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------ 「英語で考える」とはどういうことか、考えてみたいと思います。
       通訳するということと、英語で考えるというのは、全く別なことですね。
       
yumi   そうですね。日本語を英語に訳す時は、その日本語を聞いて、日本語に引き
       づられないようにして、要旨から、英語の論理に組み直すとでも言えばいい
       のでしょうか。
       でもそのためには、ある程度の英語の表現が頭に入っていなくてはなりませ
       ん。たとえば、「食あたり」の場合は、英語では<disagree>を使います。
       Watermelon and tempura eaten together will disagree with you.
       こういう表現は、知らない限りは使えません。

------ 英語を日本語に訳す時は?

yumi   今度はその英語の言いたいことを理解して、日本語の表現にあうようにする
       わけです。ですから、英語も日本語もより多くのデータが頭にインプットさ
       れていなければなりません。
       ただ話せるだけでは通訳はつとまらないわけです。

------ 特に教養のある方は、ことわざなんかもよく使うから大変ですね。

yumi   そうなんです。聞いたこともないことわざが出てきたら、お手上げですね。
       英語の場合も、聖書やシェークスピアなんかが出てくると泣きたくなります。

------ 通訳をしないで英語だけで会話する時はやはり英語で考えているんですか?

yumi   「考える」というより、「反応する」という感じですね。
       頭の中の英語のデータベースの中にあることは、そのまま英語で反応できま
       す。でも、非常に複雑なことや知らない話題になった時は、日本語で一度、
       分析しなければ、だめですね。
       一度、「相撲部屋」の話題になった時、私は相撲部屋のシステムがよくわか
       らなくて・・・・まず自分の頭の中にある相撲の知識を整理して・・・・
       そういう時はやはり日本語のデータベースにアクセスするという感じです。

------ 日本語でも、私たちは一つの言い方の単語を入れ替えたり、置き換えて思考
       しているわけですね。同じように、英語で反応できるようになるためには、
       多くの例文がインプットされ、その単語を置き換えたり、入れ替えたりする
       わけですね。

yumi   あとは、例文を覚えても、それが発信型になっていなければ駄目だというこ
       とです。
       日本人は勉強熱心ですから、よく例文も暗記されるのですが、それがすぐ反
       応して出てこないことが問題だと思います。
       また、すぐ反応できるということは、その例文と自分の気持ちが一致してい
       るということになります。例えば、I feel sad.と言った時に、「悲しい」
       という言葉ではなく、<sad>という単語そのものから、感情が出てくるか
       ということです。

------ 気持ちと英語が一致するようになるためには、常に英語を使っていなければ
       難しいと思うのですが・・・・

yumi   そうですね。アメリカなど、英語しか話されない国にある程度の期間、留学
       していると、完全に英語漬けになるので、独り言も英語で出てくる場合があ
       ります。しかし、日本にいてそういう環境を作ることは難しいですね。週に
       2日間英会話学校に通っても絶対量が少なすぎます。
       ですから、自分の生活の中に、自分で考えて、英語に触れる一定の時間を作
       らなければなりません。しかも、ただ英語を聞くという受信型だけではなく
       自分で発話する発信型を練習しないと話せるようにはなりません。
       そこで有効な練習が「シャドウイング」です。ただの音読では、まず、発音
       が自己流になってしまいます。シャドウイングの良いところは、言葉を追い
       かけるのに精一杯なので、日本語に置き換える時間もなく、慣れてくると、
       そのまま英語で理解する習慣もつくということです。




------ 今まで「脳に英語の回路を作るにはどうしたらいいか?」ということで、
       色々と聞いてきましたが、簡単にまとめると

       ・英語の語順に慣れる
       ・基本的な構文や決まり文句を覚える
       ・「読む、聞く」の受信型ではなく、「話す」ことを中心にした発信型の
         英語の練習をする
       ・シャドウイングなどの練習で、口を英語に慣らしてすぐに反応できる発
         信型の英語の練習をする

       そして、このシャドウイング練習は、リスニングにも多大な効果をもたら
       すということですね。
       このような積み重ねの中で「英語でものを考える」ことができるようにな
       るわけですね。

yumi   私の経験から言うと、英語の上達は一年単位で考えたほうがよいです。積
       み重ねがあって、その蓄積が互いにつながっていくわけです。

------ まずは3年とよく言われますが、たしかに、年単位で考えるべきですね。
       「3週間で話せる」なんてことは有りえないですね。
       ある程度、知識が蓄積されると、その知識がお互いにつながっていくという
       のは私にもわかります。

yumi   あせらないことが大事ですね。でも、勉強した分だけ話せるようになること
       は確かです。その手前であせって、我慢できなくて、英語が嫌になる方もい
       ますが・・・
       まず、自分が気に入った参考書を完全にマスターしてから、次のものに移る
       ようにすることも大事です。

------ 実は私も楽な方法を探して、どんどん参考書を買ってしまいました。参考書
       を買うのが趣味になってます。(笑)
       ただ、そんな中で私が気が付いたのは、英語の語順になれることが大事だと
       いうことでした。昔、学校で習ったように後ろから和訳しないで、英語を頭
       から訳していくようにしていかないと、リスニングはできませんね。

yumi   そうですね。話す英語は待ってくれませんから、聞きながら、そのまま理解
       していかないと駄目です。これは日本人ならではの苦労ですね。
       基本的には英語は頭から訳して理解できるようになっています。

------ 翻訳のように、日本語らしく訳すには、後ろから訳す必要もあると思います
       が、これは日本語と英語の文法が大きく違うためですね。
       <主語+動詞+目的語>という語順と、<名詞+修飾のフレーズ>という語
       順は日本語にはないですからね。

yumi   日本語は<主語+目的語+動詞>、<修飾句+名詞>ですね。
       「私は、欲しい、その本が」というのが英語の感覚ですから、それに慣れて
       しまわなければなりません。
       慣れてくると、Select any books (which) you want. というように、先
       に本が来て、そのあとに説明の<you want>を足していけばいいわけです。

