Bari 移動用カート大改造の記録

 

  

 

 カート使用後の楽器に対する検証             2007年1月15日・記

12月16日のライブでカートを使用した。
楽器の状態が一番の問題なのだが、ライブ当日は勿論なんの不具合も見つからない。
帰りも当然使用して帰ってきた。

その後、何度かの練習をこなし、ちょうど1か月が経った所で、楽器に対しての検証をしてみた。

吹奏上の問題点は感じられない。至って快調!
キーの歪み等、目視でも異常は無く、さらにリークライトでもチェックしたが特に問題は見つからなかった。

キークランプと併用で、実用OKと結論。 

カートを引いての印象は、一般道路の、普段気が付かないガタガタは勿論、駅の点字ブロックである黄色いタイル上も、引き手にフィードバックするゴツゴツ感はほとんど無く、実にスムース。
かなりの出来映えである。…… と、自画自賛!


 

キーワードは「チュ−ブタイヤ」「キークランプ」

2004年のライブの時は車が使えなくて、腰を痛めてしまった。
最悪にはならずに済んだが、イエローカードに! 
Baritone Sax を担いでの移動は結構厳しい。
3か月程でイエローカード状態からは脱したが、その後もあやしいまま今に至る。
2006年12月16日のライブも車が使えないので、カートによる移動を真剣に考えた次第。
ちなみに Selmer Mk6 LowA + Wicona で、合計重量は約11kg である。
カートで移動する場合の留意点は、
1.路面からの振動をいかに楽器に伝えない様に出来るか。
2.楽器の安全が第一なので、止まっている時にも簡単に倒れては困る。
最低限この2点を押さえられれば、あとは安くできる事に越した事はない。
カートの部分で絶対的な安全が確保できるに越した事はないが、さらにキークランプを使う事でマージンは相当に上がる予定。
カートの改造構想-1

ほとんどのカートのタイヤは、プラスチック成型の堅いタイヤ。購入を決めたカートも然り。これでは路面からのゴツゴツ・ガタガタはダイレクトである。
留意点1より、振動を吸収する方法は、どこで吸収するか? がポイント。
a.荷台面をフローティングとする。フレームからスプリング等でフロートさせる。
b.タイヤもしくは取付軸にショックアブソーバ、サスペンションを付ける。
c.タイヤをバルーンタイヤ(チューブタイヤ)とし、エア調節する。
以上の3点を考えた。出来れば単一ではなくダブらせられれば良いのだが……

a.はサイズ的にはラジコンカーなどのサスペンションを想定してみたが、ラジコンカーは思いの外軽く、使用想定重量からして7〜8本付けないと機能しないらしい。逆に最近よく見る自転車のサスペンションは、子供用とは言え70kg 位迄は担保しているので、今回の想定重量では全く機能しない。又は荷台面の二端をフレームに固定し、反対側の二端をスプリング等で吊る又は浮かす。
b.はベビーカー若しくは車いすのサス等を想定したが、現状のカートのフレーム以外に支持固定する為のダブルフレーム等、フレームの改造が必要になる。ほとんどが縦方向の軸固定が必要になる。
c.は、タイヤだから自転車屋だろ。と、何軒か自転車屋を訪ねてみたが、自転車のタイヤとしてチューブタイヤが入手できるのは、子供用の16inch からになるという。これは直径で約40cm だから、相当に大きい事になる。酸素ボンベでもあるまいし…、そんな感じ。
タイヤ案が挫折気味の時、a.の吊アングルの一端をフレームに固定し、反対の端をスプリングで吊る又は浮かす案は、そこにタイヤの軸を付ければ良い訳だが、スプリングの選定が難しそう、と悩んでいた。
そんな思いを巡らしている時も、ネット上で情報収集を続けていたら、レーシングカートと電動車いすというキーワードに巡り会った。レーシングカートのタイヤは、小径で良いのだが、その割に幅が広く、フレームの外側に取り付けるのは張り出しが多くなって具合が悪い。電動車いすの方は動輪ではなくキャスター輪。電動車いすを扱っている幾つかのメーカーのHPを覗いたが、部品として販売がしっかり書かれていたのは2社だけ。1社は中古物のみだが、なんともう1社は新品で、チューブタイプ径20cm 幅5cm という、願ってもない条件。オリジナルカートのタイヤは径15cm 幅3.5cm なので、かなり良い感じ。俄然現実味が! 1本2,150円+消費税也。

