島津忠良(日新公)いろは歌

島津忠良(1492〜1568)・明応元年、伊作亀丸城に生まれ、幼名は菊三郎と言いました。
21歳のとき、伊作・田布施城主となり三郎左衛門忠良と称し、万ノ瀬川に橋を掛け、養蚕などの産業を興し、多くの仁政を敷き、「薩摩の聖君」と呼ばれました。
文武、神、儒、仏三教をきわめ、36歳で入道して、相模守入道日新(じっしん)斉と号し、薩摩・大隅・日向を平定し、島津家中興の祖と言われます。
その後、長男・貴久(13才)を薩摩藩15代藩主の位につかせました。
1540年加世田に移り住み,のちに薩摩藩郷中教育の基本書となる「いろは歌」や戦国時代の武士たちを弔うための六地蔵塔などを残し,永禄11(1568)に77歳で没しました。
この“いろは歌”は忠良公が1545(天文14)年に作った47首の歌。
忠良は5年余りの歳月をかけ、この“いろは歌”を完成させました。

島津日新公のいろは歌と解説

いにしえの 道を聞きても 唱えても 我が行いに せずばかいなし

昔から伝わる立派な教えや学問も口に唱えるだけで実行しなければ何の役に立たない。
進んで
実行することがもっとも大切な事です。

楼の上も はにふの小屋も 住む人の 心にこそは たかきいやしき

立派な家でも、粗末な家でも、そこに住む人の心こそが、人間としての価値を決めるのです。

はかなくも あすの命を たのむかな 今日も今日もと 学びをばせで

用があるといって明日にのばし、明日はあすとて疲れたといって次に延ばし、
一向に勉強せずに日々を送るのは心得違いである。
毎日毎日勉強せよ。

似たるこそ 友としよければ 交らば われにます人 おとなしき人

友人を選ぶ時は、自分と似ている者を選びがちだが、自分を向上させるためには
自分より優れた見識を持つ人を友とするのが良い。

ほとけ神 他にましまざず 人よりも 心に恥じよ 天地よく知る

神も仏も自分自身の心のありようと同じものである。他人よりも自分の良心に恥じよ。
他人が知らないと思って恥知らずになってはいけない。
天地神仏は全てのことを見通している。良心を恐れよ。

下手ぞとて 我とゆるすな 稽古だに つもらばちりも 山とことのは

自分がいろんなことに下手だと卑下して努力を怠ってはいけない。稽古さえ積めば
少しづつ進歩して、遂には上手になれる。
ちりも積もれば山となるとのたとえもあるではないか。

科ありて 人をきるとも 軽くすな いかす刀も ただ一つなり

科(罪)のないものをもちろん切ってはならないが、たとえ罪があってその人を
死刑を行うにあたっても、軽々しく行ってはいけない。
殺人剣も活人剣も君主の心一つで決まるものであるから。

知恵能は 身につきぬれど 荷にならず 人はおもんじ はずるものなり

知恵や芸能は身につけても荷にも、邪魔になるようなものでもない。
多くのものをならって上手になるべきであろう。
世の中の人はその人を見て尊敬し、かつ己の及ばないことを恥じるであろう。

理も法も たたぬ世ぜとて ひきやすき 心の駒の 行くにまかすな

道理が通らず法も行われない乱世であっても、自分ひとりは正道をふんで克己心を奮い起こして正義と人道を守り通せ。自分の心の向くままに自暴自棄になって勝って放題するものではない。

ぬす人は よそより入ると 思うかや 耳目の門に 戸ざしよくせよ

盗人は他所から入ってくると思っているかもしれないが、本当の意味での
盗人は耳や目から入ってくるものだ。目や耳によく戸締りをせよ。
人の心の良知良能を良く保護、育成しなさい。心の鏡を磨き誘惑を退けよ。 ここから色々な悪いものが忍びこんできて、心を奪い身を滅ぼすのだ。

