『city & life』no.76 summer 2005
「路地・横丁空間からの都市再生」
エンテツ、「私の下町路地のぞき事情」を書く。

(05年7月23日掲載)

拙稿「「横丁学」オモイツキ」が、『近代庶民生活誌18 下町』(三一書房)の」付録「月報20」に載ったのは1998年1月だった。それは、ザ大衆食のサイトに転載したのち、こちらのサイトに移動し、ご覧いただけるようになっている。……クリック地獄

ウダウダ書いているが、ようするに、横丁をつぶしてゆく再開発「通り」優先一辺倒ではなく、「通りも横丁もアリ、の東京にならんか」ということだ。もちろん「通り」を不要とするのではない。「横丁」だけでイイってものじゃない。これまでの近代化の「都市計画」は、横丁を蔑ろにし排除しつづけてきたところに、深いモンダイがありはしないか、ということだ。そして最後に課題のところで、こう書いた。

今日、横丁というと、多くは敗戦後の闇市マーケットの系譜である。ファッショナブルな通りには、もはやそれほど新しい創造がないという閉塞のなかで、いまこの下世話な横丁世界にものめずらしさを発見し、知識としてウリにしようと。ま、どのみち創造からは遠く、私もその片棒をかついでいる。それが、横丁をめぐる最新の動向なのだ。

1980年代中ごろから顕著になり、続いている、「東京江戸ブーム」「町歩きブーム」「下町ブーム」あるいは「B級」の概念に包括される各種のブームなどは、そういうものだった。そしてそれらは、東京マーケティングの荒野にかろうじて残っていた青々とした雑草を刈り取るだけで、なんの創造力もなかったのである。だから、その片棒をかつぎながら収入を得ている自分に、どうもマズイなと思いながら、こう締めくくった。

そこはそれ、浮世というものだから、であるが、こういう横丁だけが横丁ではないし、無名の横丁の方がはるかに多い。またかなりの面積と人口を有している。横丁を、現実と未来のなかに見直したい、「横丁学」オモイツキ。

東京マーケティングは、東京の過去の文化をくいつくし、さらに見捨てられたように残っていたビンボー大衆的な生活分野にまで触手をのばしている。近年は「下町大衆酒場ブーム」や「立飲み酒場ブーム」なども派生し、しがない庶民の憩いの場まで、ペンペン草も刈り取る勢いなのだ。こうして東京は、ツルンとした最終荒野へむかう。

あらゆるブームがそうであるが、経済活動の傷跡だけを残し、ブームが去ったあとには、焼け野原のような荒野しか残らない。知的な、あるいは良心的な、装飾にすぎなくなった創造的ナ気分、ウリだけのマーケティングの追求が、それをもたらす。過去をくいつぶすだけが「温故知新」とはね、しゃらくせえ。ああ、もう、絶望しかない。

……ってことでもないんだな、コレガ。



というわけで、ここに紹介するのは、(財)第一住宅建設協会 発行の『city & life』no.76 summer 2005だね。ま、おれも原稿を書いているのだが。

この一冊丸ごと特集のテーマは、なんと、「路地・横丁空間からの都市再生」なのだ。自分たちが捨ててきた、路地や横丁でレトロ観光しようというのとは、わけがちがう。「再生」という未来への創造なのだ。

「対談 路地はなぜ必要か」 安原秀×橋爪紳也
リードには、こうだ。「路地はさまざまな魅力をもつ空間だ。路地空間のもつメリットに目を向けよう。そして、路地空間をむしろ都市再生の起爆剤にしたい。」

以下、このように続く。
「サーベイ 復活!法善寺横丁 蘇った路地空間」
「路地・横丁Report 大阪編」
「路地・横丁Report 京都編」
「ルポ 路地はコミュニティ 「向こう三軒両隣」のまちづくり」
「ルポ 「路地っぽさ」を演出する 路地の時代の商業施設」
「インタビュー 路地から見る都市の未来」青木仁
綴じ込みMap「路地・横丁Report 東京23区編」


おおっ、まさに「横丁学」オモイツキのような……おれって、先見の明というか、カンがいいんだよなあ、それで早すぎてソンをするんだが。自画自賛!または自損。

おれは、この綴じ込みMapにコラムを書いた。題して、「私の下町路地のぞき事情」。素晴しい!いい味だしているっ。自画自賛!

読めないか

そして、もう一つのコラムは、法政大学工学部都市環境デザイン科の学生、吉祥寺の「ハモニカ横丁」の研究をやっている、井上健一郎さんだ。「吉祥寺らしさと高円寺・阿佐谷らしさの違い」を書いている。素晴しい! いまどきの若者、バカとはかぎらない。ま、むかしからそうなのだが。

彼は、このサイトの横丁トップにリンクがある、「ヤミ市横丁研究所ブログ」をやっている。つまり、Webの横丁つながりで出会ったのが、この原稿になるキッカケだったのだ。いやあ、細々と、この横丁のページを続けていてよかった。

このように若いひとが、横丁・路地に関心を持って、これからの都市を考えようってことだから、絶望なんかしてらんないね。

でも、やっぱり、東京は最終荒野へと向かっているよ。そのあとのために、こういうことを、やっていく必要があるのさ。ま、東京なんか、どうだっていいのだけど、東京マーケティングと心中はしたくないからね。

この『city & life』は、季刊である。財団法人第一住宅建設協会、千代田区丸の内3-1-1国際ビル4F 03-5221-5826 の発行。企画委員には、日端康雄(慶應大学教授)、陣内秀信(法政大学教授)、林泰義(特定非営利法人玉川まちづくりハウス運営委員)、小谷部育子(日本女子大学教授)、赤木申覧(協会理事)、佐藤真(株式会社アルシーブ社)が顔をそろえる。ちかごろでは「メセナ」とかいわれる企業出版物に分類されるものだろうが、文化を標榜する営利出版社のブームやウリやマーケティング意識の商業出版物より、社会的責任や文化的責任を感じられ、おれは丸の内あたりにある大会社には関心がないのだが、好ましい出版物である。

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