INDEXへ

漆原友紀
「蟲師」

なんかみょーな雰囲気を持った漫画。
妖怪、妖かしの類いとは一線引いてもいいのではなかろうか?
ただ、すごく寂しさというか郷愁を感じる作品でした。
とにかく雰囲気を楽しむ系のイメージがあるわこれ。
少なくとも自分はそう感じた。悪くは無いです。
この作品や芦奈野ひとしの「ヨコハマ買い出し紀行」なんかは見事なまでの「静の漫画」だね。
秋や冬の夜長なんかにだまって読書する時めっちゃフィットしそう。
妖怪とか怪異な物とはちと違うけど上手く世界作ってるよなー。

このページのTOPへ

羽海野チカ
「ハチミツとクローバー」

私は「少女漫画読み」のスキルは持ち合わせていないもので最初はちょっと抵抗あったかな?(「キワモノ読み」ならあるんだが…)
小気味良いギャグが楽しいね、この漫画は。
一つ一つのネタが笑いを誘うっていうか。
反面、どーしてもこの切った惚れたのラブ話が私は苦手のようです。
細やかすぎてあーもうっ!ってカンジになる…
ガサツな私にはひょっとしたら毒なのかもしれぬ。

このページのTOPへ

内山まもる
「ザ・ウルトラマン」

昔、私がまだ小学生だった頃にコロコロコミックとかで読んでいたんだが、今読むと最高に笑えるギャグ漫画と化していた。
とある一シーン、敵の罠にはまり小型のブラックホールに吸い込まれ全滅してしまったウルトラマン達、唯一生き残ったウルトラマンに「アンドロメロス」っていう鎧を着けたウルトラマンがいるんだけど、「何故吸い込まれなかったんだ!?」と驚く敵に対してこやつの言ったセリフが
「俺の鎧にはブラックホールをなんとか防ぐ装置が付いているのだ!」
まあ確かに充分過ぎる程納得はしたけどさあ…
いやーカッコイイね、ウルトラマン。うん。

このページのTOPへ

内田春菊
「南くんの恋人」

何回読んでもイタイ漫画…
まあ最終回以外はぜんぜんなんてことないフツーの漫画なんだが。
あのラストのおかげでやたらと印象に残る作品になってしまった。
とは言えよく見ると最終回以外も結構細かい描写があって面白いですけどね。
まあこーいうのは個人的に好きですよ。後味悪くて。

このページのTOPへ

梅澤春人
「無頼男(ブレーメン)」
いや、結構面白かったですよコレ。
なんか無理矢理ロックに結び付けてる感もしないでもなかったがまあ許せる範囲内。
これも一種のサクセスモノに入るのかな。
最後もスッキリ終らせてくれたしいいんでないですか。スピード感あったし。
それにしても牛丼の一気喰いはどこかやってやれそうな気もするだけにスゴイと思った…(笑)
「LIVE」

偶然に偶然が重なってひょんな事から悪魔を呼び出してしまった少年「勇太朗」
願い事を三つ叶えてくれると言われて怯えてしまった彼のとった行動はこの悪魔から「悪魔の力を奪ってくれ」という願い事であった。普通の人間になってしまった悪魔「スレイヤ」と勇太朗の受難の日々が始まる…
とまあこんなお話。
ストレートだけどそこが非常に良い良作だと思う。
最後はスレイヤが愛に目覚めて(?)いい人間になって行くという終り方でしたがどこか「ピノキオ」の話をうまくアレンジしたような感じがしたなあ。
「まあ望んで人間になる」のと「望んでないのに人間になる」の違いはあるけれどね。
単行本一冊にまとまったのも中だるみしなくていい方向に働いたね。
面白かったですよ。
それはそうとこの方、神や悪魔が好きですねえ…