流通すと 貴人や君が 物語り はじめて聞ける 顔もちぞよき

たとえ自分がよく知っていることでも目上の人の話は、初めて聞くという顔で聞くのがいい。
決してその話は知っていることを言葉に出したり、顔に出したりするな。

小車の わが悪業に ひかされて つとむる道を うしと見るらむ

人はおのおのその職分を守って人は人たる道を尽くして行くのであるから忠実にまじめにその業に務めるべきである。
にもかかわらず、これをつらいことと考えるのは、わがままの情欲にひかれて転退している証である。

私を 捨てて君に しむかわねば うらみも起こり 述懐もあり

君に仕えるには全く一身をささげて我を捨てなければ、恨みも起こり不平不満もでる。
自分の一身をささげて君に仕えよ。
昔の武士が馬前に命を落とし殉死したのはこの考え方に従ったものである。

学問は あしたの潮の ひるまにも なみのよるこそ なおしずかなれ

学問をするには朝も昼も間断なく修めなければならない。
静かな夜が一番いい。

善きあしき 人の上にて 身をみがけ 友はかがみと なるものぞかし

人は自分の行いの良し悪しを知ることは難しいが、他人の行いの善悪はすぐに目に付く。
日ごろ交わる友人を見て良いことはこれを見習い、悪いことは反省せよ。
ソシテ自分の徳性を磨け

種となる 心の水に まかせずば 道より外に 名も流れまじ

私利私欲にかられて世の中の事を行えば、道に外れて悪い評判もたつ。
この悪の種を刈り取って、仏の教えに従って正道を行え。

礼するは 人にするかは 人をまた さぐるは人を さぐるものかは

礼を人に尽くすことは人に尽くすことの他に、自分を正しくして己を敬うことである。
天を敬って己を慎む心を養え。 どんな人に対しても謙遜な態度で接せよ。

そしるにも 二つあるべし 大方は 主人のために なるものと知れ

臣下が主人の悪口を言うののは二通りある。主人を思うあまり言う悪口と自分の利害から来る悪口である。
主人たるものは良く判断して自分の反省の資とすべきである。

つらしとて 恨みかえすな 我れ人に 報い報いて はてしなき世ぞ

相手から仕掛けられたことがどんなにつらくても相手を恨みを返してはならない。
次から次へと恨みが続いていきよくないことである。
恨みには徳を持って対処すべきである。

ねがわずば 隔てもあらじ いつわりの 世にまことある 伊勢の神垣

偽りの多い世の中、伊勢の皇太神宮は偽りのない神である。正しいものは正しく、
曲がったものは曲がったようになさる。
願う側が心の内に無理な願いを思い起こさねば分け隔てなく願いをかねえてくださる。

名を今に のこしおきける 人も人も 心も心 何かおとらん

後の世に名をのこした名誉ある人も、人であって我々と違いはない。
心も同じであるから我々とて及ばないということはない。
勇気を出して奮起して頑張ることが必要である。
日新公の自戒の歌であるとともに励ましの言葉。

楽も苦も 時すぎぬれば 跡もなし 世に残る名を ただおもうべし

楽しいことも苦しいことも永久的なことではなく、そのときが過ぎれば跡形もない。
その困難に耐えて自分の節を曲げず、世の為国のために一身を粉にして尽くすべきである。 ただ後世に名声をのこすことを心がけよ。

昔より 道ならずして おごる身の 天のせめにし おわざるはなし

昔から道に外れておごり高ぶった者で天罰を受けなかったものはない。
人は正道をふんでおごりを遠ざけ、神を敬い教えを守っていきなさい。

憂かりける 今の身こそは さきの世の おもえばいまぞ 後の世ならむ

いやなことの多い現世は前世の報いの結果である。現世の行の報いは後の世の
姿である。現世の行いを大切にしなさい。 仏教は因果応報の教えを説いている。

亥にふして 寅には起くと 夕霧の 身をいたずらに あらせじがため

( 午後 10 時)に寝て、寅(午前 4 時)に起きると昔の本に書いてある。
朝早く起きて夜遅く休むのも、それぞれの勤めを果たすためである。
時間を惜しんで勤労すべきである。 無用な夜遊びをして露のような自分の身を誤るようなことがあってはならない