土台になるカートの選定 ネット上で検索し、1,000円以下の安い物から軽く1万円を超える物まである。
留意点2より、荷台面積が狭いと、相対的に縦長イメージで倒れやすくなる。
楽器ケースの高さが約110cm、合計重量は約11kg+ なので、立てている時の安定感でそれなりの荷台面積が必要になる。
近所のホームセンターや自転車やさんも何件か回ったが、イマイチ。
そして見つけたのが、ネット上の釣り用品。大きめのクーラーボックスも積める、背負子兼用のカートがあった。23mm径位のアルミパイプ製。タイヤ径も大きめで、荷台面積も33×38cmあり良さそう。しかもアルミ製なので軽い(2.8kg)のに耐荷重は50kg。今まで探し回った中で、一番良さそうなので購入決定。4,400円+消費税也。

   
素材の確保 カートとタイヤを発注。
カートは問題なく到着。中国製の為か仕上げは粗い。所々にサビはあるし、挟んだら指を切りそうな所も何カ所か。
タイヤは先方の会社にメールで希望を伝えたら、タイヤはあるが見つけたHPは数年前の物で、現在は値段が違うという。確かに、その会社のメインページから行くと出てこないページで、サーバーに残っていた為、yahoo の検索上引っかかった訳だ。仕方ないが、1本3,500円+消費税也。1.5倍程になってしまったが、先が見えてきたので発注。担当の方が、こちらのメールから判断して、現在は扱いを終了しているが「ノーパンクタイヤ」(ゴム質だが、ソリッドタイヤ:画像上段)もストックがあるので一緒に送りますから、比べてみてください。との申し出。勿論無償で! ありがたく頂く。
到着したタイヤを見てびっくり。小さいからと言ってオモチャではない。バルブは車と同サイズで、ベアリングも含め、全てが一級品と思える工作精度を感じさせる。流通量も少ない品で、この値段は納得物。

☆ 改 造 開 始

現状確認

●カートを調べる。
左右のフレームを貫通している鉄パイプが車軸。その両端にプラスチック製のタイヤを通し、ブリキの様な端止めが軸端に切られた細い溝に無理矢理はめ込んである。
ペンチで強引に分解。車軸の鉄パイプをノギスで当たってみると場所々々で太さが違う。テーブルの上で転がしてみると、たわんだ動き。
この辺は、全て使わない物なのでまあOK。
偶然なのだが、新タイヤのベアリング内径が8mmなのに、"いい加減" な鉄パイプはほぼ8mmだった。フレーム加工の工程が省けた。
●タイヤを調べる。
当然タイヤには何の問題もない。ベアリングの状態も素晴らしい。納品はMax 2.5bar だったが、これでは堅すぎ。バルブから適当にエアーを抜いて、空気圧ゲージがないので数値は判らないが、それこそ "適当" な圧にした。

※ここで、分解したカートの「ほぼ8mmの軸」をタイヤに通して見ようとしたが、入らなかった。まぁ 中国製だ!

  

  

  
カートの改造構想-2

最終的な改造計画は、タイヤの交換と厚手のスポンジによるショック吸収。ゴムバンドによる固定に決定。
あるパソコンソフト納品時に同梱されていた、厚手のスポンジが3枚ある。これを下2枚、背中1枚で使う予定。下の2枚はフレームに取り付けるより、丁度良い大きさの黒いバッグ(adidas)を使う事にした。バッグの中にスポンジを入れ、そこに楽器を突っ込んで固定した方が有利である。背中側は二つ折りにしたスポンジを、元々の背負子の背当てになる部分のベルトを利用して固定。
ゴムバンドは、バイク用品店で見つけた荷止め用の両端にフックの付いたもの。これを上中下各1本で使用。

最後にタイヤだが、軸はオリジナル同様に1本貫通タイプとし、左右のタイヤをどの様に止めるかの問題。
●ベアリングがしっかりしているので、単純に外れないだけのクリップ状の物や、軸に穴だけ開けてコッタピンでも行けるかも。
●8mmのダイスを切ってナットで止める。
  1.ロックタイトの様なナットのゆるみ止め
  2.スプリングワッシャー
  3.ダブルナット
人が引っ張るカートなので、高速回転でもなく、大きな外的要因の荷重もほとんど無いので、ベアリングがしっかり機能してくれればあまり拘らない。あとは見た目だけ。

    

タイヤ回りの改造

古い工具を引っ張り出して、急造のベランダ工場

ここまで進んだ以上、しっかりとした仕上げをしたいので、ダイスを切ってナット止めに。ナットは仕上がりの見た目で袋ナットに。止め方は実際にやってみて現物あわせで。
必要な材料は、8mm径の軸。これは鉄、真鍮でも何でも、特に問題はなさそう。
近所のホームセンターで探したら、アルミ材しかなかった。材質が柔らかい分ダイスがうまく切れるか心配したが、ダメもとでチャレンジ。失敗しても良い様に必要寸法に切る前の1mの長いまま、ダイスを切ってみた。good! 素晴らしい出来映え。鉄よりも加工が楽で良かった。ここで実際の必要寸法、530mmに切断。さらに反対側もダイス切り。さすがに日本の規格の8mm材は、日本の規格で内径8mmのベアリングにピッタリ。髪の毛1本入らないが、実にスムースな動きのベアリング。当たり前の話なのだが……

