ゞ校鎧件の証拠の発見過程はどのようなものであったか(裁判記録にはない情報、未開示の証拠があるのでは?)、∈覿霧警はどのような犯人像・犯行像を描いて捜査を進め、石川さんを逮捕するに至ったのか(誤った見込み捜査・逮捕では)、石川さんの自白と警察の持っていた証拠と犯行像との関係はどうであったのか(自白は誘導では?)、な未糧反輿・犯行像が浮かびあがらないか、などを検討するために、当時の新聞記事の抜粋を行いました。縮小版のコピーから判読できないか所がや誤字・脱字など、記録として正確さを欠く部分がありますが、狭山事件研究の参考にしていただければと考えます。(やっさん)

 

 新聞記事抜粋 。儀遑監〜5月22日(逮捕前)

 

月・日 新聞 記事
 5・4 朝日   女子高校生を誘拐、身代金20万円を要求する事件がおきた。
  3日午前零時犯人は指定した場所に現れ、10数m離れて被害者の姉と約10分間問答したが、金は取らず私服警官の張込み網をくぐって逃げた。埼玉県警は営利誘拐事件として捜査を進めている。近所からの聞き込みなどから被害者の一家を巡る複雑な事情もある模様なので、一応怨恨説も平行して捜査を進めている。
  事件の起こった一日は丁度被害者の誕生日に当たっていた。県警本部の調べによると、一日午後3時頃狭山市上赤坂の農業中田栄作さん4女入間川分校一年善枝さんが学校から帰る途中行方不明になり、夕方になっても帰らないので家族が心配していた所、同夜7時半頃庭先に善枝の自転車が置いてあり、ガラス戸に四つ折にした封筒が挟んであるのを家人が見つけた。その中にはノートを破った紙にボールペンの横書きで次のように書いてあった。「子どもの命が・・・」(原文のまま)そして写真つきの身分証明書も添えてあった。家族の知らせで県警は極秘に捜査をはじめ、一日夜現場付近を約10人の刑事が捜したが善枝は見つからなかった。
 5・4 朝日   指定された3日午前零時に約40人が現場を遠巻きにし、次女登美恵を佐野屋前に金に見せかけた包みを持って一人で行かせた。約束の時間より約15分遅れて17mあまり離れた道路脇の茶畑の中から男が「オーイ、オーイ」と呼んだので登美恵が「あなたがこっちに来てください。男のくせに意気地が無いわ」と呼びかけ、6、7分問答した後、「30分しか時間がないからおれは帰る」と茶畑を隠れるように逃げた。付近に張り込んでいた警官らもこの問答を聞いていたが取り逃がした。
 県警は営利誘拐事件として捜査本部を設け、3日朝8時過ぎから地元消防団、機動隊等総動員、百数十人の応援を得て付近の大がかりな山狩りをした。「佐野屋」から約1km離れた薬研坂の雑木林の中で、通学用自転車についていた荷台のゴム紐を見つけた。周囲の状況が詳しく調べられたが、あたりは荒らされた様子は無く、煙草「みどり」の包み紙と油染みた軍手の片方が落ちていた。誘拐現場はこの付近ではないかと捜査当局は見ている。
 5・4 朝日   4日朝8時半から約百人の増員でゴムひも発見現場を中心に山狩りをする、と発表。また、犯人が逃げた茶畑付近から犯人のものらしい足跡が採れ、登美恵がやりとりした声から中年男と推定されており、言葉は同地方訛だったという。脅迫文のたどたどしい文面から、犯人はそれほど知能の高いものではないと見ており、現金持参の指定場所から土地の事情に詳しい者、脅迫文の「四月28日」の跡に「五月2日」と書き直している所から機会を狙った計画的犯行と見ている。中県警刑事部長は「約束の時間に刑事約40人を遠巻きに張り込ませ、登美恵のすぐ近くに2人の刑事がいて問答を聞いていた。犯人が逃げ出したので笛を吹いて追いかけたが逃げられてしまった」一日以来県警は善枝の生命の安全を目標に極秘の捜査を続けていたが、三日未明犯人を遠巻きにしながら逃がしてしまった。新聞社各社もこれに協力したが、三日朝からの大がかりな山狩りでも犯人を掴めず、県警本部長は同夕6時半公開捜査に踏み切った。善枝の父栄作は最近選挙で区長に選ばれ、この選挙をめぐって近所や地区の一部の人との間に感情的なものがあったという。善枝は模範生で、スポーツ好きと言われていたが、県警は中田一家の交際関係にも捜査の手を伸ばしている。2日夜埼玉県警と狭山署の刑事40人が動員された。犯人が車で行くと脅迫文に書いてよこしたことや誘拐という犯罪の特殊性などから、車で乗り付けるに違いないとの見方がされた。40人は指定場所の周辺600m平方の範囲内の車が通れる道路十数か所に張り込んだ。しかし犯人は張り込んだ道は通らず、付近の茶畑にある農道に沿い現場に現れた。深夜の捜査に投光機も用意せず、犯人の人相や着衣の特長さえつかめなかった。
 5・4 毎日  1日夕方、狭山市で高校一年の女生徒が誘拐され「3日午前零時に現金20万円を茶畑に持って来い」と脅迫文が被害者宅に投げ込まれた。狭山署員が指定場所に張り込んだが、犯人は金を受け取らず暗闇にまぎれて逃げた。3日朝から県警本部の応援で茶畑と付近一帯の山狩りを行っているが、女子高校生は行方不明で安否が気遣われている。善枝が帰宅しないので長兄が迎えに行ったところ、午後三時過ぎ自転車で学校を出ていることがわかった。長兄が帰宅してみると茶の間の障子の隙間に茶色の封筒がはさんであった。中には大学ノートを破いて青いボールペンで「子どもの命が欲しかったら2日夜12時、現金20万円を“さのや”の門まで持って来い。友達が車で行くから渡せ。一分でも遅れたら命がないと思え。警察には絶対話すな。子どもの命はないと思え。西武園の池の中に死んでいるから行ってみろ。金を無事に受け取ったら一時間後に車で子どもを返す」と書いた脅迫状と学校の身分証明書が入っていた。すぐ警察に届けようと納屋にトラックを出しに行ったところ、善枝が乗っていた婦人用自転車が車の陰に立てかけてあった。
 8時頃狭山署に届け出た。同署は念のため1日午後10時過ぎから指定場所の「佐野屋」付近一帯に張り込みを行ったが、犯人は現れなかった。2日朝から善枝の足取りと被害私宅出入りの関係などを調べ、同日午後10時から再び指定場所に同署員五十人が張りこみ、次女が同11時40分現金二十万円入りの紙包みを持参して佐野屋の角で待っていた。3日午前零時頃佐野屋から約40m離れた道路の暗闇に男が現れ「近くに来い」と次女を呼んだ。「男のあんたがこっちへこい」と言ったところ、男は「後ろに誰かいるんだろ」と言い、約十分くらい押し問答を繰り返した。そのうち次女が懐中電灯で照らした所、男は危険を感じたのか、道路わきの茶畑の中に逃げ込んだ。現場に張り込んだ署員は警笛を鳴らして追跡したが、茶畑の茂みと暗がりのため見失った。「西武園」一帯の張り込みを行ったが、異常はなかった。
 5・4 毎日  3日地元消防団の協力で、約120人で付近一帯の山狩りを行った。次女と犯人の押し問答の状況、足取りなど検討した結果、犯人の声になまりなく、標準語、年齢30〜40才くらいの男。被害者と顔見知り、土地の事情に詳しいと推定。4日は善枝通学路の地取り捜査を行う。山狩りで善枝自転車についていたのではないかと思われるゴムひも、布地の切れ端を見つけたが善枝のものと確認できなかった。「佐野屋」付近は茶畑や麦畑で民家もまばら、夜は人通りも少なく、街灯もない。善枝は1.55m 小太りで丸顔、中学時代はスポーツ万能で成績もよかった。
 犯人を逃がした捜査当局の体制は、2日夜ベテラン刑事が50人、二人一組で佐野屋付近を遠巻きに張り込んでいた。犯人は車またはオートバイで来ると判断していたが、犯人は歩いてくるとは全然計算に入れてなかった。犯人は茶畑の陰から現れたが、姿はぜんぜん見えず、近寄せて捕まえようとしたが、暗闇で距離感がないためチャンスを逃した。犯人の姿を見ることも出来なかった。
 5・4 読売  茶畑で家人と問答10分狭山署3日午後から市役所堀兼支所に営利誘拐事件特別捜査本部を設け、公開捜査に踏み切った。中田善枝午後2時半頃自転車で下校。同7時半頃同家玄関のガラス戸に茶封筒入りの脅迫状が差し込まれた。封筒の中に、善枝の学生証、大学ノートの一枚に幼稚な字で書かれてあった。2日夜二女が新聞紙を切った束を持ち指定場所の300m近いところから歩いて佐野屋近くに行った。捜査員40人が張り込んでいた。捜査員は4つの班に別れ現場一帯の道を遮断したはず。犯人は暗闇の茶畑の奥深く逃げた。落ち着いてさびのある声。言葉から土地の者。善枝が乗っていた自転車が納屋に帰されていた。自転車に着いたであろう指紋検出が急がれている。佐野屋の看板もなく同店を知っている土地の事情に極めて明るい者。16歳の少女を自転車も傷つけずに連れ去れる善枝と顔見知り。脅迫状に書き直し(4/28→5/1)があり、計画的。
 捜査本部は3日朝から消防団員50人県警機動隊25人動員し、善枝帰宅道筋を中心に捜索。県道から1km入った山林の中で自転車のゴムひもを発見。(家族の話:善枝のものかどうかわからない)その100m上で焚き火の跡、チューインガムの食べくずを見つけた。善枝:身長:155cm。小太り。丸顔。色白で体格よし。髪はショートカット。服装はセーラー型:紺色学生服。黒い皮の短靴。白いソックス。茶色の学生かばん。 中県警刑事部長談「犯人は県道を来るものと想定していたが、畠ずたいに来て姉に近づかなかった。虚をつかれた。捜査員に土地勘がなかった」4日捜査は100人の捜査員を投入。消防団も全市から100人を動員し捜査を拡げ付近に多いいサツマイモ穴や山林をしらみつぶしに捜査を行う。宮地警察庁長刑事局長談:「営利誘拐で捜査の吉展ちゃん事件と同じ性質と思えない節がある。」[地図]:誘拐現場(?)薬研坂                                    
 5・4 産経 〈1面〉女高生、誘かいされる埼玉県狭山市 (佐野屋付近:善枝顔写真:大宮-八王子含む地図)
 脅迫状指定の場所でまた犯人逃がす警官隊、包囲しながら
吉展ちゃん事件が解決していないとき、今度は埼玉県で女子高校生の誘拐事件が発生した。犯人は「こどものいのちがおしかったら、二十万円もってこい」という脅迫状を女子高校生の自宅に投げ込んだので、警官隊が指定の場所に待ち伏せたが、吉展ちゃん事件と同じように警官の手違いから犯人を取り逃がしてしまった。埼玉県警は営利誘拐事件として捜査を始めたが、犯人は女子高校生と顔見知りではないかと見ている。
 埼玉県狭山市上赤坂、上赤坂地区区長、農業、中田栄作さんの四女善枝さん=県立川越高校入間川分校一年生=が一日午後三時三十分頃、同校から自転車に載って帰宅途中、行方不明になった。中田さん方では夕方になっても善枝さんが帰ってこないので、兄の健治さんが心配して学校に捜しに行ったが見つからなかった。
 同級生の新井良江さんの話によると善枝さんは一日放課後「オリンピックの郵便切手を買って帰りたいし、きょうは私の誕生日で、家で赤飯を炊いて待っているから・・・」といっていつもより急いで帰宅したという。家中で近所など問い合わせたが、善枝さんが帰宅する姿を見たものはなかった。ところが同七時三十分頃、同家の玄関の戸の間に白封筒が差し込まれているのを家人が見つけた。封筒の中には善枝さんの身分証明証と「こどもの命がおしかったら2日よる十二時までに現金二十万円を女の人にもたせて佐野屋のかどに来い。こちらは友達に車で取に行かせる。一分でも遅くなったらこどもの命はないと思え。金を渡さなければ西武園の池の中に死んでいるから見ろ。金を渡せば一時間後に、その車でこどもを返す。警察には絶対いってはいけない」とワラ半紙一枚にボールペンで書いた脅迫状が入っていた。また同家の納屋には善枝さんの自転車がいつの間にか返されてあった。

中田さん宅では同八時頃狭山署に届け出た。埼玉県警は営利誘拐事件と見て同署に捜査本部を置き極秘のうちに捜査に乗り出した。善枝さんの姉、登美恵さんは犯人が指定したとおり、三日午前零時、二十万円の紙包みを持ち佐野屋の角に立っていると、同零時十五分頃登美恵さんの所から約
40m離れた茶畑の中から男の声が呼びかけてきた。登美恵さんは男を自分の位置まで引っ張り出そうと押し問答したが、十数分後、男は「帰る」と言い出した。
 このとき現場は約四十人の警官隊が包囲していたが、ひとりの警官が手違いで笛を吹いてしまったため、警官隊が一斉にライトをつけて飛び出し、その間に犯人は暗闇の中に逃走した。このため捜査本部は三日午前九時から警察犬二頭を使い、地元の消防団員七十人の協力を求め、付近の山狩りを行った。同日午後二時からも地元の人たちを加え総勢百二十人で付近の林や畑の中を捜索したが、手掛かりになるようなものは見つからなかった。

捜査本部ではゝ氾犬舛磴鵑両豺腓醗磴ぁ高校生の善枝さんが簡単にだまされて連れ去られるとは考えられない∩瓜泙気鵑亮転車が自宅納屋に返されているーなどから顔見知りの犯行ではないかと見て捜査している。
  学校から善枝さんの自宅までは約6km。途中には林や畑ばかりの寂しい所が多い。当日は雨が降っていたので、人通りはほとんどなかった。犯人が金を受け取る場所として指定した佐野屋は自宅との中間にあり、川越ー入間川を結ぶ県道に面している。
  農繁期にはよく農業の手伝いもし、近所の人たちから「善しちゃん」と親しまれていた。
 善枝さんは身長
155cm、ショートカット、色白で小太りの丸顔。誘拐された当時は紺色のセーラー服、黒皮短靴白色の靴下を履いていた。

善枝さんの家族は父と兄二人、姉一人弟一人の六人暮らし。栄作さんはこの地区の区長をつとめる部落の有力者。近所の人や友人の話によると、善枝さんは学校の友だちづきあいもよく、成績も常に上位。川越高校入間川分校に入学する前の堀兼中学三年当時、生徒会の副会長も勤め、スポーツならなんでもこなすという明るい性格の持ち主。中学時代はソフトボール部のキャプテンで、しっかりしており、甘言や誘惑に簡単に乗るような性格ではないという。