のがるまじ 所をかねて 思いきれ 時にいたりて 涼しかるべし

君がため国のため命をかけなければならないときがやってくる。
日ごろから覚悟を決めておけば、万一の場合にも少しの未練もなく
気持ちが清らかであろう。武士の平生の覚悟を諭したもの。 人にはどうしても命をかけなければならないときがやってくる。日ごろから覚悟を決めておけば、万一の場合にも少しの未練もなく気持ちが清らかであろう。

思ほえず 違うものなり 身の上の 欲をはなれて 義をまもれひと

私欲を離れて、正義を守って行動せよ。私欲を取り去って心の鏡を明らかにすると
迷うことはない。
私たちは私利私欲の闇に迷い込みやすいから用心して心を磨きなさい。

苦しくと すぐ道をいけ 九折の 末は鞍馬の さかさまの世ぞ

どんなに苦しくても、悪事を行ってはいけない。正道をいきなさい。
鞍馬のつづら折の道のように曲がった道を歩んだものは、まっさかさまに闇の世界に落ち込むような目にあうものである。心正しい正道を歩みなさい。

やわらぐと 怒るをいわば 弓と筆 鳥と二つの つばさとを知

穏やかと怒るをたとえれば、文と武である。これらは鳥に二つの翼があるように自由に飛ぶために必要な二つの要素である。
どちらか欠いても役に立たない。寛厳宜しく使い分けて政治を行うべきである。

万能も 一心とあり 事ふるに 身ばしたのむな 思案堪忍

ことわざに「万能一心」というのがある。いかに万能に達するとも一心が悪ければ役にたたない。
人に仕えるためには、自分の才能にたのんで自慢めいた言動をしてはならない。
良く思案して堪忍して使えることが必要である。 良く思案して堪忍しなければ身を滅ぼすことになろう。

賢不肖 用い捨つると いう人も 必ずならば 殊勝なるべし

賢者を登用し、愚か者を遠ざけて政治を行えば、口に唱える人もその言葉どおり実行できるならば誠に素晴らしいことである。実行はなかなか難しい。

無勢とて 敵をあなどる ことなかれ 多勢と見ても 恐るべからず

少人数だからといってあなどってはいけない。また大勢だからといって恐れるに足りない。敵の強弱は人数ではない。
味方は少人数でも一致団結すでば大敵を破ることができる。

