生きていて、ずっと・・・・・・

 

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 生きていて、ずっと・・・・・・

 生きるものには死が待ってる・・・・・・それはよくわかってる・・・・・・

 でも大好きな人たちには生きていて欲しい・・・・・・その思いは消せない・・・・・・

 お願いだから・・・・・・私の大好きな人・・・・・・生きていて、ずっと・・・・・・

 ユキ、カイン、マリア様・・・・・・

 生きていて、ずっと・・・・・・

 

私の名前はアルト。本当にこの名前だったわけじゃないと思う。私は両親の顔を知らない。孤児だった。戦争の影響で死んでしまったのか・・・・・・私を捨てたのかはわからない。記憶がはっきりしているのはあの人にあった時・・・・・・緩やかなカーブを描いた淡い金の長い髪に綺麗な蒼い瞳、鈴をならすような綺麗な声・・・・・・ラリファ王国の王妃、マリア様だった。私はマリア様に拾われ、名を貰って、お城に引き取られた・・・・・・。

 

「ここがあなたの部屋よ」

マリア様は幼い私の手をとってこぢんまりとした、でも綺麗にされている部屋に連れて行ってくれた。先に手配してたのか部屋はピンク色の可愛い洋装になっていた。くまのぬいぐるみまで持たせてくれて・・・・・・マリア様は私の頭を優しく撫でてくれた。

「気に入った?」

「うん!」

私は元気よく答えた。マリア様は天使のような優しい微笑みを私にかえした。すると視線を少し先にやって誰かを手招きした。

「ユキ、いらっしゃい。この子はアルトちゃん。仲良くするのよ」

マリア様は私と同じくまだ幼かったユキを抱き寄せて私と目が合うように向かい合わせた。ユキはマリア様によく似ていてとても愛らしい男の子だった。ユキは人見知りするのかちょっと恥ずかしそうにしてたけど思わずこちらも微笑んでしまうような笑顔を向けて、よろしくね、と言った。

 


 しばらくして私は14歳になった。それまではメイドさんのように家事のお手伝いみたいなことをした。マリア様はユキや貴族の息子であるカインといっしょに私にも教育を受けさせてくれた。本を読んだり歴史のお勉強をしたり・・・・・・眠くなりそうなこともあったけどとても面白いなと思うことも多かった。

「アルトちゃん、あなたも大分大きくなったし武芸のお稽古してみてはどうかしら?」

マリア様は優しい笑顔を向けながら私にそう言った。

「え? どうしてですか??」

「う〜ん、ラリファはセレーネの主席国家なのね、だから戦にたつことも多いわ。だから女の子といえど武芸はたしなんでおいた方がいいと思うの・・・・・・それに・・・・・・」

「それに?」

「戦う女の子ってかっこいいじゃない!」

私は・・・・・・ちょっと拍子抜けした・・・・・・。マリア様は慈愛に満ちていてしっかりとした方だけど・・・・・・少し抜けてるところがある・・・・・・そんなところも含めて私は大好きだけど。

「武芸身につけたあかつきにはユキの護衛に任命するわね! カイン君といっしょに!」

それには・・・・・・賛同した・・・・・・・ユキのことは守りたい。いつも笑顔で優しく接してくれるユキは・・・・・・私にとってすごく大事な存在だから。そう決意して私とカインは武芸の稽古を訓練所で始めた。カインは力があるみたいで重い剣を振り回すことも出来た。一方私はといえば力はまあ女の子だしそんなになくて・・・・・・軽い剣じゃないと戦いなんて無理そうだった。これだと威力はあまりなあ・・・・・・。

