TIPS&TRICKS
 

手書きパース風の仕上げテクニック(Dennis Method)を試す

   
 

SketchUp PROの仕上げ技法のひとつに「Dennis Method」というのがあります。
SU(GSU)本来の持ち味である手書きスケッチ風レンダリングイメージをさらに手書きっぽく見せる技ですが、正確に言うとSU(GSU)側のテクニックというより画像編集ソフト側のテクニックなのかも知れません。

「Dennis Method」の基本原理は、GSUでテクスチャや色を付けた通常のレンダリング画像と線画(隠線モード)の2種類の画像を用意し、画像編集ソフトで、通常画像を背景に、線画画像をレイヤに読み込んで、 不透明(透明)度を調整した消しゴムブラシでこする・・・というものです。
こう書くと難しそうですが、画像編集ソフトのごく基本操作だけの利用にとどまり、絵心のない人がやってもけっこうそれっぽく見える「作品」が出来るので、 GSUの出力画像の活用方法としてお勧めしておきます。



画像編集ソフトはレイヤが使え、消しゴムツールに任意のブラシ形状、サイズ、不透明(透明)度が設定出来るものなら何でも使えます。

私はふだん画像編集ソフトとして「PhotoShop」と「Corel PhotoPaint」、「Painter」を使っていますが、この辺りのソフトをお使いの方には、今さら操作方法を説明するまでもなく、上で述べた動作原理だけで十分お解りいただけると思います。
ここでは、適当なフリーソフトということで有名な「GIMP」を使ってみることにします。

なお、私はGIMPをほとんど使ったことがありませんので、正式な使い方がよく判りません。
他に適切な使い方がありそうな気もしますが、その辺りは温かい眼で見守ってやって下さい。

1) GIMPの入手とインストール

現在入手可能なGIMPには1.2系列と2.x系列(GIMP2)の2種類が入手可能です。
当然2.x系列の方が新しいのですが、新しいからと言って、それが旧バージョンよりすべての点で優れているわけでもないのがこのソフトの面白いところです。
ここでは、多少操作にはクセがあるものの、インストールが簡単(Gtkのインストール不要)で、標準搭載されているブラシの種類が多い1.2系列の方を取り上げることにします。
もちろん2.x系列も基本操作は同じですし、クセが少ない分扱いやすいと思います。 「ブラシは自分で何とかする!」ぐらいの気概のある人なら最初からGIMP2を使っても良いでしょう。

プログラムの入手先は以下の通りです。
  GIMP1.2.5>> http://www.vector.co.jp/soft/win95/art/se190877.html
   (Vectorのサイト)
  GIMP2.3.9>>  http://cowscorpion.com/Image/GIMP.html  (最新β版) 

なお、2.3.9はGtkも同時にダウンロードしておくと後が速いです。

インストールはいずれもダウンロードしたプログラムを実行してインストーラを起動して行ないます。
デフォルトのまま進めて問題ないでしょう。
GIMP2は、先にGtkをインストールしておきますが、もししなくてもプログラム本体のインストールの時に自動的にダウンロードしてインストールをしてしまいますので、時間がかかること以外はどちらでも同じです。

インストールが完了するとデスクトップ上にショートカットアイコンが出来ているはずです。

2) GIMPを使う(基本の技)

まずGSUで全く同じシーンの画像をテクスチャ、色付きと線画のみのものの2種類を出力しておきます。ここでは、GSUの標準出力画像を使っていますが、もし画面解像度よりも高い解像度の画像が必要なら「 ”SketchUp Viewer”で画像出力の限界を超える」を参照して画像を出力しておいて下さい。 

GIMPをショートカットアイコンから起動します。アイコンはGIMPのマスコットキャラクターを形取ったものでGIMP2も基本的に同じデザインのものです。

GIMPはツールボックスがデスクトップ上でそれぞれ独立して開くWindowsでは珍しいスタイルのアプリケーションです。(GIMP2はかなり統合されていますが...)
まず、今回の作業で必要なツールウィンドウ(ボックス)を画面上に表示させます。
ツールアイコンが並んだメインのツールウィンドウから、メニュー>[ファイル]>[ダイアログ]を開き、「レイヤーチャンネル&パス」、「ツールオプション」、「ブラシ」を選択します。

