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地上げ?!

「地上げはどうですか?」
それは、なかなか希望の物件がない、とぼやくえいごんパパとゆうたろうママに向けて、Sさんの口から語られた思いも寄らぬ言葉だった。
「えっ?!地上げですか?」
えいごんパパとゆうたろうママは、その言葉を良く理解できず、固まってしまった。「地上げ=ガラの悪い人が札束をはたいて土地を買い上げ、転売して大儲け」という図式しか頭に浮かばなかったからだ。
固まった二人を見て、Sさんはすかさずフォロー。
「いえ、あの地上げというのは言葉が悪いかもしれないですけど、土地の掘り起こしをしてはいかがかと。待っていてもなかなか希望の物件が出てこないのであれば、こちらから地主を調べて売ってもらえるように交渉してはどうかということなのですが」
土地は、売りに出ている情報の中から良い物件を物色するものだと思っていたえいごんパパにとって、こんなやり方があるとは青天の霹靂であった。でも、うまくいくのだろうか。顕在化していない売り需要なんて本当に掘り起こせるのだろうか。
「そういう方法もあるということは解りましたが、果たしてうまくいくんですか」
「田んぼを持っているけど農業はやらない、というところは多いと思います。そういったところが相続だとか何らかの理由で田んぼを手放してもいいと思っているケースはあるでしょう。もちろん、調整区域でないことが大前提ですが。事前にえいごんパパさんと一緒に現地を見て候補地を決めておいていただければ、私のほうで所有者を調べ、交渉することはできます。交渉の結果がうまくいくかどうかは解りませんが」
えいごんパパとゆうたろうママは顔を見合わせた。ここのところ土地探しがうまくいかずお疲れ気味だったママの眼が明らかに希望の輝きを増している。これはお願いするべきだ!
「その方法、是非検討をお願いします」
「わかりました。ご希望の地区であたってみます」
えいごんパパ一家に希望の光が見え始めた瞬間だった(ように思えた)。

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