「いいじゃないか。女なんだし馬鹿力ってのもどうかと思うぞ」

カインは顔を洗ってタオルで拭きながら私にそう言った。うん、一理ある気もする。

「魔法は? おまえ少しは使えるようになったんだろ?」

「うん、でもそんなに才能があるわけじゃないみたいだし・・・・・・」

「う〜ん・・・・・・」

カインは腕を組んで悩みだした。ちょっとキツイ性格だけどいい奴だからね・・・・・・。

「おまえ小柄だからかスピードはあるよな、それを活かすってのはどうだ?」

「どんなふうに?」

カインはまた頭を捻った。すると入り口からマリア様が手を振りながらやってきた。

「アルトちゃん! プレゼントよ!」

王妃様なのに護衛もつけないで・・・・・・おてんばなのかな・・・・・・。カインも苦笑いしてた。

「はい、これ、新しいアルトちゃん用の武器♪ 特注品よ!」

マリア様がそう言って渡してくれたのは白い綺麗な文様のついた細身の剣2本だった。

「これは??」

「アルトちゃん俊敏だって聞いたからぜひ二刀流なんかどうかなって♪」

「俊敏だと二刀流なんですか??」

「う〜ん、だってかっこいいと思うのよ! 二刀流で戦う小柄で可愛い女の子! あ、これは気合いオプションね♪」

マリア様は暢気にもそう言うと私に赤いはちまきを手渡した・・・・・・額に巻いて気合いを入れろってことみたい・・・・・・私はマリア様の好意を無駄にしたくなかったし巻いてみた。

「かわいい〜! はちまきってこんなに可愛いものなのね!」

マリア様は満足そうにそう言った。可愛いのかな・・・・・・鏡が前にあるわけでもないからわからないし・・・・・・その後鏡見てみたけどとくに可愛いとは思わなかったな・・・・・・。

「ありがとうございます、マリア様。大事にしますね」

「どういたしまして♪ 稽古がんばってね!」

 


 マリア様に手渡された剣はかなり上質のものだったらしい。稽古をつけてもらっているラリファ軍の上級兵士の人がそう教えてくれた。兵士のなかで二刀流の人は少なかったけどマリア様の要望ということでその人に稽古を見てもらえることになった。そうして1年間訓練を積んでいった。私もカインもラリファ軍の兵士というわけではなかったけどラリファ軍新人模擬戦闘大会に出ることになった。1回戦が新人兵士たちで行われているのを熱気に包まれたラリファの闘技場で私もカインやユキ、カインの両親、ユキのお兄さんのセキ王子、マリア様にシエ国王陛下と見守った。闘技場はスポーツ大会が開かれることもあるけど、石造りの荘厳なつくりはこういう戦闘の方が向いてると私は思った。青空の下、まだ私たちともそんなに年の変わらない新人兵士の人たちが自分の成果をラリファの国民にアピールするように一生懸命戦っている姿は爽やかで晴れやかで私にすごく清々しい印象を与えた。試合観戦にも熱狂してていつの間にかカインは席をはずしていた・・・・・・ああ、カインもう出番か・・・・・・ちゃんと送り出したかったのになあ・・・・・・。視線を試合に向けると、その試合が終わりカインと相手の新人兵士が中央へ向かっていた。カインは真剣な表情でお辞儀をした。客席の女の子が何人かカインの応援をしてるのが聞こえた。いつもはあんまりそういう風には思わないけどカインって結構かっこいいんだな・・・・・・と私も思った。

「はじめ!」

審判の人の声を合図に試合がはじまった。兵士の剣はカインのものより細身で素早く攻撃を仕掛けていた。カインはというとそれを剣で受け止めてばかりで攻撃は仕掛けていなかった。力押しのイメージのカインにしては違和感があったけど・・・・・・、休みなしに攻撃してたせいか兵士の攻撃のスピードは少し落ちたように見えた。どうやら力も抜けてきたらしくカインは剣を思いっきり上に振り上げて相手の剣をなぎ払った。

「そこまで! 勝者、カイン!」

客席から歓声があがった。ユキも仲良しのカインが勝って嬉しそうに拍手してた。私はカインがちゃんと冷静に戦っていることに驚いてた。正直カインって・・・・・・頭わるそ・・・・・・いや、でもたしかに冷静な部分は多かったし・・・・・・ちょっと悔しいかもと思った。