このページのTOPへ

うすた京介
「武士沢レシーブ」
正直言うとこの人のギャグってあんまり私の肌に合わなかった(と言うかあんまり笑えなかった)んだけどこの作品はまあ…そこそこに笑えたかな?
ヒーローに憧れて独自の衣装(ヘルメット等)や武器(交通整理の棒)等を駆使する主人公「武士沢光沢」が牛乳学園の仲間達と共にホンモノの怪人(ゼリー)を相手に戦う事になって…みたいなお話。
一応主人公の挫折?みたいな要素なんか入ってたりしたんでそれなりに読めたかも。
(もちろんいつもの通りにギャグは入ってるわけですが)
それにしても牛乳学園で自転車泥棒をしていた男(正体はコマンダ−矢吹だったわけだが)の衣装を見てメガドライブユーザーだった私は一発で反応してしまったわけでして…
案の定話の途中のページに「この格好に反応した人ー? ハイ、アンタマニアック。」という記述が。
(面白かったもんなーレンタヒーロー)
後は最終回の展開が秀逸。一番笑えた箇所かと。
「ピュ〜と吹く!ジャガー」
これって一応音楽系のジャンルに区分されるんだろうか?
今までの作品よりだんだんと話がこなれてきてるように見えるのは気のせい…?
おそらく今までよりも一話分のページの少なさがこの人の作品に合っていて読みやすさを与えてるのかもしれません。
でも今までの基本パターンである「変な主人公」と「その主人公に振り回される薄幸な男」という設定は全然変わってないのね。好きなんでしょうかこのパターン?
この作者のギャグの芸風が私の肌に合わないという事は同じだが今回のはそれなりに笑えました。
笑えたっつってもクスッとくる程度ではありますが。
んでも「この作品結構好き」っていう人が多いのもなんとなく頷けたようなそうでもないような。
「チクサクコール」
タイトルの意味は作者が子供の頃にボーイスカウトだったか学校行事だったか何だったか忘れたがそこで「チクサクチクサクホイホイホィ〜」という意味不明の謎のかけ声から取ったものらしい。
作者も書いてたがなんだかやけに「怖い」。
で、本の内容は初期作品の短編集なんだけどハッキリ言ってつまらなかった。
ゴチャゴチャしてて読み辛いんですよ。物語の中に溶け込めませんです。
唯一ラストに掲載されていた「エト」という作品だけはまあすんなり入っていけたかと。
この作者の意に反してギャグではなくストーリーものだったけど。それくらいしか印象無かったかなあ…
「セクシーコマンド−外伝 すごいよ!!マサルさん」

漫画の内容そのものはこの人のいつもの通りの作風なんで割愛しますが巻末のゲスト対談で椎名へきるが出ていたのには少々驚いた。
こういうのが好きだったんだなーへきるって。意外ー。
あと個人的にその昔ジャンプで短期間連載してた春日井恵一の「赤テン教師梨本小鉄」をパロった「赤テン教師無し元小銀」にちょいウケ。
あと密かにセガの「ターボアウトラン」のイラストというかカットがヘナチョコでグ−。
…漫画の内容と直接関係無いとこばっかり褒めてますね私。

