萩原朔太郎論 「家郷幻想」


はじめに


第1章 田舎と都会


第2章 東京移住


第3章 漂泊者としての認識


第4章 過渡期の詩人として


むすびに



萩原朔太郎は、その作品によって随分印象が違う。
「月に吠える」「青猫」の口語自由詩にみられる病的なまでのイメージの繊細さ。
ボードレールのような都会や群衆を歌った詩。
「氷島」の激しい文語調による漂泊者の悲痛な詩。
小説「猫町」のような幻想とユーモア。
ニーチェを連想させるアフォリズム。
徹底した二元論に捕らわれた(あるいは引き裂かれた)詩論や文明論。
音楽や写真、映画など当時のモダンな趣味に関するエッセイ、などなど。

 だから朔太郎論のテーマは、論者の好みによって、口語自由詩時代の詩語やイメージだけを重視したものや
「氷島」と日本近代についてだけ論じたものとに分かれる傾向がある。
それら作風の違う作品を時間軸によって繋げたかった。
それは、取りも直さず朔太郎の生きた時代を考えることでもあり、
当然それに繋がる私たちの生きる時代、今を考えることにもなった。


土田 和夫(ねこギター)