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患者様の手術体験記 2006年4月:  胃噴門部の粘膜下腫瘍に対する胃内手術
 
 

胃内手術 体験記  (30歳台・女性患者様より)

「本当に手術したなんて信じられないくらい元気ね。顔色もすごくいいし・・・・。」 術後11日目、普段通り仕事に復帰できて、自分でも信じられないくらいでしたが、周りの人の反応はそれ以上のものでした。

 3cm位の胃噴門部(ふんもんぶ)粘膜下腫瘍が、2ヶ月前胃カメラで偶然見つかりました。最初の病院では、かなり大きいので早いうちに手術を、とすすめられたのですが、無輸血手術を希望したところ、難しいということで断られました。次に、○○病院に手術を依頼したところ、「胃粘膜下腫瘍で悪性か、良性か判断がつきません。手術をするなら、胃全摘出になります。まだお若いので経過観察がよろしいのでは・・・・。」 そう告げられ、愕然としてしまいました。「たった3cmの腫瘍のために胃を全部とってしまうなんて!!」   

私の腫瘍は、胃の壁の中にあるので、手術して取ってみないと悪性か、良性かわからない厄介なものでした。しかも場所が悪く、噴門部(食道と胃のつなぎ目)にあるため、腫瘍だけを取り除く手術は難しいということなのです。手術では噴門も一緒に切り取ってしまうことで、胃液・胆汁の逆流、胃の働きの低下、食事摂取不良などの合併症の可能性があるといわれました・・・・。先生は“医者泣かせの腫瘍だと言っていました。胃全摘出か、悪性になるのを心配しながら様子を見るか、究極の選択を迫られてしまいました。

 胃を全部取らなくても何か他に方法があるのでは・・・・? と祈る思いでいろいろな情報を調べたところ、偶然私と全く同じ症例の方の手術の様子が、画像と共に詳しく載せられているインターネットのサイトを見つけることができました。しかも、もののみごとに噴門部を傷つけず腫瘍だけを取り除いている!!すごい!こんな手術の方法があったんだ!!それがはじめて、“金平永二先生”のお名前を知るきっかけでした。直接連絡ができるように先生のメールアドレスが載せられていたのは、本当に今でも感謝しています。

さっそく内視鏡の写真を添付してメールを出したところ、次の日に、「手術は可能、出血量50ml以下で手術を成功させましょう。」とのお返事があり、胸の熱くなる思いがしました。「ああ、きっとこれで助かるんだ。」という希望がわいてきました。

 手術は金平先生のいらっしゃる四谷メディカルキューブ、その名もきずの小さな手術センターでお願いすることになりました。最新鋭の医療機器で入念な検査を行ない、腫瘍の形や、まわりの血管の位置までも正確に調べてもらいました。自分の内臓の細かい部分をカラーの立体画像で見ることができたのは本当に驚きでした。時間をかけて丁寧に説明してくださったおかげで、安心して手術に臨むことができました。

 わたしが受けた手術は、胃内手術といいます。おなかに1〜2cm程の穴を4カ所あけ、そこからおなかの壁を貫いて胃の中にまで内視鏡と手術器具をいれ、病巣を切り取るという珍しい方法です。この手術だと胃が全部残せるほか、術後の回復がとても早く、もとの生活にも早くもどれるとのことです。さらにこの手術法は、先生ご自身が研究し確立したもので(注1)、現在日本でこの手術をたくさん行っている外科医は、金平先生を含め数人しかいらっしゃらないそうです。

「今シーズンスキーにもいけますよ。」と手術前、先生はおっしゃっていましたが、正直まだその時は信じられませんでした。

 手術前日に入院してからは、あっという間でした。全身麻酔なので全く知らないうちに手術は終わり、次の日には歩いて自分の病室に戻ることができました。お腹が突っ張るような感じと、神経痛が多少ありましたが、麻酔が切れてもきず自体の痛みがほとんどなかったのは今でも不思議です。さらに驚いたのは、手術の出血量が、なんと10ml以下だったということです。小さじ2杯!!ですね。

 病理検査の結果、GISTではなく良性の平滑筋腫であることが判明しました。わたしの腫瘍の大きさは、この手術に適した大きさだったということです。これ以上大きくなると、手術が難しくなり、さらには悪性(平滑筋肉腫)に移行するポテンシャルをかかえ、他の臓器に転移する危険性もあるそうです。早く手術ができて本当に良かったと思いました。 

 術後2日目から全粥をいただくことができ、食べる喜びを味わうことができました。3日目には自分でシャワーを浴びることができました。

 あの時もし胃をとる手術をしていたら?・・・そう思うとぞっとします。「食べることが大好きな私はどうなっていたのだろう?・・・おなかの傷跡はどうだったのだろう? ・・・」そう考えると、手術前と変わらない今の自分がなんて幸せで、それになんてすばらしい先生に巡り合えたのだろうと、今でも感謝の気持ちでいっぱいになります。

 術後1ヶ月たった今では、スキーよりもハードなバレエで跳んだり回ったりしています。あまり元気なので家族も心配してくれなくなりました(笑)。

  信頼できる医師探しの旅、きっと望みを聞いてくれる所があるはず、そう信じて本当に良かったと思います。手術してから後悔しても遅いことがあると思います。調べて回って同じ答えなら仕方がないと思いますが、まずいろいろな情報を調べて、本当に優れた医師と巡り会うことができたのは、私にとってこのうえなく幸いなことでした。何よりも大切な自分の体です。

 私の体験記が,手術を受ける患者さんのお役にたてれば本当に幸いです.そして患者の負担がはるかに少ないこの手術法が、一日も早く広まってくれることを心から願います。

- 四谷メディカルキューブについて -

 先生をはじめ看護婦さんが、丁寧で優しく接してくださり、精神的にも本当に癒されました。病室も全室個室のホテルのような感覚で、ゆったりとした気持ちで入院することができました。うわさのミクニシェフがプロデュースする病院食も、毎食とても美味しくいただきました。美味しい食事もきっと回復を早める大切な要素になったのでしょうね。これで保険診療とは信じられないです。

 患者の立場に立って考えてくださっている病院だと身を持って実感しました。お見舞いに来てくださった方たちも、術後の私の経過や、病院の中の様子を見て、「何かあったら絶対この病院にきたい!」と口を揃えて言っていました。

 普通は入院すると一日も早く出たいと思うものですが、もうしばらくいてもいいと思わせるような、本当に快適な病院でした。本当にありがとうございました。

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(注1) 1993年に、当時宝塚にいらっしゃった大橋先生が初めて胃内手術を行い、続いて慶應大学にいらっしゃった大上先生、ELKの金平が同じ年に始めました。