輸液



経口摂取ができない状態や、経口摂取だけでは体内の水分や栄養を十分確保できないとき、血管を通してそれらを補充する(輸液をおこなう)必要があります。
輸液療法は脱水や低栄養などの症状には劇的に奏功します。輸液(点滴)は、日常の診療で実践される基礎的かつ重要な治療法です。
そのためには、輸液量、輸液内容、輸液する時期などの判断は豊富な知識と経験が必須です。特に、腎臓疾患、循環器疾患、その他重症疾患の輸液管理はきめ細やかな調整が必要です。

万一、必要量や必要組成の判断を誤ると、うっ血性心不全、不整脈、電解質異常などの致死的状況をもたらします。油断してただ何となく投与する輸液治療は、大変大きな危険をはらんでいます。

「点滴すると良くなりますよ。」
ここで重要なのは、「点滴する」行為ではなく、「目的と輸液内容」なのです。 
【点滴】が【おまじない】であっては困ります。 その目的と意義を今一度再確認すべきでしょう。

以下では輸液一般について記述してみます。

輸液は大きく以下の目的に分類されます。

1. 体液バランスの補正
2. 体液バランスの維持
3. 栄養の補給
4. 原疾患の治療

また別の目的として、
5.手術や検査時の血管確保(ライン確保)もあります。
これは、水電解質を投与するのではなく、必要な薬剤をいつでもすぐ血管内に投与できるように輸液を微量流し、血管留置針が詰まらないようにするためです。


体液バランス
体内組織の脂肪の割合は、その動物の食料事情により変動しますが、それ以外の体液組成はどの動物でも共通です。
体内にある水分は体重の60%【細胞内液が40%、細胞外液が20%(うち、循環血漿量が5%、細胞間質液15%)】です。
輸液は循環血漿(細胞外液)に必要物質を補充することによって体内水分のバランスを保つ目的があります。

輸液の組成内容は、目的別に
表1のように分類されます。

【表1】 輸液目的と成分

  輸液目的 輸液成分  分類
輸液 (T)電解質輸液 (1)複合電解質輸液  等張性
低調性
(2)単一電解質輸液 電解質補正液
pH補正液
(U)栄養輸液 (1)糖質輸液 各成分の輸液を組み合わせて栄養補給を目的とします。

PPN(末梢静脈栄養)

TPN(中心静脈栄養法)
(2)アミノ酸輸液
(3)脂肪乳剤
(4)(a)ビタミン剤。(b)微量元素
(5)高カロリー輸液
(V)特殊輸液 (1)浸透圧利尿剤
(2)血漿増量剤


以下、表1で示した輸液目的順に記述します。

(T)電解質輸液
(T)−(1) 複合電解質輸液

細胞外液(血漿)は生理食塩水(0.9%NaCl)を基本にした電解質組成から成り、陽イオンと陰イオンが同等で中性となります。細胞外液補充輸液はその組成をもとにして調合されています。(表2参照)

【表2】

生理食塩水 血漿電解質組成
陽イオン  Na 154meq/L 陽イオン
(合計約154meq/L)
Na      142 meq/L
K         4  meq/L
Ca2+       5  meq/L
Mg2+       2  meq/L
陰イオン  Cl− 154meq/L 陰イオン
(合計約154meq/L)
Cl−       101 meq/L
HCO3−     27 meq/L
蛋白陰イオン  16 meq/L
その他陰イオン 9 meq/L
注意:生理食塩水(NaCl)を大量に投与すると、Cl− が多くなりHCO3−が減少して体液はアシドーシスになります。 


参考)血液生化学検査(主に電解質)

血液生化学検査
検査項目 正常値 単位 異常と病態
Na (ナトリウム) 137〜150 147〜156 mEq/L 高Na:高張性脱水。Na摂取過剰。
低Na:下痢、嘔吐、うっ血性心不全
K (カリウム) 3.4〜5.2 3.5〜5.1 mEq/L 高K:ショック、代謝性アシドーシス、腎不全、溶血
低K:利尿剤、栄養不足
Cl (クロール) 102〜117 117〜123 mEq/L 高Cl:副腎機能不全、アジソン病、脱水
低Cl:嘔吐、慢性腎不全
Ca (カルシウム) 7.9〜12.2 8.2〜11.9 mg/dl 高Ca:ビタミンD過剰、骨悪性腫瘍、骨転移
低Ca:吸収不良、腎不全、栄養不足
P  (リン) 1.6〜6.3 1.7〜7.2 mg/dl 高P:慢性腎不全
低P:栄養不足
BUN (血中尿素窒素:blood urea nitrogen) 4.8〜31.4 13.1〜29.5 mg/dl 高:脱水、腎不全、蛋白異化状態
低:蛋白欠乏、肝臓疾患
Cr  (クレアチニン) 0.2〜1.6 0.9〜2.1 mg/dl 高:腎不全



電解質輸液の大きな目的は、水と電解質の不足を補うことです。

● 水分の欠乏
細胞外液のおもな電解質はNaClで、このNaClの量によって細胞外液の量が決定されます。
水分の欠乏がある場合、普通は同時にNaClも欠乏しているため細胞外液量も低下しています。
そこで、水分欠乏時は原則としてまず最初は、NaClを主体にした等張性電解質輸液(生理食塩水)を投与します。
ただし、喪失する体液(嘔吐、下痢、汗、尿)によってはNaClの欠乏割合は変化するため、採血等で確認しながら適宜、高張性または低張性輸液を使用します。

体内水分は摂取と排出のバランスが保たれている状態が正常です。つまり
(飲水+食事+代謝水)=(尿+不感蒸泄〔呼吸など〕+糞便)
このバランスが崩れて体内から水分が不足すると脱水になります。脱水の程度は以下の臨床症状からもおおよそ推定できます。

脱水量(体重%)
@    2% :口渇のみで他の症状がない時。
A 約  5% :数日間の水分摂取が出来ず、口渇が高度で口内が乾燥し乏尿になっている時。
B 7〜10% :さらに脱力や疲労、重度の皮膚弾力低下、行動の異常などの場合。
C 12%以上 : ショック状態。

あるいは、
水分欠乏量=健康時体重x0.6x((Ht−健康時Ht)/Ht)
(Ht;ヘマトクリット。この代わりに血清総蛋白(TP)でも可能)

脱水を補給するときは、24〜48時間をかけて輸液することが経験的に望ましいとされます。
初日24時間の概算輸液量は以下の方式でおよそ算定できます。
輸液量=脱水量 X (1/2〜1/3)(安全係数) +維持量−経口摂取量

脱水量=体重x臨床症状による脱水量(%) x100

維持量=70x体重(kg)0.75 ml  
(1日量、犬、猫)

 Naの欠乏
血清Naは血清浸透圧を決定する最も重要な因子です。血清浸透圧と循環血液量とは別々に調節され、血清浸透圧調節が優先されます。そのためNa欠乏があっても必ずしも血清Na値の低下とはなりません。測定された血清Na値が高くてもNa不足の可能性はあります。その理由は、Naの過不足をもっともよく反映するのは細胞外液量の異常だからです。つまり、脱水が強いときは一般にNaも不足しますが、Naは濃縮され、採血では高Na血症を示すことがあります。
したがって、脱水症状がある時の高Na血症にはまず生理食塩水(0.9%NaCl)で細胞外液量を補正し、その後に5%ブドウ糖または低張性電解質輸液で高Na血症を補正していきます。