デスクトップ上にはメインと後から追加した3つ、合計4つのツールウィンドウが表示された状態になっているはずです。
その上で、まず、背景になる色付の画像を開きます。メニュー>[ファイル]>[開く]でファイル選択画面を開きます。
あまり見慣れない選択画面ですが、左の窓でドライブ、フォルダを選択し、右の窓でファイルを選択します。[..\]は「上のフォルダへ移動」の意味です。また、 「ドライブ選択が出来ないよ〜!」と焦るかも知れませんが、一番下までスクロールすれば必ず見つかりますからご安心を。

背景になる画像を開いたら、続いて線画の方も同じ要領で開きます。
2つの画像ウィンドウのうち、線画の方で選択(マウスクリック)し、右クリック>[編集]>[カット]または[コピー](どっちでも良い)とします。
今度は背景画像を選択して、右クリック>[編集]>[ペースト]として、先ほどコピー(カット)した線画を背景画像の上に重ねます。

この時、「レイヤチャンネル&パス」のウィンドウには背景と線画の2つのレイヤがあることが表示されているはずです。

これで準備完了です。ツールボックスから「消しゴムツール」を選びます。

「ブラシ選択」ウィンドウからお好みのブラシを選び、「ツールオプション」で不透明度を設定します。
お奨めブラシは不定形で点が散らばっているようなタイプのものです。不透明度は数字が大きいほど透過する度合いが強くなります。数字を15〜25位にして何度もこすった方が雰囲気が出るように思いますが、この辺は全く好みの問題ですので、色々と試してみて下さい。

  

ここまで設定したら、後は消しゴムをこすって線画の部分を消していくだけです。
一定の方向に消し跡?を付けると格好良くなると思います。

 

3) GSUの表示設定(エッジレンダリング設定)を使いこなす

GSUのモデルの輪郭には線が表示されていますが、この線の部分を様々に変化させ、手書き風の風合いを変えることが出来ます。

変更は、メニュー>[Window]>[Display Setting]を開き、チェックを変更したり数値を変えることで行えます。

それぞれの項目は以下のような意味を持っています。

項 目
内 容
 Edge 輪郭線のこと 図形の周囲に表示される
 Profiles 輪郭を強調する線 設定したピクセル数で表示
強調する部分にのみ現れる
 ※EdgeとProfilesは用語が逆のような気がする...?
 Depth cue 遠近によって線の太さを変化させる
設定したピクセル数が最も近い輪郭の太さになる
 Extension 延長線 端点よりも設定した数値分端を伸ばす
 Endpoint 端点を設定した数値分太くする
 Jitter 手書き風のビビった線を表示する
 Edge Color 輪郭線の色を変える
 Use sun for shading シェード表示に太陽光を利用するか否かを設定
影表示とは独立して機能するが影設定のパラメータは影表示のオンオフに関わらず影響する
 Enable tranceparency 透過表示を可能とするか否かを設定
透過表示の品質も設定出来る

それぞれの設定の違いをムービーにしました。 >>ムービーを見る (約630KB)

 

4) プラグイン=「Display Template」を使う

GSUのプラグインにはこの技を支援する「Display Template」というものがあります。
線画(隠線、ワイヤーフレーム)、色付、テクスチャ付、影付、アルファマップなどを一発の動作で
自動 作成してくれる便利ツールです。

 ダウンロードは下記のダウンロードリンクから行えます。(右クリック>[対象をファイルに保存]) http://www.crai.archi.fr/RubyLibraryDepot/Ruby/EM/displaytemplate.rb
 
