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漢字と物忘れ ('07/01/18)

■ワープロ依存症

 昔から字が下手、漢字を知らない。だからなるべく書き物はしたくない。自分の書いたものはなるべく外に出したくない。
 たのきんトリオの“よっちゃん”こと野村義男の漢字嫌いは有名で、『読めない、書けない、馴染めないの三ないよっちゃん』とラジオで揶揄されていたのを覚えているが、僕も同と言っていいだろう。

 ところがそんな僕に救世主が現れた。ワープロである。
今からおよそ20年前ワープロ(シャープ書院)を購入。以降ほとんどの文章はワープロで書くようになった。おかげで文を外に出す機会が増えた。
当時励んでいた演劇の脚本なんかもワープロで書た。いや、ワープロだからこそ書けた。たぶん手書きだったらそんなこと思いもよらなかっただろう。
その直後に電子手帳も購入している。本当に書くのがイヤだったんだな。

 そして現在。相変わらず字を書いていない。
ハードは、ワープロからパソコンに変わったものの、たとえば今ごらんになっている文を書くときでも、推敲の段階からテキストエディターを使用している。筆記用具は使用しない。会社でもちょっとしたメモや業務日誌ですらパソコンで打っている。

 漢字変換をパソコンにやらせるだけで、これほどまでに文が外へと出てゆく。まるでたまっていたフラストレーションを放出するかのように。
僕自身の意外な一面を気付かせてくれた、ワープロ様様である。

■漢字は忘却の彼方へ

 しかし便利になれば必ずどこかに弊害が出る。僕は、脳に障害が出た。
…というと大げさだが、漢字を思い出し、選び、書き出すという作業を20年余り機械にやらせていたためか、初歩の漢字もパッと出てこなくなってしまったのだ。
九九を覚える前に電卓の便利を覚えてしまったような…そんなところだ。

 たとえば「回収」を「回集」と書いてしまったり、「否定」を「批定」と書いたり、「証拠」を「証処」と書いたり、「延びる」を「伸びる」と書いたり…
 他にも、「おさめる」が納、治、収、修のどれか分からなかったり、「故障」と書けても、「障子」と書けなかったり、「折る」と書けても「折半」と書けなかったり、「衛星」が書けても「防衛」が書けなかったり…とまぁ枚挙に暇がない。

 変換候補の中から適切なのを選んでいるから書くときも間違えないのでは…とお考えだろう。
しかし並べられたものから選ぶのと、何もないところから思い浮かべるのとでは、思考の作業がまったく違う。その証拠が今の僕だ。
 この20年の間にタッチタイピングの能力と引き換えに、漢字の検証装置が停止してしまった。

■対策

 最近、人前で字を書く機会が増えてきた。漢字がパッパカ出てこない。非常に不便で恥ずかしいことだ。
 漢字以外にもド忘れが多くなってきた。人の名前などとっさに出てこないことがよくある。このままではマズい…なんとかしよう。

 任天堂DSにの“大人の漢字トレーニング”とかいうのがあって売れているらしい。漢字に対する抵抗感、そしてそれを克服したいと思っているのは僕だけではないみたいだ。
で、これを買おうと思ったが肝心のDSが無い。全部そろえると3万円くらいかかる。

 もっと手軽にできる方法は無いか?
本屋を覗いてみた。昨今漢字に対する関心が高まっているのか“漢字検定”コーナーが設けられていた。一級〜八級まであって多くの参考書が出ている。
ただし、これはある程度漢字に詳しい人が買う本だ。一度手に取ったが止めた。僕に必要なのは日常生活で頻繁に使われる漢字を人並みに書けるようになる事。

 小学生向けの参考書のコーナーに目を向けると、あるある。昔懐かしい漢字ドリルだ。
『これにしよう』
小学校五年六年それぞれ上下巻、四冊購入した。手軽で何回も使える。何よりコストパフォーマンスが高い。四冊で1600円程だ。

 早速始めてみる。読み書きの“書き”を中心に取組む。全てひらがなの短文の、傍線部を漢字に直してゆく。
20年間逃げてきた一連の動作。漢字を「思い出し」「選び」「書き出す」作業を始めた。
小五、小六も侮れない。とっさに思い浮かばずエンピツが止まってしまったり、中にはまったく忘れている漢字、間違えて記憶していた漢字もある。
 スグ判る漢字もあるが、それもあえて紙に書く。字は書かないと下手になるし、漢字は書かないと忘れる。
 寝る前に晩酌もせず漢字ドリルに集中。とにかく思い出しては書き、書いては焼き付け、書いて書きまくっている。今までの“逃げ”を挽回するために。


<教学研究社 漢字5分間トレーニング> 小五、小六向け。恥も外聞もない。書けない事が恥なのだ。

 “百ます計算”など、単純な計算の繰り返しが脳のトレーニングに良いといわれて久しい。子供の学力/集中力向上から、大人のボケ防止に活用されているという。
 今回始めた、平仮名を漢字に直し紙に書く、という単純な作業もトレーニングに通じないかな。僕のサビ付いた記憶回路に一筋の光明をもたらせてくれるとよいのだが…

 始めてまだひと月も経っていないので成果という成果は出ていないが、日常の耳にした言葉を頭の中で漢字に直してみたり、そんな場面が増えた。字も若干整ってきたかな。

 詰まらず書けるようになったら中学のドリルへ“進学”だ。しばらく続けてみよう。子供に訊かれて答えられないと恥ずかしいしね。