犯人はこんな男
 捜査本部はこれまでの捜査で、犯人を“こんな男”と見ている。投げ込まれた脅迫状は小さい字で横書きにされているが、善枝さんの父親、中田栄作さんを「中田江さく」とし、警察を「刑札」と書くなど誤字が多く、教養のないのが第一の特徴。
 また、登美恵さんに呼びかけた声からみて二十歳以上にみえ、現場に残された犯人らしい靴跡から、土建業、農業などに従事している疑いが濃い。服装に関しては「白っぽい服を着ていた」と言う登美恵さんの証言しかないが、現金の受け渡し場所として指定した佐野屋には看板はかけてなく、従って、犯人は佐野屋を知っている土地の事情に詳しいものと推定される。
 脅迫文では共犯を匂わせているが、内容を分析していくと単独犯の見方が強く、また「四月二十八日夜十二時」といったん書いてそれを消し、あらためて「五月二日夜十二時」とし、封筒は何日間かポケットに入れていたらしく、角が磨り減っていいるーなどから、誘拐時期を狙った計画的な犯行とみられている。
(関連記事:悲しむべき連鎖反応-日本は刑罰が軽すぎる)
 5・4 産経 13面〉なぜ犯人に逃げられた?埼玉の女高生誘かい事件 包囲網に大穴道路だけ警戒計画にくるいあわてる
吉展ちゃん事件の警視庁捜査陣が犯人逮捕に失敗、世論の批判をうけているとき、またも埼玉県警は「善枝さん誘かい事件」で捜査のミスから犯人逮捕のドタン場で絶好のチャンスをのがすという失態を演じた。埼玉県警、中勲刑事部長も「吉展ちゃん事件の反省も取り入れて万全を期した。しかし犯人を逮捕できなかったことは、なんといわれても仕方がない」と失敗を認めている。事実ゞ發鮗け渡す現場の地形などの状況をじゅうぶんにつかんでいない∩楮佐韻急変する状況の応じた行動をとらなかった――など吉展ちゃん事件と全く同じミスをくりかえしてしまった。この失敗の原因メスを入れてみた。[「犯人と張り込み掲示の位置の図」と登美江さんが、犯人と押し問答中、犯人が逃げ腰になったので△侶沙が懐中電灯で合図の刑事がこれをみて笛を鳴らし、0奮阿侶沙は全部に集まった。その間に犯人は茶畑に消えた。[の説明]]
脅迫状が届けられ、次点者や身分証明書が送り返されたことからこの事件はスタートから営利誘かい事件という見方が強かった。したがって、犯人逮捕の最大のチャンスは、脅迫状の指定どおり、佐野屋へ二十万円を持って行く「二日よる十二時」だった。脅迫文ごほうりこまれてから二十八時間の余裕がある。この点、吉展ちゃん事件の場合の犯人が電話をかけてから六、七分とはだいぶちがう。だから、警察はじゅうぶんすぎるほど計画がたてられた。
 捜査当局は犯人が「二日午前零時と間違ったのではないか」と“気をきかせ”て二日午前零時にも約二十人の警官を佐野屋の周辺に張りこませたほどだ。しかし、犯人は現れなかった。
 “本番”の三日午前零時、佐野屋の周辺には四十人の警官が配置された。佐野屋の正面、金包みを持って姉の登美江さん(23)が立つ地点を中心に、同店の西側のものかげにはベテラン刑事二人、東側のかげにも刑事二人、佐野屋前の道をへだてた北側の茶畑のなかには四人と計八人が佐野屋を包囲、さらに三十二人の警官がそれを遠まきにした。しかも現場につうじるすべての道路にも警戒網がしかれた。警官が配置についたのは指定時間の二時間前の午後十時。しかし、刑事の目は道路ににだけ向けられていた。犯人が道路からやってくる、というとんでもない“過信”がうかがえる配置である。ところが犯人は茶畑から現れたのだ。
 吉展ちゃん事件のときも捜査陣は、犯人が指定した品川自動車販売会社の「横丁」にある自動車を「正面玄関前」の自動車と早合点して張りこんだ。しかもこのとき、犯人の声は全部、テープに録音してあったのだから、出発前にテープをききなおせばこんな間違いはなかった。二重のミスをおかしたのだ。
 5・4 産経 しかし、こんどのばあい、登美恵さんと捜査当局はじゅうぶん打ち合わせがしてあり、登美江さんは犯人と十分間も押し問答をつづけた。犯人が道路にでてこないで茶畑の電柱のかげから「おい、カネを持ってきたか、警察にとどけたろう」と声をかけ、これに登美恵さんは「わたし以外にだれもいないからこちらにきてよ」といくどかよびかけたほど。捜査陣の作戦どおりに道路まで誘導しようと努力した。
 この問答のあと犯人はもときた畑をすこしずつあとずさりはじめたが、この間、佐野屋の東側に張りこんだ二人の刑事は、いけがき越しに十数メートル離れた犯人の姿をおぼろげながら目撃していた。だが、やったことといえば、筋書きとおりにことがはこぶのを待っていただけで、犯人が逃げてはじめて、あわてて犯人発見の○○○である懐中電灯を点灯させた。これをうけて道路越しに待機の刑事が逮捕の呼び笛をならしたからたまらない。犯人の姿をみていない他の張りこみ刑事たちは、犯人がつかまったものと思って呼び笛に向かって突っこんだため、犯人は警戒網のしいてない、もときた畑を逃げきってしまった。
 吉展ちゃん事件でも、身代金五十万円を持ってゆく母、○子さんの小型トラックの荷台に一人の刑事が毛布をかぶって乗っていったのに、○子さんが金をおくところも確認しないし、現場で荷台からおりて張り込み体制にはいろうともしなかった。
 こうしてみると、捜査陣はいずれのばあいも、自分たちの考えた筋書きどうおりに行動しており、犯人が予想外の行動をとったときには、それにともなった動きがとれていないことがわかる。
 また、脅迫状がきてから犯人逮捕の“筋書き”のほうはねったものの、善枝さんを捜すという努力が欠けていたようだ。善枝さんが連れさられ、自転車だけがいつのまにかかえってきたという“ナゾ”があるのに、二十八時間のあいだ誘かい現場付近の積極的な聞きこみをしていなかったという。
 5・4 産経  このことについて上田明埼玉県警本部長は「一部には、狂言との見方もあり、はっきりしなかったので…」といっている。
 吉展ちゃん入谷町公園からいなくなったときも、警察は最初迷い子と判断していた。
 宮地道邦検察庁刑事局長の話
「地形、時間的不利から警戒配置がむずかしかったことが、犯人をにがす原因になったようだ。誘かい事件のばい、被害者の生命保護が一番たいせつだから、犯人逮捕については警察としてもやりにくい点が多い。吉展ちゃん事件いらい誘かい事件が続発する傾向がみられるので、その事件防止と、事件が発生したばあいの捜査体制に手ぬかりがないよう保安局長と連名で全国の警察に通達したばかりだったが…」
 5・4 産経 ただ無事を願ってかなしみにしずむ中田さんあにおそろしそう
 
善枝さんが誘かいされた中田さん宅はかなしみにとざされてか、かたく戸を締めだれにもあいたくないといった表情。父親の栄作さんは心配のあまり寝込んでしまった。報道陣には長男の健治さんが代表で応対したが「うちでは他人のうらみをうけるおぼえはないのに…」と暗い表情。「善枝はまじめで、授業が終わるとすぐ帰ってきたし、ボーイフレンドもいない。なぜ誘かいされたのだろう。楽しい誕生日のお料理をじぶんでつくるとはりきっていてたのに――」とうなだれていた。「警察のミスで犯人をにがしたが、懸命に捜査してくれているので、決して責めない」といい、妹が無事帰ってくることだけを願っているようすだった。そこへ善枝さんの中学校時代の担任教師をしていた相沢先生、旧友の増田君らがかけつけたが、残された善枝さんの自転車を前にみんなことばもなくうなだれてしまった。
 姉の登美恵さんは、直接犯人と問答していただけに、いまだにおそろしそう。「しわがれ声で、“警察にしらせたな”とすごまれときには生きたココチガしなかった」と語り「妹が元気な顔で帰ってくるのを祈るばかりです。帰ってきたら誕生日祝のやりなおしをしてやります。善枝ちゃん、なんとかして帰っておいで……」と泣きくずれそうに訴えていた。
 5・4

(夕)

朝日
 誘拐されていたと言う中田善枝が4日朝10時50分頃、入間川駅から南へ5,6分の麦畑の農道に死体となって埋められているのを発見された。捜査本部は死体や現場の状況から犯人は暴行殺害した後で金を騙し取ろうとした事件と見て、午後「暴行殺人に営利誘拐の含みを持った恐喝未遂事件に切り替えた」と発表。
 朝10時から機動隊、狭山市消防団など約200人を動員自転車ゴム紐を発見した現場を中心に山狩りを行った。麦畑の間にある1m50の農道で約1mほどのところから死体があるのを発見。発見したのは消防団の山崎氏と橋本氏。土を新しく掘り返した跡があるので棒を突っ込んでみたところ、穴の中心部に何か硬いものが当たるので掘り返したところ、通学用の紺色のセーラー服の袖と下着が見えた。体の特徴や衣類の特徴から善枝と確認、行方不明当時の服装のままで、手と足を荒縄で縛られ、その上から紺色のカーテンかシート地のような布で包まれていた。死体はうつぶせに埋められていた。
 そこから約20m離れた麦畑の中に白地に「寿」の赤文字を入れた風呂敷を発見したが、これは鉢巻をするようにがっちり縛ったあとがあることから「これで絞め殺したもの」と捜査本部は見ている。その風呂敷は善枝のものだった。死後3日を経たものと見られ、殺害の犯行時間は去る1日午後3時から4時までと見ており、その後死体発見現場に埋めたと見ている。(死体発掘現場の写真)
 5・4

(夕)

朝日   本部は4日朝から前日の40人の捜査員に加えて新たに60人の私服警官を動員、通学路と自宅を結ぶ線を中心に徹底的な聞き込みを行った。午前10時過ぎ、犯人のものと思われる十文半ぐらいの地下足袋の足跡が薬研坂地内の山道の脇で見つかった。(佐野屋横の茶畑の中に残した足跡の写真)身代金取引の際家族と交わした言葉に土地の訛りがあることから、同市内に住むものの犯行と見ている。犯人は単独犯化複数犯か、どちらとも断定しかねている。一日の午後3時過ぎから脅迫状を発見した7時までの間に、犯人は身分証明書と通学用自転車を届けるため、中田家に足を運んでいるので、なぞの四時間に聞き込みの重点を置き、目撃者の発見に努めている。
 5・4

(夕)

朝日   中刑事部長は死体発見現場で「死体の状況と、今までの捜査結果から事件は暴行容疑のある殺人事件に切り替えた」と発表。死体は両腕をハンカチ様の白い布で後ろ手に縛られ、口に猿轡らしいものをされ、その上から新しい荒縄(太さ1.5cm)で足のほうから頭に掛けて幾重にもからげられていた。学生服の上布は着たまま、靴も履いていたが、スカートは体からとられていた。持っていたはずの鞄はまだ発見されていないが、布のようなものが首にまきつけてあり、本部としては絞殺されたものと見ている。死体発見現場の土地所有者は、去る2日午前9時頃不自然な土の盛り方が農道にしてあるのを見つけたことがわかった。犯人は2日朝までに善枝を殺していたものと見られる。3日午前零時過ぎ身代金を要求してきたのは、善枝の生命と引き換えに身代金をとろうとしたのでなく、殺した後脅迫、金を取ろうとしたものと思われる。尚、殺害現場は自転車のゴムひもが見つかった雑木林ではないかと思う。と県警中刑事部長は話した。上田県警本部長談:はっきり断定は出来ないが、善枝の持っていた風呂敷が見つかったが、恐らくこの風呂敷で絞めたのではないかと思う。犯人は必ず土地のものだという確信を持った。(犯人からの脅迫状として、写真が載っている)
 5・4

(夕)

毎日
善枝さん自宅から4kmの麦畑で死体となって発見。絞殺と断定。凶行後に脅迫文?被害者方の事情や地理にくわしい者。犯人は一日夕刻学校帰りの善枝さんを付近の山林で絞め殺し、その後で身代金要求の脅迫状を投げ込んだと捜査本部では見ている。4日も朝から消防団、機動隊など120余人で、通学コースに沿う山林二平方キロの広範囲の山狩りを行った。午前10時35分頃消防の広沢さんが、農道の真ん中がシロっぽく、ひび割れしているのを怪しんで掘り起こした所、痕のセーラーのままうつぶせ、首には白いハンカチのような布で巻かれ、手も後ろ手に同じ布で縛られ、方から足にかけ荒縄でぐるぐる巻きにされるという残忍な殺され方で見つかった。掘ってあった穴は深さ約50cm直径約1mの円形。この穴から10m離れた芋穴から善枝が持っていたビニールの風呂敷が見つかり、風呂敷かハンカチで絞め殺されたものと断定した。犯人は殺し埋めたのは一日夜ではないかと見ている。捜査本部は中田さん肩の事情や、地理に詳しいことからごく限られた範囲の男と見て一日から三日までの行動を中心に調べている。脅迫状の特徴ある文字を中心に調べている。[脅迫状の写真]
 5・4

(夕)

読売
 善枝死体で発見。殺した後に身代金要求思いついたとしている。複数の犯行も。中刑事部長談:「殺されたのは、自転車のゴムひも(善枝のものと断定)の発見された山林。この場所で乱暴され殺された。殺害時刻は1日午後5時半から7時半の間とみられる。この第一現場から死体が埋められていた場所まで1kmあるが、死体はつま先から肩付近まで新しい荒縄がぐるぐる縛られ運びやすくしたものと思う。死体は両手を後ろ手にハンカチで縛られていて、複数の犯行も一応考えられる。犯行目的は乱暴または強盗で誘拐は殺してから脅迫状を届けているため脅し未遂で捜査」。
 4日午前8半から通学路周辺の山林を中心に山狩り。10時半頃山から畠に捜索は移動。消防団員の広沢さんが農道が盛り上がり、赤黒く軟らかい土地に棒切れをつついたところ死体を発見。大野(19)「3日の夕方、犬を連れて散歩に出かけたとき現場の農道を通り盛り上がった土を見た」。伊藤(23)「同日午後1時頃、近所の子供を連れて散歩中新しい盛り上がっているのを見て不気味な感じがした」1日午後から2日朝にかけ雨が降っているので、1日夕方死体発見現場近くで善枝を殺し、同日夜埋めたとみている。死体発見現場を中心に地どり聞き込み、犯行推定時間の一日夜の目撃者の発見に努めたが手がかり無い。“20万円よこせ”という金額からも中田家をよく知っているものと見られる。これを知っているものはそんなに広い範囲でない。脅迫状は左手で書いたとか作為のあとが全く無いのに、字が不ぞろい間違いだらけ、当て字も多く「警察」を「刑札」、「来ない」を「気ない」と書き「き(来)ない」という表現文章もでたらめ。学校にもほとんどいってないと見られる。佐野屋の脇の茶畑から犯人の足跡を発見した。
 5・4

(夕)

産経 〈一面〉善枝さんは殺されていたムギ畑に埋められて埼玉県狭山市殺してから脅迫状[狭山市入間川のムギ畑で死体を発掘する捜査員=本社ヘリコプターで4日午後1時10分写す(写真)殺された中田善枝さん(写真)]
 一日午後、学校から帰宅途中誘かいされ生死が気づかわれていた埼玉県狭山市上赤坂、上赤坂区長、農業、中田栄作さん(57)の四女善枝さん(18)=県立川越高校入間川分校一年=は四日午前十時四十分、死体となってうめられているのを発見された。――狭山署捜査本部は同日午前九時すぎから、前日に引きつづき入間川分校――自宅の通学コースを中心に埼玉県警機動隊、地元消防団員で捜査隊を編成、山狩りをしていたとこと、同市入間川字東田地内のムギ畑のの農道に穴をうめたような跡があるのを消防団員がみつけた。ただちに同本部で掘り返したところ、女子高校生の右腕がでてきたので、善枝さんの兄、健治さん(28)に見せたところ、死体が善枝さんであることを確認した。
 殺害現場は1キロ離れる善枝さんの死体は80造阿蕕い凌爾気坊,蕕譴新蠅涼罎法⇔昭蠅鬚Δ靴蹐砲靴个蕕譴燭Δ─太さ1.5造阿蕕い旅ナワで両足から上半身までグルグルまきにしばられ、うつ向けになっていた。首にはヒモでしめた跡があり、下着がなく、また身につけていた国産時計もなくなっていた。現場から約二○辰呂覆譴診斉擦砲蓮∩瓜泙気鵑離咼法璽襪佞蹐靴が落ちていた。死亡推定時間については‘麁午前九時すぎ現場の畑の持ち主、○○○○さん=同市○○=が現場を通ったさい土が掘り返された跡があるのを見ている一日よる降った雨で、掘り返された地面にき裂が出来ている――などから、本部では「一日午後三時三十分ごろ、学校を自転車に乗って出てまもなく犯人に誘かいされ、乱暴されたうえ殺された。そのご、犯人は身分証明書から善枝さんの家を知り、脅迫状を書いて自宅に届け、二十万円を奪おうとした」ものとみて、これまでの誘かいの捜査に強盗、婦女暴行殺人事件の捜査をくわえ犯人追及に乗りだした。
 さらに本部では、三日同市薬研坂の山道で発見されたゴムヒモが、死体のみつかった現場と一本道で約1000辰涼賄世砲△襪海箸ら、このゴムヒモは善枝さんの自転車の荷台のものと推認した。また死体が発見された現場があまり荒らされていないので、ゴムヒモの発見場所で殺害、死体を運んだのではないかとみて、まだみつかっていないカバンなどを捜している。本部はまた、犯人が「佐野屋」のそばに現れたとき、一人で行動しているところから、地元の不良、あるいは変質者の“単独犯行”とみている。
 なお、現場は入間川駅の南600辰如∩瓜泙気鵑通学する県道から約200辰呂い辰織爛畑の農道、三日午前零時に犯人がカネを受け取る場所に指定した「佐野屋」の西北1.5キロの地点。周囲は山林やムギ畑、桑畑があり、間道が迷路のように入り組んでいる。
誘かいの報告きく 参院、八日の本会議で 参院は四日午前の議運理事会で、八日本会議をひらき、吉展ちゃん事件と埼玉県狭山の女子高校生誘かい、殺人事件について、篠田弘作国家公安委員長から報告をもとめることを決めた。
 5・4

(夕)

産経 捜査体制の強化へ誘かい続発に対処六日に臨時公安委
 女高生誘かい事件を重視して、国家公安委員会は六日に臨時の委員会をひらき、誘かい事件続発の防止対策と第一線警察の捜査体制強化について協議することになった。
 篠田弘作国家公安委員長は、臨時委員会の召集決定と同時に、警察庁にたいしては全国の都道府県本部長会議をひらいて、刑事警察の運営について検討を加えるよう指示した。
篠田委員長の話「なんといっても捜査の方法が幼稚だったという非難をまぬかれまい。凶悪事件の犯行の手口が非常に○能化してきているのに、刑事の科学的教育が未熟だという印象が強い。小暴力問題、交通取締りなどに人員がさかれている○あるが、刑事事件にたいする警察の力のいれかたは、このさい再検討しなければならない。警察幹部に刑事警察のベテランを配置する必要もあると思う。」
経過を慎重に検討宮地○邦警察庁刑事局長の話「善枝さん誘かい事件は、犯人を逃走させ、被害者が殺され、申し訳ないというよりほかはない。誘かい事件の捜査方法に根本的な欠陥があるとは思わないが、吉展ちゃん事件とあわせて捜査経過をこのさい、慎重に検討しなければなるまい。さしあたり、先に保安局長と連名で全国の警察に発した誘かい事件の連発を未然に防ぎ捜査体制に手むかりのないようという趣旨の通達の徹底をはかる」
[死体発見現場を中心とした入間川駅、中田栄作さん宅を含む略図]事件の経過
▽一日午後三時二十分ごろ、善枝さんは埼玉県立川越入間川分校から帰宅するため、自転車に乗って同校を出た。▽同日夕方、善枝さんが帰ってこないのを心配した兄の健治さん(二十八)が学校にさがしに行ったが、みつからなかった。▽同日午後七時三十分ごろ、犯人からの封筒が玄関の戸のあいだにはさまれているのを家人が発見。「こどもの命がおしかったら、二日よる十二時までに現金二十万円を佐野屋=同市堀兼七九三=にもってこい」とあった。そのころ、納屋にも、善枝さんの自転車が返されているのを発見。▽同夜八時ごろ、家人が狭山署に届け、狭山県警は同署に捜査本部をもうけ営利誘かい事件として極秘で捜査開始。▽二日午前零時、念のため警官隊が佐野屋一帯を警戒。▽三日午前零時の約束時間、善枝さんの姉、登美恵さん(二三)が紙包みを持って指定場所にでかけた。零時十五分ごろ犯人が現れ十数分の押し問答のあと犯人は逃走。約四十人の警官隊が追ったがとり逃がす。▽同本部は三日よる、公開捜査にふみきるとともに、ひきつづき四日も地元民と協力して付近の山狩りを始める。▽四日も山狩りをつづけ、午前十時四十分、佐野屋から約二僧イ譴身の中で、地下に埋められていた善枝さんの死体を発見した。また捜査本部は脅迫文の筆跡、足跡の鑑定、指紋検出を行った。
 5・4

