
 ヨーロッパでの社会保障の試みに注目して、日本に適したものをつくることです。

 ★あらゆる機会を適切に活用することです
▼現在を大切にし将来に備えるため、それぞれがかかわる機会や制度を適正に活用することです。

▼なんといっても希望を失わないこと、成功者は他者の理解に努めることです。年金の議論になると必ずといっていいほど成功者から自己責任論が飛び出します。相互扶助の精神を失ってはなりません。
 その上で、収入、税制、資産運用、各種制度など、さまざまな機会を適正に活用する努力がこれまで以上に大切です。

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(15) 学生・現役世代が年金に適切に対応するためのポイント
 ★20歳になれば必ず国民年金に加入しなければなりません
 特に学生、自営業などの方は、まずは自ら申請を
すべての国民は、20歳になれば学生であれ、社会人であれ、国民年金に加入して年金手帳を持たなければなりません (国民皆年金制度です)。20歳の誕生日月になると加入申請案内の 通知が送られてきます。

学生も加入の手続きをします。籍を親元に置いたまま国許を離れて住んでいたり実質的に親が保険料を負担する学生は、親が代わって保険料納入の手続きをすることもできます。
 親の負担を心配している学生には、本人の収入が所定以下であれば、国民年金の保険料の全額免除から1/4免除までの4つの 「保険料免除制度」「学生の保険料納付の特例 (保険料追納制度の特例) を活用するのもことができます。

厚生年金が適用されている会社に就職している場合は、会社が加入手続きのチェックと処理をします。
 自営業・家族従業員・主婦などの加入手続きは、通知書によるか、市町村の窓口で行います。

 ★就職、転勤、転職と年金
 年金加入が途絶えないよう、節目節目に留意する
▼公的年金の受給には、「国民年金に25年以上の資格期間がある」 ことが資格要件の基本になっいます。所定の資格期間以上加入するよう、常に留意しなければなりません。

▼社会に出て就業するとさまざまな社会の仕組みにかかわります。社会保障として、健康保険、労働保険、介護保険、そして公的年金などです。これらは年齢、職業、職場などによって、さまざまな制度に区分されています。 転職、転勤、退職などなどその時々の節目節目で、それぞれが適切に対応することです。年齢は取り返せませんから後悔のないよう対処しましょう。

   【就職、転勤、転職での年金の注意点】

【1】 公的年金と退職金・企業年金の二つについて、適切な判断と対応が求められます
【2】 一時、失業して求職する間、年金加入期間に空白のないよう。国民年金の第1号被保険者への加入手続き (多段階保険料免除制度もある) をする
【3】 これまで厚生年金基金や企業年金に加入していた場合、それぞれの規約を調べて、脱退金、保留、再就職先に移換するなど、適切に対応する
【4】 確定拠出企業年金に加入していた場合、「個人型」 を選択して国民年金基金に一時的に移った後、再就職先の企業年金制度につなげるなど、適切な対応が必要です


 結婚と年金 〜妻が未加入にならないように注意を
▼結婚にともなう節目節目で、夫婦ともども年金の加入期間が途絶えることがないよう、留意しなければなりません。

▼結婚による年金で注意が必要なのは妻の場合です。夫婦共働きで、それぞれが年金に加入していれば問題ありませんが、専業主婦や夫とともに自営業にたずさわる場合は妻の年金を適切に対処する必要があります。
@夫・サラリーマン、妻・専業主婦 〜夫の会社を通して妻の第3号被保険者への変更処理をする
A夫・自営業、妻・専業主婦または自営業 〜妻、第1号被保険者への変更を市町村に届け出る

▼注意が必要なのは夫が失業した場合です。保険料負担に重いものがありますが、再就職の間、妻が第3号被保険者だと、夫婦ともども第1号被保険者への変更処理をします。

▼不幸にして離婚の場合、結婚期間中の夫の厚生年金の分割問題に適切に対応することです。

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(16) 定年・再就職にともなう年金などのポイント
 ★定年と生活設計
 年金65歳受給制にともなう雇用・定年延長とは
▼厚生年金の受給開始が段階的に65歳に移りつつあります。それにともなって60歳から65歳の間を埋めるため、65歳定年を定着させたいところですが、主に企業側の問題から必ずしも全面的な賛同を得た状況に ありません。