このページのTOPへ

楳図かずお
「アゲイン」
楳図かずおの大ヒット作「まことちゃん」の元になったのがこの作品。
「まことちゃん」の沢田一家がそのまま登場していますが主人公はまことちゃんではなくお爺さんの沢田元太郎さん。
ひょんな事から若返りの薬を飲んでしまい若返った元太郎が大暴れ、みたいな内容。
正直、「まことちゃん」のような完成されたギャグ漫画というわけでは無く単なるドタバタもののイメージが濃い。
まあそれでも孫のまことが主役を喰うくらいによく動いていたのでそこからあの大ギャグ漫画が産まれたんでしょうね。歴史を感じるなあ。
最後の方で元太郎が残り少ない薬を量産するためにとっておくべきか級友達を助けるために飲むべきか葛藤する所と最後の男子VS女子剣道勝負で薬の利き目が切れた状態で勝利をおさめるあたりは中々に見れましたよ。
正に「老兵は死なず、ただ去り行くのみ」って感じで。
「まことちゃん」
未だ色褪せない不朽のギャグ漫画。
聖秀幼稚園に通う主人公「沢田まこと」(漢字表記だと「沢田魔狐戸」)が巻き起こす抱腹絶倒のギャグ作品。
やはり私にとって「スーパー幼稚園児」という代名詞は「クレヨンしんちゃん」ではなくこの「まことちゃん」しか有り得ないワケでして。
私と同世代くらいの方でそう思ってる方も少なくないのでは。
元々前作「アゲイン」にチョイ役で登場したキャラを主役に据えたら人気が出た…というスタートを切った作品ではあるのですが笑いのパワーは前作とは比較にならないくらいの大きさがあります。(まあ作品自体のテーマの違いのせいもあるが)
とにかく何故か子供は「大・小便」や「性器」等の下ネタを笑いの対象にして喜ぶ傾向があります。(後者はともかく前者はごく一部の特殊な大人達の間で大変愛されておりますが)それはともかく。
そういった子供向けの笑いの要素から時折作品に盛り込まれる大人向けのネタ(時事ネタや風刺ネタ)が上手く混じりあってるんだよね。
私、子供の頃からこの作品好きで読んでましたが最近になって始めてわかって笑ったネタとかありましたから。
それと作者の楳図先生自身がおっしゃってた言葉で「笑いと恐怖は紙一重」というのがありましたがやはりこの言葉は楳図先生が言うとしっくりくるなあ。
「全然おかしくない時にも笑える時ってあるよね」というのもまた呵り。
いろんな意味で子供に見せてもいい作品なのかどうかはわかりかねますが多分自分に子供が出来たら喜んで見せてるんだろうな〜とか思ってしまった。
「超!まことちゃん」
前作「まことちゃん」が週刊少年サンデー誌上で連載を終了したのが1981年。
それから7年後の88年に約1年半くらいの短期間で復活掲載されたのがこの作品。
まさか今頃になって単行本が出るとは。
で、感想なんですが「なんだか別の人が描いたみたい…」でした。
絵柄が大幅に違うのは他にもいろいろ作品を描き続けてきたのだろうから変化の一つもするだろう、という理由や今現在休筆した原因の「腱鞘炎」のため手が震えてうまく描けないという理由で納得できるとしても作品の内容そのものが昔のまことちゃんに比べるとイマイチ面白くないのよな。
話の組み立てと言いオチと言いなんだか無理してるような印象を受けました。
もしこれがまごう事無き楳図先生御本人が描かれたのだとしたら「いったい何があったのだ?」と思ってしまいます。
一応前作には無かった最終回らしきお話がこちらにはあるのですが、ある意味最高に面白い状態の前作のままで終らせていた方が良かった作品なのかもしれない。
なかなか上手くいかないものですな。
「洗礼」
何回読んでもスゴイ漫画だ。
ストーリーのあらましは絶世の美女と謳われた大女優が年老いてゆく自分から美しさが消えてしまうのがどうしても我慢できず、主治医の先生(妖しげな研究をしている)に相談をしてなんとか美を保つ方法を模索する所から始まる。
その方法とは…
なんと自らの血を引く女の子を産み育て、大きく育った頃合を見て自分の脳を娘の脳に入れ替えるというおそるべき方法であった!(いかにも楳図テイスト!)
で、実行に移すわけですが脳の移植シーンは正に楳図漫画の真骨頂。