(夕)

産経    識者は訴える早く社会に安心感を 誘かいされた中田善枝さんは、ついに生きてかえらなかった。極悪非道――まことに、憎むべき犯罪である。「一刻も早く犯人をつかまえてほしい。情状を酌量する余地はまったくない」−国民の声は、強いいきどおりをもって犯人に向けられている。しかる前に激励東宮○参与、小泉信三氏の話「ひどいことをする。腹がたってしかたがない。捜査のミスがあったということだが、警察をしかる前に、激励して、ふたたびこのような犯罪がおこらないようにしなくてはいけない。悪漢にたいして、お世辞をいわなくてはならないということは、ほんとうに情けない。警察がプライバシーに深く立ちいるのはよくないが、こう同じような事件がつづけておこるのなら、警察に事情をよく知ってもらうためにも、法律を改正しなくてはいけないのではないか」気のゆるみが作家、今日出海氏の話「十六歳にもなった女性をどうして、誘かいなんかされたんだろう。被害者にも常識的な判断が欠けていたのではなかろうか。警察もだらしがない。いつも、国民の協力を求め、あげくのはてにミスをやっている。すこし気持ちがゆるんでいるのではないか。犯人を早くつかまえて、子を持つ親たちに、少しでも安心感を与えてほしい。そして、犯人には極刑を科して、みせしめなくてはいけない」死刑にしても作家、平林たい子さんの話「死体となって発見されたとなれば、家族の気持ちがどんなにつらいか・・・・。こんな“極悪非道”の犯人はつかまえたら、死刑にしてもらいたい。ともかく誘かいにたいする刑が軽すぎる。アメリカのように重罪にして“非常に悪い犯罪なのだ”という○○をもっと一般に強めてほしい」もっとも卑劣作家、芝木好子さんの話「ひどいことです。なんていうことをする犯人でしょう。犯罪のなかで、誘かい犯は、いちばん卑劣で、しかもつまらない犯罪だと思います。犯人がどんな男か知らないが、こういった犯罪を犯すからには、性格異常者なんでしょう。親たちはこどもが被害者にならないよう、じゅうぶんに注意しなくてはいけないけれど、それとともに、こうした犯罪をなくすために、家庭教育をあらためて考えなくてはいけないと思います」学校で注意を東京母の会連合会理事長、吉川政枝さんの話「いったい犯人はどういう気持ちなのでしょうか。人の命が大切だということが、わからないのでしょうか。誘かい事件の犯人は、もっともにくむべきで、死刑にすべきです。警察にも、もっとしっかりしてもらわなければいけませんが、学校でも“知らない人に声をかけられ、あまいことをいわれても、けっしていっしょうについて行かないように”と先生からもこどもたちによく教育してほしいと思います。
柏村警察庁長官が辞表
 5・4

(夕)

産経
(四面)犯人はこんな男善枝さん誘かい殺人残虐性むきだし無教養で土地カンある男さび声、30-40歳くらい 善枝さんを殺した“憎むべき犯人はどんな男か”脅迫文の内容と、現在までのただ一人の目撃者と登美恵さんの証言や善枝さんを殺した残虐の手口から推定するとこうだ。
 脅迫文は、犯人の教育ていどが非常に低いことをあらわしている。(あるいは偽装とも考えられる)
 まず善枝さんの父親、栄作さんを「江さく」と書き「車でいく」を「車出いく」とか「警察」を「刑札」、「ぶじに帰ってこなかったら」を「ぶじにか江て気名かったら」、「近所の人」を「気んじょの人」というふうに誤字だらけだ。
 また「四月二十八日よる十二時」といったん書いてそれを消し、あらためて「五月2日の夜十二時」と書きなおしている点。封筒のかどがすり減って、なん日もポケットにいれていたらしいところから、計画的に誘かいを行ったともみられる。
 犯人と三日よる話をした登美恵さんの話によると犯人は「さびた声で三十――四十歳くらいの男で、白っぽい服装をしていた」という。
 現場に残された地下タビの跡から、農業か土建業に関係があるという疑いが濃く、現金のうけ渡し場所に、カンバンもかけていない“佐野屋”を指定してきているところから、かなり土地の事情にくわしいものであることが考えられる。
 脅迫文中の「西武園の池のなかに死んでいるからいってみろ」というようないいかたや、善枝さんを乱暴したうえ荒ナワでぐるぐるまきにしばりあげてヒモでしめ殺した手口、さらにその後すぐに脅迫状をつきつけるなど犯人は異常な残虐性の持ち主でありことはまちがいないようだ。
脅迫状の筆跡鑑定 
偽装か、誤字だらけの文章  埼玉県警鑑識課は四日、狭山署の女高生誘かい事件特捜本部から送られてきた犯人の脅迫状の筆跡鑑定を開始した。この脅迫状は大学ノートを破った紙にボールペンで横書きに書いてある。脅迫文全文(原文のまま) 「このかみにつつんでこい。子供の命がほちかたら五月2日の夜十二時に金二十万円女の人がもッてさのうやの門のところにいろ。友だちが車出いくからその人にわたせ。
時が一分でもをくれたら子供の命がないとおもい―。刑札には名知たら子供は死。もし車出いッた友だちが時間どおりぶじにぶじにか江て気名かッたら子供が西武園の池の中に死んでいるからそこ江いッてみろ。もし車でいッた友だちが時かんどおりぶじにかえッて気たら子供は1時かんごに車出ぶにじとどけるくりか江す刑札にはなすな 気んじょの人にもはなすな 子供死出死まう。もし金とりにいッてちがう人がいたらそのままかえってきてこどもはころしてやる」[「犯人が書いた脅迫の手紙」脅迫状の写真][「悲しみにくれる家族=中田さん宅」写真]
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(夕)

産経
戦後の主な誘かい殺人事件犯人すべて逮捕ほとんどが営利目的戦後主な誘かい殺人事件は七件おきており、このうち五件までが営利誘かい事件だった。犯人はすべて逮捕されている。
▽盛岡の誘かい事件=二十一年八月、盛岡市以下略
▽大治ちゃん誘かい事件=二十七年二月、宮城県以下略
▽保男ちゃん誘かい事件=三十年三月、葛飾区以下略
▽誘かいバラバラ事件=三十二年四月、中野区以下略
▽碧南市誘かい事件=三十二年十一月、愛知県碧南市以下略
▽西村郁恵さん事件=三十三年二月、福岡県田川市以下略
▽尾関雅樹ちゃん事件=三十五年五月、世田谷区以下略
◇なお三十七年十一月北海道静内郡で洋裁学院生(十九)が誘かいされ、十一日後には、絞殺死体でみつかった。
 身代金六十万円を要求する脅迫文が舞いこみ、筆跡から犯人は知り合いの者とわかったが、身代金要求は誘かいを偽装するためだった。愛情のもつれから、殺したもので、妻と自殺した。
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(夕)

産経
(五面)変わり果てた善枝さん泣きくずれる級友むごい現場に怒りの声[「担任に抱きかかえられ泣きじゃくりながら死体発見現場にかけつける級友=狭山市入間川」写真]掘りおこされた土の下から、まあたらしい白いエリがあらわれた。誘かいされたときの服装のまま、かたく手をにぎりしめた善枝さん。ショートカットの黒い髪に、土くれがからんでいた。“ぶじであってくれるように”――みんなの願いもむなしく、善枝さんは、にくむべき誘かい魔のために十六歳のいのちを終わっていた。どんなにつらかったことだろう。家族も、われわれも、この悲しみと怒りをどこへ向けたらいいのだろう。 ― 吉展(○○)ちゃんも、まだ見つからないというのに ― 。
 
「善枝さんが見つかった」 - この知らせが、善枝さんの行くえを気づかう川越高校入間川分校の教室にとどいたのは四時間目の授業がはじまったばかりのときだった。
 担任の宇賀見敏枝先生と、仲よしの同級生、新井良江、森田文江さんの三人がすぐに乗用車で現場にかけつけた。死体のうずめられた場所の前まできて、新井さんと森田さんは“ひどいわ”“こわい”とかすれた声で叫ぶと、地べたに抱き合って泣きくずれてしまった。その二人を宇賀見先生が、やさしくはげました。「かわいそうだけど、善枝さんか、どうかをハッキリたしかめなくては・・・・・」。
 しかし、三人が、変わりはてた善枝さんの姿をみることが出来なかった。「善枝さんかどうか、みてください」と、捜査本部の係官が、なんどもうながしたが、三人は、顔をおおったまま、泣きくずれるだけだった。
 このあさ、二岨擁にわたってはじめられた捜索のさい、幅二辰稜斉擦謀擇里笋錣蕕くなったところが見つかった。「おかしい」 -- そう直感した山本栄一郎狭山市消防団長(四四)ら十数人の団員が近くの農家の人からクワを借りてきて掘りはじめた。ひとふり、ふたふり・・・・・。およそ五分もたったろうか、太いナワ二本が土のあいだにのぞいた。とたんに死体の臭気がハナをうつ。いやな予感がはしった。
 さらにクワを二度、三度。女高生の制服が見え、腕の部分が出てきた。つづいて、白いエリ、あおざめた顔。「殺してしまったのか」「ひどい」口々にうめくような怒りの声がでた。
 この知らせに現場には、たちまちほかの消防団員や近くの人たち約二百人がかけつけた。現場を遠巻きにして「かわいい女学生だったのに」「むごたらしことを・・・・・」と、みんな怒りに体をふるわせる。その怒りが、すぐに善枝さんをここまで追いやった警察側の捜査のミスに向けられていく。「バカなことを、しやがって」。
 善枝さんのむざんな死体が土中から掘りおこされ、警察のトラックに乗せらるあいだ、人びとはせまいアゼ道の両側に立って見送った。
 両手を合わせ、念仏をとなえる老女、ハンカチを目にあてる若い女工さん。ひごろは小さな盗みの事件さえもない平和な狭山市なので、この凶悪な誘かい事件に町の人びとは驚きを通りこして、ただ、あぜんとするばかり。
 「近寄らないでください」という警官の声に、われをとりもどしたように「いまさらなにをいうか」とくってかかる農夫もいた。
ぼうぜんとする家族アルバムを抱きしめて死体発見から二十分たった午前十一時ごろ、善枝さんの自宅に近所の人がかけこんできた。「ヨシエちゃんが死体になってみつかったらしい」「エッ」兄の健治さん(ニ十八)が、顔色を変えて立ちあがった。そのまま、はきものをつっかけると、おもてへとびだした。健治さんは、ちょうど通りかかった報道陣の車を止めて現場へ向かった。
 車からころげるようにおりた健治さんは、善枝さんの級友が泣きくずれるわきをかけぬけた。土の中にナワでしばられた白エリ制服の女学生○○○がいはなかった。さきおとといまで、元気よく通学していた善枝さんの制服だった。「ヨシエ、ヨシエ」小さい声が口のなかでもれた。むざんな変わりはてた妹の姿。だまったまま健治さんは、警察官にうなずいた。
 ぼうぜんとした健治さんの姿だった。問いかける報道陣に、わずかにつぶやいた。「顔はよくみえなかった。でも、まちがいない」
 午後一時三十分すぎ、健治さんは、ひっそりと茶の間で待つ家族のもとへ帰ってきた。それまでみんな「うちの善枝じゃないよ」そう、いいあっていた。
 「善枝だった」健治さんのことばをきくと、家族はワッと泣きくずれた。姉の登美恵さん(二十三)は善枝さんのアルバムを抱きしめて、おえつにむせんだ。父親の栄作さん(五十七)は「そうか、そうか。だめだったか」とウツロな目で、放心したように、つぶやいていた。
 同一時五十分ごろ、善枝さんの遺体は、県警機動隊の小型トラックに乗せられて、自宅にもどってきた。タンかに乗せられ、そのうえに、キャンバスがかけられている。
 父親の栄作さんは奥でねこんだきりで、でてこない。野良着姿のままの兄の健治さんと、姉の登美恵さんが、うつむいたまま、善枝さんを迎えた。髪をふりみだした登美恵さんは涙をこらえきれず、両手で顔をおおい、声をあげて泣きくずれた。
 トラックから死体をおろす機動隊員も無言。みんなうつむいて、客間に善枝さんの遺体をそっとねかした。
 家族のひとたちは、だれも善枝さんの死に顔をみようとしない。あまりにも、突然おこった“悲劇”のショックのためだろう。
 みかねた親類のひとが、裏庭からツツジの花を一輪とってきて、善枝さんの枕もとにかざった。花の大好きな善枝さんだった・・・・
 5・4

(夕)

