

《 ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われたりしていた
このぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか 》
宮沢賢治〜銀河鉄道の夜 冒頭
『秘封倶楽部』というサークルがある。
それは表向き不健全霊能オカルトサークルのフリをしつつ、内実は夜な夜なあちらこちら探索し
境目を暴いて回る立派な不良サークルだったりする。某部長は『はっは、職務質問回数○回は
伊達じゃないわよ!』と豪語する始末。おいおい。
尤もサークルと言っても部員なんぞ二人しかいない上に、ホイホイ境目が見つかるはずもない。
基本的には学食やら喫茶店で意味の無い事や、凄く意味の無い事を話すの事のが常である。
だが、辛く苦しい試験ラッシュを乗り越え後期の授業が終わった日、我らが部長宇佐見蓮子は、
メリーをいつもの喫茶店へと呼び出して、開口一番こんな事をのたまった。
「「私達秘封倶楽部もあちこちを回ってみたけれど、ここらで一つ忘れられてきた東日本にも目を
向けようと思うのよ! そんな訳で今年の春休みは岩手に行きましょう!」」
唐突且つアレ極まる蓮子の提案に、何が悲しくて2月の糞寒い時期に東北くんだりまで
行かないとダメなのよ、と眉を潜めるメリー。
だが、この時期の岩手には何でも不思議な噂があるのだと言う。
・四年に一度、決められた日に遠野駅の近くで神隠しが起こるらしい。
・しかもその日付は、閏年の2月29日に日付が変わる夜限定らしい。
・おまけに、終電はとっくに終わっているのに線路の側で列車の走る音を聞いた人がいるらしい。
神隠しと列車、そして岩手県というキーワード。
ひょっとして期間限定で銀河鉄道でも走ってるのかしらね、などと冗談めかすメリーだったが、
やたらと乗り気な蓮子を前に、春休みの活動には確かに悪く無いだろうと同意する。
こうして岩手県へ向かう事になる二人だったが、そこには数々の試練が―――
「ねえ蓮子。なに、これ」
「見ての通りの青春18きっぷよ。鈍行列車が五日間乗り放題で、お値段なんと11500円!
もう使う人も殆ど居なくなった生きた化石状態の切符だけど、そのマイナーさが好きで買ってみ
……ああああ、メリーちょっと待ってー!」
鈍行列車の乗り換え地獄
「メリ〜、ひっく。ねえメリー美味しかったわねー! あははははははは!」
「……はぁ……どうすんの蓮子。これから……本番なのよ?」
地酒を呑んで酔い捲る蓮子
「白いわね……」
「真っ白ね……」
深い霧に包まれ迷う二人
※概ね蓮子に責任があるんじゃないかという気もするが、気にしてはいけない。
何故か観光の時点で既に大冒険になってしまった秘封倶楽部だったが、どうにかこうにか
遠野駅に辿り着く。
輝く夜空の下、底冷えする氷点下の中で2月28日の終わりを待つ蓮子とメリー。
しかし11時59分を過ぎても何も起こらず、無駄足だったかと思いかけたその時、遥か昔に
幻想の彼方に消えたはずの汽笛の音が――
「そうよメリー。この汽車は空を飛んでるのよ、それも星空の中を!
私達は本当に銀河鉄道に乗ったんだわ!」
蓮子とメリーはどんな場所を巡るのか、そして旅の終わりに二人は何を見るのか。
時間と空間を超える、第四次幻想鉄道の旅を皆様どうぞお楽しみください。
コミックマーケット76
L-53a Feather's Snow
【遠野発:岩手銀河鉄道 <前編っ>】
表紙と挿絵は秘封の伝道者ことKOTOさん、の素敵な絵がお出迎え〜。
イベント頒布価格は大コイン1個の500円です。
※ショップ委託はメロンブックス、とらのあな、D-stageの3箇所でーす。
(委託価格600円)
なお会場に足を運んで下さった方へのおまけ特典として、夜なべして現在進行形で作ってる(笑)
幻想鉄道乗車券をお渡しいたします〜。
ちなみに特注で特製の判子まで作ってます。何をやってんだかw 宜しければぜひ、お手に取って
見て下さい〜。