読まれるPTA広報紙(誌)づくり
(日本PTA全国協議会・日本教育新聞社発行「優秀広報紙集」より)

ワンランクアップの紙面の作り方

年間三回の勝負

 毎年、PTA活動の一環として、広報委員の方々が中心になって制作されているPTA広報紙(誌)。中には、ウィークリーで発行していたり、手書きやガリ版刷りのような形式でほぼ毎日会報を発行しているようなPTAもごくまれに見られます。しかし、多くのPTA組織では、年間三回ないし四回の発行が一般的な発行回数になっています。

 広報委員の顔ぶれも毎年変わり、発行回数が少ないところでは、一生懸命やっていてもどうしても''前年なみ''の紙面づくりに終わってしまいがちです。年間に発行する回数は限られているからこそ、読まれるPTA広報紙が必要なのです。

 ここでは、初めて広報委員になった方でも、わかるようなワンランクアップするための作り方のポイントを述べていきます。

企画が紙面を左右する

 読まれるPTA広報紙であるための一つのポイントは「企画力」にあります。

 年度はじめには学校紹介、教職員の紹介、新旧PTA会長の対談やPTA会長と校長の対談などがよく見られる企画ものになります。また、PTA組織の紹介や各委員会の活動の紹介なども、一号目の紙面を飾ることになります。

 二号目では子どもに関して「からだ」「しつけ」「こづかい」「親子のコミュニケーション」などの子育てや教育に関する問題を取り上げ、PTA会員や子どもたちを対象にしたアンケート調査などが、結果を示すグラフと共に特集されるケースが多くなります。

 最終号では、卒業特集などで、一クラスずつの児童生徒会員の顔写真が入るような記念号的な作り方もよく見られるところです。

 こうした作り方は、年間の流れを考えれば、ごく自然な企画ものといえますが、より読まれる紙面にするためにはもうひと工夫欲しいところです。

(具体的内容あとで)

1.あいさつ・依頼原稿ばかりではつまらない

  •  紙面のレイアウトはしっかりしているのに、なぜか地味な印象を与えたり、読む気があまり起きにくいPTA広報紙を見かけます。
     それは、校長先生のあいさつやPTA会長のあいさつ、地域に在住する子ども会育成会関係者、保護司などの随筆など、あいさつ原稿や依頼原稿の割合が多いことに起因しています。それらが紙面の上でバランス良く「ハコもの」(罫線使ってハコにレイアウトしているもの)として割り付けられていても、読む側にとっては興味、関心をかき立てるものにはなりません。
     見出しの付け方にもよりますが、広報紙の内容として必要な場合もあるものの、あいさつ文や依頼したものが多くなると、どうしても、よそいきでかたい文章で紙面が占められ、面白みやダイナミズムに欠けたものになってしまいます。
     同じ人に登場してもらうにしても、保護者の目から見て知りたいこと、疑問に思っていることなどを取材者が代わりに聞くようなインタビュー記事にした方が、読者にとってより身近なものになります。

2.アンケート調査はそれだけで終わらせない

  •  子どもや保護者を対象にした「アンケート調査」は、PTA活動の一環としても定着し、PTA広報紙でその結果を会員に知らせる紙面づくりもごく一般的なものになっています。
     コンピュータソフトを利用してのグラフづくりなども手軽になったせいか、豊富にグラフを掲載しながら見開き紙面を使って特集するところが多いのです。アンケートの集計や数値の計算など、その努力は伝わりますが、このデータを使って、もう一歩踏み込んでみることが大切です。
     例えば、「からだ」の問題であれば、その結果からどのようなことが必要になっているかなどを養護教諭に解説してもらうとか、会員と関係する先生を集めて座談会をするなど、新たな活動につながるような企画が欲しいところです。

3.新しい課題にもチャレンジ

  •  二十一世紀に入り、学校のあり方は大きく変わってきています。学校・家庭・地域社会の連携が強く要請されている昨今、PTAの役割はより重みを増しています。
     最近のPTA広報紙でも、新しい教育テーマを取り上げるものが見られるようになってきました。
     例えば、「総合的な学習の時間」などは二〇〇二年度から小・中学校で本格的に新教育課程として取り入れられています。昔の時間割にはなかったものです。では、これは何をどのように学ぶものなのでしょうか。なぜ新しく設けられたのでしょうか。その学びを通して子どもたちにどんな力を付けるものなのでしょうか。
     具体的な「総合的な学習の時間」の事例について、保護者の目から見た感想を紹介する企画なども有効です。その際、学校としてのねらいなども、合わせて記事にすることで、企画の厚みが増します。自分の学校のみならず、近隣の学校の様子なども付け加えれば、より関心を集めることになるでしょう。
     また、子育ての中で、「父親の存在」がクローズアップされてきています。PTA活動の中でも、影が薄いといわれている父親たちですが、父親が考える子育てなどの座談会や、どうすれば父親が学校やPTAの活動に来やすくなるかなどをアンケート調査したりして、テーマアップしていけば、父親たちをPTA活動に引っ張り出すきっかけづくりになるかもしれません。
     これまでの紙面に登場してこなかった新しいテーマに、是非挑戦してみましょう。