産経
せまい“捜査行動”慎重にすぎて 中田善枝さんは殺されていた。犯人逮捕より、まずぶじにとりもどさなければならなかったのに、捜査当局は決定的なミスをくりかえす結果となった。いったい、こんどの捜査はどう進められていたか。メスをいれてみよう。
【初動捜査】一日、善枝さんの誘かいの届けを受けた狭山署は、当初同署独自で処理しようとした。これは被害者が理解力のある十六歳であることから、いたずらではないかという見方もあったからだ。
 この二日夜の二日午前零時すぎ、犯人の指定した「佐野屋」(狭山市堀○○○○雑貨商)わきに犯人が姿をみせてから、同署では本格的な営利誘かいと断定、県警本部、隣接各署の警官の応援をえて、捜査にのりだすというスローモーぶりだった。
【誘かい捜査】犯人をつかまえるただ一回のチャンスだった三日午前零時の「佐野屋」の張り込みはどうだったのか。犯人の指定した時間に現場付近には、四十人の警官が張り込んだが、警官たちは犯人が車でくると思い込み、交差点など道路を中心に張りこんだ。犯人は現場に“十五分間”もいたのに、つかまえることができなかったのは技術的な面にもひとつくふうがなかったことがあげられる。
 つまり(1)当夜は数辰呂覆譴襪反佑隆蕕發澆┐覆いらいなのに、発炎筒、照明灯などの用意をしてこなかった(2)犯人が畑をつたってくるという点の事前の打ち合わせができておらず、完全に張り込みの盲点をつかれたなど、捜査に万全を期したといいがたい。
 捜査本部は捜査方法について慎重な態度をとったものの、どういうふうに慎重にやるかについて具体的な方法を指示してなかったようだ。したがって「佐野屋」周辺の警戒に重点をおきすぎ、かんじんの一日午後から二日あさにかけての地どり捜査が軽視された傾向がある。
 一日よる中田さんの届け出をうけて狭山署が十人の刑事を出したが、これが「佐野屋」周辺の調べに集中していたのもその例だ。
 さらに脅迫文に指定された日時、場所に期待をおき、ここで一気に犯人逮捕−事件解決をはかったとも考えられ四十人にのぼる警官の行動半径が佐野屋周辺道路に限定されていたうらみがある。
 5・5 朝日 (佐野屋から死体発見現場方面を見た航空写真)狭山署捜査本部は、容疑者は善枝と顔見知りの地元に住むものと見て捜査網を絞り、犯人のものと見られる十文半ぐらいの地下足袋の足跡、脅迫文の筆跡などを有力な手がかりとして犯人割り出しを急いでいる。4日午後7時から中田宅で行った死体解剖した結果、足にわずかな傷跡が認められる他は特別な外傷もなく抵抗の跡も全くなかった。顔見知りのものによる犯行と言う見方を更に深めた。
 5・5 朝日  本部は単独犯との見方をとっていたが、殺害現場と推定される場所から死体発見現場まで約1kmも離れている、死体には運ぶ途中の土砂が付いていない、などから単独犯と決めかねている。死因は手で首を絞めた上、更に麻紐で絞めた扼(ヤク)絞首による窒息死、死亡推定時刻は一日午後3時半頃で、胃には同日午後零時半頃学校で食べたライスカレーのほか何も検出されなかった。このことから善枝は午後3時頃校門を出て30分程のうちに殺されたことになる。死体は米俵などに使う荒縄でがんじがらめにしてあったように見えたが、慎重に検証したところ、死体を縛ってはおらず、長さ4mの荒縄がうつぶせの死体の上に丸めて乗せてあった。殺した場所から麦畑の中にこの縄を使って運んだのではないかという。篠田国家公安委員長談:“反佑賄效牢がある20万円を大金だと考える程度の生活C亮韻里△泙蟾發ない人。
 5・5 毎日  善枝が殺された事件について捜査本部は暴行殺人・強盗・死体遺棄事件として捜査することにした。
 4日午後県下から100人の捜査官の応援で現場を中心に聞き込み、地取捜査を行った。
 犯人は現場近くに住む面識者と見られ容疑者数人が浮かんでいる。死体解剖結果:食後3時間を経過。胃内容物はカレーライス。一日午前11時から午後12半までの料理の時間にカレーライスを食べている。学校を出たのが3時半なので下校間もなく殺された。左右大腿部に擦過傷があり、引きずられた跡がある。下着が乱れているので外部所見では乱暴された疑い。精密な検査をしなければ断定できない。荒縄で死体を縛ったと発表されたが、そのナワは死体の上に丸めて乗せてあり死体を運搬するときに使ったものと見られる。足は細引きで縛られていた。
 捜査本部の調べでは、一日昼頃善枝さんが犯人と出合ったと見られる薬研坂で35・6歳のジャンパー姿の男がうろついてたのを目撃したことや、現場近くで挙動不審の二人連れがいたことがわかった。遺体は四日午後7時から二時間中田宅物置で五十嵐技官の執刀で解剖された。その結果死因は絞殺。
 5・5 毎日  捜査本部が犯人を土地勘のある面識者と見ている点は、ゞ芝状の封筒の表書きには名前を消した跡があり、その宛名は現場近くに住む小学一年の女の子の名前が書かれ、それを消した跡があった。日付が4月28日を5月2日と書き改めてあったことから女の子の誘拐を計画したが失敗、改めて善枝が狙われた。解剖結果から善枝が抵抗した跡がほとんどない8従豢瓩に住む者なら穴を掘ったスコップや荒縄などを持ち出せる。ご波弔發覆ず缶邁阿鮖慊蠑貊蠅箸掘△修旅みな逃走ぶりからも土地の事情に詳しい。からである。営利誘拐の点については更に検討。
  中本部長談:現場の状況から見て犯行は単独か複数か今の段階で断定は難しい。
 捜査本部の調べでは、遺体は広い県道から200m離れた麦畑の農道で発見された。死体を隠すのに格好な雑木林や茶畑に埋めると草や麦が倒れて早期に発見される恐れがあるとみて農道を掘って死体を隠したらしい。農夫らが踏み固めてしまえば半永久的に死体は発見されないと睨んだと見られる。穴は、長さ160cm 幅50cm 深さ60cm 畑の所有者は「スコップだけではこれだけの穴を掘るのは難しい。腕っ節の強い男だろう」と語り、クワも用いたとも見られる。自転車を自宅に帰したことも、脅迫状を届けるのに利用した他、殺害場所をわからなくさせるための配慮と推定される。
 5・5 毎日  下校のさい記念切手を買うことになっていたが買った事実はなく、誕生日でもあるのでまっすぐ家に向かったと思われる。犯人とであった地点は、死体が発見された場所近くではなく、身代金の指定場所に方にそれた薬研坂の線が濃い。同坂は幅5m、数100mの長さで、雑木林に囲まれ街灯もなく昼でもさびしい道。ここで待ち伏せ、殺害、いったん林の中に隠し、脅迫状を届けた後舞い戻って林の小道伝いに死体を運び処理したのではないか。
 5・5 読売  善枝死体解剖。116人の刑事を動員。4日夜までに容疑者数人が浮かぶ。善枝自宅の近くの無職(34)アリバイに不審。身辺捜査、筆跡鑑定を科警研に依頼。地下足袋の跡、細引き紐の出所の捜索。脅迫状の宛名が書き直されている。→善枝以前に誘拐を計画していたことがわかった。
 5日も引き続き80人の刑事を6班に分けて捜索。無職(34)は、〆枷夙駘僂忘い辰討り、家計も苦しい。筆跡が脅迫状に似ている。(市役所への届出物)C浪実袋をよく使う。(足跡は地下足袋と断定)ぅ▲螢丱いはっきりしない。タ搬絛蘯け取りに指定した場所の地の利を得ている。Ψ沙の聞いた犯人の低い声(姉とのやり取り)が似ている。
 5・5 読売   竹内狭山署長談:「今の段階では有力が容疑者」ナワ、細引きはごくありふれたもの。地下足袋の文様も特に変わった点は無い。脅迫状の宛名「小時さん」は「正治」さんの当て字。堀兼の増田正治さんではないかと見られる。増田さん方は「佐野屋」から東側へ300mの入曽・川越街道沿いの北側。 増田さん方には、18,12,10,8歳の子供がいる。脅迫状は誤字だらけ、青いボールペンによる筆跡は同一人のもの、後から書きなおした部分は太い字になっている。封筒は数日間ポケットに入れて歩いていたらしく古ぼけ、擦り切れていた。善枝以前に計画があり、犯行時期は4月下旬だったと考えられる。自転車を返しているところから、被害者と面識があったという線は崩していない。が、偶然的犯行という見方もある。
 5・5 読売  埼玉県警本部は、4日午後7から死体解剖を行い、10時20分結果を発表した。死因は扼殺か絞殺かは断定できないが、窒息死。死亡推定時間は、食後3時間内外。善枝は1日午後過ぎ料理の時間でカレーライスを作って食べており、胃内容物はカレーライスだけだったので下校したのが、午後3時半だからその直後に殺されたと推定。死体は両手を被害者のハンカチで後ろ手に縛られ、両足首は細引きで結わえてあった。、外傷は両大腿部に犯人が殺す前に引きずったときにできたらしい軽い擦過傷のほか無く、はげしい抵抗のあとは見られない。下着が乱れていたので乱暴された疑いが強い。死体の上には長さ3mあまりの荒縄が置いてあった。これを犯人は死体の移動に使ったらしい。
 5・5 産経 <14面>捜査体制たて直し警察庁近く刑事課長会議吉展ちゃん事件、善枝さん殺し事件と連続した捜査当局の“張り込み”のミスを重視して、警察庁はちかく各管区警察局の刑事課長を集めて全国会議をひらき、第一線の捜査体制強化を協議することになった。善枝さん殺しの犯人検挙は時間の問題とみられるので、会議の期日は事件解決の直後にする方針。一線幹部らを再教育装備・機動力も検討警察庁はこの会議で、二つの事件の捜査経過をくわしく検討し(1)無線電話などの捜査用装備をじゅうぶんに利用し、捜査に機動性をもたせること(2)凶悪犯罪の手口が最近非常に巧妙化しているのに応じて、第一線の捜査幹部にたいし、犯行計画の分析や事件現場での状況判断について訓練を強化すること― などを指示する。
 ふたつの事件は、被害者の生命にかかわる営利誘かいという制約があるため、ふつうの凶悪犯人の追求とちがって、第一線の警官の活動もためらいがちになっていた。
 これが現場で犯人をつかまえそこねる共通の根本的な原因だった。
 事件がまだ捜査の過程にあることから、警察庁の幹部は第一線への批判をひかえているが、同庁捜査一課では、連続したミスについてつぎのような問題点をあげている。
 【捜査用の装備】四月七日の午前一時すぎに吉展ちゃん誘かい犯人が最後の電話をかけてきたとき、捜査本部専用の電話は村越さん方になかった。これでは六人の刑事が張りこんでいても犯人から電話があると同時に本部へ連絡して、広い範囲の警戒体制を手配する手段がない。臨時電話を引かなくとも、犯人からの電話を待機していた以上は、無線連絡の方法さえたてておけば、もっと手を打てたはずだった。
 二日の午前零時には、三十六人の刑事が善枝さん誘かいの犯人を捕まえようと張り込んだが、ひとりひとりがバラバラにやみのはかに立っていたかっこう。警察庁で使っている小型の携帯用無線受令器、無線送受器が全員にくばられていたら犯人の包囲や集団的な追跡もできたはずだ。また犯人追跡の合図にしても、デモ警備などで実際に使っているフライヤーや信号弾を利用したほうが効果的だったろう。
 ところが、闇の中の張り込みを承知のうえで、懐中電灯をもっていたのさえごく一部の刑事。合図は呼び子のフエというという江戸時代なみの古くささ。
 第一線では捜査用の装備はまだまだ不足しているが、凶悪事件捜査のベテランは、こうした装備を活用する意識が薄く、足にまかせて犯人を捜す根性に徹しているのが実情だ。
 覆面パトカーより一歩進んだ一般の運送用車両に偽装した捜査用自動車の配置、暗闇でも撮影できる赤外線カメラの利用などを警察庁では検討しているが、予算の関係で実現は容易でない。
 なによりも、凶悪犯罪の捜査については、警察庁のスタッフと第一線の刑事のあいだで、まだまだギャップが大きく、科学的な、機動的な捜査方法を求める意欲が高まっていないことが大きなガンだ。
 【第一線幹部の判断】吉展ちゃん事件のときは、いつ、どこを指定して、犯人の電話があるかも知れないという予測を立てながら、張りこんだ六人の刑事以外に緊急配置できる警官を待機させなかった。
 こんどは「自動車でゆく」という脅迫状につられて、犯人が茶畑にひそんでいる可能性を、それほど重視しなかった。筆跡からみて、犯人の知能ていどは低そうだが、犯行のズルサ、地形、時間の利用法については、どちらのばあいも、犯人が刑事を出し抜く結果になった。これは第一線で指揮にあたった幹部の判断の甘さからだ。
 誘かい事件のばあい、犯行の計画性を分析する手がかりはあるのだから、指揮官が二重、三重の“読み”をしたうえで、手ぬかりのない配置をする必要がある。この点から「犯罪捜査規範」(三十二年、国家公安委員会規則)を再検討して、警察のあたらしい、“作戦要務令”を作るべきだとの声さえあるが、第一線の幹部に、現行の制度、装備をフルに活用して機動的な捜査を行うだけのセンスを○成することが先決問題だという。
あす臨時国家公安委員会 篠田弘作国家公安委員長の指示で、ちかく管区警察局刑事課長の全国会議がひらかれることになったが、これに先立ち、六日の臨時国家公安委員会は、善枝さん殺し事件について宮地直邦警察庁刑事局長からくわしい報告をきき、第一線の刑事警察の運営について検討を加える。
 吉展ちゃん事件につづく捜査の手落ちについては(1)捜査用装備の不足(2)第一線捜査官の人員配置のアンバランス(3)警察庁と第一線の刑事警察の関係が、現行制度上緊密さを欠くこと−などが問題になっているが、篠田委員長は四日よる、委員会での報告にもとずいて、こうした装備、人員、制度についても改正を考慮するとの方針を明らかにした。
科警研渡辺部長らを派遣警察庁は善枝さん殺し事件の捜査のため四日、関東管区警察局の田中平刑事課長,警察庁捜査一課の三島孟(みしま・たけし)課長補佐、科学警察研究所の渡辺学(わたなべ・まこと)科学捜査部長を埼玉県・狭山署の捜査本部に派遣した。
 この陣容で警察庁が第一線の捜査を応援させるのは昨年秋に山梨県富士吉田市の山中湖畔で十一人が焼死した山中湖畔事件いらい二度目。
 5・5 産経 誘かい犯人の処罰植松正(一橋大学法学部教授・刑法) 世間の感情というものは、まことに熱しやすくさめやすい。日本人はことにそうであるようだ。吉展ちゃん事件が起こっただけでも、犯人を死刑にしないでは気がすまないという声をずいぶん聞いていたが、そこへ埼玉県下の女子高校生の事件が起こったので、いやが上にも、世間には誘かい罪の刑が軽すぎるとの声が高まってきている。同じようなことは、三年前の雅樹ちゃん事件の時にもいわれた。そんなにいっていながら、いよいよ犯人がつかまってみると、テレビに首うなだれる犯人の姿が出るので、「かわいそうに」などという声も出てくる始末である。もっと冷静に評価して対策を考える態度が必要である。
 女子高校生の事件は、実は身のしろ金要求の目的による誘かい事件というよりは、今までにわかったところでは、ふつう世間によくある婦女暴行殺人事件のようである。その犯人がいわば行きがけのだちんのように、ふと思いついて身しろ金も要求したというものらしくおもわれる。その要求の脅迫状のはなはなだしい誤字の連続は、犯人がわざと無知を装っているように思える。これらは筆者の「推理」憶測だから、当たらなかったらカブトをぬぐつもりのつけたしとして聞き流していただこう。
 さて、自分の専門の刑法の話になるが、日本の刑法には身のしろ金要求を目的とする誘かい罪についての特別の規定がない。いまの刑法が施行されてから半世紀もの間、それで大して困ったこともなかったのに、ここ数年の間に急に刑罰対策に世間の関心が集まるような残酷な事件が続発するようになったとは、世相の悪風にハダ寒さを覚える。こういう犯罪が多発する風潮があれば、自然、その対策として刑罰の厳格化も考慮しないわけにはゆくまい。
 この種の事件は営利誘かい罪になるものとして世に伝えられているが、実は、営利誘かい罪に問うこと自体に理論上は難点があるのであるが、トニ−谷事件のときなどには、裁判所がそのように処罰したのであった。かりにそうだとしても、法定刑は一年以上十年以下の懲役であるから、アメリカ○州が死刑、無期などで臨んでいるのに比べたら、だいぶ軽い。ドイツで三年以上十五年以下の懲役と定められているのに比べても軽い。フランスは被害者の生死不明のばあいには無期、死ねば死刑、生きていることが判決前に判明すれば無期という規定のしかたである。これらの立法例では、いずれも身しろ金要求を目的とする誘かいを他の単純な誘かいと区別して特に重く罰することにしている。
 わが国では一昨年改正刑法準備草案を脱稿したとき、はじめてこの特別罪を設けたが、それによると、二年以上十五年の懲役となっているから、諸国の例よりはまだ軽いが、現在の刑法よりはよほど重く定められている。それにしても、これはまだ案であり、実現までは今後四、五年はかかるだろうといわれている。刑が他国の例に比して軽いのは、われわれがそれほど切実感を持たずにきたということにも一因があるだろう。不幸にして、この種の犯罪多発のきざしがあるとするならば、国民の意思を反映して、刑法の一部改正の形式によって、この部分だけの懲罰規定を設ける必要に迫られるかもしれない。
 ただ世間には誤解もあるようだ。誘かい罪の法定刑はそう重くないけれども、被害者を殺してしまったばあいは、別に殺人罪として重く罰することになるのであり、現に雅樹ちゃん殺しの犯人本山茂久には死刑の判決が確定しているのであるから、いまのままでもわが刑法がそう民意を遊離しているわけではないのである。一番いけなのは犯人が逮捕されないでいるということだ。未検挙が模倣犯を生むおそれがあるのである。
 5・5 産経 <14面>善枝さん殺し数人の容疑者浮かぶ 一日、下校の途襲う顔みしりか 四日あさ、埼玉県狭山市のムギ畑の農道で死体となって発見された同市上赤坂地区長、農業、中田栄作さん(57)の四女、善枝さん(16)=県立川越高校入間川分校一年=の死因は、同日による解剖の結果、ヤク殺(手で首をしめる)で、死亡時刻は一日午後三時三十分前後とわかった。この結果、善枝さんは学校から帰る途中、襲われた直後に殺されたことがはっきりした。また一日よる中田さん宅に投げこまれた脅迫状の封筒に、善枝さんとは別の女の子の名前が書かれていたことも明らかになった。このため、狭山署捜査本部は犯人がはじめその女の子をねらって失敗したため、善枝さんを襲ったものとみて、付近の事情にくわしい“土地もの”のうち、農家の不良、近くの飯場の土工など数人の身辺捜査をいそいでいる。[「善枝さんの棺の前で、しめやかにお通夜をする家族」=写真]
計画、一度は失敗 捜査本部の調べによると、善枝さんは一日午後三時すぎ自転車で学校から家に帰る途中、人通りの少ない薬研坂で犯人に襲われ、近くの松林に連れこまれた。乱暴されようとしたので抵抗したため、犯人は善枝さんをヤク殺、よるになって死体を約50辰呂覆譴晋道そばの農道にはこび、死体をうめたらしい。
 現場検証の結果スコップで土をほったことがはっきりした。
 また死体には首と足に細いひもがまかれており両手をうしろ側でハンカチでしばり、からだの上に米だわらをしばるときにつかう荒ナワ(長さ三辰阿蕕ぁ砲おかれてあった。くびにまかれていたひもは直接しめるのにつかったものではなく、手でくびをしめたあとでとどめをさすのに使い、米だわらのナワは犯人が死体を運ぶさい、背負うのにつかったらしい。
 一方、捜査本部は中田さん宅に投げこまれた脅迫状を調べていたが、四日よるになって封筒に、あて字で善枝さんとは別の女の名前が書かれ、消されている事実をつきとめた。この名前は善枝さんの家の近くに住む小学校一年生のA子ちゃん名前と一致し、脅迫状に「四月二十八日」と一度書いたあとで「五月二日」と書き直してあるところから、犯人ははじめ、A子ちゃんをねらった疑いがでてきた。本部では「犯人はたまたまA子ちゃんの誘かいに失敗したため、そのご善枝さんをねらったのではないか」とみている。
 捜査本部では(1)犯人はA子ちゃんや善枝さんを知っているうえ、カンバンの出ていない佐野屋まで知っている(2)解剖結果からみて善枝さんの死体にはこれといった外傷がなく、はげしく抵抗したあとがみられない ― などの点から“土地のもの”で、善枝さんの顔見知りの男である、との見方を強めており、近所の飯場の土工、農家の不良など、数人の身辺捜査をいそいでいる。
 なお、四日よるまでに善枝さんの近状の人が犯行のあった一日の夕方、佐野屋から中田さん方へ500辰曚匹涼賄世如⊆転車にのった不審な男をみたという届け出があった。調べたところ男は170臓白っぽい登山帽をかぶり、コールテンのチョッキかセビロ姿、色が浅黒く、ヒゲがこく、本部では犯人ではないかとみて足取りを追求している。
[「○○結果を発表する山中県警鑑識課長と中同刑事部長」=写真]
 狭山署捜査本部は四日午後十時すぎ、中田善枝さんの解剖結果について、次のように発表した。▽善枝さんはまず犯人に首をしめられ窒息死した。犯人はこのあと、さらにヒモで首をしめている。▽死亡時間は、胃から検出されたライスカレー
(入間川分校で一日午前十一時三十分からの料理の時間に出された)の消化状態などからみて、一日午後三時三十分前後とみられる。▽外傷は両足のモモにある擦過傷だけだった。
ふるえる手で焼香家族だけでさびしくお通夜 かわりはてた善枝さんを迎えて悲しみの中田さん宅では四日よるおそく、家族だけでかたちばかりのお通夜が行われた。
 同夜自宅の庭で行われた善枝さんの遺体解剖がようやく終わったのは十時十分すぎ、遺体はすぐ白木のお棺におさめられ、奥の六畳間に安置された。かける白布もない。ただ小さなおぜんのうえに、コップ一ぱいの水とお線香立てとロウソク立て。それに赤いツツジがコップに生けてある。
 そのまえにまちかねたようにおさない弟の武志君(一一)が一番さきにすわった。
 「おねえちゃん」となみだごえで呼びかけ、姉の登美恵さんにならってふるえる手でお焼香。その姿に登美恵さんはまた目をおさえていた。つづいて兄の健治さんが、兄弟たちが、ひとりずつ手をあわせた。
 隣室に寝たきりの父親栄作さんは、霊前にすわることができず、じっとまくらに顔をおしつけたまま、きょうだいたちのお通夜を気配で感じとっているようだった。親類や近所の人もこの夜は遠慮して、わずかに数人が顔を出したきり。おくやみのやりとりも、読経の声もなく、あまりにも暗いお通夜だった。
 5・6

(夕)