「アルトさん、そろそろですよ」

「は、はい!」

私の出番も近づいたらしく係の人が呼びに来た。やっぱり緊張してしまって私は上ずった声を出してしまった・・・・・・ちょっと恥ずかしかった。

「がんばってね! アルトちゃん!」

「応援してるね」

マリア様とユキが笑顔でそう私を送り出してくれた。負けたくないな・・・・・・緊張はしてたけど不安とかそういうのは無くなってきた。係の人の誘導で私は中央へ出て行った。相手は・・・背も高くってがたいのいい兵士だった・・・・・・たしかに年は私と同じくらいだけどさ〜! ちょっと考慮してくれたっていいじゃない! ・・・・・・心で叫んだ・・・・・・。

「アルト! がんばって!!」

ユキの声が聞こえた・・・・・・ユキにはいいとこ見せたい・・・・・・こいつに勝てばかなりなんじゃない? 何がだとかひとりでつっこんでみたり・・・・・・私は意外に余裕だった。

「はじめ!」

審判の声が耳に入り私はカインとは違いバッと飛び出した。相手の剣はカインのものほどではなかったけど大きいものだった。剣を受け止めてみた・・・・・・力はすごい・・・・・・でも動きが訓練つけてくれてる人とくらべると遅い・・・・・・私はそれだけ認識してみた。剣を受け止めると正直力の差は明らかだから私の体力が削られるのはたしか・・・・・・だから極力よけることにした。ちょこまかと避けられて段々向こうのスタミナを削っていくことに成功してきたみたい・・・・・・相手の攻撃を右手の剣で受け止めた。片手で受け止めることに成功した私は左手の剣をのど元につきつけた。

「そこまで! 勝者、アルト!」

歓声がきこえた。私は誇らしく試合後のお辞儀をした。客席を見るとユキやマリア様が立って拍手してるのが見えた。シエ陛下も満足そうに頷いてくれた。光栄で嬉しくて、私はとびはねたくなったけどそれは幼いな〜と思ってやめて、席に戻った。

 


 試合はどんどん進んで私もカインもそれなりに進んだけど
3回戦で敗退してしまった。あと少しで準決勝・・・・・・しかもお互い勝てば戦えたのになあ・・・・・・ちょっと残念。

 

「でもいいとこまでいったよな俺たち」

「そうだね」

競技が全部終わって私たちはラリファ城に戻った。優勝はできなかったけどお互いに力をだしきったことに満足してカインと風にあたりたくなって中庭に出た。

「ユキの護衛はつとまるよな」

「うん、でもまだ訓練必要だよね」

「そりゃそうだろ・・・・・・負けねえからな、アルト」

「当然、私だって負けないからね!」

夕日をバックに青春友情物語・・・・・・そんな感じに私とカインは握手をした。共にもっと強くなれるよう健闘を祈って・・・・・・。

 

 
 稽古をしながらもユキやカインとふざけあって楽しい日々が続いてた・・・・・・
16歳になって・・・・・・戦争が起きた。城が落とされた・・・・・・私はカインとユキを守ることだけに集中して城を抜け出した。ユキはすごくショックを受けてた・・・・・・話をきいたら・・・・・・お兄さんのセキ王子への疑惑があがるような光景を見たみたいで・・・・・・。私たちは故郷を追われた。キリンさんたちと合流してセレーネを守ってヘリオス軍をやっつけてやろうと意気込んだ。コロンのお城で休むことになって、3人で部屋で今まであったことを整理してた、ユキはお手洗いに行くといって部屋を出て・・・・・・。

「アルト、カイン・・・・・・いいか?」

部屋にそう言って入ってきたのはキリンさんの部下のハヤトさんだった。いつも威勢が良くてかっこよくていかにも女の人にモテそうだなとか前から思ってた人だけど・・・・・・今回は何か辛そうな表情をしてた。

