ギャラリー24

穂高岳讃歌−第1部

稜を行く

口絵1 口絵2 口絵3 口絵4

川上 詔夫



2007年1月コダックフォトサロン銀座スペース1にて開催した
三人展『穂高岳讃歌三重唱』の出展作品を紹介いたします。

穂高岳は日本アルプスの中でもひときわ大きなスケールで、
美しく、険しく、凛々しくそびえる、日本を代表する山岳です。
そこには多くのピーク・尾根・谷があり、さまざまなルートがあり、
きびしい冬や色あざやかな秋を含んだ劇的な変化もあって、
登山家や写真家を魅了しています。

この写真展は、四季を通じて穂高岳に足繁く通い、
撮影に取り組んできた、四季の仲間3名が、
穂高岳を愛する共通の気持ちと異なるカメラアイを生かし、
別々の切り口で競作することを企画したものです。

この時の私のテーマ『稜を行く』は、
穂高岳の荒々しい岩稜や、優美な雪稜などの稜線風景を、
そこを実際にたどる登山者の視線から表現しようとしたものです。

また、多くの写真家がモチーフとする穂高岳なので
最初の導入の1カットを除き、普段、あまり発表されてない
穂高のシーンやアングルを選んでいます。
やはり写真家の価値は、
いろいろな意味で『見たことないものを見せる』
ことにあるはずですから。

これらの写真を見るたびに、私には、今でも撮影時の
風の音・凍えるような皮膚感覚・不安な気持ち・高揚感
等が蘇ります。

これらの一端でも感じていただければ幸いです。



作品 (クリックで拡大します) 作品番号
(画像サイズ)
タイトル
作品説明
穂高岳への道 Photo 1
(172kb)

穂高岳への道
南岳獅子鼻近くの岩場から望むと、
険しいキレット稜上の路が、
穂高岳へと続いている。
険しい道ではあるが、私には、
私を穂高岳の高みへといざなってくれる
心地良いプロムナードに思われる。


南岳獅子鼻付近、8月
明けゆく前穂三本槍 Photo 2
(182kb)

明けゆく
前穂三本槍
ひょうたん池は、積雪期明神岳登山の
ベース地である。
上高地から入山し、池を覆い隠した
積雪の上に、初日のテントを張る。
翌朝、前穂三本槍が、朝日に赤く
照らし出された。
明神岳主峰を目指し、爽快な登高が
開始される。


ひょうたん池、4月
雪煙閃耀 Photo 3
(88kb)

雪煙閃耀
(せんよう)
蒲田富士は、奥穂高岳への冬季ルートだが
険しいナイフリッジが続く難所である。
強い季節風に吹き上げられる雪煙が、時折
大きく伸び上がり、一瞬逆光にきらめく。
厳しくも美しい刹那である。

(上述の写真展を紹介していただいた
山と渓谷2007年2月号の巻頭記事の中でも
トップ(扉)を飾った作品です。背景は涸沢岳。
蒲田富士の山容は、本ギャラリーの
Photo10でご覧いただくことができます。)


蒲田富士稜線、3月
夕照の山頂にて Photo 4
(237kb)

夕照の山頂にて
奥穂高岳のまさに山頂にテントを張り、
2泊3日の間、じっくりと周囲の撮影を
堪能した。
初日、ガスの中を登ると、ちょうど
山頂に出たところでバッと視界が開けた。
日没間際の夕照に染まる
山頂付近の雪面の造形を、
遠景の槍ヶ岳や北穂高岳の穂先と
組み合わせた。


奥穂高岳山頂、11月
ジャンダルムを越えて Photo 5
(178kb)

ジャンダルムを
越えて
この年の秋はジャンダルムの撮影に
こだわり、ジャンダルム横の
コブ尾根ノ頭にのべ5泊幕営した。
午後、飛騨尾根側にポジションを取り、
ジャンダルムを越えていく登山者を
待ちかまえて撮影した。
ジャンダルムとして、見慣れぬアングルと
点景の登山者が効いたためか、
展示の際にも、山登りをする方には
非常に評判がいいカットであった。


ジャンダルム飛騨尾根、9月
烈風の稜線 Photo 6
(238kb)

烈風の稜線
前線のどす黒い雲が、津波のように
南西からぐんぐん迫ってくる朝だった。
周囲の岩尾根は、雪煙を巻き上げ、
絶好の撮影条件だったため、
雲にのみこまれるぎりぎりまで
馬ノ背の稜線で粘り、雪煙の舞う
吊尾根の撮影を続けた。


馬ノ背、11月
ピラミッドピーク黎明 Photo 7
(99kb)

ピラミッドピーク
黎明
西穂高岳の手前のわずかなコルに
幕営地を見出し、ピラミッドピークを狙う。
前日、気圧の谷の通過により天候が急変。
強風下の天幕設営に手間取り、左手の
指が3本、凍傷でしびれたままだった。
(その後半年以上、指の感覚がなかった。)
痛む指をさすり、凍える体を震わせながら
この朝のシーンを待っていた。


西穂高岳〜ピラミッドピーク間の稜線、3月
黄昏の北穂ドーム Photo 8
(101kb)

黄昏の
北穂ドーム
ふとした予感に駆り立てられ、
山小屋のある北峰周辺で憩う
登山者たちを尻目に、夕食後、独り
南峰への路を急いでいた。
ラッセルと危険なトラバースに遮られ
思うようには進めなかったものの、
なんとか日没に間に合い、
一瞬ではあったが、北穂ドームの
劇的な夕景を捉えることができた。


北穂高岳南峰、11月
夕映え Photo 9
(244kb)

夕映え
西穂高岳〜奥穂高岳の険しい稜線中でも、
天狗ノ頭は、広くて幕場にも良い
絶好の撮影ポイントの一つである。
一般の登山者は、遠い山小屋へと急ぎ、
早い時間に人影は途絶えてしまう。
孤独な稜線上で、素晴らしい夕景を
独り占めにした。


天狗ノ頭、10月
流れる雲 Photo 10
(162kb)

流れる雲
今日は途中で撮影に時間をかけたため
遅くなり、涸沢岳にも着かぬうちに、
夕日が色づき始めてしまった。
開き直るしかないと、不安定な涸沢岳の
中腹でカメラを構えると、流れる雲も
蒲田富士も、すべてが黄金色に染まって
いった。

(実は、この写真を撮影した山行の際、
穂高岳山荘の冬季小屋で約1週間共に
泊まった写真家の岡田昇さんが、我々の
下山後、この山中で行方不明となりました。
改めて、ご冥福をお祈りします。)

涸沢岳西尾根、1月

作者

かわかみあきお
川上  詔夫

川上詔夫
*****************   プロフィル   *****************
1984年、山岳写真同人ASAに入会して、登山と山岳写真を本格的
に始める。
1985年より、会のカレンダー・写真展・共著写真集・各種山岳写真
コンテスト等でコンスタントに作品を発表するとともに、86年からは
山岳雑誌へフォトガイド等の写真記事を多数寄稿してきた。
1996年、山岳写真同人四季入会。
山では『待ちの写真』よりも『出会いの写真』を志向すべきと、
機動性を重視し、行動しながらの手持ち撮影を多用するスタイルは
山岳会であるASA所属の時代に培われたもので、アオリカメラが
主流の四季の中では異色の存在。
本ギャラリーの作品は、マミヤ7で撮影。
現在は、キヤノンEOS 5D mark2を使用している。


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