朝日
(善枝を縛った手ぬぐいの写真)6日容疑線上に3人の男が浮かんだ。そのうちの一人Aが被害者宅に近く、不審な点が多く容疑は深まっているという。
  捜査本部がAに疑いが濃いとしているのは、次の点からであるとしている。〜瓜泙抜藐知り¬3年前に他の地区から被害者宅近くに転居しており、身代金受け取りの佐野屋一帯を毎日のように車で通っている死体発見現場は近所の人でもあまり行かない所だが、仕事の関係で一週間から10日に一度くらい行っており、暴行現場と推定される雑木林の中の地理に詳しいど畸覆ら素行がよくなく、不良グループと付き合っていたチ瓜泙殺害されていたと推定される1日午後3時半前後から、脅迫状を投げ入れた夕方前後のアリバイ、身代金受け渡しの3日午前零時ごろから3時ごろまでの行動に不審な点がある。今のところ単独犯行に間違いないと見ているが、Aの家は中田宅から5、600m離れたところ。身代金受け渡しの際、捜査当局が遠巻きにした警戒網の中に住んでいた。
  また、善枝の足取りについて、普段通学している道路と別のコースで、1日午後、善枝が自転車に乗って帰宅する姿を善枝が卒業した中学校の後輩・O・Tが見かけているのを5日聞き込んだ。このコースは近道だが、道路が悪く人通りもなく寂しいので普段はあまり通らない。当日は誕生日だったので急いで帰宅しようと近道を通ったらしく、本部はO君とすれ違った後、その先の雑木林までの間で犯人と出会い犯行現場へ連れ込まれたと見ている。
 5・6

(夕)

朝日   死体は日本手拭で手を縛ってあったが、この日本手拭は今年正月市内の五十子米穀店が得意先数百軒に配ったもの。A宅にもこの手拭が配られていた。手拭と一緒に築地の丸京青果の荷札が死体から見つかったが、同市堀兼農協が農産物を出荷している業者。本部は前日に引き続き、まだ見つかっていない善枝の学用品を入れた革鞄、財布、時計(シチズン角型、三針、バックスキンの皮バンド)を捜すため、地元民約600人の協力を得て山狩りを行っている。
  6日午前9時過ぎ、O・Gが農薬を多量に飲み自宅の裏の古井戸に飛び込み自殺した。7日結婚式を挙げる予定であった。最近はノイローゼ気味で病院通いをしていた。遺書があった。同人は善枝の家に作男として働いたことがあるので、捜査本部で調査している。
 5・6

(夕)

毎日
  5日午後善枝が普段通る県道と違った所で中学3年生が一人で自転車に乗って帰ってくるのに出会ったことがわかった。
  なくなっている鞄、時計などの捜索をしている。後ろ手に縛ってあった布は五十子米屋が得意先に配った日本手拭を二つに切ってあったものであり、その配布先を調べている。配布はせいぜい500本止まり、配布先は固定している。その配布先の地域、死体発見現場、佐野屋、被害者宅が絡み合わされば捜査範囲は狭まる。
  中学生が「生徒総合体育大会」へ応援に行くために自宅を出て、死体発見現場から東南2キロのところでうつむき加減に自転車に乗っている善枝さんと出会った。中学生が現場を通ったのは2時から3時くらいの間と証言、善枝が午後3時半ころ学校を出ているので現場到着は3時40分頃とみられ食い違いがあるが、出会ったのは確実とみられる。いつも通る県道と違うことになる。.本部は道の脇の三柱神社(荒神様)のお祭りが行われていた。雨が降っていた。誕生日で急いでいた。などの理由で近道を取っていたのではないかと見ている。
 5・6

(夕)

毎日
  死体発見現場から数百m離れた林の中に約三平方メートルの掘っ立て小屋が発見された。小屋の中に草刈鎌と荒縄、エロ雑誌、自動車運転免許証法令集、ペン習字張等があった。そこは善枝の自転車のゴム紐が落ちていた場所と比較的近い。
 5・6

(夕)

毎日
 狭山署は現場近くに住んでいる被害者と顔見知りの男(31)を有力な参考人としていたが、農薬を飲んで投身自殺をした。この男は中学を出て被害者中田方で作男をしたことがあり被害者とは顔見知りであった。7日の結婚式のために家人が準備をしていたが、いきなり「死ぬ」といって古井戸に農薬を飲んで飛び込んだ。事件との関係は、自宅が死体発見現場から東北2kmのところにあり、身代金受け渡し場所、中田方から1km足らずのところで付近の地理に詳しい。1日は出勤していたが、午後3時半頃営業所を出ている。2日夜は自宅にいた。捜査本部は遺書と脅迫文の筆跡が同じであるか、佐野屋付近で取れた足跡が会うかどうか、血液型が一致するかどうかなど照合を急いでいる。
 5・6

(夕)

読売
  捜査本部は5日のヘリコプター捜査に続き6日も朝から捜査員約200を動員。死体発見現場、被害者宅周辺の聞き込み。見つかっていない善枝の腕時計、現金200円学生カバンの発見に全力をあげている。善枝が縛られていた日本手拭は五十子米屋が年末年始に配った70本の内の物で、善枝は持っていなかったものとわかった。
  1日の午後善枝さんのいつもの帰宅コースと違った道で見たという目撃者が現れた。目撃者は、善枝さんと同じ中学校で一年下の下級生。「1日午後、東中で行われた野球の試合を見に行く途中同市入間川沢1042の市道(沢街道)で、自転車のハンドルの前に黄色のバスケットをつけた善枝さんに出会った。話はしなかったが、いつもと変わらぬ様子だった。」目撃者は時計を持っていなかったため、出会った時間ははっきりしないが、午後3時30分前後頃。善枝登下校コースは通称「薬研坂」であったとみて、付近の聞き込みに当たっていた捜査本部は、新証言により5日より聞き込み範囲を沢地区に変え、ヘリコプター2機で航空写真を撮って、“新通学路”や死体発見現場、ゴムひも発見場所などとの関係を調べ、6日も朝から沢街道付近の雑木林を中心に山狩りを続けた。
  6日午前8時30分頃自宅裏井戸で自殺。農薬150ccを飲み深さ10mの井戸に飛び込んだ。Oは7日結婚式を挙げることになっており、新居まで建てていた。一年前からノイローゼ気味だった。善枝殺しとの関係を調べていたが、九分九厘関係なしと発表した。
 5・6

(夕)

産経
〈一面〉善枝さん事件公安委、異例の臨時会議犯人検挙が第一誘かい続発の防止策篠田委員長が記者会見
 国家公安委員会は六日が前十時から「善枝さん事件」を議題として臨時委員会を開催した。刑事事件について、このように臨時委員会が開かれたのは、まったく異例のことである。同日は篠田弘作委員長をはじめ、安井英二、水野重雄、○○保男の三委員が出席(金正米吉、小汀利得両委員欠席)、柏村信雄警察庁長官、宮地直邦刑事局長から、これまでの捜査過程についてくわしい報告をきいた。この結果、各委員とも埼玉県警本部の捜査に手落ちがあったと判断し、この点は弁解の余地がないとの意見をのべたが、まだ捜査の途中にあるため、第一線の警察の士気をにぶらせないためにも、いまの段階での批判はさけ、犯人逮捕に全力をあげるよう埼玉県警に指示、激励すべきだとの結論に達した。[写真:あいつぐ誘かい事件に緊急協議する国家公安委員会=警察庁公安委員会室で]
 また臨時委員会の結論にもとづいて、警察庁は今週中に管区警察局刑事課長の全国会議をひらき、吉展ちゃん事件、善枝さん事件の捜査過程を反省し、刑事事件の捜査体制強化について協議するとともに、第一線警察の士気を高めるよう指示することになった。
 臨時委員会では、第一線の捜査用装備の不足も問題になったので、この管区警察の会議では、科学的な装備の充実、現在配置されている○○通信施設など捜査用装備の効果的な運用についても、具体的な計画が検討される。  ◇
 吉展ちゃん事件、善枝さん事件の捜査のミスと、これにつづく最近の模倣的な誘かい事件の増加ぶりについて、篠田弘作国家公安委員長は、六日の臨時公安委員会の終了後、記者会見を行ない「犯人の早期検挙が、事件を未然に防止するための第一の対策だ」と、つぎのように語った。問い四日から“こどもの日”にかけて、全国各地で、かなりの模倣的が誘かい事件がおきているが、対策についてどう考えるか。答え事件が東京や埼玉に限らず、全国的な問題だということはかねてから考えていた。そのために、ちかく管区警察の全国会議もひらかせ、広い視野でこんごの対策について協議させる。さらに管区警察ごとの会議もひらいて、防犯対策と捜査体制の強化を徹底させる。事件がおきたばあいに、犯人を早く検挙する以上の防犯対策はないと思う。問い一派のひとに防犯対策に協力するよう呼びかける考えはないか。答え被害者はこどもや未成年者なのだから、社会全体がこれを保護する共同責任を感じて、こうした事件に対し、ひろくきびしい監視の目を向ける必要がある。小暴力事件についても、こうした社会的な責任は同じことだが、事件は小暴力とはくらべものにならぬ凶悪なものなのだから、いちだんと真剣に考える必要がある。警察が体制を強化するのは当然のことだが、こどもは野放しに飛びまわるのが自然なのだから、警察や家族の監視の目だけではどうにもならない。小暴力事件と同じに、社会的なパトロールという世論を高めて、他人のこどもにも注意の目を向けてやらねばならない。問い家庭にたいする防犯の心がまえは。答えわたくしも三人の孫があるが、幼稚園や小学校へは、、心配しながらもひとりで往復させている。どの家庭でも、こどもを全部送り迎えしてやることはむずかしいだろうし、そうすることはこどもに依存心をうえつけるから教育上も好ましくない。両親にたいする注意は、知らないひとに接するときに気をゆるさないようよくしつけるよう臨むことがせいぜいだ。各家庭がおたがいのこどもの行動によく注意してやることが必要なのだ。
〈七面〉
“指紋”は検出されず善枝さん襲われた場所ほぼ判明[写真と地図:判明した善枝さんの帰宅順路=。蓮Γ垠と出会ったところ火の見ヤグラA瓜泙気鵑亮転車のヒモが発見されたところず缶邁(木の陰にある)と円内は善枝さんに会ったO・T君] 一日学校から帰る途中を襲われ殺された埼玉県狭山市上赤坂区長、農業、中田栄作さん(57)の四女、善枝さん(16)=県立川越高入間川分校一年=の捜査は六日も約二百人の警官を動員してつづけられたが、同日までに〜瓜泙気鵑呂呂犬疔槁瑤予想した道と別の道をとおって家に帰ろうとした犯人のただひとつの遺留品である手拭は、狭山市入間川峯二○三一、米穀商、五十子貞作さん方でとくいさきにくばったものH反佑了慳罎老覿匹劼箸弔盡―个気譴覆った―などの点がはっきりした。
 狭山署捜査本部はひきつづいて、約五十人にのぼる付近の不良農夫、飯場の土工のうちからしぼった数人の容疑者の身辺捜査をすすめている。
 善枝さんが別の道を通ったのは、同市堀兼五、農業Oさんの長男、T君(14)=堀兼中三年=の証言によるもの。
 孝志君は一日午後三時ごろ、学校から帰ったあと、近くの中学に野球をみにいく途中、同市入間川沢の西武新宿線入間川駅から「佐野屋」のわきをへて堀兼へぬける道で、自転車にのった善枝さんに会った。
 これで善枝さんが薬研坂で襲われたという見方は誤りであることがはっきりした。
 また犯人の遺品である手ぬぐいは白地に紺でウチデノコヅチのもようの中に「精米、精麦、製粉五十子米穀店」と染めてある。同店では、この手ぬぐいを数年前から年賀として五―六百本を狭山、川越、所沢各市のとくい先にくばっている。
 本部では犯人の手がかりをつかむために、配布先を調べている。
 また六日山狩りをした結果、善枝さんの死体が発見された付近の山や畑から軍手、プリントもようの茶色の女性用のハンカチ、自転車と地下タビのあとをみつけた。
 なお、五日善枝さんの遺体の精密検査を行った結果、乱暴されていることがわかった。[写真:犯人が善枝さんを後ろ手にしめたときに使った手ぬぐい]
元使用人が自殺 善枝さん殺しの関連追及[写真:井戸にとび込み自殺したOさん][図:入間川駅を中心にした、『O・T君と会ったところ』『O・Gさんが自殺した井戸』と書いてある図]六日午前九時三十分ごろ、狭山市○柳三○九、西武運輸運転手O・Gさん(31)が自宅わきの竹やぶの中の深さ七辰里ら井戸の中で死んでいるのを家人がみつけた。狭山署で調べたところ、ポケットの中に「まことに申しわけない」という遺書があった。
 同署では。任気鵑呂つて同市上赤坂区長、農業、中田栄作さん方に作男としてつとめていたことがある∋容から会社を休んでいる―などの点から中田さんの四女、善枝さん(16)=県立川越高校入間川分校一年=殺しに関係があるかどうか、筆跡鑑定をいそいでいる。
  しかし会社の同僚、奥富光平さんらは「Gさんは一日午後三時三十分ごろまで、会社の運転手つめ所でみんなと話していた」といっており、善枝さんの死亡時刻からみて、一応のアリバイがたつので、同署では慎重に調べている。
 ただつめ所と善枝さんの殺人現場は約六○○辰靴はなれておらず、歩いて十分くらいの距離のためこのアリバイは完全なものではないと同本部ではいっている。
 Gさんはむかしの堀兼小学校を卒業後、畑仕事などに従事、五年ほど前から西武運輸につとめだした。
 七日には、近くの娘さんと結婚することになっていたが、いぜんから体が弱く、結婚がうまくいくかどうかを心配してノイローゼ気味だったという。
 
善枝さんの葬儀善枝さんの葬儀が六日午後零時二十分から狭山市上赤坂の自宅で行われた。
 川越高校の西川好明校長、入間川分校・椙田英太郎主任、地元婦人会などの弔辞のあと、善枝さんといちばん仲のよかった同級生の関芳江さんらが学校を代表して最前列に進みでて(弔辞をよみあげた。
 なお善枝さんのなきがらは土葬にされた。
5・7 朝日   国家公安委員会は6日午前10時、善枝事件で臨時委員会を開き、警察庁から報告を求めた。刑事問題で臨時委員会が開かれるのは異例なこと。捜査の重大なミスが明らかにされた。責任問題は後日検討することとした。特別捜査本部は6日午後10版から捜査会議を開いた。
  容疑線上に浮かんだAら三人についてアリバイ、容疑の裏付けを急ぐと共に、7日朝から四度目の山狩りをすることにした。
5・7 朝日  6日の捜査、山狩りでは容疑を持たれる男たちの決め手となるものはつかめなかった。この日の山狩りで死体発見現場から殺害推定現場にかけての雑木林の中に新たな地下足袋(十文半くらい)の足跡と、これに並んだ自転車のタイヤの跡を数箇所で見つけた。普段人の通る所ではなく、中には道のないところにもタイヤと足跡が見つかっている。これらの足跡とタイヤ跡は犯人が殺害後残されたものと見ている。地下足袋跡は3日零時過ぎ身代金受け取に来た時、佐野屋脇の畑に残したものと特徴が似ているので重視している。自殺した奥富玄二は、顔見知りであったとしても善枝殺しとはまず関係が薄いと見ている。尚奥富の血液型がB型で、犯人のものと見られるものと同一なので、7日精密検査を行う。中県警刑事部長は「自殺した奥富は、今まで警察に出頭してもらったり、参考人として事情を聞いた事もない」と語った。
5・7 毎日   中学生の証言で新しい帰途コースを中心に捜索を行った。
  死体発見現場近くの林で、白、色物のハンカチ2枚と自転車のタイヤの跡、地下足袋の跡を見つけたが、まだ誰のものともはっきりしていない。
 被害者の首にタオルが巻かれていた。このタオルは月島食品工業会社のもので、同社が得意先に無ばった約三千本の一本。
  捜査本部はこれまでの基礎捜査で「犯人は被害者と面識のある土地の者」との確信をますます深めている。
  六日麻自殺した男について埼玉県警中刑事部長は次のように発表した。血液型はB型で、被害者の遺体から検出した犯人の血液型と同じであった。脅迫状の筆跡と似ている点と似ていない点があり、断定できない。アリバイについて家人は「一日朝靴を履いて出勤、夜七時頃同じ靴を履いて帰宅した]と言っている。午後三時頃現場近くを自転車で走っていくのを同僚の妻が目撃している。
5・7 読売   特捜本部は6日午前8:30自殺したOを善枝殺し事件との関係で調べていた結果「疑わしい点が相当ある」と発表した。〃觝Ъ阿鮃気┐討亮殺。五十子米屋の手拭を入手できる立場。7豈娵拭柄瓜泙ら採取と同じ)ど跡が似ている。今のところ確証無い。1日の15:00〜19:00の足取り、指紋の照合を急いでいる。・筆跡:日記を鑑定、五分五分。・血液型:B型。・声:姉と美恵さんに声の類似点を聞くも定かならず。・指紋:照合できず。・足跡:職場から地下足袋を押収。足跡を比較したが一致しなかった。が、自宅で使っている地下足袋を発見できず。6日死体発見現場付近の山林で新しい地下足袋と自転車の跡を発見。・手拭:五十子米屋から配られたかどうかは不明。西武運送の車で運ばれた(会社否定)。O入手可能性あり、としている。
  事件当日善枝の下校道は沢街道であることを確認。帰宅路-ゴムひも-死体発見現場の範囲で聞き込み。
5・7 読売    4日朝死体発見現場付近で水色のシャツを着た挙動不審の男を見たという情報。現在容疑線条に残っている三人と結びつくかどうか捜査。4日午前7時30分頃、死体発見現場付近からバイクで飛び出してきた。24・5歳位で水色のシャツ、ジーパンをはいていた。ひげが濃く頭髪は短く刈り、目が鋭く中肉中背人相悪い。現在捜査線上にある、A(20)B(24・5)C(28)の3人。近所の鼻つまみ者Aを重視。〆瓦硫阿ら200m以内に自宅。足跡がAの家の方向にまっすぐ向かう。F髪短く、ジーパンをはいている。B婦女暴行、人相悪く細めのズボン、ひげが濃い。Cと共に死体発見現場の地理に詳しい。
5・7 産経 自殺男に多くの疑問点善枝さん殺し犯人と血液一致きょう精密検査通学コース付近に目撃者 女子高校生中田善枝さん(18)=埼玉県狭山市上赤坂=を殺した犯人を追及している狭山署捜査本部は、六日も約二百人の警官を動員、近状の聞き込みと、善枝さんの所持品の捜索を行ったが、現場付近の林の中に自転車と地下タビのあとが平行して残っているのを発見した。また、善枝さんから検出された犯人の血液型はB型で、六日あさ自殺した狭山市○○、O・Gさん(30)の血液型もB型であることがわかり、ほかにも疑問な点が多いので本部は慎重に捜査を進めている。[写真:井戸に投身自殺したO・Gさん]
 六日の山狩りで発見された地下タビの跡は「佐野屋」(三日よる、善枝さんの姉、登美恵さんが犯人と話のやりとりをした)わきで発見された犯人らしい足跡と、ほぼ一致する。このため本部ではこんご、これを手がかりに善枝さんが殺された場所の発見につとめるが、同時に発見されたハンカチ二枚についても善枝さんのものかどうか調べている。
 一方、六日午前八時四十分ごろ、農薬をのんで自宅の井戸に飛び込み自殺したO・Gさん=狭山市○○、西武通運、運転助手(夕刊、西武運輸は誤り)は=について本部は〜瓜泙気鵑ら検出された血液型とGさんのがおなじB型である■任気鵑一日午後三時ごろ入間川の三柱神社(善枝さんと通学コースの近くにある)にいるのを同僚の奥さんがみているが、そのごの行動があいまいであるA瓜泙気麒で一年間作男をしていたことがある(Gさんの家族は否認)て麌艦蚕祝円で新築した新居の残金を払っておらず、金に困っていたチ瓜泙気鵑領昭蠅鬚靴个辰身反佑亮蠅未阿い脇間川の五十子(いそご)米穀店のものだが、西武通運は同店に出入りしているので、玄二さんが手ぬぐいを手に入れる可能性があるなど疑問点がある。
 このため本部はさらに精密な血液検査と脅迫状と遺書などの筆跡を鑑定するため七日、血液と筆跡を科学警察研究所におくるとともに玄二さんの一日午後三時からの行動を調べている。
 ただ。任気鵑蓮以前縁談がまとまったが、ノイローゼが原因で破談になり、自殺しかけたことがある。六日、自殺したとき残された遺書も[まことに申し訳ない。病気に負けた。父母さまをよろしく。兄姉さま・・・・・」ということばだけだった会社の勤務成績はよく、近所でも「内気でまじめ」という評判だったGさんが会社ではいていた地下タビと現場から集めた足跡の大きさがちがう―などの事実もあるので、本部では慎重に調べる方針でいる。
 なお善枝さんの目かくしに使われていた手ぬぐいは、東京都江戸川区長島町三九○○、月島食品工業会社の名入りのもので、同社ではことしの正月千本を得意さきにくばったことがわかった。埼玉県西部には飯能、所沢などに十軒たらずの得意さきがあるという。
5・7

