The Society For Music Theory Of Japan
日本音楽理論研究会


第11回東京例会発表概要 大野聡

    単純な和声に支えられた単純な動機から作りだす壮大な展開(ドラマ) 大野聡

 ベートーヴェンの音楽といえば今日クラシック音楽の代名詞のように扱われ偉大視されている。後の作曲家(ロマン派)への影響力もさることながら、時代や地域を超えて広く人々に訴えかけるからであろう。

 しかし彼の音楽は決して着想豊かとはいえない。旋律そのものが美しいとはいいがたく(主題は短い動機の積み重ね)、和声も後のロマン派音楽のような豊富な表現手段を持っているわけではない。

 要するにベートーヴェンは決して音楽の語彙が豊かとはいえないのだが、その少ない材料と限られた手段を逆手にとって訴えの強い音楽を作り出している。

 その強烈な音楽を構築するにあたって主に用いられているパターンが「ソナタ形式」(先人たちも活用し既に一般的な形式…彼は既成の形式の破壊者でも新たな形式の発明者でもない)である。ドラマティックな表現のために調性から必然的に生み出されたともいえる形式で最大の成果を引き出しているのは、やはり「調性」の持つ根源的な力を引き出し徹底的に活用しているからではないだろうか。

 ベートーヴェンの壮大な展開の仕掛けとして主題労作を駆使した手法が有名だが、ここではむしろ調性(和声)を基準に「単純さ」を追求している様子をたどっていきたい。単純明快な基盤があるからこそ、強烈な表現を盛り込め、広く訴えかける普遍性を獲得できたのではないかと思うからである。

 今回は特に「壮大なドラマ」が展開される中期作品のソナタ形式楽章から交響曲第3番変ホ長調Op/55(英雄)と弦楽四重奏曲第7番へ長調Op/59-1(ラズモフスキー第1)のそれぞれの第1楽章を追っていき、「単純な壮大さ」を確認していく。


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