4.「学校新聞」にしない工夫

  •  子どもを中心に置いて、学校を見ていくために、学校の教育活動についての話題が多く、いわゆる「学校新聞」になりがちな側面があります。写真を多様化したビジュアル化が進行しているため、一層この傾向に拍車をかけているようです。学校の様子を広く会員に伝えるというのは必要な要素ですが、こればかりになってしまっては、やはりもの足りないものになってしまいます。
     PTA広報紙は、PTA活動を活性化させるための役割を担っていますから、紙面がどう活動を活性化させていったのかという視点にも配慮することが大切です。
     また、会員の参加した紙面づくりも必要です。
    「最近気になる我が子のこと」「二十一世紀にチャレンジしたいこと」など、会員から募って紙面に会員を登場させることも一つの方法です。原稿を集めるのが大変というのなら、学級懇談会や授業参観の折りにでも、広報委員が手分けをしてコメント・感想を集めて記事にまとめるという方法もあります。
     特集記事ばかりでは、紙面が単調になってしまいますから、「校区の学びの場」など、ちょっとしたコーナーを設けて、会員からの投稿を呼びかけてもよいのです。
     ただ、街のスポット紹介のようになってしまうと、タウン誌と変わらないものになってしまいます。PTA広報紙らしい切り口が必要なのはいうまでもありません。

5.企画会議は活動の一つ

  •  読まれるPTA広報紙づくりのためには「企画」が大切だということは述べてきました。それを決める場が、編集会議・企画会議です。
     お互いがアイデアを出し合うためには、日頃からPTA活動の方向を理解したり、教育への関心を持っていなければなりません。
     どんな特集テーマを設定するのか、ほかにどんな記事を載せていくのかなどを、みんなで論議しながらまとめていきましょう。こうした論議の場が、PTA活動の一環でもあり、とても大切なのです。
     企画自体は、今自分がどんな関心をもっているかから話し始めてかまわないのです。会員である自分の関心から出発するということは、地に足の着いた紙面づくりにもつながります。
     各紙面の構成を決めたならば、この段階でおおよその記事の分量を決めてしまいます。中心となる記事はどれか、ちょっとした記事になるのはどれかなどについてです。それができれば、レイアウトの仕方も、自ずと決まってくることになるでしょう。
     さらに、配付日から逆算して、製作工程を確認しておきましょう。取材に要する期間、紙面のレイアウトをする期間、印刷所への入稿(レイアウト用紙と共に原稿を提出すること)、ゲラ刷り(活字や写真がレイアウトされたもの)などのスケジュールを作成します。

記事を書くコツあれこれ

  •  広報委員は企画立案から取材・レイアウト・校正・校閲までと一般の新聞社が分業でやっている作業を一手に引き受けなければなりません。原稿を依頼する編集者として、あるいは、記事のテーマを見つけ取材するための記者として、何役もこなすことになります。
     その際、学校の行事なら○○さん、地域の出来事なら○○さんに聞けばだいたいのことが分かるという具合に、情報源となる人をつくっておくと便利です。
     記事を書くのが難しい、ということをよく聞きます。しかし、自分の想像でものを書くわけではないのです。自分が見たり、聞いたりしたことや、出来事が中心になりますから、後は基本的な要素としてよくいわれている5W1H(だれが・いつ・どこで・なにを・なぜ・どのようにして)が記事全体から分かればよいのです。決して名文を求めているのではありません。必要な記事の長さで、分かりやすい文章を書くことを心がけましょう。「です」「ます」調で書く方が、親しみやすい文章になります。
     さて、記事を書くためには、書く材料が必要になります。この材料を得ることが取材活動です。取材活動の時には、取材ノートとカメラを必ず用意しましょう。取材ノートはメモ帳でもいいのですが、書けるスペースが限られてしまい、何度もページをめくるのは煩雑ですし、少し大きな文字で書くことが難しくなります。
     取材に当っては、押さえるべきいくつかの要素があります。教育活動であれば、なぜそれを取り入れているのか、どんな内容で行なうのか、計画をたてる際や、実施してみての苦労した点、予想とは違った点はどこか、活動を通じてどんな成果を期待しているのかなどを、書き写すようにしましょう。同時に刷り物があれば、必ず入手するようにします。たとえ活動に立ち会っていても、時間が経って細かい点などを思い出せない時の手助けになります。人名やめ名称を正確に表現するときにも必要になります。
     活動の写真撮影では、全体・近景・子どもたちのクローズアップなどさまざまな角度から撮っておくとよいでしょう。あらかじめ、紙面のどの位置に写真を置くかが分かっていれば、紙面に合わせて被写体の向きを切り取ることもできるのです。
     PTA広報紙では、ヨコの写真で、しかも同じ大きさにトリミングしたものを何枚も同じ紙面に使っているものがありますが、写真はヨコばかりでなく、タテも使えるようタテの写真も撮影します。レイアウトでメリハリをつける際の重要な要素にもなります。
     書く材料を確保すれば、八割方記事はできなも同じです。今では、パソコンやワープロの普及で、原稿用紙の升目に鉛筆を使って埋めていく執筆スタイルは少なくなってきました。パソコンによる執筆のいいところは、書き出しや文章の途中でも、大きく書き直すことができる点です。気軽に書き始めて、何度でも書き直した方が、誤りの少ない分かりやすい文章になるでしょう。この作業を通して、出稿前に行なう「素読み」する作業を終えることになります。