(夕)

朝日
 前日に引き続き容疑線上に浮かんだ地元の三人の男について捜査した。
 死体についていた築地市場の丸郷青果の荷札は、地元の農協が農作物の出荷用に主として上赤坂地区の農家に配ったもので、農家は使わないで残った分は畑を区切ったときの目印等にしたりした他、農家以外にも多少流れていることがわかり、犯人が地元にいることの一つの裏付けが取れた。
 日本手拭の配布さきなど犯人割り出しに全力あげている。7日午後零時過ぎ中田宅付近に住む男で、当局が疑いの目を持って捜査している3人のうちの一人が「6日から姿を消した」と言う情報があった。
  善枝は午後2時半から40分ごろの間に学校を出て、近くの郵便局に立ち寄った後、家へ帰る途中人通りの少ない寂しい道のどこかで犯人と出会ったはずだが、犯人の人相、服装などまだ掴んでいない。四回目の山狩りは7日も機動隊約50人を動員、まだ見つかっていない鞄、郵便局でオリンピック記念切手を予約注文して受け取ったはずの領収書などを探している。また時計は犯人が持ち去ったとも見られるので、品ぶれを作って配布してはどうかの検討を始めた。
5・7

(夕)

毎日   朝 から警察官約二百人を動員し、被害者の下校コースを中心に聞き込み鞄など所持品の発見に力を注いでいる。
 「容疑者の中には非常に容疑の濃いものがいる」と捜査がしぼらていることを明らかにした。犯行に使われたタオルやナワがいずれもよじったような特殊な結び方がされていることから、犯人の職業を見分ける手がかりとして調べている。
  六日自殺した男の事件当日の行動、アリバイなどの調べを続けている。
5・7

(夕)

読売
  7日も刑事165人、機動隊45人で山狩り。
  竹内狭山署長談:〜瓜泙鯒った荒縄や細引きは素人には出来ない特殊な結び方。∋狢糧見現場付近山林三箇所から新たに牛乳びん、コモ等6、7点を発見。指紋その他を調べている。タオルは目隠し、犯人は善枝と顔見知りと考えられるので、方向をくらますために使ったと思われる。ぃ楼奮阿陵撞深圓詫撞燭かなり濃いが、足跡その他を科警研に回しているのはOのみ。Oの血液型はほぼ一致、脅迫状からの指紋があいまいで指紋照合できる望みは薄い。1日午後3時から7時の空白時間の足取り、沢街道であった可能性を調べる。
5・7

(夕)

産経
〈五面〉Gさんは勤め先に自殺した容疑者新証人現る善枝さん殺し事件  善枝さん事件を捜査している狭山署捜査本部は、六日あさ自殺した狭山市○○、O・Gさん(30)=中田さん方の元使用人=がこんどの事件に関係があるかどうか調べていたが、七日「Oさんは一日午後四時まで勤めていた」ことをあきらかにする証人があらわれた。この証言内容が事実なら、これまでいろいろの点で疑問がもたれていた奥富さんは、善枝さん殺しについては“シロ”ということになるので、同本部は関係者からくわしい事情をきいている。
 この証言をしたのは、Oさんと同じ西武通運=狭山市入間川二七九一=に勤める坂本喜久代さん(21)。坂本さんは「一日午後四時ちょっとすぎ、帰ろうと事務所のカーテンをおろしている、外でOさんが自転車に弁当箱をしばりつけていた。わたくしはこのあと、間もなく事務所をでて、午後四時二十五分入間川駅発の電車に乗ろうとし、おくれてしまったので、時間はよくおぼえている」といっている。
 また同僚の酒井喜美子さん(28)は「仕事から帰ってきた最後の車の時間が三時四十分なのを、時計でたしかめた。。そのときOさんは事務所にいた」と坂本さんの証言を裏づけている。
 一方、一日午後、Oさんは自宅に帰り、七日の結婚を前に近所のひとをよんで酒をふるまったということも、近所のひとのあいだで話がでている。「なん時ころから飲みはじめたか」については、はっきり記憶しているひとはいないが「だいたい四時すぎ」というひとが多い。
 捜査本部では_鯔況覯未ら推定される善枝さんの死亡時刻は、一日午後三時三十分前後狭山市○○の中学三年生、O・Tくん(14)が一日午後、ちかくの中学校に野球の試合をみにゆこうとして、帰宅途中の善枝さんにあったのが、だいたい午後三時前後―などの点から、この新しい証言がまちがいなければ、Oさんは善枝さん事件とは無関係になるとみている。  ◇
 六日自殺したO・Gさんの一日のアリバイについてGさんの自宅ちかくのひとたちは、同日午後のGさんの行動についてつぎのように証言している。
 「この付近の習慣では、結婚式の一週間ぐらい前の吉日に、親しい人たちがお祝いものをとどけることになっている。(Gさんの結婚式は七日の予定だった)。一日は午前中から親類、知人がなん人かお祝い品をもってきていた。午後四時ごろから、親類のひと二人をまじえてGさんは酒をのんでいた。しかしGさんは酒があまり強くないので、七時ごろはひとりで寝てしまった」
 土地もの容疑者の身辺調査 また捜査本部は七日も現場一帯の捜索を行う一方、これまで捜査線上に浮かんだ容疑者のうち十人について再び念入りな身辺調査を行うことになった。
 現場付近の捜索は、これまで自転車、地下タビのあとなど六点の資料を得ているが、善枝さんのもっていたカバンなど有力な手がかりとなる遺留品は、まだ発見されていない。
 捜査線上にとりあげた十人の容疑者は全部狭山市内にすむ“土地もの”で、そのほとんどが善枝さんの家近くの「堀兼地区」に住んでいる。本部としては、この十人の容疑はいまのところ同じていどとみて、捜査の主力をそれぞれの身辺調査においている。
5・8 朝日   7日夜9時過ぎから中県警刑事部長が記者会見を行った。「7日は朝から地取り聞き込みをはじめ山狩りなど捜索をしたが、手掛かりとなる新たな聞き込みや、遺留品は発見できなかった」と発表。“三人の男”の決め手となるものは見つからなかった。
5・8 毎日   事件当日「自転車で学校から帰るのを目撃した」と言う中学生の証言を有力な手がかりとして帰宅コースの捜査に主力を投入していたが、七日にこの証言が捜査当局の早飲み込みとわかった。被害者の当日の帰宅コースが普段の県道か別の近道コース化を決める重要なポイントだっただけに当局をあわてさせた。
  張り込みの失敗、現場保存の不徹底など捜査当局の初動捜査の甘さと捜査技術の拙劣だが問題となっている。中学生は一日午後一時から私立東中で開かれた、学徒総合体育大会の野球を見に自宅を出、途中で被害者と会い、「グランドに着いたときは野球は三回を終えていた。時刻は二時から三時の間だったと思う」と言っていた。善枝は、午後二時半に授業を終えたが、一時間近く居残り、学校を出たのが午後三時二十五分頃(学友の証言)頃。学校から二人が出会ったという沢部落まで自転車で約十分かかる。本部はどちらかの時間の食い違いであろうと判断し、出会ったこと自体は間違いないと捜索を進めた。
  捜査本部は記者会見で6日に自殺したOさんは一日午後五時から自宅にいたと家人の証言があり、一応アリバイはある。地下足袋が現場の足跡と違う。
  事件当日午後三時頃西武線ガード下で善枝らしい女の子が人待ち顔で立っていたと農家主婦から届けがあった。
  死体発見現場と自転車荷かけゴムひもが見つかった場所の中間の山林中に、死体を縛ってあった細紐と同じものの10cmほどの切れ端が発見された。捜査本部は犯人が死体を運搬するさいに使ったものと見ている。
5・8 読売   7日に重要参考人と見られるO(30)は事件とは無関係であることがほぼ確かとなり、善枝の下校時間もようやく確認された。
  6日捜査本部は‘本手拭を入手できる立場筆跡が似ている7觝Ъ袷案に自殺、遺書に「申し訳ない」とあるなどで、クロに近いと発表した。が、7日夜までにこれらを「9割までくつがえす材料」が出揃った。Oは1日午後5時ごろから兄夫婦と酒を飲んでいたとの証言。筆跡が似ている点もあるが、似ていない点もある。所有の地下足袋と犯人の足跡、大きさが一致しない。5万円をたんすの中に置き、お金に困っていない。アリバイが確かめられればシロ。
  1日下校途中の善枝さんと出合ったという中学生の証言が同日(1日)でなく他の日の錯覚であったことを突き止めた。
  被害者の首にあった細引きは特殊な結び方と発表したが、誤りであった。
(中県警本部長談)1日善枝と出会ったという中学生は、同日東中で野球の試合(13:05〜15:05)を見に行った。善枝下校14:25で、すれ違う可能性は薄い。試合は27日から始まっているので日時の錯覚:証言の信頼性は薄い。7日ゴムひもと死体発見現場の中間で死体運搬用と思われる長さ10cmの木綿細引き切れ端を発見。→沢街道で襲われ、ゴムひも、細引きの切れ端のコースで死体を背負って発見現場まで運んだ。目隠しに使われていたタオルは入間川地区に100本しか配られていない。五十子精麦所が配った170本の手拭は約半分の配布先を確かめた。
5・8 産経 〈二面〉戸口調査考えない篠田委員長誘かい事件で答弁 吉展ちゃん誘かい事件や善枝さん事件などで社会不安がつづく事態を重視した衆院地方行政委員会(永田亮一委員長)は、七日午後一時三十分から篠田弘作国家公安委員長、宮地直邦警察庁刑事局長らの出席をもとめ、警察の捜査の不手ぎわをきびしくただした。同委員会にさきだち、同日午前にひらかれた参院地方行政委員会でも責任を追及された篠田委員長は、ふたたび警察のミスを深くわびるとともに〆能的責任は国家公安委員長のわたくしにある現在は警察の責任追及よりも犯人追求がだいじだM兇い事件防止のため戦前のような戸口調査を復活する考えはない―などと考えを明らかにした。
〈十一面〉善枝さん殺し捜査はばむ“カベ” 女子高校生“中田善枝さん殺し”犯人はまだわからない。犯人と善枝さんの実姉が十分余りも暗ヤミの中で対決しながら、みすみす犯人をとり逃がしたという埼玉県警のミスがその後の捜査活動に大きく影響しているためなのだろうか。「捜査は順調に進んでいる」と中勲県警刑事部長は繰り返しいっているが、事件発生の日から一週間になるのに、まだ犯人の目ボシもつかないのはなぜか。捜査をはばんでいるいくつかのカベに焦点をあわせてみた。山狩りで現場荒らす口堅く、聞き込みも難航 捜査上の問題点 こういった事件でもっとも大切なのはじゅうぶんな初動捜査と証拠資料の収集である。捜査当局は四日、善枝さんの死体が発見されるまで単なる誘かい事件として捜査を始めていた。暴行殺人事件に切り替えて捜査体制をしいたのは四日午後からだ。この間に○○な初動捜査 ― 聞き込み、証拠集めの出足が遅れたのは事実である。
 たとえば善枝さんの事件当日の足取りについても「道がよい」といった単純な理由から、常識的に帰宅する道をきめてかかり、七日、目撃者の証言によってあわてて別な道から家に帰ろうとしたらしいことがわかった。この遅れも捜査活動に響いた。
 また埼玉県警はじまっていらいという大がかりな捜査体制をしいて山狩り、聞き込みに人海戦術をとっているが、不なれな消防団員の応援を求めた最初の山狩りで現場一帯の足跡などがすっかり荒らされ「犯人の足型」すらはっきりしたものがとれていない。大人数の捜査陣を擁しながら聞き込み捜査もじゅうぶのといえない。
 被害者中田さん宅から一舛曚匹靴はなれていないある部落で数件の家をたずねたら、刑事が調べにきた家は一軒もなかった。県道から少しはいった部落にはまだまだ聞き込み捜査がおよんでいないのが実情である。
地理的条件東京から電車で一時間ちょっとという場所とは思えないほどさびしいところだ。西武線の入間川駅、すぐそばに米軍のジョンソン基地があって、よるもこうこうと電気がついているというのに、一歩堀兼方面に足を向けると人っこひとり通らない畑と山林がつづく。
 善枝さんが通学していた道は、西武線入間川駅から「佐野屋」わきの道に通じる道幅四辰曚匹里犬磴蠧擦世、この間約二舛録猷箸一軒もない麦畑、お茶畑、ナラの木の林がつづき、昼間でも人通りはほとんどなく、この間に駐在所すらなく、外灯一本もないまっくらやみだ。しかも、ちょうど農閑期で人もでていなかったので善枝さんが白昼この道でおそわれたとしても、目撃者がでないのは当然のこと。
 この付近では婦女子にたいするイタズラなどもよく起きているが、いずれも犯人があがらず、そこを通る若い娘さんや女学生などがなるべくグループをつくって通学しているほど。都会と都会の間にとり残された谷間の田園。
 犯行のあった場所はそんなところだ。さらに事件当夜の一日から二日にかけ雨が降っていたという悪条件もかさなったので、いくら聞き込み捜査をしても有力な手がかりがつかめないのもムリがないともいえる。捜査が難航しているのはこういった背景が大きな原因のひとつだ。
えられぬ協力東京と目と鼻の間にありながら、現場一帯は純農村。部落の人たちは同姓のものがかなり多く、そのうえ農村特有の排他的な空気が強い。農協を中心に部落がガッチリと団結している。自殺した奥富玄二さんの自宅に事情をききに行った刑事ですら農協の人たちが自発的にナワを張りめぐらし、なかなか家のなかに入れてもらえなかったという。「この部落から警察に○○れる人なんか絶対にださない」という気持ちをみんながもっている。
 このため一般からの情報提供も少ない。事件発生後一週間に捜査本部へ持ち込まれた情報は十件そこそこ。小さな町はこの大事件に大きな関心を寄せているが、いざ自分の証言を求められると口をとざして語らない。こういった人たちから情報を聞きだす困難さ。このことも捜査の前に立ちはだかっている大きなカベといえよう。
ヒモの切れはし発見死体現場のと同じ玄二さんは無関係女子高校生、中田善枝さん(16)を殺した犯人を追及している狭山署捜査本部は七日午後、死体発見現場付近の林のなかで犯人が善枝さんの死体を運んだとみられるヒモの切れはしをみつけた。
 林のなかで発見されたヒモは善枝さんの死体の上にあったヒモと同じ、善枝さんの自転車のゴムヒモが見つかった場所から死体が発見された場所よりの地面に落ちており犯人の足跡(地下タビ)もかなりはっきりしていた。本部ではこの場所と六日に発見された地下タビ、自転車のアト、さらに死体の発見場所が直線で結べる点を重視し、ここで善枝さんが殺されたのではないかとみている。
 また、この日「一日帰宅途中の善枝さんをみた」との新しい目撃者がでた。
 本部の調べによるとこの人は一日午後三時三十分ごろ、西武新宿線入間川駅すぐ北のガード付近で自転車をとめて人待ち顔にたっている善枝さんらしい人をみかけたという。
 なお四日に捜査本部がえた狭山市青柳五、O・T君(
14)の「野球をみにゆく途中、善枝さんとすれ違った」との証言はそのごの調べで同君が日を間違えたものとわかった。
 六日あさ、自殺したO・Gさん(30)については、勤め先の西武通運の同僚や家族、親類などの証言によって一日のアリバイが成立、筆跡も違うことがわかったため、本部は七日より「善枝さん殺しとはまず関係がない」と発表した。
図:発見されたヒモの一部、地下タビと自転車のタイヤあとを記した地図][写真:善枝さんの霊前に野口さんからおくられた折りズルを捧げす兄の健治さんと姉の登美恵さん]霊よ安かれ・・・・女高生から“千羽鶴”善枝さん初七日「善枝さんの霊をなぐさめ、家族の皆さんも一日も早く元気になってください」――七日午後、犯人がつかまらないまま、悲しみのうちに初七日をむかえた埼玉県狭山市上赤坂、農業、中田栄作さんの家に、こ○○手紙のついた五千羽の折りズルが○○○で届けられた。
 送り主は、○○○○○○○○○、高校一年、野口トシ江さん(16)。手紙によると、野口さんの誕生日は一日の事件当日が誕生日だった善枝さんと四日違いにこの五日、しかも同じ高校一年―それだけに楽しい誕生日をむかえられなかった善枝さんのことがひとごとに思えず、自分の誕生日の五日から折りだしたという。中田さん宅ではさっそく善枝さんの仏壇に○○げた。