一方、脱水状態時にNa値が低い低張性脱水時は、水分欠乏よりもNa欠乏がより深刻であることを意味します。
この場合でも補正は原則として生理食塩水を使用します。その理由は、急激にNa補正をすると不可逆性の脳障害(脳浮腫)や心臓負荷を起こすからです。

また、体液貯留がある場合は血清Na値が低くても、Na量は過剰と考えられます。この場合は輸液は抑え(Naを含まない5%ブドウ糖など使用)、利尿剤を使用してNaと水を尿中へ排出させます。

● Kの欠乏
Kは細胞内の陽イオンの主要因子で、細胞内濃度は100〜140meq/Lです。一方細胞外液は約4meq/Lとはるかに少ない量です。そのため、K欠乏量は細胞内欠乏量と同じ意味と考えられます。
しかし血清K値はKの全体量を正しく反映しません。酸塩基平衡異常や血糖値などの諸状況で変化します。
アシドーシスではKは不足していても高K血症となり、アルカローシスでは逆になります。
Kの欠乏量を血清K値から決定することは不可能です。

Kの補正は経口投与が原則ですが、緊急時や経口不可能時は点滴静注とします。
高K血症は重篤な不整脈(房室ブロックや心停止)を起こす恐れがあるため、K剤の点滴は尿量を確保し、心電図波形を見ながら緩徐に投与する必要があります。

実際の市販製剤を表3に記します。

【表3】複合電解質輸液

複合電解質輸液 分類 薬剤名 電解質(mEq/L) ブドウ糖% kcal/L 適応される病態
Na K Cl Ca  Mg  P 乳酸
細胞外液補充液(等張性) 細胞外液補充液 生理食塩水 生理食塩水 154 0 154 0 0 0  0 0  0 低張性脱水時(NaClが不足している脱水)、血圧低下(ショック)時など。
Na量が多いため、高血圧、心不全、浮腫に注意を要する。
肝不全や低酸素血症では乳酸が体内に増加し、乳酸アシドーシスの危険性があるため乳酸を含む製剤を使用しない。
糖加生理食塩水 デノサリン3 154 0 154 0 0 0  0 5 200
リンゲル液 リンゲル液 147 4 156 5 0 0  0 0  0 
糖加リンゲル液 グルノンリンゲル(製造中止) 147 4 155 4.5 0  0 5 5  200 
乳酸リンゲル液
(ハルトマン液)
ソリタ 130 4 109 3  0  0 28 0 0
ラクテック
ソルラクト
ハルトマン液
糖加リンゲル液 ラクテックD 130 4 109 3 0 0 28 5 200
ソルラクトD 131 4 110 3  0  0 28 5 200
ラクテックG 130 4 109 3  0  0 28 5(ソルビトール) 200
ソルラクトS 130 4 109 3  0  0 28 5(ソルビトール) 200
ラクトリンゲルS 130 4 109 2.7  0  0 27.7 5(ソルビトール) 200
ポタコールR 130 4 109 3  0  0 28 5(マルトース)  200
ソルラクトTMR
ラクトリンゲルM
酢酸リンゲル液 ヴィーンF 130 4 109 3  0  0 28
酢酸
0  0
ソルアセトF
糖加酢酸リンゲル液 ヴィーンD 130 4 109 3  0 0 28
酢酸
5 200
リナセート
アクメイン
重炭酸リンゲル液 ビカーボン 135 4 113 3 1 0 25
重炭酸)
5
クエン酸
0 0
   分類 薬品名 電解質(mEq/L)  
Na Cl Ca Mg P 乳酸 ブドウ糖% Kcal/L
低張電解質輸液 低張性電解質輸液は5%ブドウ糖とハルトマン液との配合比により、1号から4号まで分類される。 1号液
(低張電解質輸液開始液)
ソリタT1 90  0  70 0  0 0 20 2.6 104 Na,Cl濃度は生理食塩水の2/3〜1/2程度で、Kは含まない(フィジオ70を除く)。
等張性脱水または病態が不明の時に開始する。
ソルデム1
ハルトマンG1号
リプラス1S 90.8 0 70.8  0  0  0 20 2.6 104
KN補液1A 77 0 77 0  0  0  0  2.5 100
デノサリン1
KN補液1B 38.5  0 38.5   0 0 0  0  3.75 150
デノサリン2
フィジオ70 70 4 52 3 0 0 酢酸25 2.5 100
2号液
(脱水補給)
KN補液2A 60 25 66 0 2 6.5 25 2.35 94 Na,Cl濃度は1号液と同等。Kを含む。
総電解質濃度はもっとも多い。
脱水による各種イオン不足時に使用される。
ソリタT2 84 20 66 0  0 10 20 3.2 128
KN補液2B 77.5 30 59 0  0  0 48.5 1.45 58
ソルデム2
3号液
(維持液)
ソリタT3 35 20 35 0  0 0 20 4.3 172 Na,Cl濃度は生理食塩水の1/2〜1/3程度。
一般的な維持輸液に用いられる。
Kを含むため。腎不全時は使用しない。
ソルデム3A
ハルトマンG3号
EL−3 40 35 40 0 0 8 20 5 200
リプラス3号 40 20 40 0 0 0 20 5 200
アクチット 45 17 37 0  5 10 酢酸20 マルトース5 200
KN補液3B 50 20 50 0  0  0 20 2.7 108
ソルデム3
フルクトラクト 50 20 50 0  0  0 20 フルクトース2.7 108
KN補液3A 60 10 50 0  0  0 20 2.7 108
ソルデム4
ソリタT3G 35 20 35 0 0  0 20 7.5 300
ソルデム3AG
フィジオゾール3号 35 20 38 0 3 0 20 10 400
フィジオ35 35 20 28 5 3 10 酢酸20 10 400
10%EL3号 40 35 40 0  0 8 20 10 400
ソルデム3PG
ソリタックスH 50 30 48 5 3 10 20 12.5 500
トリフリード 35 20 35 5 5 10 酢酸6
クエン酸14
10.5
(ブドウ糖、フルクトース、キシリトール
420
KN補液MG3号 50 20 50  0  0  0 20 10 400
分類 薬品名 電解質(mEq/L) 乳酸 ブドウ糖% kcal/L
Na Cl Ca Mg
4号液
(術後回復液)
KN補液4B 30 8 28 0 0 0 10 3.75 150 Na,Cl濃度は生理食塩水の1/4〜1/5程度。
水欠乏の高張性脱水時に使用される。
Kを含まず、腎不全にも使用される。
ソルデム5
ソリタT4 30 0 20  0 0 0 10 4.3 172
リプラス4S
KN補液4A 30 0 20  0   0 0 10 4.0 160
ソルデム6




T−(2) 単一(補正用)電解質輸液
市販の複合電解質補液だけでは補正できない場合に、単一電解質を適宜併用して調整します。

【表4】単一(補正用)電解質輸液

単一(補正用)電解質輸液
分類 薬剤名 電解質(meq/ml) pH 浸透圧比 適応状態 補足
Na剤 補正用塩化Na液 Na 1.0 Cl 1.0 5-7 約7 細胞外液量欠乏時低Na血症 Na欠乏でアルカローシスのある時使用
10%塩化Na Na 1.711 Cl 1.711 約12
コンクライトNa Na 2.5 Cl 2.5 約16
メディジェクトNa 1モル  Na 1.0 Cl 1.0 5-7.5 約7
メディジェクトNa 10%  Na 1.710 Cl 1.711 5-7 約11
K剤 アスパラK K 1.0 アスパラ酸 1.0 6-8 約6 Kの経口補給が出来ない場合。
緊急時。
緩徐に点滴静注
コンクライトK K 1.0 Cl 1.0 5-7 約7
補正用塩化カリウム液
KCL注射液 K 2.0 Cl 2.0 約14
メディジェクトK K 1.0 Cl 1.0 5-6.5 約6
Ca剤 アスパラCa Ca  0.33 アスパラ酸0.33 5-7 約1 急性低Ca血症によるテタニー
(筋肉けいれん)

