1.道路の種類と速度制限
Les routes diverse et ses limites de vitesse
(1)道路の種類
 フランスの道路は、管理主体の観点から分類すると、大きく分けて高速自動車国道(A:Autoroute)、国道(RN:Route Nationale)、県道(RD:Route Departementale)の3種類があります。それぞれ道路番号が付与され、高速道路は「」で、国道は「」で、県道は「」ではじまります。この他に、市町村道(C:Route Communale)もありますが、いずれも短距離で路線番号も整備されていません。
 高速自動車国道「A」は、路線番号が1ケタ台の基幹路線、2ケタ台の地域路線(フランス本土を時計周りに10番台〜90番台まである:リヨン周辺は40番台)、3ケタ台の枝線(例えばA432号線はA43号線の枝線)がありますが、いずれも規格は同一です。路面はよく整備されていて走りやすいですが、稀に建設年代や地域的事情のために運転しづらい区間もあります(A47号線など)。パーキングエリア、サービスエリアも完備されています。
 国道「N」は、自動車専用道路になっているものから単なる地方路線まで様々ですが、概ね片側1車線以上で、路肩も広くとってあることが多く、ところどころに駐車場もあります。
 県道「D」は、地方の重要道路(一部には自動車専用道路となっている区間も)からかつての国道を格下げしたもの、更には離合が難しい末端の細い道まで様々です。当然のことながら県境を境に道路番号が変わるので注意が必要です。
 なお、高速自動車国道や国道を中心に、「E」ではじまる路線番号がありますが、これは国連欧州経済委員会(UNECE)が定めた国際路線を示します。一般的に、「E」路線に指定されている道路は、高速自動車国道であれ一般国道であれ、整備が優先されています。
 これらの道路とその法定最高速度をまとめると以下のとおりとなります。
路線標識 種 類 法定最高速度(時速)
欧州道路
Route Europeenne
(指定された路線による)
高速自動車国道
Autoroute
130キロ
(雨天110キロ
国道
Route Nationale
90キロ
(中央分離帯つき4車線道路では110キロ
県道
Route Departementale
90キロ
(中央分離帯つき4車線道路では110キロ
市町村道
Route Communale
90キロ
 なお、参考までに、フランスと国境を接する各国の高速道路の制限速度は以下のとおりです。
国 名 路線標識 法定最高速度(時速)
スペイン 120キロ
ベルギー 120キロ
オランダ 120キロ
ルクセンブルク 130キロ(雨天110キロ)
ドイツ 無制限(推奨130キロ)
スイス 120キロ
イタリア 130キロ
(2)高速道路と自動車専用道路 
 フランスの道路を道路規格の観点から分類すると、高速道路自動車専用道路一般道路に分かれます。
 高速道路は常に高速自動車国道(A)ですが、自動車専用道路は国道(N)又は県道(D)があり得ます。また、高速道路は一部例外を除いて民間会社に経営委託され、有料道路となっていますが、それ以外の道路では有料のものはほとんどありません。
道路標識 種 類 該当する路線 法定最高速度(時速)
高速道路 130キロ
(雨天110キロ
自動車専用道路
(中央分離帯つき4車線)
110キロ
自動車専用道路
(対面通行)
90キロ
(なし)  
 
一般道路
 
 
90キロ

▲自動車専用道路の一例(国道N383号線・リヨン環状道路)

(3)案内標識の色 
 フランスの道路案内標識は、道路の種類によって異なります。
 即ち、高速道路は「青地に白文字」、その他の道路(自動車専用道路を含む)は「白地に黒文字」となります。但し、その他の道路の標識のうち、重要な都市・地点については「緑地に白文字」で標記されます。

▲高速道路用の案内標識(青)

▲一般道路・自動車専用道路用の案内標識(緑、白)
(4)制限速度について
 以上見てきたように、法定速度(時速)は高速道路では130キロ(雨天時110キロ)、その他では90キロですが、この他に、「市街地区間」の区分があり、同区間では制限速度は50キロになります。
 下に掲げる標識は、左は国境付近に、右は高速道路上にそれぞれ設置されているものですが、以上の規則を的確に表しています。なお、フランス以外の国の法定速度標識については、こちらを御覧下さい
 
 では、時速50キロに制限される市街地区間はどこからはじまるかというと、各市町村の入口にある看板が目印になります。即ち、下図のような、赤枠で囲われた市町村名を書いた標識があったら、そこから先は市街地区間となり、別段の表示が無い限り50キロ制限になります(別段の表示があればその範囲内で速度を上げてもよい)。逆に、赤枠で囲われていない市町村名標識の場合は、50キロ制限ではありません。
 市街地区間の終点には、下のような市町村名標識が設置され、ドライバーに50キロ制限区間が終わることを示しています。
(5)速度取締り 
 ここ数年間で、フランスでは速度取締が急激に厳しくなってきました
 速度取締には2種類あり、一つが固定式の自動取締装置(大きな郵便ポストほどのサイズ)で、高速は勿論県道レベルでも設置されている箇所があります。この装置は道路脇に設置され、1キロでも速度を超過していると違反車を撮影します。しかし、装置の前には「自動取締実施中」という標識が立てられているので、これを目安に減速する車がほとんどです。
 2つ目が警察(国家憲兵:Gendarmerie Nationale)による臨時取締りで、固定装置とは異なり予告の標識はありません。取締方式は道路脇の1地点で待ち構える固定式で、道路脇に止めたパトカーの窓からスピードカメラを構えている場合と、道路脇に止めたワゴン車の後部荷物室に自動撮影装置(ワゴンの後部ドアに四角い開口部がある)を搭載して待機している場合があります(日本のように覆面パトカーで一般車に紛れて取り締まることはありません)。

▲固定式の自動速度取締装置
 速度取締は一般にかなり厳しく、90キロ制限区間を97キロで走行した場合、「機械の誤差」で5キロ分は差し引かれるものの92キロと記録、2キロオーバーと判断されて反則キップを切られます。反則キップは後刻自宅に郵送され、反則金の払い込みが遅れれば遅れるほど反則金額が吊り上がる制度になっています。
(2006年3月現在)

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