山梨県増富ラジウム鉱泉ほど近く、ひとしれず、こんこんと流れ続ける湯があります。
その名もヨシャーの湯。
湯といっても実測で20℃ほど。標高千メートル超の地にあってはなかなか真夏に浴びるのにも覚悟が要ります。
しかし、流れ続けるその湯は透明清澄、ひとくち飲めば脳天にドキュンどくる苦みと塩味と炭酸味。
まぎれもなく濃厚な含炭酸食塩泉の系統だと思われます。
粋なことに流れ続ける湯は巾40センチ、長さ70センチほどの植え込み用と思しきプランター? に溜められて、掛け流されています。
「これに入るために来たのだ!」
私は躊躇せずに素っ裸になり、誰もいない山中の野湯に浸かりました。
すかさず、アブの猛襲。でも、私は鷹揚に持参のタオルでアブを追い払いながら、朝の野湯に至福の時間を過ごしたのです。
パイプからあふれる湯をがぶがぶ飲み、ひっそりとしたダム湖を眺め、つるつるぬるぬるする湯を肌にじんわりと浸透させました。
ヨシャーの湯のかたわらには、立派な看板がたてられ、古来から、この湯が人々に親しまれてきたことなどが書かれています。
その後訪れた黒森鉱泉でこのヨシャーの湯について聞くと昔は湯治場として人々が入浴に訪れていたこともあったらしいとか。
一抹の寂しさも感じましたが、こんな処に遠路はるばる走ってきて、ゆっくりと楽しむ湯巡りの旅の幸せを感じてしまいました。