急性高K血症の改善
ジギタリス製剤投与中は不整脈に注意を要する。
Caイオンは、クエン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酒石酸塩製剤との併用で沈殿する。
カルチコール Ca 0.39 Cl 0.39 6-8.2 約5
コンクライトCa Ca 1.0 Cl 1.0 5-7
補正用塩化カルシウム液 4-6
大塚塩カル注2% Ca 0.36 Cl 0.36 5.3-7.3 約2
メディジェクトCa 0.5モル Ca 1.0 Cl 1.0 4.5-7.5 約5
P剤 コンクライトP K 1.0 HPO 1.0 8.8ー9.4 約4 Pの補正  
補正用リン酸二カリウム液 8-10
メディジェクトP 8.6-9.3
Mg剤 コンクライトMg Mg 1.0 SO 1.0 5.5-7.0 約2 Mgの補正 大量投与でMg中毒
不整脈 等
補正用硫酸マグネシウム液 5.5-7.5
メディジェクトMg
マグネゾール Mg 0.813 SO 0.813 3.5-6.5
アルカリ化薬剤 メイロン(7%) Na 0.833 HCO 0.833 7.6-8.6 約5 代謝性アシドーシスの改善 呼吸性アシドーシスでは原則使用しない。
急激な補正は、代謝性アルカローシス、低K血症を起こす。
含有Na量には注意
メイロン84 Na 1.0 HCO 1.0 約6
コンクライトL Na 1.0 乳酸 1.0 6-7 約7
補正用乳酸Na液 6.5-8.5
メディジェクトL 6.5-7.5
酸化性薬 コンクライトA NH 5.0 Cl 5.0 32 4-5 代謝性アルカローシス 塩化K製剤で無効時に使用。
アンモニア血症では不可。


(U) 栄養輸液剤

経口摂取が出来ない状態(手術、嘔吐、腸炎、閉塞性腸疾患など)では、生体が回復するまで、水分と適切なエネルギーを補給し、蛋白異化(体組織の消耗)をできるだけ抑えて組織回復を助ける必要があります。
栄養源は、(1)糖質 (2)アミノ酸 (3)脂肪 があります。
また必要に応じて、(4)ビタミン (5)微量元素 を追加します。
電解質、pH、濃度を調整して組成を決定します。市販の栄養輸液はすでに調整されており一般的使用に有用です。

(U)−(1) 糖質 【表5】
ブドウ糖は1g=4kcalのエネルギーを発生します。ブドウ糖は重要なエネルギー源で、特に心筋や脳はブドウ糖を必要とします。なお、ブドウ糖代謝にはビタミンB1が必須です。
糖質輸液は5〜50%の濃度の製剤があります。
5%ブドウ糖(体液と同じ浸透圧濃度)は、栄養補給としての意味よりは、水分補給の意味として使用されます。
一方、ブドウ糖の利用にはインスリンが必要であるため、糖尿病や耐糖能異常時は糖代謝が低下して高血糖の危険性があり注意を要します。ブドウ糖濃度が濃い溶液を点滴する時は血糖を確認し、場合によってはインスリンも使用されます。
耐糖能異常でブドウ糖利用が不良時に、他の二糖類(キシリトール、フルクトース、ソルビトール、マルトース)を入れた製剤もあります。
なお、10%以上のブドウ糖の持続点滴は静脈炎を起こす危険性があります。末梢を使う場合、20、50%ブドウ糖の少量単回投与は可能ですが、高浸透圧による血管組織障害のため持続点滴はできません。


(U)−(2) アミノ酸  【表6】
タンパク質の源です。長期摂食不良では必須アミノ酸が欠乏するためアミノ酸補給を要します。アミノ酸輸液濃度は3〜12%あり、調整で最終的に3〜4%とします。製品中の必須アミノ酸と非必須アミノ酸との比(E/N比)は約1です。
アミノ酸は総エネルギーが不十分の状態ではエネルギーとして消費されてしまいます。(1g=4kcalとして)。そうなると尿素産性が増加し血中尿素窒素(BUN)が高くなります。
タンパク質合成(蛋白同化)のためには、窒素1g(アミノ酸6.25g)あたり、130〜180kcalのエネルギーが必要です。
(非蛋白熱量/窒素比=130〜180)
また、BCAA(分岐鎖アミノ酸、branched chain amino acid,ロイシン、イソロイシン、バリン)は、ストレス時に末梢組織でエネルギとして使用され個体の蛋白異化を抑制すると同時に、肝臓での蛋白合成を促進し窒素バランスを改善する。主に術後のストレス時に使用されます。

(U)−(3) 脂肪乳剤 【表7】 
脂肪のエネルギー量は高く(1g=9kcal)、糖質と異なり濃度が濃くても浸透圧は上昇しません(浸透圧=1)。
ブドウ糖だけではエネルギー供給が困難であり、脂肪乳剤の出現はPPNの発展に重要な役目を果たしています。
脂肪投与量は、最高で2g/kg/day以下、総エネルギーの10%程度を計画します。
他の製剤に混入すると脂肪沈着ができて肺塞栓症のおそれがあるため、末梢血管から単剤で投与します。(一部のTPN製剤を除く)
現在の市販製剤は長鎖脂肪酸(リノール酸50%以上)ですが、中鎖脂肪酸やωー3脂肪酸などが開発されつつあります。

(U)−(4)(a) ビタミン  8】
ビタミンは、水溶性ビタミン9種と脂溶性ビタミン3種 計12種類があります。(米国医学会(AMA)ガイドライン 1975年)
水溶性ビタミンは酵素反応を促進する補酵素の役目を果たします。脂溶性ビタミンは細胞の分化や増殖などの働きを持っています。
水溶性ビタミンは吸収されやすい反面、尿からも排泄されやすく過剰投与による副作用は出現しません。
一方脂溶性ビタミンは尿中へは排泄しないため、過剰投与による過剰症には注意を要します。
糖利用のためにビタミンB1は必要です。TPN時は任意で複合ビタミン剤0.5ml/5kg(最高5ml/1頭)を注射します。経口摂取が長期間不可能では考慮します。


(U)−(4)(b)微量元素 【表9】
長期間の絶食、吸収障害、TPN、先天性異常などで微量元素が不足します。微量元素は体内に広く分布し、ビタミン剤と同様に、酵素または補酵素として細胞分化の役目などを果たしています。
長期間のTPNでは補充が必要となります。0.5ml/5kg(最高5ml/1頭)を注射します。

【表5】 糖質輸液 

糖質輸液
糖質 薬品名 濃度%
ブドウ糖 第一糖薬 5%、10%、20%、40%、50%
ロジノン
第一葡萄糖
ブドウ糖
メディジェクトG
キシリトール クリニット 5%、10%、20%、50%
キリット
マルトース マルトス10 10%
果糖 フルクトン 5%、10%、20%、50%
D−ソルビトール ソルビットT 5%