こう言った臓器系の怖さは同作者の「奪われた心臓」なんかもそうだったがなんつーか「体の内側を暴く恐怖」とでも言いますか何かいけないモノを見てしまったような気持ちに襲われます。
しかもあの楳図先生の描く線だから怖いのなんのって。
脳移植後新たな人生を送るわけですがこれがまた陰惨でなあ…
そしてまさかの大どんでん返し!途中からオチを臭わせはしたものの上手くまとめてますね。
これ物心ついた小学生くらいの子供に読ませてみたいなあ。いや、もちろんトラウマ狙いで。(笑)
それくらいインパクトのある作品です。(楳図作品は大抵そうか…)
「恐怖劇場」
なんかこのタイトルで楳図作品を映画化して上映してたみたいですけど今回のこれはもちろん漫画本のタイトルです。
従って上映作品とこの本の収録作品は異なりますので御注意。
(多少被ってたけど)
この本は2冊から成ってるのですが片方は「赤んぼう少女」を主体とする他数作でもう片方は「へび女」に関係したシリーズで構成されています。
メインの作品もいいけど個人的に一巻収録の「ねがい」という作品が一番好きです。
友達のいない少年がゴミ捨て場で拾ってきた様々なゴミで一体の人形を作って「モクメ」という名前をつけて友達のように接していたのだが時が経ち、本物の友達が出来ていつしかこの人形の事が煩わしくなってしまい人形を捨ててしまった。
ところがこの人形が動き出して少年に復讐しようと帰ってきたのだった…
最後に泣きながら自分が悪かったと懇願する少年を見て復讐の手を緩めるモクメやその直後ごめんねごめんねと謝りながらモクメを叩き壊す少年が物凄く心に残りました。
それにしてもこのモクメのデザインは凄いものがある。
ある意味秀逸なんだがすっげー怖いんだよこれ。
さすが楳図先生、卓越してますなあ。
「イアラ」
この「イアラ」という作品、長編と短編の集合体で出来ています。今回はとりあえず長編の方。
物語はおそらく奈良時代初期あたりからスタートしています。
ある所に土麻呂(つちまろ)小菜女(さなめ)というお互い惹かれ合った男女がいた。
ところが二人はお互い公明正大に愛を語り合う事ができない立場にあった。
いわゆる身分差別というヤツなのですが。(小菜女の方が「奴婢」だった)
それでまあいろんな経緯があって東大寺の大仏建立の際に人柱として小菜女が選ばれてしまい煮えたぎった赤銅の中にその身を投げ出す事になるんだけど正にその人身御供になる瞬間、小菜女が土麻呂に叫んだ言葉が「イアラ」なのです。
その後どういうわけか土麻呂は永遠とも言えるような長い時の中を生きる事になり(ホントに何の理由も設定もないけど)小菜女の残した「イアラ」という言葉の意味を求めてさすらうようになる、といったカンジのストーリー。
ある時は鎌倉時代の元冦、またある時は戦国時代の秀吉と利休、そしてまたある時は元禄期に松尾芭蕉、そして現代から地球の終りまで生き続けその意味を追う。
最後の最後で意味はわかるんだけどまあここでは伏せておきましょう。
知りたきゃ買って読んでみて下さい。(笑)
「イアラ短編集シリーズ1 愛の奇蹟」
こちらはタイトルにもあるように短編集なのですがなんでこの本自体を「イアラ」と銘打ったのかよくわからなかったですよ?
長編「イアラ」とは何の関係も無い作品ばかりでどんな関係性があるのかはちょっと作者本人でないとなんともかんともと言った所です。
強いてあげればどちらも「ビッグコミック」で連載していたものとしか言い様が無い。
まああまり深く考えない方がいいか。
で、内容ですがいくつか収録されている短編の中では「烈願鬼」という連作が面白い。
心に強く願いを持つ者、思いを渇望する者の前に何処からともなく現れる猫目の忍者、それが「烈願鬼」だ。
そしてその者に怪しげな術?で願いを遂げさせてやるのだが大抵の場合は最終的に悲惨な目に会ってるような気がする。
最初の話の時こそ願いを叶えさせる代わりに報酬を戴いていた烈願鬼ですがその後は「お前一体何がしたいんだ?」というような気まぐれな行動に見えてしまうのは私だけなのでしょうか?