レイアウトが紙面を左右する

 読まれる紙面作りのためには「企画」と共に、重要な要素になるのが、レイアウト(原稿、写真類の配置)です。せっかく力の入った企画や取材記事があっても、紙面に躍動感がなければ読んでもらう気を引き出すことが出来ません。

 文字ばかりで写真のない「白い」紙面や、「ハコ」などのアクセントに乏しい紙面、何が言いたいのか要領を得ない「見出し」などは、読ませるPTA広報紙作りにはマイナス材料になってしまいます。

 ここではは、レイアウト上、配慮すべきいくつかのポイントを解説します。

1.見出しの付け方を工夫しよう

  •  「見出し」は、読まれるPTA広報紙作りのためには大切です。 見出しの基本は「二本見出し」にあります。「主本見出し」と「そで見出し」から構成されるものです。通常、主本見出しを右側に置き、そで見出しは左側に置きます。
     このほかには「一本見出し」「三本見出し」などがあります。ここでは基本となる二本見出しについて説明します。
     まず見出しの文字数です。標準になっているのは主本見出し八字(専門的には八本といい「本」は文字を数える単位)、そで見出し十字(十本)といったところです。文字数が少なければそれだけ大きな活字が使え、インパクトのあるものになりますし、文字数が増えるほど活字(見出し)は小さくなってしまいます。
     実際には見出しを付ける際には、原稿を読んで5W1Hの要素を書き出し、一番重要だと思われるものを短く書き出してみます。「主」と「そで」両方を簡潔に書き出したら、付け加える要素があるかを再度チェックします。十分に意味が伝わらないときには、そで見出しの上部にさらに小さな活字を使って見出しを補足する「カブセ」、同様に三本目の柱として二本見出しの後の三本目や、「主」と「そで」の間に三本目で補足する「柱」などを用いることもあります。
     また、見出しの注目度を高めるために、「地紋」を使ってみましょう。例えば、ベタ黒白ヌキ(黒い地に白く文字を染め出したもの)などは最近の新聞では珍しくなくなりました。こうした地紋を使うことで、より一層見出しや紙面に対する視覚的効果を生むことができます。

2.メリハリのあるレイアウトを

  •  レイアウトをする際には、そのページに収めるべき記事と、写真、図表等を重要な原稿順にメモ(出稿メモ)として書き出しておきましょう。行数も事前に把握しておけば、レイアウトするときの目安になります。
     一般的に新聞作りでは、集められた記事(出稿原稿)をページの性格ごとに整理し、優先順位を付け、記事の分量をみながらレイアウトしていくものですが、あらかじめレイアウトを優先した紙面作りを考え、そのレイアウトに合わせて記事の分量を決めていくという逆の方法もあります。これは雑誌などで見かける手法です。PTA広報紙の場合、たくさんの記事が収納しきれないくらいの記事を出稿するケースはまれだと考えられますので、こうした手法も一考に値します。
     割り付けしていく際の基本は、紙面の右上に一番重要な記事を配置していきます。これをトップ記事と言います。次いで、紙面の左上(左肩)、さらに紙面の中央(ヘソ)へと原稿を配置していきます。また、実際の手順では、割り付け用紙に題字を置き、決まりもののハコやタタミもの(寄せつけ)がある時には、これらをさきに配置し、その残りのスペースに前述の要領で原稿を配置していきます。中央の後は右下、左下という優先順位が基本です。
     小見出しや写真類を置いたおおざっぱなレイアウト図を割付用紙に記入(鉛筆を使うといろいろなレイアウトが試せます)し、これでよしとなったら、行数や写真のスペース、見出し活字の大きさと配置先、地紋の指定などを割付用紙に記入していきます。

3.写真の使い方や余白の工夫

  •  印刷技術が向上したことや、デジタルカメラの普及に伴って、写真を多用する紙面作りが増えてきました。タブロイド版のPTA広報紙でグラフ特集的なものもよく見かける紙面です。しかし、写真がみな同じ大きさであったり、ヨコ向きばかりのものであったりと、にぎやかな割には訴求力のないものも見かけます。配置の仕方や、写真の選択に注意する必要があります。
     また、B5版やA4版の広報紙では、スペースが少ないせいか、文字ばかりがびっしりと詰まっているものがあります。たとえ優れた文章が掲載されていても、これでは、なかなか読んでもらえません。B5版やA4版といったスタイルのものこそ、もっと余白を作る工夫をしていく必要があります。