【表6】 アミノ酸輸液

アミノ酸輸液
  アミノ酸濃度 肝不全用 腎不全用 小児用
3% 5% 10% 10%分枝鎖 12%
製剤名 アミグランド プラスアミノ アミノフリード アミカリック マックアミン クリニタミン 3%ESポリタミン プロプレアミン5 10%
ESポリタミン
ハイプレアミン モリプロンF 強力
モリアミンS
アミニック アミパレン アミゼット プロテアミン イスポール モリヘパミン アミノレバン ネオアミュー キドミン プレアミンP 製剤名
10 10
S
B XB 12 12
X
12 12
S
バッグ容量 500 200
500
200
500
500
1000
200
500
500 500 200
500
200 20
100
200
200
300
200 200
300
200
300
400
200
300
400
200
300
200 200 200
300
500
200
300
500
200 200
300
200 バッグ容量
電解質
mEq/L
Na 35 34 35 30 35 35 6 34 11 8 5
未満
18 2.9未満 2.0 0 150 65 3 14 2 2 3 電解質
mEq/L
Na
Cl 35.2 34 35 50 41 34 42 59 138 137 0 182 0 0 0 150 150 0 94 0 0 0 Cl
酢酸 19 0 19 0 47 0 0 0 0 0 60 0 80 120 0 0 0 100 0 47 45 80 酢酸
乳酸 20 0 20 40 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 乳酸
糖質(%) 
(X=キシリトール)
(S=ソルビトール)
(Gly=グリセリン)
(G=ブドウ糖)
G:7.5 G:7.5 G:7.5 G:7.5 gly:3 X:5 0 S:5 0 0 S:5 0 0 0 0 0 X:5 0 X:5 0 S:5 0 0 0 0 0 糖質(%)
(X=キシリトール)
(S=ソルビトール)
(Gly=グリセリン)
(G=ブドウ糖)
アミノ酸

g/dl
必須アミノ酸 イソロイシン 0.80 0.18 0.24 0.234 0.21 0.189 0.288 0.352 0.96 0.96 0.56 0.55 0.91 0.8 0.85 0.597 0.845 0.92 0.90 0.75 0.90 0.80 必須アミノ酸 イソロイシン
ロイシン 1.40 0.41 0.42 0.371 0.27 0.195 0.327 0.49 1.09 1.09 1.25 1.23 1.29 1.40 1.35 1.138 1.175 0.945 1.10 1.00 1.40 1.60 ロイシン
リジン 1.31 0.62 0.393 0.22 0.31 0.330 0.432 0.43 1.44 1.203 1.24 2.23 1.0 1.48 1.216 0.98 1.032 0.395 0.76 0.70 0.71 0.677 リジン
メチオニン 0.39 0.24 0.117 0.135 0.16 0.141 0.288 0.225 0.96 0.96 0.35 0.71 0 0.39 0.39 0.433 0.54 0.044 0.10 0.50 0.30 0.15 メチオニン
フェニルアラニン 0.70 0.29 0.21 0.212 0.17 0.195 0.192 0.533 0.64 0.64 0.935 0.87 0.70 0.70 0.77 0.974 1.28 0.03 0.10 0.50 0.50 0.25 フェニルアラニン
トレオニン 0.57 0.18 0.17 0.132 0.12 0.180 0.192 0.25 0.64 0.64 0.65 0.54 0.75 0.57 0.48 0.504 0.596 0.214 0.45 0.25 0.35 0.24 トレオニン
トリプトファン 0.20 0.07 0.06 0.044 0.046 0.045 0.096 0.09 0.32 0.32 0.13 0.18 0 0.20 0.16 0.187 0.218 0.07 0.07 0.25 0.25 0.12 トリプトファン
バリン 0.80 0.20 0.24 0.297 0.20 0.195 0.288 0.36 0.96 0.96 0.45 0.61 1.40 0.80 0.90 0.690 0.865 0.89 0.84 0.75 1.00 0.60 バリン
非必須アミノ酸 アラニン 0.80 0 0.24 0.237 0.21 0.150 0 0.20 0 0 0.62 0 0.71 0.80 0.86 0.821 0.48 0.84 0.75 0.30 0.25 0.52 非必須アミノ酸 アラニン
アルギニン 1.05 0.22 0.315 0.305 0.29 0.165 0.30 0.50 1.00 1.00 0.79 0.80 0.90 1.05 1.11 1.23 1.20 1.537 0.73 0.30 0.45 1.000 アルギニン
アスパラギン酸 0.10 0 0.03 0.014 0 0.240 0 0.25 0 0 0.38 0 0.10 0.10 0.05 0.202 0.60 0.02 0 0.025 0.10 0.08 アスパラギン酸
シスチン 0.10 0 0.03 0 0.02 0 0 0.01 0 0 0.1 0 0.035 0.10 0.10 0.023 0.024 0.025 0.04 0 0.10 0.15 シスチン
グルタミン酸 0.10 0 0.03 0 0 0.300 0 0.075 0 0 0.65 0 0.05 0.10 0.05 0.102 0.18 0 0 0.025 0.10 0.08 グルタミン酸
ヒスチジン 0.50 0.10 0.15 0.129 0.085 0.142 0.15 0.25 0.50 0.50 0.60 0.40 0.50 0.50 0.47 0.522 0.60 0.31 0.32 0.25 0.35 0.25 ヒスチジン
プロリン 0.50 0 0.15 0.19 0.34 0.142 0 0.10 0 0 0.33 0 0.50 0.50 0.64 1.063 0.24 0.53 0.80 0.20 0.30 0.60 プロリン
セリン 0.30 0 0.09 0.115 0.18 0.150 0 0.10 0 0 0.22 0 0.17 0.30 0.42 0.467 0.24 0.26 0.50 0.10 0.30 0.40 セリン
チロジン 0.05 0 0.015 0.014 0 0.005 0 0.025 0 0 0.035 0 0.04 0.05 0.05 0.057 0.06 0.04 0 0.05 0.05 0.06 チロジン
アミノ酢酸 0.34 0.177 0.151 0.42 0.235 0.447 0.76 1.49 1.49 1.07 1.00 0.70 0.59 0.55 1.568 1.825 0.54 0.90 0.15 0 0.20 アミノ酢酸
アミノ酸計(g/dl) 3.0 2.85 3.077 2.800 3.031 2.999 3,00 5,00 10.00 9,763 10.36 9.120 10.30 10.00 10.00  11.558 12.00 7.610 8.360 6.125 7.42 7.777 アミノ酸計(g/dl)
総遊離アミノ酸(g/dl) 3.0 2.72 3.00 2.75 2.935 3.00 2.82 4.76 9.41 9.22 10.0 8.432 10.0 10.0 10.0 11.362 11.43 7.47 7.99 5.925 7.20 7.60 総遊離アミノ酸
総窒素量(g/dl) 0.47 0.42 0.471 0.428 0.46 0.392 0.438 0.72 1.462 1.426 1.52 1.31 1.52 1.57 1.56 1.815 1.74 1.318 1.22 0.81 1.00 1.175 総窒素量
E/N比
必須アミノ酸/
非必須アミノ酸
1.44 3.12 1.44 1.38 0.91 0.96 2.50 1.25 2.50 2.43 1.09 3.10 1.71 1.44 1.33 0.88 1.25 0.855 1.09 3.21 2.60 1.26 E/N比
(必須アミノ酸/ 非必須アミノ酸)