(なんか不幸な境遇の人を面白がっているような気が…)
まあそれはともかく、烈願鬼の言ったセリフに「願いとは情念なり、願いとは心の叫びなり。心は心により口に出さずとも伝わるものなり。」というのがありますが「願い」の持つパワーというものは奇跡をも起こせるという事を強調したかったんだろうなあ。
そういや同作者の「ねがい」という作品もありましたがこの手の作品を読んでいるとホントにそうなりそうなパワーがあるように思えてきちゃいますね。凄いなあ。
「半魚人」
いや、これはお子様に見せるとトラウマになるだろ?
実際この作品を子供の頃に読んでトラウマになった方もいるのではないでしょうか?
以下粗筋。
どこにでもいるようななんの変哲も無い兄弟の兄の方が突然奇行を見せ始める。(魚を生でかぶりついたり雨の中を好んで身を踊らせたり部屋の中に鱗が落ちてたり)
弟(主人公)の友人の父親(何かの博士らしい)の説によると近い将来地球は水びたしになってしまいそれを敏感に感じ取った人はその状態に適応しようとして何らかの変化を見せ始めているのだという。
その事を知った兄は博士と入れ代わり弟の友人を半魚人にしようとして狂った行為を行うようになる。
なんでそんな事しようとするのか少々理解に苦しむがどうやら兄は「狂ってしまった」という一言でかたずけられてしまっているのでそういう事にしときましょう。
で、この弟の友人(ケンちゃん)を半魚人に改造してゆく過程が凄まじい。
水中に長時間いる訓練をする為に息の続く限り水の中に入れてみたり口を大きくする為にナイフで口の両側を切って口裂け女のようにしたり(このシーン強烈!)
目を大きくする為に&指の間に膜を作る為に同じ行為を繰り返したりとヤなシーンが続きます。
最後は自ら水を欲するようになり、たった三日間水に浸かっていただけなのにそれはそれは見事な半魚人が出来上がってたりするわけです。ちょっと「変わり果てた姿になった」というよりは「面影が全く無い」くらいにかけ離れたデザインなんですけど…
とにかくこの作品は半魚人への改造過程と楳図先生のデザインセンスの凄さが見どころでしょうな。
そんなワケでお子様のトラウマ化に最適な一冊。
「ミイラ先生」
とあるキリスト教系の女学校に安置されている修道尼のミイラ(この辺りから既に疑問符が涌いてくる設定ですが)が突然甦って血を求めて彷徨う、みたいなカンジのお話。
普段は美人で優しいと評判の高い先生に化けて(入れ代わって)いる。
それにしてもこの先生の様子がおかしいという事で疑問を持ったヒロイン「絵美子」が皆を代表してさ ぐりを入れるかわりに「うまくいったら私はあなた達のおねえさまになるわよ」というセリフを読んで「え?これって楳図版マリみて?」と思わずにはいられなくなり大爆笑してしまった。
私の産まれる以前に初版発行された本なんだがその頃からこの風潮があったのに驚きましたよ。
流行は繰り返すってホントなんだなあ…(しみじみ)
「鬼姫」
このお話は恐怖モノってわけではないです。
物語は戦国時代。とある領地に冷酷非情で知られる美しいお姫さまがいた。
平気で重い税を科したので領民達からはこぞって「鬼姫」と呼ばれた。
その鬼姫、眼病にかかってしまいこのままでは周りに睨みを利かせる事が出来なくなってしまう。
そこでそっくりな顔だちの農民の娘を探し出し影武者として仕込む事に。
こんなカンジのあらましでスタートする作品ですがこの影として連れてきた娘「志乃」が反対に目の見えなくなった鬼姫を陥れて殺してしまい権力を手中にしてしまいます。
ここでの攻め方の一つに「内側に火を入れて焼いておいた翁の面をかぶせる」というのが出てきますが実に楳図チックなやり方してるよなあ…
まあラストでは愛憎や恨みつらみが絡んできていつの間にか他国に攻められ、好いた男とその女を逃がして壮絶な最期を遂げてしまうという悲しいお話でもあります。
基本的に少女漫画な展開はしているものの(実際「少女フレンド」に連載してた作品らしい)ある意味「怖さ」は失っていない、楳図先生らしい作品だったかも。
「百本めの針」
