LOTUS TYP56B Turbine Italian GP 1971 by TAMEO TMK368

タメオ社の最新キットとなる「ロータス56B」はパーツ総数が約340個というスーパーキットである。プロポーションモデルと違い、内部構造も再現されたフルディティールモデルはある程度1/43メタルモデルカーの製作経験が無いと完成させることは難しいかもしれない。

しかしながら、最近のキットは設計段階でよく考えられており、以前に比べればはるかに完成させ易くなっている。

まずはキット内容の紹介。今回のキットにおいて、ガスタービンエンジンと4輪駆動の再現は重要事項だか、さすがは老舗メーカー。各種パーツの組み合わせで、精密に再現されており、非常に模型として見栄えする内容となっている。

組み立て説明図は実車写真を取入れた、フルカラー仕様である。

完成度を飛躍的に高めるエッチングパーツ。

使用部位によって厚さを変えたものが多量に用意されている。

各種メタルパーツ・アルミ削り出しパーツ、ゴム製タイヤ・バキュームプレスの風防(予備付き)なども非常に品良く仕上がっている。

【製作開始】

まずは、いきなり説明書通りに組み立てるのではなく、塗装工程などを考慮し、どのように組立てていけば効率よく確実に完成できるのか構想を良く練ることが1/43メタルモデルカーには必要である。

今回のキットでは一番考慮すべきは、ボディカウルと内部構造物の干渉である。

カウルの合いの状態は仕上がりを大きく左右する。フルディティールモデルの多くはカウルの干渉に問題を抱えており、完成度を高めるためにも注意が必要である。

完成までの手順を大まかに示すと@モノコック製作Aエンジン製作B内部構造物製作&仮組みCボディ下地作りD足周り仮組みEボディとの干渉確認&調整F最終仮組み&解体G各種塗装HディティールアップI最終組付け&調整という具合である。

@モノコック製作

カッティングマット上で刃が硬いカッターナイフやステンレス用ハサミなどでパーツを切断する。

折り目が各パーツに入っており、綺麗に加工できる。

折り曲げには、エッチング用ペンチやフラットノーズプライヤーを利用する。。

細かなパーツの曲げ加工はランナーに付いた状態で行っても良い。

正確に曲げたい時はノギスを利用する。折り目ラインを挟み真鍮ブロックなどを押し当てて曲げていく。

本キットは、非常に精度良くできており、各パーツがカッチリと組み上がる。その半面、余裕が少なく慎重に作業を行わないと歪んだモノコックが完成してしまう。

エッチングパーツの半田付けは、いかに確実にパーツを固定し、極少量の半田で接合できるかがポイントである。

半田は少量取り出すのが難しければカッターナイフで半田線を細かく刻んだ物を用意すればよい。こて先はなるべく細身の物を使用する。

サスアームなどの厚みがあるエッチングパーツは断面に段差がある。半田を流してヤスリで整えると見栄えが良くなる。

半田付け後は、必ず腐食防止のためにフラックス(ステンレス用を使用)を水で流すこと。はみ出た半田はキサゲや彫刻刀で削り落とす。

プレスパーツのメクレを再現するため0.3o真鍮線を半田付けしておいた。

製作にあたり、「半田付け」が必要となる。

半田付けは、実際に行ってみれば思うより難しく無い。。

モノコックがひとまず完成。

フロントバルクヘッドは、作業手順上、足回り組み付けまで接着・固定しない方が良い。

モノコックは、ライトグレーで塗装を行う。各パネル接合部分の隙間を半田で綺麗に埋めておいた。

モノコックを脱脂後、サーフェーサーを下地として、吹きつけパネルの大きな傷や隙間を処理する。サーフェーサーは金属への食いつきを良くするプライマー入りの物を使用する。

Aタービンエンジン製作

「ロータス56B」の主役部分であるガスタービンエンジンを作製。実物はレシプロ換算で3リッター575馬力のビックパワーエンジンだったが、レスポンスが悪く、エンジンブレーキも利かないためF1での使用はかなり厳しかったようである。

写真のパーツがエンジン1基分である。ディスプレイ用と合わせて計2基分を作製する。

キットパーツをそのまま使用するのも良いが、ディスプレイ用(写真左)はタービン本体をアルミ棒で作り直し、質感を上げてみた。もう一方は、モノコックへ収納し易くするために一回り小さく削り込んでおいた。

モノコックに組み込んでみると全長・全幅に余裕がなく、かなりサイズをダウンする必要があった。

特にタービン下部を集中して削った。これでスムーズに組み込めるようになった。このあたりの処理方法については、個人差はあるだろうが、見えない部分は大胆に処理することも時には必要である。

その後、シルバー色の部分にはスモーク+黒色で塗装し、トーンを抑えると同時に使用感を再現した。。

手前がディスプレイ用。

ここから補器類などを取付けていくが、せっかくなのでディティールを少し追加していく。

メッシュホースは、半田線(0.5o)に金網を押し付け、網目を転写し再現する。

本体とのジョイント部分は真鍮パイプ(0.7o)を1o程度に切った物を2個通し再現した。

エッチングで再現されていたタービン本体のディティールをパイプ(0.5o)と洋白線(0.3o)を用い立体的に作り直した。

ガスタービンエンジン(ディスプレイ用)の完成。

全体にクリアカラーでタービン特有の焼けを表現してみた。キットパーツのまま組み立てても十分な再現性である。

モノコックへの収まり具合も良く、カウルの干渉も少なくなった。

 

