4、化学変化と原子・分子

1)物質の変化

 物理変化と化学変化

物理変化:状態が変わっても物質そのものは変わらない変化。

   例)水の状態変化

氷(固体)  → 水(液体)  → 水蒸気(気体)  ・・・ どれもH

  化学変化:物質が変化して、別の物質ができる変化

   例1)炭酸水素ナトリウム(重曹の成分)の加熱

炭酸水素ナトリウム → 炭酸ナトリウム + 二酸化炭素 + 水



   例2)酸化銀の加熱

酸化銀 → 銀 + 酸素



例3)水の電気分解

   加熱しても、水は分解しない(状態変化をするだけ)が、電気を流れやすくするために水酸化ナトリウムを溶解させ電気を流すと分解する。(水酸化ナトリウムは+のイオンと-のイオンに分かれるから電気が流れる)

水 → 水素 + 酸素



☆例1)〜3)のように、1種類の物質が2種類以上の別の物質に分かれる化学変化を、分解という。また分解にはエネルギー(熱、電気、光など)を必要とする



2)物質はどこまで分割できるか(原子について)


 原子:これ以上分割することができない最小の粒子ドルトンにより考案された。次に原子の性質をまとめる。

@ それ以上分割できない。            

A 種類によって大きさ、重さが異なる。     

B 化学変化により、増えたり減ったりしない。 


 原子のあらわし方

  原子の種類は約100種類ある。それらを表すために、記号を用いる(元素記号という)。元素記号はアルファベット1,2文字で表す。 例)鉄 Fe (はじめの文字は大文字

    主な元素記号(金属と非金属に分けて覚える)

種類(金属)

記号

種類(非金属)

記号

ナトリウム

Na

水素

H

マグネシウム

Mg

ヘリウム

He

アルミニウム

Al

炭素

C

カリウム

K

窒素

N

カルシウム

Ca

酸素

O

Fe

フッ素

F

Cu

ネオン

Ne

亜鉛

Zn

ケイ素

Si

Ag

リン

P

スズ

Sn

硫黄

S

バリウム

Ba

塩素

Cl

Pb

アルゴン

Ar

 

 

臭素

Br

 

 

ヨウ素

I

     金属は漢字の場合は「金」が入る。カタカナのときは語尾が「ウム」になる(ヘリウムは例外)。あまりいい覚え方ではないが、とりあえず金属、非金属を区別できるようにするには何らかの形で覚えておくことが大事。



3)原子の結合

原子は単独では存在できない(不安定な)ものが多く、数個の原子が結合し、安定化する(存在する)。

  結合のパターン

非金属の原子どうしが結合した粒子 ・・・ @

非金属の原子と金属の原子が結合したもの ・・・ A

金属の原子どうしが結合したもの ・・・ B

    特に@の粒子を分子という。

@の例)分子 

同じ原子どうしで結合したもの

 水素 水素原子2つが結合し安定化

 酸素 酸素   〃

 窒素 酸素   〃

 

異なる原子が結合したもの

   水素原子2個と酸素原子1個が結合し安定化

CO 二酸化炭素  炭素原子1個と酸素原子2個が結合し安定化

NH アンモニア  窒素原子1個と水素原子3個が結合し安定化

Aの例

CuO 酸化銅 銅原子 1個と酸素原子 1個の割合で結合

Cu10個なら、O10個。数が決まっていない

Fe2O3 酸化鉄 鉄原子2個と酸素原子3個の割合で結合

CuOと同様にFeOの数は決まっていない。)

