和解調書


(谷口弁護士との和解調書の抜粋)
先方が提訴し、慰謝料百万円の請求をしながら、結果は先方が私に参百万円を支払うことで和解とする奇妙な調停になった。以下、ここにその和解調書の抜粋を掲載いたします。


和解調書

平成10年11月30日          大阪地方裁判所第23民事部和解室

                 
当事者の表示 


             
原告 谷 口 光 雄

                右弁護士代理人  弁護士  笠 松 健 一


                            被 告   吉 川 真 二

右被告訴訟代理人   弁護士   藤 原 猛 爾


請求の趣旨
一、 原告が被告に対し、被告から受任した永和信用金庫に対する損害賠償請求
事件において、訴外村上博志の不法行為を原因とした損害賠償債務の存し
ない事を確認する。
二、 被告は、原告に対し、金100万円およびこれに対する本訴状送達の日の翌
日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。


請求の原因
一、 原告は弁護士である。
原告は昭和49年ごろ、知人の訴外村上博志の紹介で被告を知った。
被告は昭和49年末頃、訴外永和信用金庫巽支店(以下、金庫と略称す)と取引して、約一千万円を金庫に食われたので、原告にその責任を追及してほしいとの依頼があった。
二、 被告は刑事手続による責任追及を希望したので、原告は検察庁に対し、刑事告訴を二回行なったが、不起訴になったので、昭和55年1月に監督機関である近畿財務局に調査依頼し、また渡辺大蔵大臣宛に上申書も提出したが被告が満足する結果は得られなかった。
三、 そこで、昭和56年11月に民事訴訟を提起した。
ところが、昭和61年8月29日、原告は被告と弁護方針について意見が違い、原告は訴訟代理人を辞任した。
実質は、被告により解任されたものである。
四、 被告より受領した着手金は、刑事告訴分・近畿財務局分金30万円、民事訴訟分10万円か15万円で、合計金40万円か45万円である。
五、 被告は原告が辞任の後、事件を藤原猛爾弁護士に依頼し、訴訟遂行したが第1審は平成3年11月13日判決で敗訴し、控訴したが平成4年9月29日に控訴棄却となり、さらに上告したが平成5年10月5日に上告棄却になった。
六、 ところが、原告が事件辞任後約10年も経過した平成8年ごろになって、被告は原告が金庫と裏取引をして金員を受領したから訴訟活動なども十分にせず辞任したので、支払った着手金などの返還など損害賠償の支払請求を強く求めてきた次第である。
勿論、原告は金庫と裏取引した事実などなく、金員も受領したこともない。
従って、着手金など返還する必要など一切何もないのに、被告は右の如き各主張をするので、かかる事実が有ったか、無かったかを裁判所で判断を求めるため、平成8年8月19日御庁に債務不存在確認訴訟(以下、前訴と略称す)を提起した。
七、 右訴訟は、平成九年12月12日判決言渡しがあった。
判決主文は、次の通りである。
原告が被告に対し、被告から受任した永和信用金庫に対する損害賠償請求事件についての何らの債務も存しない事を確認する。
と原告勝訴で、被告も控訴しなかったので、右判決は確定した。
八、 ところが、被告は前訴判決確定後、前記第1項記載の訴外村上博志(以下、村上と略称す)に左記の如き不法行為があったことが新しく判明し、原告は村上の右不法行為について左記理由により被告に対し、損害賠償責任があると強く主張してきた。

(1) 被告主張に係る村上の不法行為

村上は金庫より裏金を受領していた。その金額は定かでないが、約三千万円くらいのようである。
村上は右裏金を金庫より受取り、金庫と通謀して、金庫が被告に交付した書類(一覧表等)の一部は村上が偽造した書類であることが判明した。
被告は前訴においても村上による偽造書類の主張をしていたが、今回の主張は前訴主張の書類意外に多くの偽造書類が存するとのことである。
右の村上の裏金の受領、書類の偽造は前訴判決確定後の新証拠によって明白であると被告は主張する。

(2) 被告主張に係る原告の損害賠償責任

村上は単に被告を原告に紹介した紹介者でなく、原告の事務所の事務員である。従って、使用者である原告は村上の不法行為について、使用者としての損害賠償責任がある。
村上は原告の代理人として金庫に赴いて、金庫と接渉していたので、代理人の不法行為について、原告に損害賠償責任がある。
村上はすべて原告の指示によって行動していたと称しているので、前記書類の偽造も原告の指示によるものであり、原告に損害賠償責任がある。
九、 右損害賠償債務の不存在確認の必要性
然し、被告主張に係る村上の不法行為も原告の損害賠償責任も全くの事実無根であり、被告の単なる言いがかりに過ぎない。
ところが、被告は平成10年4月末頃より同年9月末頃までの間に前後30数回、原告の事務所に来て前記の主張をし、「村上が金庫より受領した裏金を金庫に返すか、或いは被告に渡せ」とか「これは案だが、被告も商売がしたいので五千万円ほど要る。それを金庫から融資を受けるので村上や金庫と相談して融資に必要な担保の定期預金を積んでくれ」などと言って、話の途中に意に沿わぬと怒鳴りだして事務所応接室の机を引っ繰り返したり原告に対して暴行に及んで傷害事件沙汰になっている次第である。
前訴判決によって原告は被告に対し、被告から受任した金庫に対する損害賠償事件については何らの債務が無いものと確定しているが、右判決は確定債務の範囲が包括的・抽象的であり、被告は現実に右の如く損害賠償債務の支払いを強く求めて紛争があるので、確認の必要がある。

第二、損害賠償

一、 前記暴行・傷害事件などによって蒙った慰謝料として、原告は被告に対し、金100万円の支払いを求める。

第三、依って、請求の趣旨記載の判決を求める次第である。



和 解 条 項
一、 原告は被告に対し、金300万円の解決金を支払うものとし、これを平成10年12月21日までに、被告代理人事務所宛振込送金して支払う。
二、 被告は原告に対し、名目の如何を問わず、前項の金員の外何らの金員請求をしない。
三、 被告は原告に対し、自らまたは第三者をして、今後原告の事務所あるいは原告の自宅その他場所の如何を問わず一切連絡を取らない。
四、 被告は原告に対し、自らまたは第三者をして、今後原告の事務所あるいは原告の自宅その他場所の如何を問わず一切訪問しない。
五、 被告が原告に対し、自らまたは第三者をして、前記二ないし四項に違反する行為をした場合には、一回につき違約金として金30万円を原告に支払う。
六、 原告は、その余の請求を放棄する。
七、 原告と被告との間には、本和解条項を除く外、一切の債権・債務の存しないことを確認する。
八、 訴訟費用は各自の負担とする。





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