 

 

Bボディ下地処理

メタルキットの下地処理には「3Mのスポンジペーパー」を小さくきったものを使用する。余計な力をかけてラインを崩さないようにメタルパーツを一皮剥いていく。最近の鋳造は品質が向上し、表面の荒れはほとんど無い。

平面は大きな金ヤスリで一気に処理したほうが綺麗に仕上がる。経年変化が起こりやすいため、パテ類は極力使用しないようにする。

この作業段階でも、カウルの合いを調整していくが、完全に調整するのではなく、少し余裕を残しておくこと。

モノコックとの組み合わせも良く確認し、隙間が均一になるように調整していく。その際は、塗装の厚みも考えておくこと。

ある程度処理が進んだらサーフェーサーを吹いて、傷・ゆがみ・ボディラインを確認する。

メタルパーツとエッチングの接合は半田を使わずにメタルパーツの不要ランナーを溶かしたもので接合する。経年変化を考えここでもパテやボンド類は使用しない。

ボディ関係の下地処理が終了。塗装前にアセトンなどに漬けて完全脱脂しておくこと。

凹ディティールや段付き部分は塗料が溜まりやすいため塗料の逃がし穴を開けておく。

C足周り仮組み

足周りを精密さの見せ場にするためには、水平垂直・左右対称に注意を払い、仮組みで完全に調整を行っておく必要がある。

まずはブレーキディスクから製作

小さなパーツだが丁寧に切り取り半田で組み上げる。その後、モーターツールにネジで固定し回転させながら外周を整える。冷却穴まで再現されたすばらしいディスクの完成。

ボディの穴からチラリとブレーキディスクが覗き良い雰囲気である。この場合も隙間が均一に揃うように、組立時に注意を払う。

足周りを仮組みする際、フロントカウル内に内蔵物が収まるか何度も確認すること。

リアサス周辺は特にカウル3パーツが組み合わさるために何度も仮組みが必要となる。干渉処理については後述する。

アッパーサスアームの固定(接着)強度が出にくいようだ。ブレーキディスク・サスアーム・ハブの三点の配置に余裕が少なく互いに干渉する。ハブ(192&193)およびブレーキディスク取り付け部品(166&178)を削り込んだ。

平らな台の上で常にサスアームの位置関係が左右対称かを確認する。ここで位置関係を調整しておかないと最終組立時に苦労する。

フロントもリア同様に調整を行う。モノコック内に組み込む4輪駆動パーツ(98〜102)の削り込みが必要となった。

足周りの仮組みが完成。同時にホイールおよびタイヤを作製し、この後、車高調整を行っていく。

タイヤは表面のパーティングラインを消すためにモーターツールにタイヤを固定し、水をつけながら800番手の耐水ペーパーで削り落とす。

Dボディとの干渉確認&調整

タイヤ&ホイールを取り付け車高調整する際に、ボディ・足周り・モノコックやタービンが互いに干渉しないかを確認し、干渉する場合は修整を行う。面倒で時間がかかる作業だがフルディティールではこの作業を避けることはできない。

矢印の部分を中心にボディカウルの「ずれや浮きがないか」「塗装後に強く擦れないか」などを確認する。

丸印の箇所が干渉していた。干渉箇所を少しずつ削っていく。

特にカウル終端部分は大きく削り込んでおいた。

ラジエーターをとカウルの干渉を防ぐため、矢印方向にラジエーターをずらして接着する。

E最終仮組み&解体

1/43メタルモデルカーの完成度を高めるには、仮組みは必須作業である。特に今回は車高とカウルの隙間の調整に時間をかけた。

この時点で風防も用意しておく。まずは切り出しラインをペンで記入する。

不要部分をヤスリで少しずつ削り、切り出しライン部の厚みが薄くなったら刃物で慎重に切り出す。切り口はペーパーで整える。切り出しラインがずれたり、失敗しやすい作業である。

風防はテープで仮止めし、タイヤなどその他パーツの仮組みを行う。メタルパーツの固定には瞬間接着剤を少量使用する。

平らな板の上で前後左右の車高をまずは確認する。微妙なズレはハブとホイールの取り付け方で吸収していく。

仮組みが終了したらアセトンに漬け込み、解体を行う。アセトンは脱脂も兼ねて一石二鳥である。

F各種塗装

いよいよ塗装工程に入るが、一般的な塗装テクニックで十分対応できる。

まずは、下地としてサーフェーサーを吹く、何度かスポンジペーパーで軽く中研ぎし表面を滑らかに仕上げておく。

 

本体色である金色は数種類試したが、クレオスのゴールドに決定。メタリック色のエアブラシ塗装は、薄すぎても、濃すぎても粒子が不揃いになってしまう。プラ板などであらかじめ濃度をよく確認しておく。