【表7】 脂肪乳剤

脂肪乳剤
製剤名 濃度 成分組成(%) 脂肪酸組成(モル%) エネルギー(kcal/L) 浸透圧比 pH 1bag容量
(ml)
精製
大豆油
精製
卵黄レシチン
濃グリセリン パルミチン酸 ステアリン酸 オレイン酸 リノール酸 リノレイン酸
イントラファット 10% 10% 1.2% 2.5% 12.4 4.4 23.9 51.6 7.7 1100 約1 6.5-8.0 200
500
20% 20% 1.2% 2.25% 12.4 4.4 23.9 51.6 7.7 2000 約1 6.5-8.5
イントラリポス 10% 10% 1.2% 2.2% 12.1 4.3 23.7 53.0 6.9 1100 約1 6.5-8.5 100
250
20% 20% 1.2% 2.2% 12.1 4.3 23.7 53.0 6.9 2000 約1 6.5-8.5 250
イントラリピッド 10% 10% 1.2 2.25 8.5 3.0 25.0 55.0 8.0 1100 約1 6.5-8.5 50
100
250
20% 20% 1.2 2.25 8.5 3.0 25.0 55.0 8.0 2000 約1 6.5-8.5 100


【表8】 ビタミン剤、微量元素

ビタミン(V)種類 成分名 欠乏症 過剰症
脂溶性ビタミン ビタミンA レチノール 夜盲症、角膜乾燥症 レチノイド反応性皮膚疾患(脱毛、皮膚剥脱、原発性特発性脂漏症、ニキビ症候群など)
ビタミンD エルゴカリシフェロール 骨軟化症、くる病 高Ca血症、口渇、多飲
多尿、意識混濁
ビタミンE トコフェロール 溶血性貧血、網膜症 過剰症は出現しない
ビタミンK フィトナジオン 出血傾向 溶血性貧血
水溶性ビタミン ビタミンB1 チアミン 多発性神経炎、脚気、
ウエルニッケ脳症
特に重大な異常は認められない
ビタミンB2 リボフラビン 口角炎、舌炎、皮膚炎
眼症状
ビタミンB5 パントテン酸 皮膚炎
ビタミンB6 ピリドキシン 低色素性小球性貧血、多発性神経炎
脂漏性皮膚炎
ビタミンB12 シアノコバラミン 悪性貧血
ニコチン酸 ニコチン酸 ペラグラ(pellagra;ニコチン酸欠乏症候群)
皮膚炎、下痢、痴呆を3徴候とする。
ビタミンC アスコルビン酸 壊血病。
メリレル・バロウ病
【Moeller-Barlow disease (乳児壊血病)】
葉酸 葉酸(プテロイルグルタミン酸) 巨赤芽球性貧血、舌炎、うつ病
ビタミンH ビオチン 湿疹、皮膚の落屑、舌乳頭萎縮
微量元素 製剤 含有金属 欠乏症 過剰症
・エレメンミック・ミネラリン
・エレメイト(2ml)
Fe  35μmol 鉄欠乏性貧血 皮膚、肝臓への鉄沈着(ヘモジデローシス)
Mn  1μmol
Cu  5μmol

疲労感、皮下出血、血管の損傷、心肥大、貧血、白血球数低下。

腎臓損傷、溶血性貧血。
Zn  60μmol 免疫力低下、被毛の退色、食欲減退、成長遅延、味覚嗅覚異常、造精能低下 吐き気、嘔吐、下痢
I   1μmol 甲状腺機能低下症 甲状腺機能亢進症

【表9】 総合ビタミン剤

高カロリー輸液用総合ビタミン剤
製剤名 MVI注キット MVI12キット オーツカMV注 ソービタ ネオラミンマルチV ビタミロ12注 マルタミン注射用 ビタジェクト
(A液・B液)
ネオMVI9注 ネオMVI3注 1号 2号 1号 2号 3号
容量 5ml 5ml 5ml 凍結乾燥 4ml 凍結乾燥 2ml 5ml 凍結乾燥 凍結乾燥 凍結乾燥 5ml
脂溶性ビタミン A (IU) 10000 3300 0 0 3300 0 0 2500 3300 3300 4000 3300
D (IU) 1000 200 0 0 200 0 0 200 10μg 200 400 10μg
E (mg) 5 10 0 0 10 0 0 15 15 10 15 15
K (mg) 0 0 0 0 2 0 0 2 2 0 2 2
水溶性ビタミン B1 (mg) 50 3 0 3 0 5 0 0 3 3 5 3
B2 (mg) 10 3.6 0 3.6 0 5 0 0 4 3.6 5 4
B5 (mg) 25 15 0 15 0 0 12 0 15 15 15 15
B6 (mg) 15 4 0 4 0 3 0 0 4 4 5 4
B12 μg 0 0 5 5 0 30 0 0 10 5 10 10
C (mg) 500 100 0 100 0 0 100 0 100 100 100 100
ニコチン酸(mg) 100 40 0 40 0 20 0 0 40 40 40 40
葉酸μg 0 0 400 400 1000 0 0 400 400 400 400
ビオチン μg 0 0 60 60 0 200 0 0 100 60 100 100




栄養輸液法
栄養輸液法は、静脈に血管カテーテルを挿入し、そこから体内に栄養を供給する方法です。
投与カロリーと投与血管経路の違いから、以下の二方法があります。

1●末梢血管を用いる末梢性非経口栄養療法(
PPN;peripheral parenteral Nutrition)。

2●太い血管(中心静脈=大静脈;頸静脈など)を用いる中心性非経口栄養療法(
TPN;Total parenteral Nutrition またはIVH;intravenous hyperalimentation))。

動物へTPN応用は、1968年、医師Stanley J. Dudrick※1がビーグル犬をTPNだけで育てることに成功したのが始まりです。
獣医療では、1977年にはTPNで10匹の犬が維持管理された報告※2が最初です。
その後各種製剤が開発され、人さらには動物に使用されるようになっています。
日本では主にTPNの発達がすすんできましたが、最近はPPNの有用性が再認識されつつあります。
(注意:市販されている人用輸液中のアミノ酸、ビタミン、微量元素は犬や猫の必要条件とは必ずしも一致しません。しかし短期間使用では栄養目的を十分に果たすことが可能です。)
※文献
(1) Dudrick ST,et al:Longterm total parenteral nutrition with growth,developement, and positive nitrogen balance.Surgery64:134-142,1968
(2)Carter JM.et al:Ttotal intravenous feedings in the dog.JAVMA171:71-76,1977.