「ちょっと来てくれ・・・・・・ユキ王子を慰めてやってくれないか・・・・・・」

「え?ユキに何かあったの??」

私がそう尋ねるとハヤトさんは更に辛そうな顔をした。

「ユキ王子のご両親が亡くなったんだ・・・・・・」

私は頭が真っ白になった・・・・・・シエ国王陛下と・・・・・・マリア様が・・・・・・。

「アルト・・・・・・行こう」

カインも動揺してた。でもユキはもっと辛いんだろうと思って・・・・・・私たちはハヤトさんについていってユキのところまで行った。ユキはシオンさんとヘイナさんに支えられて涙をぼろぼろこぼしていた。声もなく・・・・・・ただ泣いてた・・・・・・。

 

 
 夜になってユキも寝付いたしカインがいるし・・・・・・。明日のためにも私は自分にあてられた部屋に戻ろうとした・・・・・・でも、何かやるせなくなって私は屋上へと駆け出した。屋上には優しい風が吹いていて・・・・・・人もいないようで広く感じられた。星空をぼんやりと眺めて・・・・・・穏やかさと逆に私は悲しくてその場に崩れ落ちた。

「マリア様・・・・・・」

マリア様は恩人だった・・・・・・身よりも何もない私をひきとってくれて、目をかけて優しくしてくれて・・・・・・私は母を知らないから・・・・・・マリア様が母親だった・・・・・・優しい笑顔を向けてくれるマリア様・・・・・・王妃様の言動とは思えないくらいお茶目なマリア様・・・・・・孤児だからと街の子にいじめられた私を慰めてくれたマリア様・・・・・・今までのマリア様の笑顔が頭の中に次々と思い浮かんで・・・・・・でももうその笑顔は見ることができなくて・・・・・・私は・・・・・・泣いた・・・・・・ユキと違って大声をあげて・・・・・・。

 


 散々泣いた後、部屋に戻った・・・・・・部屋でも散々泣いたけど・・・・・・次の日、会議室でこれからの作戦を話し合うために部屋を出ると、ユキとカインが待っててくれた。

「おはよ」

「おはよう、アルト・・・・・・大丈夫? 泣いてたの?」

ユキの笑顔を見て私はハッとした。いつも見る優しい笑顔だけど・・・・・・慈愛に満ちたまるで天使のような・・・・・・マリア様そっくりの笑顔だった。

「ううん、平気! 会議室、行こう!」

そう言うとユキも頷いて会議室へと向かった。泣いてばかりいるわけにはいかない、私はまだ戦わないと・・・・・・これ以上大切なものを失って泣くのはごめんだから・・・・・・ユキを守りたい。カインと約束したし、私ともそう約束した。それにユキはマリア様の忘れ形見だからね・・・・・・。廊下の窓から差し込む光は明るくて優しい・・・・・・それはマリア様の雰囲気とよく似ていた。

「マリア様、安心してくださいね、ユキは必ず守ってみせます」

窓の外の木々が・・・・・・優しくそよいだ・・・・・・まるでマリア様が安心したわ、と笑顔で答えてくれたような気がした・・・・・・。

「ユキ、カイン・・・・・・せめてあなたたちだけでも・・・・・・」

私は窓を開けて爽やかな風に髪を揺らしながら祈った。

「生きていて、ずっと・・・・・・」

ただ・・・・・・祈った・・・・・・。


〜あとがき〜
アルトのお話で、ラト様捧げ文でした♪いつも元気なアルトですがこの子は孤児という設定なんですよね。でも優しいマリア王妃に育てられて元気な女の子になりました。マリア王妃はもっとしっかりした設定だったんですけどほんわかした王妃様になってしまいました。ユキはマリア王妃にそっくりな設定です。なのでマリア王妃はかなりの美人さんという設定ですね♪アルトがユキを好きになったきっかけは実は敬愛するマリア王妃に似てるから・・・です。マザコン出現(!?)
当初もっと暗い感じになりそうだったんですが街に出て、のエピソードを戦闘訓練や大会にしてみたらカインとの友情物語入ったお話しになりました。
ラト様、こんな感じに仕上がりました・・・一人称話は苦手なのでちょっと時間かかったかなと思うのですが・・・
今後もアルトを応援してやってくださいな♪