------ 先に名詞を出して、あとに説明をつける。このパターンに慣れると、話すの
       も楽になりますね。

名詞+不定詞のフレーズ
    an apartment <to live (in)>(住むアパート)
名詞+現在分詞のフレーズ
    a house <facing the south>(南を向いている家)
名詞+過去分詞のフレーズ
    a mansion <surrounded by trees>(木に囲まれたマンション)
名詞+前置詞のフレーズ
    a man <with plenty of money>(大金持ちの男)
    the day <before yesterday>(おととい、一昨日)
    the day <after tomorrow>(あさって、明後日)
名詞+関係詞のフレーズ
    the book <(which) you want>(あなたが欲しがっている本)
    the only one who trusted me(私を信頼してくれた唯一の人) 

yumi   そうですね。そういうフレーズが出るようになると、何かを説明する時にも
       楽になると思います。




------ 今回は、読者からの質問に答えてみたいと思います。まず、
      「よく英語で考えるのが上達の早道だと言いますが、英語で考えるとはどう
       いうことをいうのですか?」

yumi   これはよく聞かれる質問です。前にも触れたと思いますが・・・・
       結論を言いますと、「英語で考える」というのは、物や感情のイメージが
       英語で頭に定着しているかどうかの問題です。

       たとえば、「食べたい」という感情と<want to eat>という言葉が一致し
       て、頭に定着していれば、リンゴを見た時に自然に<I want to eat---->
       という言葉が感情とともに出てきます。

       これを「食べる=eat」というように、文字の上だけで学んでいれば、「食
       べたい」という時に、まず、日本語を思い浮かべ、それからそれを英語に
       変換するということになります。
       ですから、英語を学ぶ時は、そのイメージを浮かべて、もしくは実際に行
       動して英語を使う必要があります。

------ ある語学学校では、絵を見せて瞬間的に英語を言わせる練習をさせるそう
       です。それを何回も繰り返すと、自然に絵を見て英語が頭に浮かぶように
       なるそうです。

yumi   あとは、文法のルールも同じように頭に定着させなければなりません。
       英語というのは語順が決まっていますので、ルールが頭に定着すれば、あ
       とは語順の通りに単語を当てはめていくことになります。

       日本人は日本語に関しては、自然に日本語の語順をマスターしています。
       「主語+目的語+動詞」というものを身につけていますから、語順を間違
       うことはありませんね。
       しかし、英語の語順は日本語と大きく違うので、きちんと学んでルールと
       して頭に定着させる必要があります。

       その点、ヨーロッパ言語はお互いに文法ルールが似ているので語順に関し
       て間違いをおかすことが少ないわけです。前にも言いました通り、そこが
       日本人の不利な点です。

------ 私は時々、シンガポール人に日本語を教えていますが、日本語を勉強して
       いる外国人にとっては、「は」と「が」、「てにをは」の違いは、私たち
       が「the」や「a」、前置詞の違いを学ぶのと同じくらい難しいようです。

yumi   そうかもしれませんね。理屈だけでは説明できないものがありますね。
       ネイティブは体で文法を覚えているので、あらためて文法の説明を聞くと
       答えられないということもあります。日本人も、日本語の文法の質問をさ
       れても、きちんと文法を学んでいなければ答えられないですね。

------ そうです。私も今さら、日本語の文法を勉強していますが(笑)、日本語と
       いうのは複雑で例外が多いので驚きました。
       私もよくシンガポール人の友人に英語の質問をしますが、文法的な説明は
       苦手ですね。「普通はこういうから、こうだ」というような答えが返って
       来ることが多いです。

       一度、自動詞と他動詞について聞いた時も、彼は自動詞と他動詞の区別は
       意識していませんでしたし、「他動詞+目的語」で一つの動詞句のような
       感じで理解していました。つまり動詞の実際の使い方の中で、「この動詞
       の次に人がくる」というようなパターンで身についていました。

       こういうことはリスニングにも関係してきますか?
       「リスニングの秘訣はありますか?」という質問も多いので、一緒に考え
       てみたいと思うのですが・・・・

yumi   そうですね。日本語の場合を考えますと、私たちは次に来る言葉を予想し
       ながら聞いていると思います。
       例えば、「新しい車を欲しいのですが今は」と来れば、ここまで聞いただ
       けで「余裕がない」とか「買えない」というフレーズが予想できます。
       これは、私たちの頭の中に、言葉のパターンとルールが定着しているから
       できることです。

       同じように、英語の場合も、<give>がくれば、次に「人」と「物」など
       が来ることが予想できるわけです。また、構文もそうですね。
       このような英語のパターンやルールが頭に定着してくると、リスニングも
       同時に楽になります。

------ ただ、予想だけに頼ってリスニングをしていくのは危ないですね。

yumi   そうです。きちんと単語を聞き取る姿勢がないと間違えた予想をしてしま
       います。そういう意味では、やはりシャドウイングなどをしっかりやって
       単語を聞き取る集中力を養うことが大事ですね。

------ 後は音の問題ですね。英語は漢字と違って表音文字ですから、本来は音で
       意味をなすわけですね。ですから、正しく発音しないと通じないですし、
       聞き取りもできないですね。

yumi   そうです。今まで何度も触れてきた通り、英語の単語を文字で覚える勉強
       をしてきた方が多いと思いますが、本来、言葉は音から入るべきです。
       ですから、常に単語を音で覚える癖をつけなければなりません。
       また、イントネーションが違うとやはり通じませんから、それも合わせて
       確認してください。