心こそ 軍する身の 命なれ そろゆれば生き そろわねば死ぬ

衆心一致すれば勝ち、一致しなければ敗れる。
戦いにおける教訓。

回向には 我と人とを へだつなよ 看経はよし してもせずとも

死者を弔って極楽往生を祈るには敵味方分け隔てなく、等しく祈りなさい。
読経するもよし、しなくてもよいのである。日新公は敵味方の供養搭を建て冥福を祈られた。

敵となる 人こそはわが 師匠ぞと おもいかえして 身をもたしなめ

敵となる人はもともと憎むべきものであるが、考えてみれば反面教師のようなものである。
すなわち手本ともなるものである。敵にも慈悲の心を忘れずに、自重自戒せよ。

あきらけき 目も呉竹の この世より 迷わばいかに 後のやみぢは

光あふれる世界である現世でさえ迷っているのに、死後の闇の世界ではますます迷うだろう。
早く仏道を修めて悟りを開け。

酒も水 ながれも酒と なるぞかし ただなさけあれ 君がことの葉

酒を与えても水のように思う者や、少しの酒で奮い立つ例もある。要は与え方の問題である。
人の上にたつ者は思いやり深く、情け深くあれという歴代藩主の教訓

聞くことも 又見ることも 心がら 皆まよいなり みな悟りなり

酒を与えても水のように思う者や、少しの酒で奮い立つ例もある。要は与え方の問題である。
人の上にたつ者は思いやり深く、情け深くあれ という歴代藩主の教訓。

弓を得て 失うことも 大将の 心一つの 手をばはなれず

弓矢の道に優れて、士卒に信服され、戦に勝も負けるもただ
大将の心の配り方ひとつにかかるものである。

めぐりては 我身にこそは 事えけれ 先祖のまつり 忠孝の道

先祖を良く祭るものは、死後においては子孫が良く祭ってくれる。
君父に忠孝なればなれば、子孫もまた忠孝を尽くす。
世の中は回りまわるののであり自分に帰ってくるから先祖の祭りや忠孝にはげむべきである。

道にただ 身をば捨てんと 思いとれ かならず天の たすけあるべし

正しい道であれば一身を捨てて突き進め、そうすればかならず天の助けがあるはずである。

舌だにも 歯のこわきをば 知るものを 人はこころの なからましやは

舌でさえその触れる歯の硬いことを知っている。
ましてや人においてはなおさらなことである。交わる相手の賢寓、仁不仁を察する心がなくてはならない。
世を渡るには人の心の正邪善悪をわきまえて、用心が必要である。

酔える世を さましもやらで さかずきに 無明の酒を かさむるはうし

この迷いの世の中、その上に杯を重ねて酔いしれ、迷いの上に迷いを重ねて歩くのは情けないことである。

ひとり身を あわれと思え 物毎に 民にはゆるす こころあるべし

たよる者がない老人、孤児、寡婦に対しては情けをかけて一層いたわれ。
人民に対しては仁慈の心で寛大に接しなさい。

もろもろの 国や所の 政道は 人にまずよく 教えならわせ

治める国や村の掟は、まず人民に良く教えさとした上で政治を行え。
教えないで法を犯したものを罰するのは不仁の仕方である。
よくよく知らせて刑に落ちないように気をつけよ。

善にうつり 過れるをば 改めよ 義不義は生まれ つかぬものなり

善にうつり、過ちは改めよ。元来、義不義は生まれつきのものではない。
心のありようで義にも不義にもなる。悪いと気づいたらすぐに改めよ。

少しきを 足れりとも知れ 満ちぬれば 月もほどなく 十六夜の空

なにごとも十の内 7 8 をもってよしとせよ。満月の次の夜の十六夜の月は欠け始める。
足るを知って楽しむ心が大事である。

知足安分の教訓を持って47首の締めくくりとしました。
首尾一貫薩摩藩教学の経典とされました

詩吟英洲流TOP >  いろは歌 > 日新公いろは歌

■Contents( totar)

詩吟英洲流英吟友会

英洲流紹介

行  事

健  康

おさそい

リンク

掲示板

音痴と思う人

腹式呼吸

歌唱法

吟詠の発声法

運動の発声法

弦の発声法

語り発声法

お腹が宇宙だ発声法

応用力学的発声法

音    階

音  階 2

うたの心

漢詩(漢文)について

和歌・俳句と詩吟

詩吟(吟詠)とは

吟詠の基本姿勢

姿勢が大切

吟詠の言葉遊び

言葉には魂が有る

Q&A

酵素風呂

ブログYahoo

ブログFc2

ブログgoo

尺   八

我家の花たち

tophuji.gif


詩吟(吟詠 )で音痴を直し健康になろう               詩吟【漢詩・和歌・俳句・新体詩・歌謡吟詠・民謡吟詠】





     

詩吟英洲流英吟友会TOP英洲流紹介基本行事健康音痴と思う人腹式呼吸発声法音階リンク掲示板ブログ(Ybb)ブログ(Fc2)

Copyright(c)2005  詩吟英洲流英吟友会 All rights reserved.