均一に吹くことができた。しかし、オーバーコートのクリアーをかけるときにも表面のメタリック粒子がクリアーのシンナー分で動いてしまう。まずはこの段階でしっかり乾燥させておく。

その間に、各種小物パーツを塗装する。塗膜の強いラッカー塗装が基本である。

金色塗装乾燥後、カルトグラフ社の高品質なデカールを貼っていく。貼り付けに、強い軟化材を使うと溶けるように軟らかくなり大変なことになる。様子を見ながら慎重に作業する。

その後、数日間乾燥させて、クリアー塗料でオーバーコートを行う。今回は、ウレタンクリアではなくラッカー塗料である「ガイアノーツ社:EXクリアー」を使用した。乾燥時間と塗膜の硬さが魅力的な商品である。

メタリックカラーへのクリアーコートを行う際、クリアーを薄めすぎるとメタリック粒子が流れ表面が不均一になってしまう。これを防ぐには通常よりも濃い目の塗料を薄く吹き重ねていく。写真は粒子が流れた失敗例である。

シンナーを入れた容器に漬けて塗料を剥がし、もう一度最初からやり直すことにした。

塗料を剥がしてみると、カウルの干渉部分を削り込み過ぎ裂けているのを発見。

同素材のメタルで修復の半田付けを行い、表面を再度仕上げた。

ダクト取付け部分は隙間が空き、一体感に欠けたため埋めておいた。

再度、金色塗装&クリアーコートを行った。今回は成功である。

デカールの段差を消すようにクリアーを塗り重ね、しっかりと乾燥させた後、磨き出しを行う。

今回の研ぎ出しは、単純な面構成のため、三種類のコンパウンドで行った。前処理にペーパーやすりを使用するのも良いが、ペーパーやすりのキズは意外と深く付いてしまう。しっかりと各塗装段階で表面を丁寧に仕上げていれば、コンパウンドでも十分な光沢を手に入れることができる。

Gディティールアップ

ディティールアップを行うとより精密さが増す。しかし、あまりこだわりすぎると雑然とした感じに仕上がってしまう。的を絞ってバランスよく追加工作を行っていく。

実車写真で確認されるモノコック上部の配線を洋白線で再現する。

カウル終端のくり貫き部分のエッジを真鍮線で表現。

ロストワックス製のロールバーは、半田を薄く全体に流して、シルバー色へ変更した。

ステアリングタイロッドはそれらしく真鍮パイプや洋白線で連結部を追加工作した。

弾丸型ミラーは、中をモーターツールでくり抜き、磨いた洋白板を丸く打ち抜いたものをはめ込んだ。

ダクト(内部用)もメタル製で厚みが気になるために0.1ミリ厚の洋白板で作り直し、差し込み式に変更した。

このようなパーツは、マスキングテープで型を取り半田で組み立てていく。

同じようにエアインテーク(カウル上部用)も洋白板で作り直しシャープに仕上げた。

ホースジョイントは、平面的な表現だったため、半田線に短く切った真鍮パイプを通したもので再現した。

精密さを表現するにはもってこいのシートベルトは、アフターパーツを使わずにキットのものを使用。ベルト部分はライターで焼きなましておく

バックルに通し、シートに馴染ませるだけで非常によい雰囲気に仕上がった。

メーター周りへの追加工作は精密感を向上させるにはもってこいである。インストを原寸より少し大きくコピーしたものを洋白板に貼り、切り出していく。

切り出したパーツに、真鍮パイプで作ったメータを組み込んでいく。メーター裏は半田線や金属線で配線を再現していく。

H最終組み付け&調整

最終組み立てに使用する主な接着剤は、この2種類である。特に「コニシボンド社:SU」は非常に使い勝手が良い。どちらも硬化前ならエナメル系溶剤で拭き取りが可能。瞬間接着剤は強度不足のため使用しない。

細かなパーツを仮組みどおり接着していく。

仮組みがしっかりと出来ていれば容易に組み立てが行える。サスアームアームの基部は半田付けで強度を確保した。

接着の際は、接着部分の塗装を必ず剥がし強度を確保する。

カウルの裏側はエナメル系つや消し黒で塗装。ざっとエアブラシで吹き、その後、溶剤ではみ出した分を拭き取ると綺麗に仕上がる。

剥がれた箇所や細部の塗装を面相筆で丁寧に仕上げる。この際は、エナメル塗料を使用している。

組み立て時に不要な接着剤や塗料が着かないように粘着力を弱めたマスキングテープでガードをすると作業しやすい。

タイヤの取り付けについて、仮組みの段階でしっかりと前後左右の調整を行うことが重要。

接着はエポキシ系ボンドを用い、真鍮ブロックで固定し位置決めを行う。

タイヤレターはデカールを貼った後、トロン社の強力軟化剤を塗ってタイヤに密着させる。その後、軽くつや消しスモークでコートしておいた。

風防は接着剤SUを極少量用いて、マスキングテープで軽く固定し硬化を待つ。はみ出さないように慎重に作業する。 

最後にミラーとエアダクトを取り付け、キットに付属するネームプレートを作製すれば無事完成。