経口摂取不能(消化管も使用できない状態)が3日間以上続く場合は、栄養点滴が有効な治療法となります。
PPNとTPNの栄養源は、ブドウ糖、アミノ酸、脂肪乳剤の三種類で、必要量を混合して調整します。
Three in one 処方)
調剤は、専用の滅菌バッグに各組成液を昆注して調剤します。操作は滅菌的に行う必要があります。
調剤の手間がかかることから市販の輸液内容で間に合う場合はそれを利用します。


【表10】 PPNとTPN の概要

非経口栄養法 適応 利点 欠点 備考
PPN

(末梢静脈栄養)
・静脈栄養必要期間が比較的短期(5〜7日程度)
・経口栄養で不十分な場合の補助栄養
・手技が簡単。
・集中的なモニタリングを要しない。
・必要エネルギーの50%程度しか供給できない。
・末梢静脈炎、静脈血栓症、感染症の危険がある。静脈炎予防には同一血管では14日間が限度。
・衰弱した状態を回復させる目的にはエネルギーが不十分。
・調合操作は滅菌操作を要する。
・12〜24時間の点滴時間を要する。
・浸透圧が高いと静脈炎と血管痛を起こす。900mosm/Lが限度。
・ブドウ糖、アミノ酸、電解質、脂肪製剤を組み合わせる。
・必要に応じて電解質補正を行う。
・人用市販輸液のアミノ酸構成は動物の必要量を満たさないことがある。
・消化管が使用できる場合は経腸栄養剤も併用してエネルギーを補う。
TPN

(中心静脈栄養)
・長期間消化管が使えない状態
・吸収不全状態
・熱傷などの消耗性疾患で高度のエネルギーを要する場合
・十分必要なエネルギーを供給できる。
・1本のカテーテルで長期間使用が可能である。

・手技が難しい。
・敗血症のリスクがPPNよりも高い。
・カテーテルが体外でちぎられると残りの部分が体内に遺残する危険性がある。
・点滴濃度が高く高血糖や代謝性アシドーシスの合併症がある。
・感染予防のための輸液回路を要する(TPN専用ライン使用。マイクロフィルター付き。細菌混入防止のため普通の三方活栓を避ける。)
・24時間持続点滴のため点滴監視を要する。
・ブドウ糖、アミノ酸、脂肪製剤、微量元素、電解質が含まれている。ビタミンB1欠乏に注意。
・最適な組成にするために各種輸液の調合は理論上可能であるが、各種イオン(Ca、Mgなど)やpHの問題で輸液が沈殿、分離、混濁することがあり専門知識を要する。調剤薬局や大病院調剤に依頼することも可能。
TPN時のビタミンB1欠乏による重大な合併症
理由:VitB1欠乏では、ブドウ糖から作られるピルビン酸がアセチルCoAに変換されずTCAサイクルが回らず、乳酸アシドーシスとなる。TPN時は必ずVitB1を点滴で補給する。



必要エネルギーと栄養補給

PPN、TPNは、1日の必要エネルギーを求めて投与します。
(犬、猫)

1日当たりエネルギー要求量(DER=daily energy requirement)は、安静時エネルギー要求量(RER=resting energy requirement)または基礎エネルギー必要量(BER)に一定の係数を掛けて求めます。
RER = 70 X 体重(kg)0.75(乗) (kcal/day)
(体重の0.75乗の計算式=体重を3回掛け、その値に√√と2回押し、それに70を掛ける)

または、
RER=30 X 体重 + 70 (kcal/day)  (動物体重2〜35kgの場合はこれも近似式として使用されます)


体重
5kg
RER=70 x (5x5x5√√)=70x3.343=234.0590 kcal/day 
または
RER=30 x 5 +70=150 + 70=220 kcal/day

DER=RER X 係数
(係数は以下参照)
・避妊・去勢済み=RER×1.6 ・未避妊・未去勢=RER×1.8 ・肥満傾向=RER×1.4 ・減量用=RER×1.0 
・重篤・安静時=RER×1.0  ・体重増加=RER×1.2〜1.4  ・軽労働=RER×2 適度な労働=RER×3 重労働=RER×4〜8
・泌乳=RER×4〜8, または自由採食 ・妊娠=前半42日間=RER×1.8  後半21日間=RER×3
・成長=離乳〜4ヶ月齢=RER×4  4ヶ月齢〜成犬=RER×2
・各種疾患係数=1.0〜1.5

例)
体重 20kg犬 安静時
RER=30 x20kg +70           =670 kcal
DER=RER(670)x 係数 1        =670 kcal
1日の維持輸液量=70x20(kg)0.75乗   662ml

● このカロリーの50%を点滴栄養(PPN)で補う場合の例。(理論値)(表11参照
DER x 0.5                 =335 kcal
PPN用輸液(アミノフリード)500ml =210kcal
10%脂肪乳剤        150ml  =150kcal                       
合計            650ml   360kcal /day (12〜24時間) 
内訳 糖37.5g(150kcal)  アミノ酸15g(60kcal)  脂肪等15g(165kcal)

● このカロリーすべてを点滴栄養(TPN)で補う場合の例。(理論値)(表13参照
ミキシッドH(900kca/900ml/バッグ) 650m      
総合ビタミン剤(ビタジェクト)    2ml(0.5ml/kg)               
合計              652ml   650kcal /day (24時間)   
内訳 糖108g(432kcal) アミノ酸21.6g(86.4kcal) 脂肪14.3g(131.6kcal)
(バッグ内のミキシッド残り250mlは原則として24時間後に廃棄します。)
その理由は以下です。
・バッグ内の感染リスク(敗血症のリスク)が増える。 
・日光や温度等による液の変質リスクが増える。


なお、市販のPPN製剤を
【表11】に示します。

また、市販のTPN製剤を【表12】【13】【14】に示します。
TPN製剤は、含有する栄養源
の組み合わせによって3系統があります。
@ (糖、電解質)  【表12】
A (糖、電解質、アミノ酸) 【表13】
B (糖、電解質、アミノ酸、総合ビタミン、脂質) 
【表14】


【表11】市販のPPN製剤

末梢静脈栄養(PPN)用輸液製剤    (1Lあたり)
製剤名 アミノ酸 (/1L) 糖質 電解質 糖濃度(%) 総カロリー) 総窒素量(g) 浸透圧比 pH 剤形
容量
(ml)
遊離アミノ酸(g) BCAA/
TAA
比(%)
E/N
ブドウ糖
(g)
グリセリン
(g)
Na
(mEq)
K
(mEq)
Cl
(mEq)
Ca
(mEq)
Mg
(mEq)
SO4
(mEq)
乳酸
(mEq)
酢酸
(mEq)
Gl
uconate
(mEq)
P
(mmol)
Zn
(μmol)
アミグランド 30 30 1.44 75 0 35 20 35 5 5 5 20 19 5 10 4.8 7.5 410 4.70 3 6.7 500
アミノフリード 30 30 1.44 75 0 35 20 35 5 5 5 20 19 5 10 5 7.5 420 4.71 3 6.7 500
1000
プラスアミノ 27.2 29 3.12 75 0 34 0 34 0 0 0 53 0 0 0 0 7.5 409 4.20 2.8 4.6 200
500
アミカリック 27.5 31 1.38 75 0 30 25 50 0 3 0 40 0 0 1.5 0 7.5 410 4.28 3 4.6

5.6
200
500
マックアミン 29.4 23 0.91 0 30 35 24 41 3 5 0 0 47 0 4 0 3 246 4.60 2.6 6.2

7.2
200
500
E/N (必須アミノ酸/非必須アミノ酸)
BCAA:分岐枝アミノ酸(branched chain amino acid )=(ロイシン、イソロイシン、バリン)。 
TAA=total amino acid   (総アミノ酸量)

PPN製剤 (ダブルバッグ  見本 
製品名 アミノフリード 500ml
(糖・電解質・アミノ酸液)
(大塚製薬)
上室: アミノ酸液  150ml
下室: 糖・電解質  350ml
(各室の組成は表11)
混合方法:上室または下室を両手で押して隔壁を開通し、よく混合。
注意:
@必ず上室液と下室液を混合してご使用下さい。
A混合後は速やかにご使用ください。
上段の【開通確認シール】は、隔壁開通後はがします。
(はがした場所には点滴台に掛ける穴が開いています)
メーカーによる本製品に関する安全対策  (理由と経緯)
このバッグ一つにしても、医療ミス防止のために複数の安全対策がとられています。
獣医師の皆様にも、安全に関する意識を一層強く持っていただきたいものです。
真ん中の隔壁開通ミス防止対策 1.開通確認シールをはがさないと、本バッグを点滴台にセットすることができない。