 
58
(夕)
朝日
  まだ見つからない被害者の持ち物を捜すため、機動隊約50人で死体発見現場と推定通学コースを結ぶ一帯の雑木林を山狩りした。8日の山狩りで発見できない場合は資料に基づき品ぶれを配布することにした。
  現場は人通りも少なく、事件発生前後には雨が降っていたことも会って、犯人の目撃者、被害者の足取りもつかめないでいる。目撃者二人のうち一人は日付を間違えていとことが明らかになるなど手間取っている。さしあたり今週いっぱいは現在の大がかりな陣容のままで捜査を続ける。
58
(夕)
毎日
  刑事165人、機動隊45人で捜査。タオル、手拭の配布について調べる。
  善枝の鞄、腕時計等の品触れを8日中に作成。
58
(夕)
産経
(五面)時計、カバン手配いぜん手がかりなし善枝さん殺し事件女子高校生中田善枝さん(一八)殺しを捜査中の狭山署捜査本部は八日目朝から、善枝さんの死体をはこぶのに使ったとみられるヒモの切れはし落ちていた場所(七日発見)を中心に、善枝さんの通学コースぞいに捜索を行ったが、なにも手がかりはつかめなかった。このため本部はまだ発見されていない善枝さんの時計とカバンは犯人が持っているとみて、これらの特徴を家族からくわしくきいたうえ、八日県内各署に手配した。
 善枝さんの持っていた時計は金色長方形の女物シチズン時計で、中学時代に買ったものだが、特に特徴はなく、ナンバーもはっきりしていない。カバンは女学生がよくもっている茶色の皮カバンである。[写真:善枝さんが持っていたのと同型のカバン]
5・9 朝日   上田県警本部長は8日夜11時50分会見を行い、次のように発表した。〆のところ犯人逮捕の段階にない。死体を縛った縄や日本手拭から手掛かりになるものはあった。¬楫蘯圓砲弔い討呂海譴噺世辰進垢込みは得られなかった。このため犯人の足が取れないすぐ事件解決というわけにいかない。
  特捜本部は5回目の山狩りを行った。目的とした鞄、腕時計、万年筆、筆入れなど所持品は見つからなかった。このため8日午後9時過ぎこれらの品四点を特別重要品ぶれとして5万枚を配布した。
5・9 朝日   革鞄:牛皮製で型はダレスカバンと呼ばれるもの。両側に握り手があり、回りにチャックがある。値段は大体2,250円くらい。色はあせた黄茶色。
  腕時計:シチズン・コニー17石の6型長方形、金色中三針、文字盤は金の棒文字。バックステンレス。黒皮のバックスキンで止め金に「YACHT」の文字がある。
  鞄に入っていた筆入れ:長さ20cm,幅3.5cm,高さ1.5cm ビニール製で底が白。ふたは光沢のない薄青色。キャップが金色で軸がオレンジ色のパイロット万年筆が入っていた。
  財布:ビニール製薄青色、角型チャック付き、横12cm,縦4cm 300円位入っていた。
  これらは家族、同級生から聞いたのをもとに、東京方面の問屋から似ているものを求め、これを関係者に見せたところ、日ごろもっていたものとそっくりと言う証言を得て品ぶれとした。
5・9 毎日   8日夜発見されていない鞄、腕時計、財布、万年筆など特別重要品触れで、全国に写真5万枚を配った。
5・9 読売   被害者が奪われたと思われるものの品触を全国に手配した。・財布(ビニール製チャック付き)・万年筆(パイロット製オレンジ色の軸)・筆箱(白ビニ−ル製)・革鞄(ダレス鞄)・腕時計(シチズン・コニ−・黒皮バックスキンのバンド)
 捜査本部は8日までの捜査状況について発表〇骸蹐蠅8日で打ち切る▲▲螢丱い里呂辰りしないものが数人いる。
5・9 産経 (13面)容疑者四人にしぼる善枝さん殺し女子高校生、中田善枝さん(一六)事件の狭山署捜査本部は善枝さんの住む上赤坂や堀兼地区の不良、前科者、変質者のうちから捜査線上に浮かんだ十人の身辺捜査をしてきたが、八日よるまでに、このうち六人が「シロ」となった。のこる四人については、善枝さん宅に投げこまれた脅迫状をもとに筆跡鑑定、アリバイ捜査を行うほか、善枝さんの死体をしばってあったタオル、てぬぐいの配布さきの調査も急いでいる。
 また同日善枝さんの所持品で行くえがわからないカバンや腕時計などの品ぶれ書き五万枚を「特別重要品ぶれ」として全国の古物商、質屋などにくばった。
 捜査本部は六日、善枝さん事件の犯行の状況から、犯人は「土地もの」とみて、善枝さんの住む上赤坂、堀兼地区を中心に不良、変質者などのうちから「とくに疑いの濃いもの」を十人にしぼり、身辺調査を行うとともに、筆跡鑑定やアリバイ調査をつづけてきた。このうち、いまは狭山市外にいるAは、一日のアリバイが成立してシロになったのをはじめ、八日よるまでに計六人がほぼ事件とは無関係とわかった。
 アリバイ調査は対象が不良や前科者だけに、シロ、クロを断定するのはむずかしいが、それでも四人のアリバイが成立した。あとの二人は筆跡鑑定でシロとわかったもの。鑑定のもとになる脅迫状は、六日あさ自殺したO・Gさん(三〇)がこの事件と無関係とわかったキメ手のひとつになっており、本部では「脅迫状はわざと字体をかえたものではなさそうだ。警察を“刑札”と書いた誤字は作為的なものらしい」といっている。
 なお、これまでつづけられた機動隊員による現場付近の捜索は八日で打ち切られた。
[写真:善枝さんがもっていたものと同型のカバン紊範啝計]
奪われた所持品の特徴▽カバン 黄色がかった茶色革のカバンで、タテが26.7臓▲茱38臓幅13.5造梁腓さのもの。まわり全体に黄色のチャックがついており、なかに「女学生の友」五月号と、学用品がはいっている。▽腕時計婦人用シチズン・コニー17石6型の長方形のもので、文字盤は金色、バンドは黒のバックスキンで、バンドのとめ金のうらに「YACHT」とはいっている。
 このほか金色のキャップ、オレンジ色の軸のパイロット万年筆。長さ20臓幅3.7造離咼法璽訐柔朕Д侫波◆8酋癸撹官澆里呂い辰拭色のチャックつき魚型サイフなども奪われている。
5・9

(夕)

読売
衆議院で誘拐事件で質疑
5・9

(夕)

産経
(1面)誘かい対策で申し入れ自民党の治安対策特別委員会(委員長・早田○氏)は、九日午前、東京・平河町の党本部で、警察庁、法務省、公安調査庁関係者の出席をもとめて、さいきん続発している誘かい事件についての対策を協議した。このあと篠田弘作国家公安委員長にたいし、つぎの点を申し入れた。一、刑事関係の装備が不じゅうぶんであるので、早急に自動車や、照明弾の完備など刑事警察の機動化をはかること。一、幼児誘かい犯罪にかんする罰則を諸外国なみに強化し、要望効果をあげるため、法務省で刑法改正をすすめること。一、警察の住民実態把握が不じゅうぶんなので、現行制度の範囲内で、実態調査を強化すること。
5・10 朝日   9日までの捜査で、犯人が被害者を運ぶのに使ったと見られる古ナワが死体発見現場の南方200mの畑の中に放置されていたものの一部であることを確認した。これにより、始めの推定通り犯人は薬研坂で帰宅途中の善枝を襲い、道路わきの雑木林の中に連れ込んだと見るのが足取りとして自然だとし、周辺の聞き込み、目撃者の発見に努めている。
  犯人の遺留品と見られる日本手拭の出所も配布先の約7割を調べ終わったが、決め手を掴んでいないもよう。
5・10 産経 (15面)捜査いぜん足ぶみ善枝さん殺し四容疑者ともキメ手なし女子高校生、中だ善枝さん(15)殺しの狭山署捜査本部は、善枝さんのいた埼玉県狭山市上赤坂、堀兼地区の不良、前科者、変質者のうち、身辺捜査でしぼった四人について、九日、さらにくわしく事件当日のアリバイ調査を行なったが、いぜんとし“シロ・クロ”をはっきりさせる材料はえられなかった。
 一方、善枝さんの死体から発見された犯人の物的証拠であるタオル、手ぬぐいの配布先の調査は、思うようにすすんでいない。手ぬぐいは狭山市入間川○二の三一、五十子米穀店(五十子貞作さん経営)が年賀用にくばった約千本、タオルは東京都江戸川区長島町、月島食品工業会社(橋本良助社長)が、狭山市入間川の清水パン店にくばった約百本。いずれも一−二年まえのもので、配布先の不明なものが多く、調査はかなりの日数がかかるみこみである。
5・10
(夕)
朝日
  事件から10日目を迎え、竹内狭山署長談。地道な捜査を慎重に進めている。すぐ犯人に結びつきそうな有力な線は掴んでいない。被害者は体重の重かったほうなので、犯人を一人だと決め付けるのは危険ではないか。
  犯行現場の山が広すぎて、捜査は難しい。
5・10
(夕)
読売
自民党治安対策委員会第一線を激励
5・10
(夕)
産経
(1面)捜査のミスを反省全国管区刑事課長会議誘かいに装備強化凶悪事件の捜査体制を強化するため、警察庁は十日午前九時三十分から、東京・霞ヶ関、第二合同庁舎五階の同庁会議室に、警視庁、北海道警察と東北から九州までの七管区警察局の刑事課長を集めて全国会議を開いた。
 警察庁側からは宮地時邦刑事局長をはじめ、同局の幹部全員が出席、最初に捜査一課の南条隆弘課長補佐が吉展ちゃん事件、三島○(みしまたけし)課長補佐が善枝さん事件の捜査経過について、それぞれ詳細な報告を行った。
 会議の中心議題は、このふたつの事件について  <以下略)
5・10
(夕)
産経 (7面)吉展ちゃん善枝さん捜査を激励自民治安対策委員ら「吉展(○○)ちゃん事件」の捜査をつづけている警視庁を激励するため自民党治安対策特別委員会=早川崇(はやかわ・たかし)委員長=に一行四人は十日午前十時十分、警視庁に原文兵衛警視庁総監をたずねたあと東京・下谷北署の捜査本部にまわり、木村正一捜査課長から事件の経過の説明をうけたのち、台東区入谷町378、村越繁雄さん宅をたずねて「気を落とさないように」と励ました。午後からは、埼玉県狭山署の「中田善枝さん殺し事件捜査本部」と中田さん宅をたずねた。
5・11 朝日   捜査本部は、10日まで約150人の刑事を動員、現場の堀兼地区を中心に聞き込み、目撃者の発見、遺留品割り出し、等基本捜査を続けてきたが、これまでの捜査資料を検討した。
  その結果12日から捜査員を大幅に減らす△海譴泙任防發んだ“疑わしいもの”全部について掘り下げることにした。
5・11 毎日   10日も付近一帯の聞き込みを捜査を行った。中捜査本部商談:10日までに基本捜査は終わり、資料をもとに浮かび上がった人物の身辺を集中的に洗っていく。
5・11(夕) 産経
(7面)作家は高木彬光氏、最高検検事の本田正義氏、東大教授の平野竜一氏らが登場して意見をのべるほか、街頭録音による町の声も収めて、多角的に問題を再検討するわけだが、担当の佐々木○三プロデューサーは、つぎのように語っている。
「昭和二十一年から昨年まで、十七年間に起こった誘かい事件は四千八百二件もあります。こんなにしばしば起こる犯罪でありながら、われわれの誘かいにたいする○○はきわめて浅かった、といえるでしょう。この番組では、戦後の誘かい事件のなかから数例をとりあげ、誘かい犯罪の最大公約数、といったものをさぐりだし、誘かい絶滅への方法を考えられる内容にしたい」
5・12 朝日   捜査本部は、11日午後5時頃、犯人が死体を埋める為に使ったと見られるスコップを死体発見現場付近の麦畑で見つけた。死体の見つかった現場から150mほど離れた麦畑、麦の根元にスコップが横倒しにしてあるのが、発見された。
  同畑所有者(須田ギン)によって警察に届けられた。スコップには、死体を埋めた現場に似た赤土のあとがあり、本部は犯人が使ったものに違いないとしている。
5・12 毎日   11日夕、死体発見現場近く(西北200m)で、死体を埋めるのに使ったと見られるスコップを発見。小麦畑で堆肥を入れていたとき発見された。スコップは農耕用に使う普通の大きさ、べったりと汚れたように全体に黒土が付き、約1m伸びた小麦の畝の中に先の鉄の部分を土中に深く突っ込んであった。指紋の検出や、柄の焼印の有無など検査を行う。中本部長談:発見場所、状況から犯人が死体を埋めるのに使ったと思う。
5・12 読売   11日夕方善枝を埋めるのに使ったとみられるスコップが見つかる。入間川の麦畑で堆肥をまいているうち畑の中にスコップが放り出してあるのを見つけ届けた。死体発見場所から北西約150mの所。東側は雑木林と草地、西側は麦畑。発見者の話では先月30日そこで仕事をしたときには見当たらなかった。県警機動隊や地元消防団もここを捜索しているが、スコップが麦畑の畝の中に捨てられてあったため発見できなかったらしい。捜査本部では犯人が逃走するため、途中で捨てていったのではないかと見て重視。出所を捜査するとともに指紋や赤土が下が埋めてあった所のものと同一かどうか調べる。同種のスコップは周辺の農家ではたいてい1〜2本持っており、芋ほりや土木工事などにも使われている。
5・12 産経 (15面)スコップみつかる善枝さん殺し現場付近のムギ畑で女子高校生中田善枝さん(16)の死体を埋めるのに使ったとみられるスコップが十一日午後みつかった。狭山署捜査本部では、このスコップから指紋の検出などを急いでいるが、これが犯人の使ったものと断定されれば犯人の割り出しや逃走経路の発見に大きな手がかりにらるとみられる。
 発見したのは狭山市入間川旭町二七○八、農業須田政雄さんの妻、ぎんさん(五二)で、十一日午後五時ごろ、善枝さんの死体が発見されたところからおよそ一○○弾間川よりの地点。ムギ畑で仕事をしていたところ、ムギのかぶの間に裏返しにして置いてあった。本部で調べたところ、このスコップは農耕、土木に使われる三角形のトッテがついたもので、かなり使い古してある。スコップの先端に赤土などがついていた。本部ではこの赤土が、善枝さんを埋めた土と一致するか県警本部鑑識課におくって調べる。[地図:死体発見現場とスコップ発見場所の位置関係を示したもの]
5・12 産経 (10面)[解説]現状は“ユウカイ日本”防止も捜査もスキだらけ
○三月三十一日夕。東京都台東区入谷チョウ三七八、建築業、村越繁雄さんの長男、吉展ちゃん(五つ)が自宅前の公園から誘かいされ、四月七日、犯人はクツとひきかえに五十万円をとって逃げた。つづいて五月一日午後、埼玉県狭山市では下校途中の同市赤坂、農業、中田栄作さんの三女、善枝さん(16)=県立川越高校入間川分校一年=が殺され、翌二日よる、二十万円をとりにきた犯人を逃した。このふたつの事件で演じられた警察の失態はひどいものだった。七日、衆・参両議院の地方行政委員会で、篠田弘作国家公安委員長は「大へんなミスをおかした。まことに申しわけない」と平あやまり。警察庁では長官以下が“総反省”をするしまつ。いったいこうした不手ぎわはどうしておこったのだろうか―。
○誘かい事件の捜査方針は「犯人逮捕と被害者の救出の二面を同時に追う。捜査のある段階で、逮捕か、被害者の生命か、どちらかを優先しなければならなくなったとき、その判断は現場の指揮者がする」(宮地直邦警察庁刑事局長)という。だが、ふたつの事件では、二面作戦にそなえた刑事の配置はなく、判断もどっちつかずだったようだ。吉展ちゃんのばあい、犯人との取り引きの段階で、どちらとも指示がなく、六人の刑事はただアタフタと現場へ集合、結局母親の貴(景か?)子さんのボテーガードしかしなかった。犯人らしい人影とすれちがっても、職務質問しなかったのは、そうしたあいまいさのあらわれだったといえよう。善枝さん事件でも、被害者の生命を無視するように“ニセ金”を用意したのに、一方では被害者の姉をつれていって、犯人を安心させようとした。このときは、とにかく犯人逮捕に重点があったようだが、それなら婦人警官にニセ金をもたせたらよかった―と矛盾だらけ。捜査にスジが通っていなかった。
○一昨年、フランスでおきた「プジョー事件」では、警察は「こどもと金の取り引きにはタッチしない」と声明、無事にこどもの生命を救った。だが金に目じるしをつけ、指紋もとれるように仕かけて、一年後に犯人を逮捕した。「誘かい事件捜査の手本」といわれる。こうしたへだたりは、日本では、本格的な誘かい事件が少なく、捜査に“経験”と“カン”がないからのようだ。本場アメリカは別として、イギリスでも年間六、七十件が発生。しかしほとんどを解決してる。一昨年の例では発生七十一件。解決七十件という。日本はせいぜい三、四十件。半面で外国より“よい国”だが、第一線の刑事にとって、誘かい捜査はイタについていないのだ。
○うっかり公開して、被害者が殺されては・・・・・というためらいから。ふたつの事件とも公開の時期がおそすぎたようだ。吉展ちゃん事件では、発生から十日以上たっていて、大事な目撃も記憶がうすれてしまって役にたっていない。「むしろ最初から公開して、ありったけの情報を集め、そのあと秘密捜査にかえ、犯人を油断させるのが公開捜査のコツ」という意見もある。ともかく、外国にならって民間協力を中心とした捜査方針をとるようになったのはよいが、秘密捜査がゆきづまったときだけしか公開しないのが現状。創意やくふうがないといえる。
○善枝さん事件で、犯人と取り引きした二日あさ、死体を埋めてあった農道がへんだと気づいたひとがいた。ところが「かかわりたくない」と届けなかった。もしこのとき、死体を発見していたら、その夜の張り込みも、だいぶ、ちがっていただろう。
こうしてみると、日本には誘拐防止の面でも、捜査の点でもスキだらけ。続発したら手におえないような現状だ。(社会部・野田衛)
都内では一日に三、四十件の迷子の届け出がある。ところがこのほかに十件ぐらい、“無届の迷子”がみつけだされている。こどもがいなくなっても「そのうち帰ってくるさ・・・・」と放任している親たち。「この傍観者的なムードには、捜査もやりづらくて・・・・」と、警察関係者はこぼしている。
5・12
(夕)
読売
 11日から陣容をほぼ半数に縮小、100人前後にし、長期戦の構え。
5・13 朝日   死体を埋めるときに使ったスコップの出所を究明していたが、12日の夕方にこのスコップは被害者宅に近い家のものとわかった。このため捜査本部は「この家の関係者が善枝殺しの犯行に直接結びつくかどうかわからない、が一応事件の鍵を握る重要参考人になる」と見て13日から関係者に集中的な身辺捜査を行うことになった。
  11日夕発見されたスコップについていた赤土は、死体を埋めるときに掘った農道の赤土と鑑定の結果、土質がほぼ一致した。スコップを隠した付近に数個の地下足袋の足跡を発見したので、佐野屋付近の茶畑に犯人が残して入った地下足袋の足跡と一致するかどうか照合を急いでいる。
  善枝事件のあった同じ市内で、農業の自宅寝室で自殺を図り、心臓をナイフで刺し間もなく死んだ。善枝事件捜査本部が調べた所、一日ごろから悩み、神経衰弱気味だった。
5・13 毎日   死体埋没に使われたと思われるスコップに似たものが、被害者宅近くでなくなっていることが12日にわかった。このスコップは佐野屋から東へ約100mにある養豚業・Kさん方のブタ小屋にあったものの内の一本。
5・13 産経 (11面近所の農家で盗難善枝さん殺しスコップさらに調査 女子高校生、中田善枝さん(一六)殺し事件の狭山署捜査本部は善枝さんの死体があった近くで見つかったスコップについて十二日もこの発見現場付近の聞きこみ捜査を行った。この結果、付近の農家でスコップがなくなっているという届け出が数件あり、このなかでも善枝さんの家に近い農家で盗まれたスコップが、死体を埋めるのにつかわれたのではないかとみて調べている。
 また本部では死体のそばで発見されたスコップに付着していた赤土や指紋の検出鑑定を急いでおり、犯人が使ったものかどうかもあわせて調べている。

