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米同時多発テロ後に上下両院本会議での演説

◇テロと追悼
下院議長、上院議長代行、議員各位、米国民の皆さん……。
 いつもなら、大統領は合衆国の現状について報告するため、この議場にやって来る。だが、今夜はいかなる報告も必要ない。すでに米国民のみなさんがその報告を行ってくれたからだ。
 我が国の現状は、地上の人々を救うためテロリストに飛びかかっていったトッド・ビーマーさんのような、(ハイジャック機の)並々ならぬ乗客たちの勇気に示されている。私とともに、臨席しているリサ・ビーマー(夫人)を歓迎してほしい(拍手)。
 我々は、疲労困憊(こんぱい)しながらも救出作業を続ける人々の忍耐力に我が国の姿を見た。我々は、国旗が翻り、ロウソクの明かりがともり、献血が行われ、英語で、ヘブライ語で、そしてアラビア語で祈りが捧(ささ)げられるのを見た。我々は、見知らぬ人々の悲しみを自らの身に起きたことととらえ、愛し与える人々の寛大な心を見た。
 市民の皆さん、この9日の間、全世界は強固なる我が国の現状を目の当たりにした(拍手)。
 今夜、我が国は、危機に目覚め、自由の防衛に立ち上がろうとしている。我々の悲しみは怒りに、そして決意へと変わった。我々が敵を裁きにかけ、敵に正義を知らしめれば、正義は実現される(拍手)。
 この重要な時に、指導力を発揮してくれた議会に感謝したい。悲劇の起きた日の夜に、共和党と民主党の議員が議事堂前の階段で共に「ゴッド・ブレス・アメリカ」(愛国歌)を歌うのを見て、米全土が感動した。あなた方は、歌う以上のことをしてくれた。あなた方は、行動し、(被害を受けた)我々の社会を再建し、我が軍の要請を満たすため、400億ドルの支出を承認してくれた(拍手)。
 ハスタート下院議長、ゲッパート下院院内総務(民主党)、ダシュル上院院内総務(民主党)、ロット上院議員、あなた方の友情と、指導力と、我が国への奉仕に感謝する(拍手)。
 米国民を代表して、世界各国から次々と寄せられた支援に感謝する。米国は、(ロンドンの)バッキンガム宮殿で、パリの街角で、ベルリンのブランデンブルク門で流れた米国国歌の調べを決して忘れることはない。
 我々は、韓国の子供たちがソウルの米国大使館の前に集まり捧げてくれた祈りを、カイロのモスクで捧げられた同情の祈りを忘れることはない。我々は、オーストラリアやアフリカ、中南米での黙とうや追悼の時を忘れることはない。
 また、我々は米国民と共に命を落とした他の80カ国の人々のことも忘れない。何十人ものパキスタン人、130人を超えるイスラエル人、250人以上のインド人、エルサルバドル、イラン、メキシコ、日本の男女、そして何百人もの英国民のことだ。
 米国にとって最大の真実の友は英国だ(拍手)。再び、我々は大義の下に力を合わせることになった。それはとても大切なことだ。英国の(ブレア)首相は米国と同じ目的に向け、団結を示すため、海を渡ってこの議場に足を運んでくれた。我が友よ、ご来訪を感謝する(拍手)。
◇タリバンへの要求
 9月11日、自由の敵は、我が国に対して戦争行為を仕掛けた。米国人は、これまでも戦争を戦ってきた。しかし、過去136年間の戦争は、1941年のある日曜日に起こったもの(日本軍による真珠湾攻撃)を除いて、海外でのものだった。米国人は、これまでも戦争で傷つき、命を失ってきた。しかし、それが平和な朝に、大都市の中心部で起きたことは一度もない。米国人は、これまでも奇襲攻撃を受けた。しかし、数千人もの一般人を対象にしたものは一度もなかった。こうした出来事のすべてが、たった一日のうちに我々に降りかかってきた。夜のとばりが下りるころには、我々の世界は一変した。自由そのものが、攻撃される世界になっていた。