2.真ん中の文字を大きく見やすくした。

以前(この部分を開通してください)
現在(ここを開通)
万一開通せずに点滴した場合でも、事故を起こさない組成 投与量でもっとも注意すべき組成はカリウム(K)です。
急速な投与は高K血症を引き起こし、危険な不整脈を誘発する危険性があります。したがってKが急速に流入しないように、Kを上下室にそれぞれ分配しています。

以前はKがすべて上室に含まれていたが、隔壁を通さずに点滴してから気がついて、後で隔壁を開けたところ上室のKが急速に点滴された例があったため、現在の組成になった経緯があります。


【表12】 高カロリー(TPN) 輸液@

高カロリー輸液基本液    @ (糖、電解質)
製剤名 糖質(g) 電解質(mEq) 熱量
(kcal)
pH 浸透圧比 剤形
容量
(ml)
ブドウ糖 フルクトース キシリトール Na K Cl Mg Ca SO4 乳酸 酢酸 gluco
nate
クエン酸 P Zn
(μmol)
アリメール 1号 120 0 0 50 30 50 6 8 6 0 22 8 0 8 20 480 4〜5
4 800
2号 180 0 0 50 30 50 6 8 6 0 22 8 0 8 20 720 4〜5 7 800
3号 250.4 0 0 50 30 50 6 8 6 0 22 8 0 8 20 1000 4〜5 10 800
トリパレン
(600ml換算)
1号 79.8 40.2 19.8 3 27 9 5 5 5 0 6 5 12 6 10 560 4〜5 6 400
600
1200
糖質 計 139.8
2号 100.2 49.8 25.2 35 27 44 5 5 5 0 0 5 11 6 10 700 4〜5 8 400
600
1200
糖質 計 175.2
ハイカリック
(700ml換算)
1号 120 0 0 0 30 0 10 8.5 10 0 25 8.5 0 4.8 10 480 3.5〜
4.5
4 700
1400
2号 175 0 0 0 30 0 10 8.5 10 0 25 8.5 0 4.8 10 700 3.5〜
4.5
6 700
1400
3号 250 0 0 0 30 0 10 8.5 10 0 22 8.5 0 4.8 10 1000 3.5〜
4.5
8 700
1400
注 ハイカリックはNaClを含まないため、NaClを多く含むアミノ酸製剤を併用する。 
ハイカリックNC
(700ml換算)
L 120 0 0 50 30 49 10 8.5 0 30 11.9 8.5 0 8.1 20 480 4〜5 4 700
1400
N 175 0 0 50 30 49 10 8.5 0 30 11.9 8.5 0 8.1 20 700 4〜5 6 700
1400
H 250 0 0 50 30 49 10 8.5 0 30 11.9 8.5 0 8.1 20 1000 4〜5 8 700
1400
ハイカリックRF
(500ml換算)
250 0 0 25 0 15 3 3 0 15 0 3 0 0 10 1000 4〜5 11 250
500
1000
カロネット L 90 0 0 6 18 4 4 4 0 0 23 0 0 0 0 360 4.7〜
5.7
5 400
H 120 0 0 6 18 4 4 4 0 0 23 0 0 0 0 480 4.7〜
5.7
7 400
リハビックスK
(500ml換算
1号 85 0 0 5 10 0 1 4 0 9 1 0 0 5 10 340 4.8〜
5.8
4 500
2号 105 0 0 0 15 0 2.5 7.5 0 2.5 2.5 0 0 10 10 420 4.8〜
5.8
5 500
3号 100 0 0 13.5 20 3.5 2 4.5 0 21.5 2 0 0 6.5 10 400 4.8〜
5.8
5 500
1500
4号 150 0 0 3.5 26.5 3.5 3.5 6.5 0 13 3.5 0 0 10 10 600 4.8〜
5.8
7 500
1500



【表13】 高カロリー(TPN) 輸液 A

カロリー輸液基本液    A (糖、電解質、アミノ酸)
バッグ構造 製剤名 糖、電解質組成(量ml) アミノ酸組成(量ml) 糖質(g) 電解質(mEq) アミノ酸(g) 熱量
(kcal)
非蛋白熱量 非蛋白熱量
/
窒素比
pH 浸透圧比 総容量
(ml)
ブドウ糖 フルクトース キシリトール Na K Cl Mg Ca SO4 酢酸 gluco
nate
クエン酸 乳酸 Malate P Zn
(μmol)
合計 総遊離アミノ酸 総窒素量 E/N比
ダブルバッグ ピーエヌツイン 1号 アリメールと同一 すべて800 モリプロンFと同一 200 120 0 0 50 30 50 6 8 6 34 8 0 0 0 8 20 20.720 20 3.04 1.09 560 480 158 5 4 1000
2号 300 180 0 0 50 30 50 6 8 6 40 8 0 0 0 8 20 31.080 30 4.56 1.09 840 720 158 5 5 1100
3号 400 250.4 0 0 51 30 50 6 8 6 46 8 0 0 0 8 20 41.440 40 6.08 1.09 1160 1000 164 5 7 1200
ダブルバッグ アミノトリパ 1号 トリパレンと類似 600 アミパレンと同一 250 79.8 40.2 19.8 35 22 35 4 4 4 44 4 19 0 0 5 8 26.075 25 3.93 1.44 660 560 142 5.6 5 850
1200 500 159.6 80.4 39.6 70 44 70 8 8 8 87 8 19 0 0 10 16 52.150 50 7.85 1.44 1320 1120 142 5.6 5 1700
2号 600 300 100.2 49.8 25.2 35 27 35 5 5 5 54 5 11 0 0 6 10 31.290 30 4.71 1.44 820 700 149 5.6 6 900
1200 600 200.4 99.6 50.4 70 54 70 10 10 10 107 10 23 0 0 12 20 62.580 60 9.42 1.44 1640 1400 149 5.6 6 1800
シングルバッグ ユニカリック L ハイカリックNCがベース  − アミゼットがベース  − 125 0 0 40 27 55 6 6 5 10 6 0 35 14 8 20 27.06 25.03 3.89 1.38 600 500 128 3.8〜
4.8
4 1000
250 0 0 80 54 110 12 12 10 20 12 0 70 28 16 40 54.12 50.06 7.79 1.38 1200 1000 128 3.8〜
4.8
4 2000
N 175 0 0 40 27 59 6 6 5 10 6 0 35 17 8 20 32.43 29.98 4.66 1.38 820 700 150 3.8〜
4.8
5 1000
350 0 0 80 54 118 12 12 10 20 12 0 70 34 16 40 64.86 59.96 9.33 1.38 1640 1400 150 3.8〜
4.8
5 2000
C:クエン酸 L:乳酸  M:マレイン酸


【表14】 高カロリー(TPN) 輸液B

高カロリー輸液基本液    B (糖、電解質、アミノ酸、総合ビタミン、脂質)
バッグ構造 製剤名 容量
ml)
糖質(g) 電解質(mEq) アミノ酸(g) ビタミン 脂量 熱量
(kcal)
非蛋白熱量 非蛋白熱量
/
窒素比
pH 浸透圧比
ブドウ糖
(g)
糖質濃度
(%)
Na K Cl Mg Ca SO4 酢酸 gluco
nate
乳酸 P
(mg)
Zn
(μmol)
総遊離アミノ酸 総窒素量 E/N
A