2面)思うこと  誘かいごっこ“女高校生殺し”で不安に包まれている狭山市で、授業をさぼった小学三年生の児童二人が「誘拐(かい)された」とウソをつき、おとなの不安を一層大きくする事件が起こった。<以下略>
にっぽん語「警察と刑札」漢字を習いたての小学生はよく「あそびにい木まし田」のようなとんでもない使い方をするものです。それも一時一音の漢字ならまだしも「東ずむ」(日が沈む
)などという念のいったまちがいもやらかします。もっとも、東は「日がのぼる」方角ですから、とりちがえたにしてもそこに“お日さま”の連想が働いたと見られないことはありません。事実、高学年になってだんだん漢字の意味がわかってくると、誤字にも意味の似かよったものや関係のありそうなものの連想からくるものが多くなります。たとえば「荷物」を「荷持」、「考える」を「感がえる」「調べる」を「知らべる」といったふうに。
ところでこういう意味の連想から生ずる漢字の誤りは子どもに限らずおとなにもよくあるもので、「はっきり」を「はっ切り」、「遠ざかる」を「遠去かる」とわざわざ漢字を使って書く人がありますし、「万事窮
(正しくは)休す」「体(対)面交通」「制作費が重(かさ)む」など日常よく見かける誤用です。
 ところが、これが「サービス万(満)点」「穏健中性
()な意見」などとなると果たして誤りなのか気のきいたシャレなのか、うかつには断定できません。プロレスの記事で「一敗血(地)にまみれた」などと書いてあると、誤字を承知のユーモアとも読めるからふしぎです。
狭山市の女子高校生事件の脅迫状が公開され、無教養なあて字が話題になっています。しかし「警察」を「刑札」と書いているあたり、おもしろがってはいけないことですが、なかなかうまいではありませんか。刑事の刑にニセ札の札と考えると、何だか警察が茶化されているみたいです。「犯人がわざと無知を装っているように思える」
(一橋大植松正教授・本誌五月五日付け)という意見もあるくらいです。でもまあ脅迫文全体から受ける感じでは無学無教養の男のようです。茶化すのだったら「刑殺」と書くことだってできるのですし、それに犯人が「刑札」の文字を使ったのはおそらく字画の少ない漢字だという単純な理由からでしょう。醤油を正油と書くように字画の少ない漢字を意味に関係なく表音的に使うのが庶民の習わしです。学校で習うケイと読む漢字の中で刑は兄についで字画が少なく、サツと読む字では札が一番字画が少ない。どれだけのことで、皮肉やとぼけと取るのはうがちすぎです。(国立国語研究所員)
5・13

(夕)

読売
 11日に見つかったスコップが、12日に善枝宅から500メートル離れたブタ小屋I・Kさんで盗まれたものらしいことがわかった。一日夜盗まれた。柄に油がしみ込み、黒ずんでおり、スコップ部分の先がめくれているため、一見すぐわかる。とIさんは言っている。
5・14 朝日  13日、スコップの線から捜査線上に浮き上がった関係者の重要参考人たちの身辺捜査に乗り出したが、同夜までにはスコップの線から容疑者に直接結びつく決め手はつかめなかった。
 14日から事件解決の決め手を握っていると思われる重要参考人のほか、これらと交渉をもつ業者や交友関係まで幅を広げ身辺を捜査することになった。
5・14 朝日   11日に発見されたスコップは5回の山狩りで見つけた遺留品のうちでは最も有力と見ている。しかしスコップの所有者がわかったものの、それだけで直接犯人に結び付くとは考えられない。手持ちにしている有力な証拠となるものは現在スコップしかない。
5・14 毎日   11日に死体を埋めるために使ったと見られるスコップを発見したが、決め手は依然つかめてない。聞き込み、地どり捜査をもとに犯人は被害者宅に近いものと見て、犯行当日のアリバイの不明のものなど数人に絞り身辺捜査に当たっている。
5・14 産経 (11面)犯人、近く逮捕か善枝さん殺し共犯の疑いも強まる女子高校生中田善枝さん(十六)殺しの埼玉県狭山署捜査本部は、容疑者とみられる四人の男について身辺調査をつづけてきたが、十三日、そのうちの一人で、狭山市堀兼に住む若い男Aを有力容疑者としてしぼり、さらに裏付け捜査を強化して近く逮捕にふみきることになった。
 また本部では、善枝さんの死体をはこんだ状況から共犯がいるとの見方を強めており、同人と深い関係にある男のついても身辺捜査を急いでいる。
 本部がAを有力容疑者とみているのは、Aの筆跡が脅迫状に書かれた筆跡とほぼ一致するほか〜瓜泙気鵑殺された一日午後のアリバイがはっきりしない中田さん宅近くに住み、中田さんの家の動きや善枝さんが襲われたとみられる薬研坂を毎日二、三回往復し、付近の地理にくわしい――などの状況証拠がかたまってきたため。
 しかし、犯行に使われた手ぬぐい、タオルが同人宅から持ちだしたものかどうかについては確証がないので、さらに聞きこみを強化する。
 また本部が共犯説を強めたのは〜瓜泙気鵑了狢里発見された場所と、殺されたとみられる薬研坂は約一舛發呂覆譴討り、起伏の多い山林や畑を夜間一人で死体をはこぶのはむずかしい∨笋瓩織▲覆かなり深く、手なれた土工でも一人では四十分以上もかかる――などの点である。
5・14
(夕)
産経 (4面)話題パトロール長びく捜査の裏にひそむ善枝さん殺し三つのナゾ[中田善枝さんの顔写真]女子高校生、中田善枝さん(一六)が殺されてからすでに十四日。埼玉県狭山署捜査本部の捜査は意外に長びき、十三日、やっと最終段階にはいったようだ。上田明埼玉県警本部長は「失敗は二度とくりかえしたくない。すべての証拠をそろえて、ズバリ犯人を逮捕するため、慎重にやっているのだ」と説明しているが、それにしても捜査が長びいたのは、事件の裏に、“三つのナゾ”があったからだ。平和な、緑にかこまれた狭山の町にかくされた「?」―その“ナゾ”をとりあげてみた。大胆な五分間の冒険白い封筒の脅迫状と納屋の自転車死体の運び方にも疑問異常な行動埼玉県狭山市上赤坂で農業をいとなむ中田栄作さん(五七)の四女、善枝さん=県立川越高校入間川分校一年=が殺されたのは五月一日の午後。捜査本部は現場付近の聞きこみ、解剖結果などから、死亡時刻を午後四時前後と推定している。
 事件の最初の発見者は兄の健治さん
(二六)。一日よる家の格子戸(こうしど)に脅迫状がさしこまれ、善枝さんの自転車が納屋においてあるのをみつけた。犯人はなぜ自転車を善枝さんの家にとどけたのだろうか。他人にみつかる危険をおかしてまで自転車を家にかえす、どんな理由があったのか?
 もうひとしの疑問。健治さんが脅迫状と自転車をみつけたのは午後七時三十分ごろという。このころの明るさはどうか。気象台で調べたところ一日午後、埼玉県下は雨が降り、よるは曇りだった。事件後、九日のよるが一日とほぼ同じ気象状態だったので調べてみたところ、かなりの暗さだった。一○辰気の人の姿はみえるが、顔は見わけがつきにくい。しかし、上赤坂や堀兼などいわゆる“堀兼地区”
(旧堀兼村)土地の人々は、顔ははっきり見わけられないにしても、姿、かっこうで「××の×さん」とわかるはずである。そんな時間に、なぜ犯人は中田さんの家にきたのか。しかも中田さんのこうし戸は、道から広い庭をへだてて二○辰曚姫にある。中田さんの家のつくり、まわりの地形、どこに木があるかまで知っている“土地のもの”であっても、こんな冒険をするだろうか?[写真:機動隊員の手でささやかに花がいけられた、善枝さんの霊が少しでも慰められるように(死体発見場所)]
 ところが、兄の健治さんはさらに驚くべき事実を教えてくれるのである。犯人は、この冒険を、なんとたった五分間でやってのけたというのだ。健治さんの話はこうだ。
 「あの日(一日)善枝が帰るころ、あいにく雨が降った。善枝はカサを持って行かなかったんです。七時前でしたか、心配になって、軽四輪で学校に迎えに行ったら、いない。電車で帰ったかもしれないと思いながら家についた。
 こうし戸をあけて家にはいり、夕食をたべて○○○ようとしたらこうし戸にさしこまれた白い封筒をみつけたんです。納屋をみたら善枝の自転車がある。びっくりして土間であとかたづけしている登美恵に声をかけ、時間をみたら七時四十分。家の時計はいつも五分進んでいるから発見は三十五分。夕食は五分ていどだから、家に帰ったのは七時三十分。まちがっても時間のズレは、○、○分と思います」[写真:善枝さんの自転車、この自転車がすべてを知っている・…・(善枝さんの自宅で)]
 登美恵さんはこうし戸をへだてた土間で立ち働きをしており、中田さんの両隣はわずかの植えがきがあるだけで、一○辰箸呂覆譴討い覆ぁA図参照)。[図:A図=中田さん宅の見取り図・B図=中田さん宅と入間川分校間の事件関係の地図]犯人が長い間ひそんでいればみつかる危険はそれだけ大きい。ようすをうかがった時間はごく短いとみたほうが自然である。五分間に自転車を置き、封筒をさしこむという行動。通常の神経では、とても考えられない異常さだ。そして善枝さんを殺したざんぎゃくな手口―これらの点をしぼっていけば、おそろしい存在が浮かびあがってきそうだ。
不可解な現場善枝さんは四日あさ、いつも学校にかよう県道からすこしはずれた農道にうめられていた。通学コースは堀兼地区から狭山市の中心部、西武線入間川駅に通ずる、いわばメーンストリート。日中の人道りはかなりある。
 善枝さんが犯人に襲われたと本部が推定する薬研坂もこのコース。ただここだけは道の両側は林で、人家はまったくない(B図参照)。
 薬研坂から死体を発見現場まで約一・五繊おそらく犯人は一日午後、善枝さんを林のなかにつれこみ、○○して殺したあと、中田さん宅に行き、よる、死体をうめたのだろう。
 が、ここにも不自然なことがある。したいをうめた○○から五○辰睥イ譴討い覆い箸海蹐砲蓮¬渦箸立ち並んでいるので日中、死体をうめることは不可能である。一日の真夜中、犯人は善枝さんの死体を背負って、日中を○○したのであろうか。
 善枝さんの死体はタオルで目かくしされていた。犯人は善枝さんを目かくしてして林の中へつれ込んだようである。
 死体解剖の結果では、善枝さんに抵抗のあとはみられなかったという。○○な○○が、抵抗もしないで日中のメーンストリートから自転車を○○たまま林のなかにつれこまれた?○○が○○○れないいま、こんなことにも首をかしげたくなるのである。
佐野屋の指定中田さん方にとどけられた脅迫状には「五月二日よる十二時(三日午前零時)金二十万円を女の人が持って佐野屋の門の前にこい」とあった。佐野屋は堀兼地区にある雑貨屋。中田さんの家から約一・5粗遒砲△襦2鵑蠅某猷箸呂△泙蠅覆、一面茶畑、遠くに林。
 捜査本部は「車でいく」という脅迫状から、道路ばかり警戒したため、茶畑に現われた犯人をとりにがし、捜査陣の張りこみはみごとに失敗した。その失敗はさておき、事件が営利誘かいとみられていたころは、佐野やわきの“犯人との会話”に“イミ”があった。しかし、いまや事件は婦女暴行殺人が本筋である。犯人もそれが目的で「金よこせ」はあとで思いつたものというみかたが圧倒的だ。とすれば、犯人はなぜ、このような危険をあえてしたのだろうか。警官をだまし、捜査網をくぐって逃げるスリルを求めたのだろうか。それともイタズラ半分なのか。
 犯人捜査にしたがっている警官は口をそろえて「いったい犯人はバカなんだかりこうなんだか、さっぱりわからない」という。上田本部長自身も「われわれは犯人を過大視しすぎているのではないか。犯人の行動をみて、どうもハッキリしないとことがある。つかまえてみて、なあんだというようなことになりかねない」といっているくらいである。
 犯人は緑に囲まれた平和な部落のどこかにいる。犯人はいったい、なにを考えているのだろうか。(社会部近藤俊一郎、吉田久雄)
5・15 朝日   14日夜中県警刑事部長の記者会見:善枝殺しの容疑者を詐欺、横領など殺人とは別の容疑で逮捕するようなことはない。あらゆる物証を揃えて、ずばり殺人容疑で逮捕令状を請求するつもり。
  スコップの線から捜査線上に重要参考人が浮かび上がって来たが、アリバイ、物的証拠が思うように取れず、捜査は思うような進展を見せなかった。捜査本部はやむなく“短期解決”方針を変え、“別件逮捕”に踏み切らないことにした。
5・16 産経 (16面)有力容疑者に警戒網善枝さん殺し捜査、一本にしぼる善枝さん殺しの埼玉県狭山署捜査本部は、十五日引きつづきき善枝さん宅近くの狭山市堀兼いすむ有力容疑者Aとそのグループの身辺捜査を行った。
 これまでの捜査では、善枝さんの死体から発見された手ぬぐいや、十一日午後発見されたスコップの鑑定結果が、Aらと結びつかず、逮捕に踏み切るきめ手はえられなかったが、本部は、善枝さん殺しはAとそのグループの犯行であるという自信を強めている。
 このためAらに対しひきつづききびしい警戒網を敷いて、その動向をさぐるとともに、十六日からは各方面にのばしている捜査を整理してAらに対する集中的な捜査を行う方針を採ることとした。
5・17 産経 (14面)長期体制へ捜査陣を再編成善枝さん事件善枝さん殺しの埼玉県狭山署捜査本部は、善枝さんの家近くに住む狭山市堀兼のAとそのグループを有力容疑者として捜査してきたが、十六日も逮捕に踏み切るまでのきめ手はなかった。
 このため本部は同夜の捜査会議で「犯人の早期逮捕はむずかしい」としてさらに念入りに手ぬぐいの配布さき捜査、スコップの精密鑑定を行う一方、捜査員を再編成して長期捜査の体制を整えることになった。
5・22 読売  スコップそのものに付いていた“土”がひと目でその付近(死体埋没)の土と同じだとわかった。
 捜査当局の七つの条件を備える男。〜瓜泙了狢里ら検出されたB型あるいはO型の血液型の者五十子米屋の手拭を持っていた者6芝状と同じ字を書く者ぅ好灰奪廚盗まれたブタ小屋に出入りでき、スコップを持ち出すことが出来た者セ狢里鯔笋瓩討△辰申蝓∋慊蠑貊蝓嶌缶邁亜廚里△觸蝓中田宅のある所など三箇所の地理にも明るい者α瓜泙凌搬里膨餽海靴燭△箸無い点から善枝と面識のあった者1日午後から夜にかけてと3日の午前零時ごろのアリバイがない者

   

 

 (文責:やっさん)