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『こんなマリみては……いやじゃないかも
“TRICK編 episode 6 黒門島”』

蔦子「暑いでしょ、どうぞ」
可南子「……」
蔦子「親戚に文化人類学をやっている人がいてね、南の島へフィールドワークした時に、何人かの霊能力者と出会ったというの。
 興味あるでしょ」
可南子「……」
蔦子「その男の話では、霊能力者はみんなインチキで、恐らく植物からとった薬物を使って人々を惑わしているんじゃないかって言うのよ」
可南子「薬物?」
蔦子「ええ。あの辺の島には、いろいろ変わった植物がはえているからね。どうぞ。
 幻覚を見せる薬、時には飲むと恋に落ちてしまう薬なんていうのもあるらしいわ。一種の媚薬ね」
可南子「つまり、部屋に男を連れ込んで、その薬を飲ませれば、誰でも私に恋をする」
蔦子「君に恋をするか、君の飼っているカメに恋をするか知らないけどね」
可南子「……」
蔦子「どうぞ。
 で、彼が私に、その媚薬を少し分けてくれたの。試しに祐巳ちゃんの飲ませてみたわ」
可南子「どうなったんですか?」
蔦子「見事恋に落ちたよ。しかも瞳子ちゃんとね。どうぞ」

ジュースを飲み干す二人。

蔦子「何か、変化ない?」
可南子「は?」
蔦子「ポーッとしてきたとか、心臓がドキドキしてきたとか」
可南子「なんで?」
蔦子「入れといたのよ、君のジュースに。その薬」
可南子「ええ?」
蔦子「どう」
可南子「……」
蔦子「……」
可南子「蔦子さまこそ、何か変化、ないですか?」
蔦子「ないよ。入れたのは君のだけよ」
可南子「入ってたの、多分こっちですよ」
蔦子「え?」
可南子「飲む前にこっそり入れ替えたんですよ。蔦子さまがジュースを出してくれるなんて変だと思ったし、それにちょっと変な匂いがしたし」
蔦子「……! なんで君はいつも私の邪魔ばかりするの」
可南子「人に試さないで、まず自分で試せばいいじゃないですか」
蔦子「私は理性しか持っていないの。媚薬で感情が動くなんて事ないのよ」
可南子「ごちそうさま」
蔦子「ああん」
可南子「……何それ?」
蔦子「別になんでもないわ」
可南子「……?」
蔦子「YOU、今日なんか違わない?」
可南子「は?」
蔦子「髪、切った?」
可南子「蔦子さま?」
蔦子「口づけはね、生物共通のコミュニケーションよ。ほーら、力を抜いて……目を閉じて……」
可南子「バカ効きじゃないですか、薬」
蔦子「……」
可南子「バーカ、単細胞、ゾウリムシ!」
蔦子「ふふふふ。素直じゃないわね、じゃじゃ馬娘が!」
可南子「鍵かけて、閉じこもって、ジャージャー麺喰ってろ、ターコ!」
蔦子「……オイ、オイ、オイ、オイオイ!」
可南子「あ、誰とも会わない方がいいですわ。乳首が勃ってますよ」