この本は6本の作品から成る短編集です。
表題作「百本めの針」はある所に仲の良い友達同士の女の子がいて片方が盲目という設定。
ある日なぜだか「髪の毛」と「着物のはぎれ」を盲目の少女から所望されて可哀想に思った主人公の女の子はその二つを盲目の女の子に渡します。
で、まってましたと言うか何と言うかその日を境に主人公の少女の目に異常が見られるようになります。案の定(笑)盲目の少女が呪いをかけてたりしました。
因に呪いの方法は髪の毛と着物のはぎれで作った人形に一日一本づつ針を刺してゆくという実に陰湿なやり方。
理由は「自分と同じ様になれば本当のお友達になれると思ったから」。
実にはた迷惑なお話です。
最後は盲目の少女の不注意から火事になってしまいその拍子に最後の針がのどに刺さってしまい、焼死してしまうという正に「人を呪わば穴二つ」的なオチ。
この作品に限らず今回の本に収録されている作品は少女漫画誌に連載されていたものがほとんどだったようでラストのコマで瞳に大きな星を煌めかせながらいとも簡単に今までの出来事を洗い流すかのように語っているのがなんだか笑えた。
「ガモラ」
作者が貸本時代に描いた作品。残念ながら未完。
かいつまんで言えばパニックもの。と言うか怪獣もの。
口の形をした通称「口ほこら」という洞窟の泉の中から突如巨大な怪獣が現れて大暴走する。
この「大暴走」という言葉がポイントなんだが正に大暴走してます。
「駆け抜ける」と言ってもいいかもしれません。
「ガーッ!」とか「モーッ!」とか鳴くので「ガモラ」と名付けられたらしいが鳴きながら街を破壊して駆け抜ける様は迫力がよく伝わってきます。
その謎を究明する為に四歳で博士号をとった大天才(無茶な設定ですが)「猿飛博士」が登場、
敵役の「十一人会」と死闘を繰り広げる、みたいな内容。
この作品自体未完のまま三十年以上もほっとかれたようだが今回復刻するにあたって楳図先生がエピローグを加筆してくれているのが嬉しい。
当時のペンタッチや作風がおもいっきり「手塚&白土」だったのに対し現在の確立された楳図先生のタッチで描かれていたので同作者の「14歳」とか見てる気分になった。
やっぱエンターティナーだね、楳図先生。
「猫目小僧」
楳図作品の中でもカルトな人気を誇ると言われる傑作妖怪漫画です。
300年に一度産まれる猫又の子供としてこの世に生を受けるも半分人間に近い容姿をしていたが為に「できそこない」の烙印を押され妖怪の世界から見捨てられ、かと言っておぞましい容姿の為人間の中に溶け込む事も出来ない主人公「猫目小僧」が様々な場所をさすらう、といったカンジのお話。
彼の行く所必ずと言っていいほど恐ろしい出来事が巻き起こる。
なんとなく妖怪モノというと水木センセイの「鬼太郎」を思い浮かべるのが常道だが「猫目小僧」は鬼太郎のようなヒーローなのではなくあくまでも自分に害が及ぶような時や興味が涌いた時にしか首を突っ込まないというとことん自分本意なキャラなのです。
ここら辺が猫の性格をそのまま反映していて猫好きの私としてはなんだか嬉しかったりする。
これ昔TVでも「妖怪伝・猫目小僧」というタイトルで放映してたんだけどアニメでも特撮でもなく紙芝居とアニメの中間とも言える「ゲキメーション」という切り絵に特種効果を施した手法でやってたようです。
私はまだ見た事ないので興味はあるのですが多分見た事ある人は「チープ」の一言で済ましてしまいそうな予感がするのがなんとも。
話の中身としては原作とは全く違った作りだったらしく、しかも原作も「え?これで終り?」といったカンジの終り方。
ってゆーか終ってないよこれ。未完ってヤツかな。
なんにせよ私はこの「猫目小僧」というキャラクターが好きですね。
「生き人形」
なんつーか楳図先生の本は好きなのでかなり集めて読みましたけど、これは氏が少女漫画家時代の作品だったようでタイトルのわりには全然怖い系の漫画でもなんでもないという…
しかも復刻版なのでおそらく表紙を後から少しばかり恐怖モノっぽく描き変えたようで、その類いを期待して買った私はかなりがっかりしたですよハイ。
「わたしは真悟」