  
最終工程、組み上げ 最初にスプリングワッシャーで組んでみた。フレームの外側でタイヤの内側に、平ワッシャーに挟んでスプリングワッシャーを入れ、タイヤの外側に平ワッシャーを入れて袋ナット。しかし、スプリングワッシャーが効くまでナットを締めると、ベアリングの動きが阻害されている。回転にブレーキがかかっている。そう言えばタイヤを注文した時の担当者が、取り付ける時の注意点として、ベアリングに与圧を掛けすぎない様に、とメールに書いてくれていた事を思い出す。
次にダブルナットだが、ホイール面はほぼタイヤの外周側面とフラット(ホイール面が凹んでいない)なので、取付材は全て外側に出っ張る事になる。そのため、出来るだけ出っ張りを少なくする為にダブルナットの厚みを薄くしたい。管用となっている厚さ2mmのナットを使う事にした。しかし、ちょっと頼りないので2枚入れてみた。やはり出っ張りと、見た目の感じで却下。最終的に、管用ナット1枚でダブルナットとし、袋ナットに緩み止めを塗ることにした。実は袋ナットのシングルも試したが、2mmのナットを使ったダブル仕様と見た目もほとんど変わらないので、より安全なダブルナット仕様に決定。
フレーム間の剥き出しになっているアルミ軸は、そのままでも良かったが、全体をステン製のスペーサーで被った。

      スプリングワッシャーを付けてみたが、上手くない

      管用ナットをダブルにしてみたが、袋ナットがヤケに外に出て見える

      結局、管用ナット1枚に決定

一応の完成後の
更なる改良
全く雨を考慮していなかった。背中側のスポンジによるクッションは、雨に当たれば水を含んでしまう。そこで、ホームセンターで見つけたカマボコ型に成型されたスポンジに変更。そして全体としてはゴルフバッグのカバーで良さそう(昔ソフトケースを使っていた頃、ゴルフバッグと間違われた事もあった)なので、一番安く入手できそうだったゴルフ宅急便のカバーをヤマトで分けてもらった。下側は、クッションを仕込んだバッグごと雨除けカバーに収まるので問題なし。背中側からあぶれたスポンジは、当然下側のクッションに追加。バッグ内のスポンジは3枚に。
実際に楽器をセットしてみると、手を離している時、取っ手側の立ち上がりが、楽器の重みで折りたたみ状態に倒れ込んでしまう。そこは自転車の荷止め用ゴムで解決。
この時点で、コンサート前日(12月15日)。なんとか間に合った。明日は本番。

Bari 移動用カート完成 !!

  

 
★このカートを使う上での最も大事な点は、楽器に「キークランプ」を使う事★
常時閉じているキーはほとんど問題ないが、常時開いているキーはほとんどの場合支持が1点である。その状態で振動を与えれば、調整が狂う確率は非常に上がる。

 

★いざ! 出発

初めて外で。
いきなりの本番。

      
実際に使ってみた後の更なる改良 バッグに突っ込んだ楽器をゴムバンドで固定すると、ゴムの力で次第にバッグごとフレームの間に押し出されてくる。そこでカマボコ型スポンジを、下部にも1本追加することに。しかし、使わない時の折りたたみに支障が出るので、下のスポンジは固定せず、輪ゴム止めとする。

  

 雨仕様 

★材料費明細(消費税、送料込み)  合計 17,821円

アルミキャリーカート
電動車いす用タイヤ
アルミ丸棒
カマボコ型スポンジ
ステンレス・ワッシャー
袋ナット
ステンレス・スペーサー
管用ナット
ツーリング用ゴムバンド
自転車用ゴムバンド
クッション用スポンジ
雨用ビニールカバー

使用しなかったが……
ステンレス・ワッシャー
スプリングワッシャー

5,560円
2個 8,190円
1m 588円
2本 1,394円
4枚 40円
2個 30円
8個 336円
10個入り 128円 (使用したのは2枚)
3本 945円
家にあった物
3枚 廃物利用 (納品時クッション材)
550円 (ゴルフ宅急便用)

 
4枚 40円
2枚 20円

 【参 考】

ノーパンクタイヤ(左)とチューブタイヤ(右)。

チューブタイヤはエアーを調整しているが、ノーパンクタイヤはソリッドの為、調整不能。
指で押してもまるでへこまない程、相当に堅いが、チューブへのバルブ機構がいらない分ホイールはスポークタイプ。
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