Bの例

 Al アルミニウム アルミニウム原子が多数結合したもの。

(数が決まっていないので、元素記号をそのまま書く

Zn 亜鉛  亜鉛原子が多数結合したもの。

(数が決まっていないので、元素記号をそのまま書く

 ☆ これらを化学式という。@の分子は簡単なので出てきたらそのつど覚える。また、なぜそういう数(割合)になるのかは今は考える必要はない。



@〜Bの物質の違いを考える。

それぞれの物質が固体の状態(粒子が集まった状態)で考えると良い。

 @の粒子(分子) 例)水H2O

分子

Aの粒子 例)NaCl 

イオンからなる物質

Bの粒子 例)Cu

金属

4)単体と化合物

 単体:1種類の元素からできている物質。

 化合物:2種類以上の原子からできている物質。



 問題9 次の化学式で表される物質について、以下の問に答えよ。

    @H ACuO BCO CNH DMg EAgO FNa

   1)@〜Fの中で、分子はどれか。  

   2)@〜Fの中で、単体はどれか。

   3)@〜Fの中で、化合物はどれか。



   1)非金属の原子どうしが結合したもの ・・・ @,B,C

   2)@,D,F

   3)A,B,C,E

     注意)2)、3)で化学式でなく名称で与えられている場合、中学で扱う物質では、元素名と物質名が同じものが単体である。



5)化学反応式

 ・反応物と生成物

例)酸化銀を過熱すると、銀と酸素に変化する。

     反応物:反応する前の物質 この場合、酸化銀

     生成物:反応によってできる物質 この場合、銀と酸素


 ・化学反応式

化学変化を表す式を化学反応式という。

作り方:例)酸化銀を加熱すると、銀と酸素に変化する。

 @ 反応物と生成物の化学式を「→」で結ぶ。 

酸化銀 → 銀 + 酸素



 A 各物質を化学式にする(今は化学式は与えられる)

       AgO → Ag + O



 B 化学反応によって原子数は増減しないので、「→」の右側と左側   

  で原子の数が等しくなるように「係数を」つける。

   AgO → 2Ag + 1/2O

   AgOの係数を1にする(最も複雑なものを係数1にするとよい)。すると、左辺(→の左側)がAg=2O=1となるので、右辺(→の右側)もAg=2O=1になるように係数をつけると、2Ag、1/2Oになる。AgAg2O2Oとするのではなく係数であわせる。

           ↓

   分数は使わない。整数にする。この場合、全体を2倍する。

2AgO → 4Ag + O ・・・ できあがり



問題10 次の内容を化学反応式で表せ。

 1)水H2Oを電気分解すると、水素H2と酸素O2が発生する。

       2)水素H2と窒素N2が反応すると、アンモニアNH3になる。

      3)鉄Feと酸素O2が反応すると、酸化鉄Fe2O3になる。

       4)酸化銅CuOと水素H2が反応すると、銅Cuと水H2Oになる。



       1) H2O → H2 + 1/2O2 (H2Oの係数を1にすると良い)

                ↓

          2H2O → 2H2 + O2 (分数をなくすため、式全体を2倍する)・・・答

       2) 3/2H2 + 1/2N2 → NH3 (NH3の係数を1にすると良い)

                ↓

          3H2 + N2 → 2NH3 (分数をなくすため、式全体を2倍する)・・・答

3) 2Fe + 3/2O2 → Fe2O3 (Fe2O3の係数を1にすると良い)

                ↓

          4Fe + 3O2 → 2Fe2O3 (分数をなくすため、式全体を2倍する)・・・答

4) CuO + H2 → Cu + H2O (H2Oの係数を1にすると良い)

                ↓

         CuO + H2 → Cu + H2O (全部係数1になる)・・・答



6)分解と化合

 ・物質の分解

  1種類の物質が、2種類以上の物質になる化学変化を分解という。

以下の内容で、複雑な化学式は与えられる。赤で示した化学式は答えられるように。

 @ 酸化銀Ag2Oの分解

   酸化銀を小さな皿にのせ、試験管中で加熱する。

   反応式:( 2Ag2O → 4Ag + O2 )

       反応後の様子

酸化銀の分解

A 炭酸水素ナトリウムNaHCO3の分解

   炭酸水素ナトリウムを試験管に入れ加熱する。試験管の口は少し下げる

反応式:( 2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O  )

反応後の様子

炭酸ナトリウムの分解

B 炭酸アンモニウム(NH42CO3の分解

  炭酸アンモニウムを試験管に入れ加熱する。試験管の口は少し下げる。

反応式:( NH42CO3 → 2NH3 + CO2 + H2O )

