| 今月の特集は先月に続きDUANE ALLMANを偲んで、彼が愛用したアコースティック ・ギターを、無謀にもアコギ音痴のわたくし寿庵皆男がちょっとだけ研究してみました。 |
| Duaneが弾いているアコースティック・ギターは、リゾネーター以外で私が知る限りではメタルのスライドバーを使って弾いている三角のネックヒールを持つ小さなギター(画像左)と、歌いながら弾いているかまぼこ型のヒールを持つギター(画像右)の2本しかありません。 |
| 小さな方はRANDY POE氏著「SKYDOG」の"The Guitars Of Duane Allman"ではGibson L-00(画像右)との記述がありますが、左の画像を見るとロッドカバーが無い点から見てKalamazoo KG-14と思われます。KalamazooはGibsonのセカンド・ブランドでKG-14はGibson L-00の廉価版にあたり、相違点はトラスロッドが入っていない事、時期により3フレットと15フレットのポジションマークが無い事が挙げられます。 |
| 同じギターをディッキーも弾いている(画像上)のでもしかするとDuaneのではなくディッキーの物だったのかもしれません。 |
| 一方かまぼこ型のヒールを持つギターは画像(左)を見るとGibson Heritageだと分かります。Duaneの周りに66ストラトやツインリバーブが有り、アワグラス時代の画像(右)の別テイクのようなので、年代的に65〜67年製のヘリテイジではないかと推測されます。 |
| ベッドサイドでKG-14を持ったディッキーとセッションしている時(画像左)やデラニー&ボニーとのステージ(画像右)でも手にしていますね。 |
| D&Bの時はコリシディンのボトルでスライドを弾いているようです。 |
| さて、いざDuaneと同じアコギを探そうとしたものの、Gibson L-00に比べてKalamazoo KG-14はタマ数が少なくなかなかコレという物に出会わなかったのですが、最近見つけたこのKG-14は通常のマホガニーのサイド・バックを持つサンバースト(あるいは黒)フィニッシュ仕様とは異なり、メイプルのサイド・バックを持つナチュラル・フィニッシュの仕様でした。状態はあまり良くなかったもののフレイム・メイプルの美しさに魅せられて入手しました。 |
| ネックヒールは三角です。この角度で見ると綺麗なサイドのフレイムが良く分かります(画像左)。トップは良い具合にクラックが入ってファイアー柄のピックガードと相まって一層趣を増していますね。(画像右) |
|
ヘッド形状はGibson L-00と同じでロゴがなんとも趣のある書体で「Kalamazoo」と入ります。(画像左) ペグはクルーソンの3連オープンバックですが、ノブのみ交換されています。(画像右) このKG-14を入手して最初に弾いたのが「リトル・マーサ」(勿論ちゃんと弾ける訳もなくかなりナンチャッテですが)。本物はDuaneとディッキーのデュオですが、2本の内あの暖かい方の音色そのものでした。 |
|
さて、お次は初期型ヘリテイジですが、正確な生産本数は分かりませんがあまり売れなかった事もあって現在の市場でも売り物を見かけることは極めて稀です。当然ながら欲しがる人も極めて稀と思われます(笑)。
この初期型ヘリテイジも長い間探していたのですが最近になって漸く見つけました。以前見つけた事があるのですが、ボトムベリーブリッジだったので残念ながら見送り今回漸くDuaneのものと同じトップベリー仕様のものを見つけ迷わず購入しました。 |
| 1965年発売当初はトップベリーブリッジ、その後J-45等と同じく1969年頃にボトムベリーブリッジになったようで、Duaneのものはトップベリー(画像左)、ジョン・ハモンドが弾いているのはボトムベリータイプです(画像右)。最初はジョン・ハモンドが弾いているヘリテイジはDuaneからの借り物かと思っていましたが別物だったことに最近気が付きました(笑)。 |
|
ヘリテイジは1965年にスプルース・トップ、ブラジリアン・ローズウッドのサイドとバック、エボニーの指板とブリッジという、マーチンD-28同様のスペックを持つシンプルなドレッドノート・タイプのギターとして誕生しました。しかしあまり売れなかったのか1968年にはサイド・バックが合板になり1969年には前述のようにボトムベリーブリッジに変更、以降数回のマイナーチェンジを受け1982年まで作られたようです。1972年頃にはヘリテイジ・カスタムも追加されましたが、このモデルは通常のヘリテイジが既に合板に変更されていたサイドとバックを単板にして派手な形状のエボニーブリッジ、ブロックインレイを与えられた豪華バージョンで、こちらは市場でも時折見かけることが出来ます。
1967年製の初期型を購入した直後に1973〜75年製のカスタムも見つけ、比較の為に入手しました。フロント(画像左)の佇まいは全く印象が異なりシンプルな初期型に比べカスタムは派手ですね。バック(画像右)は材質の違いが一目瞭然で、同じスクエアショルダーながらカスタムの方がより角張っています。 各部を見ていきましょう。 |
|
初期型(画像左)のヘッドはJ-45等と共通のデカールロゴを持つタイプで、この個体はグローバーが純正装着されています。 ヘッド裏(画像右)を見るとグローバーはパテンドペンドで、各パーツのエッジが立っているのが瑞々しいです。 |
|
カスタム(画像左)のヘッドは大きくなりインレイが入れられます。iドットレスのGIBSONロゴが渋いですね。またロッドの仕込み方の変更に伴いロッドカバーが「Heritage」と刻印された3点留めになります。 ヘッド裏(画像右)を見るとGIBSON刻印のシャーラーが装着され、エラを張ったようなボリュートが付いています。 |
|
初期型(画像左)のネックヒールはかまぼこ型でベッコウ柄のバインディングがトップとバックに付いています。 カスタム(画像右)は三角型で白黒白3プライの外側に太い黒のバインディングはトップとバックに付いています。 |
|
初期型(画像左)のピックガードはベッコウ柄で長いティアドロップ型で、初期型ヘリテイジを特徴付ける最大のチャームポイント(?)となっています。楕円形のラベルには「HERITAGE」というモデル名とシリアルが入っています。 カスタム(画像右)は黒のマーチンタイプで、派手になったヘッドやブリッジに反して地味になった印象を受けます。 長方形のラベルには「HERITAGE CUSTOM」というモデル名が入り、シリアルは入りません。 |
|
初期型(画像左)のブリッジサドルはアジャスタブルで、この個体はショップオリジナルの水牛ものに換わっています。 カスタム(画像右)のブリッジサドルはノン・アジャスタブルになっています。 エボニーのブリッジはインレイとも相まって豪華な印象を受けます。 |
| 長い間探し求めた初期型ヘリテイジを手にして最初に弾いたのは「メリサ」(例によってナンチャッテですが)。イントロのストロークを弾くとまさしくエッジの有るあの音!!のような気がします。 |
| 上の画像は2枚目のアルバム「アイドルワイルドサウス」の収録風景だそうですが、左奥の方でDuaneが弾いているのは恐らくヘリテイジだと思われます。ミッドナイトライダーもリバイバルもきっとこのヘリテイジで弾いたに違い有りません(?)。 |
|
今月はDuaneが弾いたアコギを、アコギを全く知らない寿庵皆男が研究するという無謀な企画でしたが、今まで知らなかった世界をほんの入り口だけ覗くことが出来た様な気がします。 研究してみて分かったことは、ヘリテイジ、KG-14ともに高価なギターではなく、昔も今も気軽に手にすることの出来るギターだということです。 Duaneが弾いたのが1969年のマーチンD-45じゃなかったことを神に感謝したいと思います(笑)。 |