市場の行方

遠い昔の話
1時間、決まった時間に電話する、勿論固定電話。電話から流れてくるのは機械的かつ冷静な女性の声。 その時の価格を知らせる。・・・東京工業品取引所前場2節、当限・・・
ポジションの値洗いは電卓で都度計算、ノートとペンは欠かせない。罫線を定規で引き、翌朝は新聞の 相場表とにらめっこ。夕方には取次店の営業が追証金の取り立てにやってくる。大きく買った時は 大宴会。電話で ”売った” ”買った” 30、50枚難平やっ!遠い昔の話。

よかった頃
インターネットの先駆けパソコン通信。黒いブラウン管に白いドッド。数字のゼロに斜め線が入るやつ。 キーボード操作で Enter Enter 。自動更新など無くキーボード連打で価格が更新。 ISDN回線だがレスポンスは抜群。サーバーダウンなど知らない世界。 リアルなマーケットに夢中になった日々。
DSL回線にCATV回線。インターネット全盛オンライントレード初期の頃。 単発500KhzのCPUを数台並べてTickとプライス、値板を映す。1Ghz単発のマシンは発注専門。 サーバー堕ちに備えて回線は3本、取次店は3店以上。 前場は9時から11時、後場は12時半から3時半。場に張り付いて今日は3桁越えに歓喜。 日計りなので宵越しのポジションは無い。 今になってみれば最高の日々。

わるい時
売っては踏まされ買っては安値で投げさせられる。取り戻そうとポジションが膨れ上がる。 頭に血が上り3桁を超える損失で我に返る。全てのポジションを切って机を蹴飛ばす。 モニターのガラスが散乱する。夜の街に出て飲み歩く。損失額に比べれば飲み代など どうでもいい金。
悪いニュースに株価暴落。カス値のプットが噴き上がる。先物を売っても時既に遅し。 24時間取引に震え上がる。朝が来るのが怖い。幼い子供達の顔が頭を過ぎり涙がにじむ。 複雑怪奇なポジションはスプレッドを失うだけ。連日の損失が4桁に迫る。週末を乗り越えられる 余力など皆無。夕場で全玉撤退、復活の芽は消える・・・。

雇われディーラー
億単位の金を得て大玉を張る。太い回線にハイパワー機が唸りを上げる。どんなに稼いでも 8割は持って行かれる。足が出れば月単位で3桁自腹献上、3か月連続で足切りとなる。 外国勢のアルゴリズム取引、自動売買システムは1秒間に100件以上の約定能力。組織的 トレードに一匹狼は殺される。長くは続かない・・・。