 米国人は今、多くの問題を抱えている。彼らはこう問いかける。誰が我々の国を攻撃したのか? 我々が集めた証拠のすべてが、「アルカイダ」と呼ばれる、ゆるやかに連携したテロリスト組織の集団を指している。彼らこそが、(98年に)タンザニアとケニアの米国大使館を爆破して起訴され、(昨年、イエメンで起こった)米駆逐艦「コール」に対する自爆テロに責任を負うべき殺人者たちなのだ。
 テロとアルカイダの関係は、犯罪とマフィアの関係と同じだ。しかし、その目的は金もうけではない。世界を作り替え、その極端な信仰を世界の人々に押し付けることだ。
 このテロリストたちが実践する主流から外れたイスラム過激主義は、イスラム学者や、大多数のイスラム聖職者が否定してきた。彼らの活動は、平和を愛するイスラムの教えから逸脱している。このテロリストたちが出す指令は、キリスト教徒とユダヤ人を殺し、すべてのアメリカ人を殺し、戦闘員と、女性や子供を含む一般市民とを区別するなというものだ。
 このグループと、その指導者であるウサマ・ビンラディンという人物は、エジプトの(イスラム過激派)「ジハード団」や、ウズベキスタンの(反体制組織)「イスラム運動」といった他国の別の組織多数と連動している。こうしたテロリストは世界60カ国以上に数千人も存在する。彼らは母国やその周辺から集められ、アフガニスタンなどのキャンプに送られてテロ戦術の訓練を受ける。その後、母国に帰されたり、世界各国に送られて身を隠し悪と破壊をたくらむのだ。
 アルカイダの指導者たちは、アフガニスタンで大きな影響力をふるい、同国の大部分を支配するタリバン政権を支援している。アルカイダが世界に求めるものはアフガニスタンに見ることができる。
 アフガニスタンの人々は、ひどい仕打ちを受けてきた。その多くが飢え、逃げ出した人も少なくない。女性は学校に行くことが許されない。テレビを持っているというだけで投獄されることもある。信仰は、指導者の指図どおりにしか行えない。アフガニスタンの男性は、ヒゲが短すぎるという理由だけで投獄されることもある。
 米国は、アフガニスタンの人々には敬意を払っている。我々は今や、彼らに対する最大の人道援助国だ。しかし、我々はタリバン政権を非難する(拍手)。タリバンは自らの国民を抑圧するだけでなく、テロリストを支援し、かくまい、物資を与えて世界中のいたるところで人々を脅かしている。殺人を支援し、そそのかすことで、タリバン政権は殺人を犯してきた。
 今夜、アメリカ合衆国は、タリバンに以下を要求する。支配地域に身を隠すアルカイダのすべての指導者を米当局に引き渡すこと(拍手)。不法に投獄した、米国人を含むすべての外国人を釈放すること。アフガニスタンにいる外国人ジャーナリスト、外交官、(国際)支援組織の職員を保護すること。アフガニスタンのテロリスト訓練キャンプをすべて即時にかつ永久に閉鎖すること。すべてのテロリストと、彼らの支援組織のメンバーすべてを、適切な当局に引き渡すこと(拍手)。テロリスト訓練キャンプに米国が立ち入り、閉鎖を確認できるようにすること。
 これらの要求には交渉や議論の余地はない(拍手)。タリバンは行動すべきだ。それも即座にだ。テロリストを引き渡さなければ、彼らと運命を共にすることになる。
 今夜は、世界のイスラム教徒にも直接語りかけたい。我々はあなた方の信仰に敬意を払っている。イスラム教は何百万人もの米国人が自由に信仰しており、米国が友人と見なす国々でも何百万人もが信仰している。その教えは良いもので平和的であり、アラーの名のもとに悪をなす者たちはアラーの名をぼうとくしている(拍手)。これらのテロリストたちは彼らの信仰を裏切り、イスラム教を乗っ取ろうとしているようなものだ。米国の敵は、我々の多数のイスラム教徒の友人ではなく、アラブの友人でもない。我々の敵は過激なテロリストのネットワークであり、彼らを支援するすべての政府なのだ(拍手)。