▼政府は 「高年齢者雇用安定法」 を改正して、継続雇用・定年を段階的に 65歳以上まで引き上げることを義務化しました。しかし、「継続雇用・定年」 と表現しているように 「定年を延長す る」 こととは限りません。多くは全員の継続雇用ではなく、実質的に報酬など雇用条件を下げ、人材を選別する方法が取られています。

【参考】
 定年・継続雇用の段階的に65歳以上まで引き上げ

▼「高年齢者雇用安定法」 が改正されて、厚生年金の定額部分の支給開始年齢を、65歳に遅ららせる スケジュールにあわせて、継続雇用・定年を、段階的に 65歳以上まで引き上げるよう、義務化 されました。
 定年を65歳未満と定めている事業主は、高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するために、下記、いず けかの措置を講じなれけばなりません。
  @ 定年の引き上げ
  A 継続雇用制度の導入
      〜現に雇用している高年齢者が希望すれば、定年後も引き続き雇用する制度
  B 定年制の廃止

   引き上げなければならないスケジュール
     2006年4月 〜 2007年3月  62歳 、  2007年4月 〜 2010年3月  63歳
     2010年4月 〜 2013年3月  64歳 、  2013年4月 〜          65歳


 ★60歳を過ぎてからの生活設計
 再就職にともなう年金
▼65歳に達するまでと、引退後の生活設計はそれぞれにとって重要な課題です。サラリーマンが定年を迎えると、@別な人生をおくる、A事業を起こす、B継続再雇用を選択する、C求職して再就職をめざす、などが一般的です。

▼中高年齢者の再就職にはなかなか厳しいものがあります。夫婦ともども60歳未満でただちに再就職しない場合は、国民年金の第1号被保険者への種別変更の手続きをして60歳まで加入しなければなりません。
 60歳以上でハローワークで求職、失業給付を受給している間は、厚生年金は支給停止になります。
 再就職は経済的な理由だけでないとしても、「年金」〜「在職して厚生年金の加入を続ける」〜「在職厚生年金の適用を受ける」の三つについて、生きがいとも関連して判断が求められます。

    【求職と年金】

 【1】 60歳未満だと国民年金の第1号被保険者として保険料を納め加入の空白を防ぐ
 【2】 生年月日により、「60歳前半の老齢厚生年金」又は「特別支給の老齢厚生年金」が受けられる
 【3】 ハローワークで求職、失業給付を受けている間、厚生年金は支給停止となる
 【4】 60歳以上で退職すると、通常、企業年金が受給できる


    【在職と年金】

 【1】 在職すると70歳まで厚生年金に加入します
 【2】 在職者には、「60歳前半」、「65歳後半」、「70歳以上」の三つの在職老齢厚生年金が適用されて、年金が調整されます
 【3】 年金の繰上げ、繰り下げ受給制度があります
 【4】 パートなどは、厚生年金加入問題などに適切に対処する


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(17) 引退・老後そして遺族年金でのポイント
 ★引退後の年金
▼老齢厚生年金を受給するにも、国民年金の老齢基礎年金が受けられる資格期間を満たすことが基本です。長期にわたって、節目節目で適切に対処しなければなりません。過去は取り戻せません。常に 「ねんきん定期便」 を充分チェックすることです。

    【65歳からの年金】

 【1】 65歳からは国民年金と厚生年金の老齢年金の両方を受給できる
 【2】 特別支給の老齢厚生年金が受けられる人は、65歳になっても夫婦二人の合計年金は減らない
 【3】 在職者には在職老齢厚生年金が適用される
 【4】 65歳から国民年金を受給するようになると1ヵ月でも厚生年金加入期間があれば老齢厚生年金を受けられる


    【遺族と年金】
▼遺族年金が重視するのは妻の立場です。女性は遺族年金をよく理解しておく必要があります。

 【1】 18歳未満の「子」がいる場合や、妻が35歳未満だと遺族基礎年金は有期の支給です
 【2】 厚生年金に加入したことがある主婦の年金と夫の遺族厚生年金と組み合わせて有利な選択をすます
 【3】 いずれも年金受給は自己申告ですので留意は欠かせません
 【4】 夫婦ともども送られてくる 「ねんきん定期便」 を充分チェックすることです


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