インストールはGSUのインストールフォルダ下の\Pluginsに"displaytemplate.rb"をコピーして行ないます。

GSUで出力したい構図に視点を切り替えます。
何故か「Display Template」は現在の表示設定による通常のシーンは保存してくれないので、現在のシーン(通常のテクスチャ付表示と隠線表示)を先に記憶させておきます。
シーンの記憶は、まず、メニュー>[View]>[Page Tabs]にチェックを入れた上で、メニュー>
[View]>[TourGuide]>「Add Page」を選択します。ページタブに「Page2」などの名前で登録されますので、保存したいシーンであることを確認の上で、メニュー>
[View]>[TourGuide]>「Update Page」を選択します。これで記憶完了です。なお、ページの名前や並び順は、ページタブの該当ページを選び、右クリック>[Move Left(Right)](並び順の変更)、右クリック>[Page Manager](名前の変更、並び順の変更など)で行ないます。

線画も同様にシーンを記憶させたら、「Display Template」で一気に作成します。
メニュー>[Display Template]>[Multipass]>「All Multipass」ですべてのシーンを作成します。
特定の種類のものを選択して記憶させることも出来ますが、複数ある場合はまとめてやった方が速いです。

作成したシーンのそれぞれの説明は、見れば一目瞭然なのでここではしませんが、中にはアルファマップなんかも含まれています。GSUの背景表示機能は決して強力ではありませんので、後で背景を合成する時には非常に重宝します。

また、 メニュー>[Display Template]>[Extras]には青焼き風、黒板風などといった特殊効果?も含まれています。GSUの表示設定を変更すれば出来なくもないですが、ここまでお手軽だと使いやすいです。

「Display Template」で作成した影マップをレイヤに読み込んで合成すると、下のような感じになります。 合成モードは「減算」や「乗算」あたりが無難でしょう。

さらに、これに画像編集ソフトの効果(ペーパーテクスチャなど)を加えると、さらに手書きスケッチ感?が増します。もはや三次元CGには見えないと思います。
他に、一旦ベクター画像にトレースしたイメージを重ね合わせて「筆塗り」の感じを出すことなんかも考えられます。
この辺は画像編集ソフトの習熟度に応じて無限にアイデアがありそうです。また機会を改めてLABOあたりで取り上げることとしましょう。


5) 類似ソフトの作品ギャラリーでタッチを盗み取る

この技の腕を上げるには、この手法で描かれた作品をたくさん見ることが何よりです。
でも、多くはプロが仕事で作成したものであり、一般公開されるケースは希なようです。現状では、SketchUp本家サイトのフォーラムに少数の作品があげられているにとどまります。
(閲覧はアカウントが必要)

そこで、この手法とよく似た効果が得られるソフトのギャラリーのようなサイトで、ブラシ運びや仕上げ技法を学ぶ方法をお勧めします。

そのソフトは「Piranesi」と言います。簡単に言ってしまえば2Dのお絵かきソフトですが「奥行」と
「マテリアル」の情報を持っていて、その情報に応じて自動的にサイズや角度、マスク領域を調整してくれる面白いソフトです。様々なブラシで水彩、油彩、リトグラフ...様々なタッチで仕上げることが出来ます。

元々、SU PROにはこのソフトへのエクスポート機能があり、SUのキラーアプリケーションのひとつになっています。割と高額なソフトなので、ここで紹介している”Dennis Method”はこの「Piranesi」の代替技法的に取り扱われることが多いようです。

 ※Piaranesiホームページ>> http://www.informatix.co.jp/piranesi/products/index.html

このHPの中にコンテストの応募作品を集めたギャラリーがあります。
反射などGSUだけでは表現出来ないものもありますが、ブラシの形や運び方は非常に参考になると思います。この中の作品を超えるものが出来たら、あなたは10万円以上を儲けた気分?になれると思います。

※現在、コンテスト応募作品の公開は終了していますが、代りにプロのクリエータの作品を見るこ
  とが出来ます。

  >> http://www.informatix.co.jp/piranesi/gallery/gallery.html

Piranesiの編集画面 これが元は3DCGとは絶対に見えない...

 

 

 

 
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