アンモニアは水によく溶ける二酸化炭素は水に少し溶ける。この性質の差を利用してそれぞれを検出する。

反応後の様子 

炭酸あアンモニウムの分解

☆A、Bより「炭酸〜」からCO2が出る。試験管の口を下げるからH2Oが出ることが分かる。また、B「〜アンモニウム」からアンモニアが出る。


C 水の分解

  水を加熱すると、液体から気体の状態変化が起こるだけで、化学変化は起こらない。しかし、下の図のような装置で、水にうすい水酸化ナトリウム水溶液を加えて電流を流れやすくし、これに電流を流すと水の分解が起こる。

  ☆水酸化ナトリウムは水溶液中でNa+OH-というイオンに分解し、+と−が生じるので電気が流れる。

水の電気分解

酸素の体積:水素の体積 = 2:1

  反応式( 2H2O → 2H2 + O2 ) 係数の比=体積の比になっている。



 D 塩化銅CuCl2の分解

  塩化銅の水溶液に、炭素棒や白金板を電極として電流を流す。

反応式( CuCl2 → Cu + Cl2 )

塩化銅の電気分解

☆塩素の性質

     黄緑色、刺激臭



☆ 分解の種類

  分解には熱分解電気分解光分解などがある。分解では、どの種類の分解でも物質に外部からエネルギーを与えている。それぞれ、電気がエネルギーとなる。



・化合

2種類以上の物質が結びついて別の物質ができる化学変化

@ 金属と酸素の化合(金属の酸化) ・・・ 「酸化〜」ができる。

Feを酸化すると酸化鉄Fe2O3になる。

Cuを酸化すると酸化銅CuOになる。

ナトリウムを酸化すると酸化ナトリウムNa2Oになる。

    金属の酸化物の化学式について、金属の種類によって結合する酸素原子の数が異なる。この段階ではこれらの化学式は書けなくてもよい。

    反応式で表す。例)鉄Feを酸化すると酸化鉄Fe2O3ができる。(酸化する → 自動的に+ O2にする)

    2Fe    3/2O2   →  Fe2O3

          ↓

    4Fe    3O2   → 2Fe2O3 (分数を整数にする)


A 金属と硫黄の化合 ・・・ 「硫化〜」ができる。

Feと硫黄Sが化合 ・・・  硫化鉄FeS になる。


 B 金属と塩素の化合 ・・・ 「塩化〜」ができる。

     銅Cuと塩素Cl2が化合 ・・・ 塩化銅CuCl2になる。



7)質量保存の法則

  化学変化の前後で、物質全体の質量は変わらない。

 例) スチールウール()の燃焼(炎を伴う酸化)

   鉄 + 酸素 → 酸化鉄

   「鉄の質量 + 酸素の質量 = 酸化鉄の質量」が成り立つ。



 ・質量保存の法則の計算

  @ 鉄28gを燃焼させると酸化鉄が40g生成した。反応した酸素は何gか。

      40 – 28 = 12[g]

  A 鉄を酸化させたところ、酸化鉄が320g生成した。鉄の質量と、反応した酸素の量を、@の結果より、求めよ。

+

酸素

酸化鉄

28g

 

12g

 

40g

 

 

320g

            

28 40 = x 320,  x = 224[g]

          12 40 = y 320,  y = 96[g]

 

8)酸化と還元

 

 ・酸化と還元

   

酸化 → 物質が酸素と化合する反応。酸化物ができる。

 

    例)銅の酸化 2Cu + O2 2CuO ・・・@

 

   還元 → 酸化の逆の反応 = 酸化物から酸素を取り除く反応。

 

    例)酸化銅の還元 2CuO + C 2Cu + CO2・・・A

 

      ☆酸化物の酸素はそのままでは取れないので炭素Cに酸素を取らせる。炭素Cは銅Cuよりも酸素と結合しやすい。C以外に水素H2なども還元に使える。そのときはH2Oができる。

        

 ・酸化剤と還元剤

   

   酸化剤:反応する相手を酸化する物質 例)@式のO2

   還元剤:反応する相手を還元する物質 例)A式のC

 

   ☆ 酸化と還元は同時に起こる → A式がわかりやすい


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