ノリ


ノリ、海苔


佐野洋子「バチが当たった」、『ふつうがえらい』新潮社


 私が一番好きなことばは「神は細部に宿る」というもので、米の飯が銀色にねっとり光っていたりすると、実に神は細部に宿っていると思い、「ほっ、ほっ、おいしい」とのりのつくだ煮などをのっけて、うれしいのである。

 

武田百合子「お弁当」、『ことばの食卓』筑摩書房


 おべんと御飯(煎り卵ともみ海苔の混ぜ御飯)か、猫御飯(おかかと海苔を御飯の間に敷いたもの)であれば、私は嬉しい。

 

藤沢さとみ、『ハーフラバーズ』近代出版社

 部屋に入って、母がお土産に、と持ってきた「かしわ弁当」を食べ始めた。ひと口食べたら、涙がこぼれた。母の泣く姿。やっぱり許してもらえないのかな?女として、生まれ変わってはいけないのかな?母の小さく震える後ろ姿が、目の奥に浮かんでは消えた。
 甘く味付けされた鶏肉と錦糸玉子、それから刻み海苔、きれいな三色のこの駅弁が子供の頃から大好きだった。頬ばるたびに、記憶の中の懐かしい母の匂いがした。

 



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