(IU)
D

μg
E

mg
K

mg
B1

mg
B2

mg
B6

mg
B12

μg
C

mg
ニコチン酸アミド
mg
パントテン酸
mg
葉酸

μg
ビオチン

μg
脂肪量
(精製大豆油)
脂肪濃度
3室バッグ
(大室:
ビタミンB1,B6,ニコチン酸アミド、糖、電解質)

(中室:
ビタミンB2,C、パンテノール、アミノ酸)

(小室:
ビタミンA,D2,E,K1,B12,葉酸、ビオチン)
フルカリック 1号 903ml
(大700
中室200
小室3)
120 13.29 50 30 49 10 8.5 0 11.9 8.5 30 250 20 20 3.12 1.33 1650 5 7.5 1 1.5 2.54 2 5 50 20 7.5 200 50 - 560 480 154 4.5

5.5
4
2号 1003ml
(大700
中室300
小室 3)
175 17.45 50 30 49 10 8.5 0 11.9 8.5 30 250 20 30 4.68 1.33 1650 5 7.5 1 1.5 2.54 2 5 50 20 7.5 200 50 - 820 700 150 4.8

5.8
5
3号 1103ml
(大700
中室400
小室 3)
250 22.67 50 30 49 10 8.5 0 11.9 8.5 30 250 20 40 6.24 1.33 1650 5 7.5 1 1.5 2.54 2 5 50 20 7.5 200 50 - 1160 1000 160 4.9

5.9
6
ダブルバッグ
上室:
脂肪、ブドウ糖

下室:
アミノ酸、電解質
ミキシッド L 900
(上600
下300)
110 12.2 35 27 44 5 8.5 5 25 8.5 0 150 10 30 4.61 1.34 0 15.6 1.7 700 580 126 6 4
H 900
(上600
下300)
150 16.7 35 27 44 5 8.5 5 25 8.5 0 200 10 30 4.61 1.34 0 19.8 2.2 900 780 169 6 5
3室バッグ
上室:
ニコチン酸アミド、葉酸、電解質)
小室:
ビタミンA,C、リボフラビン、アミノ酸)
小室:
ビタミンB12,チアミン、ブドウ糖、電解質)
ネオパレン 1号
開始液
1000
(上300
小室4
下696)
120 12 50 27 50 4 4 4 36

クエン酸4
0 0 5 20 20 3.14 1.44 1650 2.5 5 1 1.95 2.3 2.45 2.5 50 20 7 200 30 - 560 480 153 6.8 4
2号
維持液
1000
(上300
小室4
下室
696)
175 17.5 50 27 50 5 5 5 51

クエン酸5
0 0 6 20 30 4.71 1.44 1650 2.5 5 1 1.95 2.3 2.45 2.5 50 20 7 200 30 - 820 700 149 6.7 5


(V) 特殊輸液


(V)−(1) 浸透圧利尿剤
浸透圧利尿剤は、腎臓の糸球体で濾過されて再吸収されない物質から成ります。尿細管内の浸透圧が上昇して水とNaイオンが排泄され、結果的に体内の水分が減少します。各種組織の減圧を図る作用があり、その疾患の治療が目的です。

浸透圧利尿剤(注射剤)
組成分類 製剤 用量、濃度 適応疾患
D-マンニトール マンニゲン 20% 200,500ml ・術中、術後、外傷後、薬物中毒時の急性腎不全の予防と治療。
・脳圧低下、脳容積減少、眼圧低下を必要とする状態。
マンニト−ル 20% 300,500ml
マンニトールS マンニトール15%
D-ソルビトール5%
300
500ml
濃グリセリン グリセオール 10% 200,300,500ml 頭蓋内圧亢進と頭蓋内浮腫の治療、脳外科手術後、眼圧低下を必要とする場合(急性緑内障)。
グレノール



(V)−(2) 血漿増量剤

急激な耐循環量減少時(出血性ショック、熱傷など)に、一時的に血漿浸透圧を維持し循環量を上げるために使用されます。デキストランとデンプンは多糖類で、一時的に血漿浸透圧を保持します。血中半減期は3〜6時間です。

血漿増量剤
分類 薬名 電解質(mEq/L)
Na K Cl Ca 乳糖 糖質(%)
デキストラン製剤

(分子量4万)
低分子デキストラン糖 0 0 0  0 0 ブドウ糖 5%

デキストラン40 10%
デキストセランG 0 0 0 0 0
レオマクロデックス 0 0 0 0 0
デキストロン 0 0 0 0 0
デキストラン40 154 0 154 0 0 デキストラン40 10%
デキストセランD40 154 0 154 0 0
低分子デキストランL 130 4 109 3 28
サヴィオゾール 131 4 110 3 28 デキストラン40 3%
デキストセランR 131 4 110 3 28
HES製剤
(ヒドロキシエチル デンプン)
(Hydroxyethylated starch)

(分子量7万)
サリンヘス 154 0 154 0 0 ヒドロキシエチル
デンプン  6%
ヘスパンダー 105.6 4 92.3 2.7 20 ブドウ糖 1.0%
ヒドロキシエチル
デンプン  6%


輸液は体内の水電解質を補うもっとも直接的な治療法です。効果的である反面、過剰な水分負荷や電解質過不足は動物の体に大きな負担をかけます。
軽症の病態では、輸液組成や量が多少誤っても動物側で調整してくれます。過剰な水分や電解質負荷があっても、心臓収縮力アップや腎の糸球体濾過能力などで対処してくれます。
ところが重症疾患や高齢ではすべての臓器予備能力は低下し、過剰な負荷に耐えられません。その結果、心不全、腎不全、循環障害、不整脈、高血圧、低血圧などの合併症が発生します。
輸液はごく普通に実施される治療ですが、内容を熟慮の上、適切で繊細な輸液治療を実施する必要があります。

「点滴すると良くなりますよ。」
獣医師がこう説明した時、飼い主はその輸液目的と輸液内容をしっかりと確認すべきです。

参考@

必要水分量(輸液量)    (犬、猫)
維持量(ml)=70x体重(kg)0.75 から算出

=1日安静時エネルギー必要量(RER)と同じ数値となります。

体重
(kg)
X1(係数)=RER(1日安静時エネルギー必要量)  
24時間水分必要量(ml) 1時間水分量(ml)
1 70 3
2 118 5
3 160 7
4 198 8
5 234 10
6 268 11
7 301 13
8 332 14
9 364 15
10 394 16
11 423 18
12 451 19
13 479 20
14 507 21
15 534 22
16 560 23
17 586 24
18 612 25
19 637 27
20 662 28
21 687 29
22 711 30
23 735 31
24 759 32
25 783 33
26 806 34
27 829 35
28 852 36
29 875 36
30 897 37
35 1007 42
40 1114 46
45 1216 51
50 1316 55



参考リンク

1.
輸液 - Wikipedia

2.メルクマニュアル家庭版, はじめに 155 章 ミネラルと電解質

3.高カロリー輸液マニュアルT-1

4.高カロリー輸液(TPN)の基準(計算ソフト)

5.ASPEN2003(医師薬出版株式会社)
  米国静脈経腸栄養学会要旨

6.
高カロリー輸液の適応と合併症

7.点滴静脈注射 - Wikipedia

8.皮下点滴(ノア動物病院 獣医師が指導します 自宅で皮下点滴をしよう!) (you tube 動画)




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2006/05/22 作成
(輸液)