「奇跡は誰にでも一度おきる だがおきたことには誰も気がつかない」
冒頭のこの文章で始まるこの作品、…深いですねえ。
深すぎてわかんねぇよ…
機械が主役の漫画なのだがもCLAMPの「ちょびっツ」なんかとはちろん毛色は180度違うわけで。
この頃から楳図漫画はわけのわからない凄みを増していったように思う。
(この後の「神の左手悪魔の右手」「14歳」に繋がってゆくのだな)
結局「さとる」「まりん」はどうなったんだろうか。
何度読んでも理解が追い付かない怪作?

「神の左手悪魔の右手」
楳図先生の数ある恐怖漫画の中でも最もスプラッタ度が高い作品であろう。
それだけに読んでいると嫌悪感が涌くがそれと同時に引き付ける力も働くのだから侮れない。
物語は恐ろしい出来事を夢で予知?できる小学生「山の辺 想」君が奇怪な出来事を夢と現実を交えながら解決してゆく、というもの。
時々どこからどこまでが夢で現実なんだかわからなくなるという。
全部で五編の話から出来ておりそれぞれ「錆びたハサミ」、「消えた消しゴム」、「女王蜘蛛の舌」、「黒い絵本」、「影亡者」となっています。
スプラッタ度は初っぱなの「錆びたハサミ」がモノスゴイが(体の中からハサミや骸骨や三輪車が突き破って出てくるってどうよ!?)個人的に好きなのは最後の「影亡者」ですね。
「背後霊」をテーマにしたものなんだけど、ある日主人公の姉の友達「みよ子」に突然取り憑いた霊はあまりにもモノスゴイ奴だった!!
これがまたモノスゴイデザインなんだわ!ハイ、ビジュアルドゾ−。
(下の奴。http://umezz.com/download/page2.html)
このお話はスピリッツに連載してた当時に読みましたが戦慄しましたねー。
最後のオチ、「あの世のそのまたあの世にいたものが黒幕だった」というのも漠然と納得できていいね。結局「ぬーめらうーめら」ってなんだったんだろう?
因にこの作品も映画化するようでどう表現するのかちょっと気になってたりします。
映画版の話は「黒い絵本」のみでしたがこの話も結構好きなんだよなー。
http://kaminohidarite.com/press.html
とにかくこれもお子様のトラウマ化には最適な一作です!
「A FEAR 恐怖」
内容はタイトルの通りなんですけど恐怖漫画の大家である楳図かずおが昔秋田書店から出していた「恐怖」という本を新たにハードカバーにして復刻した本。
多少の描き下ろしも収録しています。
装丁の絵も楳図先生じゃないけどかなり怖い。
私はこの本、子供の頃に読んで真剣に怖かった覚えがあります。
まず初っぱなから「うばわれた心臓」ですからね。
生きたまま(意識はあるのに体が動かせない状態で)心臓を摘出されるというのはもの凄いものがあるです。
同作者の「洗礼」での脳の交換手術のシーンを思い出しましたよ。
あと個人的に印象に残っているのは「サンタクロースがやってくる」という作品なのですがこちらはじわりじわりと恐怖を感じる事のできる作品でクライマックスシーンはシルエットなのにメチャ怖かった。
あと二巻冒頭に描き下ろししている「こわい本」という作品ですがこれに登場するヒロインがなんか「神の左手悪魔の右手」に登場する主人公「想」君のお姉さんなんじゃないのかと。
まあそれはそれとしていずれもかなりの恐怖を楽しめる仕上がりです。何も知らない子供に見せて怖がらせてトラウマにさせてみたい本ベスト3くらいには入るかも。(他二作がなんなのかは決めてないけど)
最後に「魔性の目」という作品に登場する失明しかかったヒロインの夢の中に現れて「お前に目をあげよう」と言ってイヤ過ぎるデザインの目をくれたお爺さんは一体何物だったのだろう…
結局この後お爺さんに触れた説明は何一つ出てこなかったし。
気になる…

このページのTOPへ

うえやまとち
「大字・字 ばさら駐在所」

同作者の「クッキングパパ」は60巻くらいまで読んでいたんだけど、これはその前に描かれたものでキャラクターがかなり使い回されているという事実を知りました。
九州に実在する山奥の村をモデルに描いた作品らしい。(作者が三年程実際に住んでいたようだ)
アットホーム的な作品がこの人の持ち味なんだろうけど時々温かすぎて鼻につくような気も…
(これは「クッキングパパ」よりはマシかも)
しかし日本中どこ行っても人っているんだなあと感じたですよ。

このページのTOPへ