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知恵袋.33 制動時の前後のブレーキ配分

大型バイク乗りの方からブレーキング中の前後のブレーキの配分はどうするのが一番良いですか?と尋ねられた。

問い合わせをしてくれた方のバイクの使い方は、主にツーリングでバイクを走らせ、峠道ではスポーツ走行しないと言う。
実は、回答に困ってしまった。
ブレーキの配分なんて、何を基準にして評価しているのか?前後の制動力なんて測れるものじゃないし、仮にブレーキ液の油圧を測定して、その圧力を配分を数値化したとしても意味のないことだ。
また、制動力自体もブレーキのかけ方で同じ圧力でも違ってくる。
教習所で良く聞く、前後で5:5とか7:3とかの数値が話しとして出るが何を基準としているのだろうか?
あくまでも減速に対する制動力の配分を感覚的な数値としてとらえているに過ぎない。
定量的な数値として扱っているわけではないということです。


まず、ブレーキの配分について考える前に、前後ブレーキの果たす役割をもう一度考えてみましょう。
ブレーキは、スピードを落とすだけの減速装置ではないと言うことなんです。これに気付けば、答えは自ずと見つかっていきます。
フロントブレーキ
スピードを減速するのが主な目的だが、それだけではない。
テレスコピック(フロントフォークのこと)を持つバイクでは、フロントブレーキは、姿勢変化やバイクの向き替えのきっかけ作りとして使用することが出来る(今のBMWのテレレバーやビモータのハブステアは違う理論が必要です)。
フロントブレーキを抜きながら、カットインしていく技はスポーツバイク乗りなら是非マスターしたい技だ。
リアブレーキ
フロントよりも減速力は少ないのが普通だ。でも、リアブレーキは減速以外の使い方が大事なのだ。リアブレーキをかけることで、バイクを後ろから引っ張る効果がでる。この効果こそがバイクを安定させるです。低速では、リアブレーキをかけてフロントをより強力にステアさせることも可能だ。また、アクセルの開け始めにリアブレーキを当てることで駆動のショックを防ぐこともできる。

前後のブレーキ配分は、随時変わります。それこそ前後が10:0〜0:10まで使い分けが必要です。両者は常に補完する関係です。単に制動だけが目的ではなく、荷重変動、姿勢変化、バイクの安定化などその使い方は多岐にわたります。
それこそ、前後で5:5とか7:3とかの数値表現は意味を持たないと言っても良いと思います。
大まかに言えば、フロントブレーキが制動の主役であり、リアブレーキはバイクを安定させます。この特性を理解しながら常にブレーキレバーやブレーキペタ゜ルに加える力を加減しなければなりません。
また、ブレーキ操作は、電気のスイッチのようにオン・オフのようにデジタル的な操作ではなく、かけ始めのじわり、制動のギュ!、リリースのやんわり(パッ)、右手に込める力はまさにアナログそのものです。リアブレーキも同様です。

言葉として、ブレーキの配分を理解したとしても何の意味も無いことです。
右手と右足のブレーキ、そして同時にアクセルとクラッチ、シフトペタ゜ルこれらが常にシンクロした動きにります。そして、身体が勝手に動くまで、徹底的に身体に覚え込ませます。
ライディングスクールでは、時速50キロからいきなりフロントロックさせ、そして、すぐにブレーキを抜く練習をしますが、ここまで追い込まなくても良いですからね。
ただ、自分のバイクのブレーキの限界を感じておくことは大事です。
徐々にフルブレーキングを試しておいて下さい。
そして、前後の最大の制動力から前後をどのような配分で使っていくかは、個人で研究していかなければならないものです。

そして、質問をくれたあなたへのアドバイスは、大型バイクの方と一緒にツーリングに行ったなら、後方から仲間のブレーキランプの点灯の仕方を注意深く見るようにして下さい。ツーリング中、大型バイクは走行性能に余裕が有りますのでアクセルのオンオフだけ(エンジンブレーキだけ)で走行している方が多いです。
それが悪いと言うのではないのですが、後ろから見ていると、ここでフロントブレーキを当てればもっとクイックに曲がれるのになぁとか、S字の切り返しではリアブレーキを当てた方が切り返しが楽に出来るのにななと、いろいろ見えて来ます。
ブレーキを当てる(ここではブレーキを軽くかけることをブレーキを当てる言います)ことで、バイクの姿勢と荷重を積極的に変えることが出来ます、これが積極的にバイクをコントロールコツなのです。

ですが、グループツーリングで全員がこれをやりだすとやたらとクイックな走りの集団になってしまいます。笑っちゃいますよ。だから、こっそり自分だけでブレーキを当てながらクイックに走って下さいね。走りの楽しさは、あなただけが何倍に大きくなるでしょう。

だんだん、答えが見えてきましたか?
つまり、ブレーキは、制動だけではなく、バイクの姿勢と荷重を変えて積極的にバイクをコントロールコツと言えます。これに気づいて下さい。
だから、このコツを使うなら巨大なビックツインのハーレーでも軽々と操ることが出来るのです。ブレーキで荷重変動を起こし曲がりやすい状態を作り出し、ライダの重心移動でセルフステアを引き出してバイクを曲げ、アクセルで安定させる。これが、ブレーキングから始まる一連の操作です。だから、ブレーキ操作だけを意識するのではなく、その他のアクセル、クラッチ、シフト操作、そして、身体の重心移動をシンクロさせるのです。難しい?いえいえ、難しいから楽しいのですよ。バイクの楽しさは無限です。こんな質問をするあなたは、その楽しさを感じ始めているからです。

参考になると良いな。
2006.01.09訂正

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