宝塚エコネット
松尾湿原の保全活動









 松尾湿原について

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 ☆松尾湿原概要
 宝塚市北部の西谷地区、宝塚市立宝塚自然の家敷地内にある小規模な湧水湿原で、宝塚市の天然記念物に1978年(昭和53年)3月に指定されており、2012年には兵庫県の北摂里山博物館の一つにも指定されました。
湿原の前面には観察広場があり見学者の荷物や資料を置くことができる木製の机などが設置しています。
 観察広場、湿原周囲の観察道路や観察橋から間近に多くの貴重なサギソウなどの湿原植物やハッチョウトンボを観察することができます。

☆松尾湿原のなりたち
 松尾湿原は3方を丘陵地(低い山地)に囲まれた緩やかな傾斜を持つ谷に発達した湧水湿原です。
成り立ちは定かではありませんが、おそらくは昔の地すべりの跡にシルトが溜まり、周囲の丘から流れる浅い地下水が地面にしみ出て,シルトの上をゆっくりと流れ出ることにより発達したものと思われます。

☆湿原面積
 松尾湿原は昭和53年(1978年)3月20日に天然記念物に指定され、その時点での面積は178平方メートルとなっていました。
2007年10月の調査では、231平方メートル、2012年1月に観察広場の30平方メートルを湿原化し、現在261平方メートルとなっています。

☆保全体制
天然記念物に指定されていたこの湿原は1980年には遷移が進んでおり、このままでは湿原の消滅の懸念があり姫路工業大学(当時)の服部教授の指導の下に、宝塚市自然の家、宝塚市自然保護協会(宝塚エコネットを含む)等により2002年から下記の三点の保全活動を開始した。
 @湿原への水源機能を向上、及び陽当り改善のために周囲に茂っている常緑樹の伐採
 A周辺部のネザサや草木の刈り取り
 B湿原の土壌が富栄養化にならないように毎年枯草の刈り取り、及び落ち葉のかき集めと撤去
 2007年からは引き続き宝塚エコネットが主体となり,上記@AB以外に毎年湿原に生育している主な植物の生育場所と本数を調査記録して植生マップを作っています。

☆植生調査
  ( (蒲「と水辺研究所勤務 )福井先生のご指導により、毎月1回を原則として保全活動及び各種の調査等を実施しています。
  調査に先立ち湿原の地図を作成し、湿原には5m間隔の標識を設置しています。
 調査結果は毎年報告書を発行しています。
2013年度の報告書を一例として掲載します。 2013年度 植生調査報告書(2014年5月発行)

☆湿原植物
 
松尾湿原の天然記念物指定時に設置された標識に記載されている植物はアギスミレ、アブラカヤ、ウメバチソウ、オオミズゴケ、オニスゲ、カキラン、キセルアザミ、コイヌノハナヒゲ、サワギキュウ、コマツカサススキ、サワヒヨドリ、ショウジョウバカマ、チゴササ、セイタカハリイ、トダシバ、ヒメシロネなどがあります。
 
2012年度の「植生調査報告書の一覧表」に松尾湿原で確認された湿原植物30種類(他の種類を含めて94種類)を記載しています。

☆.ハッチョウトンボ
 兵庫県レッドデータブックでCランク(環境省の準絶滅危惧種に相当)になっているハッチョウトンボが、2012年6月に初めて数匹確認されました。詳細な生息数の調査は、宝塚市自然保護協会と協働で2012年7月14日に行い19匹を確認しました。
 松尾湿原で30年ぶりに確認されたことは、湿原の保全活動の成果の一つと思われます。

☆環境学習など
一般市民参加による保全活動体験、及び花やハッチョウトンボの観察会も行っています。

以下に松尾湿原の保全活動の代表的な記録写真を掲載します。
松尾湿原のハッチョウトンボ(成熟個体♂) (2012.7.14) ハッチョウトンボ観察会 調査で152匹を確認した。(2018.7.14)
松尾湿原で30年ぶりに確認されたハッチョウトンボの未成熟個体
2012.6.8に伊藤会員が撮影し、宝塚市自然保護協会足立氏に同定の依頼を行い、ハッチョウトンボと確認された。
ハッチョウトンボの生息数の調査を自然保護協会の足立会長の指導により全員で行ない、19匹のハッチョウトンボを確認した。
調査後の集合写真(2012.7.14)
観察広場の湿原化への取り組み(2012.3.25) 観察広場の湿原化拡張作業完了(2012.5.30)
松尾湿原に案内看板の設置(2010.8.7) 花の観察会への参加者集合写真(2010.8.21)
モニタリング域の設置2007.6.10 観察広場の湿原拡張域の植生調査(本拡張前)

伐採作業もチョット一休み

保全活動に使用する作業工具(2006.4)

切り倒した樹木の収集と短く切断する作業 一般市民参加による伐採体験