実用性重視

デートムービー最終兵器

The Lethal Weapon of the Date Movies


 

 デート・ムービーの条件を

 すべて備えた「オールウェイズ」

 "Always" Has Every Elements for a Date Movie

 間借り人ヤマ

 by Yama

 

 デート・ムービーですか? こいつは難しい注文だ! それなりに映画は観てきているものの、自慢じゃないが、バレンタインに麗しき妙齢の女性と連れ立って映画を観に行ったなんて乙な経験などないからなぁ。バレンタイン・デーを当て込んで、カップル狙いの上映会を企てたことはあっても、そのときはモギリやって羨ましげに眺めるのが関の山。でもって、実用性もなきゃいけないなんて、なおさら難しい。仕様がないから、昔からの日誌をめくってみたけれど、これがまたデート・ムービーらしきものは、ろくに日誌にも綴ってない。それにしてもデート・ムービーって、何なのだろう。僕が高校時分のときには、何と言っても『ジェレミー』 (アーサー.R.バロン監督)だった。猫も杓子も、仲よくやってる連中は、みんな連れ立って行っちゃって、あんなもん、一人で行くもんじゃないやってんで結局、観ないで終わっちゃった。あのときからだなぁ、映画は一人で観るもんだ、間違ってもデートなんぞのダシにしちゃあいけない、作品に集中できない状態で観るのは、映画に失礼というものだ、なんてね。>負け惜しみ。

 でも、考えてみれば、デート・ムービーといっても既にねんごろになってる者同士だったら、実用性もへったくれもないような気がする。何観たところでラブラブなのだから。逆に映画観て少々感動したからって、格別何かが起こるわけでもないように思う。結婚したての頃に妻と『愛と青春の旅立ち』(テイラー・ハックフォード監督)を観に行って、彼女は随分感動していたけれど、だからと言ってその晩、特段に盛り上がったかっていうと別段そんな記憶はない。ということは、Fさんお題の実用性のあるデート・ムービーというのは、その少し手前にいる二人が、今一歩関係性を深めることに効用がある映画ということになるのかな。そのためには、語り合うに足る内容のある映画でないといけないわけだ。人と人との関係性を深める第一は、何と言っても語らいだと思う。しかし、大学時分に友達だった女の子と愚かにも『ディア・ハンター』 (マイケル・チミノ監督)を観に行って、確かに内容はあったのだけれど、観終えた直後には彼女と語る言葉が何も出てこないほどに重苦しい気分に包まれて、ふたり黙して喫茶に座った覚えもあるから、内容があればいいってなもんじゃないことは確かだ。 やはり、デート・ムービーという以上、二人のことを優先できなくなるくらいに深刻な問題を扱った作品は避けるべきだろうね。純愛であっても感動作であってもかまわないけれど、清純に過ぎたり、禁欲的であってはならず、官能性ないしは性的刺激は必要だと思う。かといって一般的には、あまりに露骨な性描写はないほうがいいのだろう。そして、自分たちとかけ離れていて、我が身がつらくなるほどの美男美女の物語は、やはり最善ではないという気がする。 そんなこと考えて、ふと浮かんだのがスピルバーグ監督の『オールウェイズ』。何ともDreamyでHeartfulな佳作だった。ピートを演じたリチャード・ドレイファスもベリンダを演じたホリー・ハンターも格別の美男美女ではなく、作品には豊かな官能性が漂っていながらも、露骨さは微塵もない。男と女の、愛に関する普遍的と言えるテーマをも備えていて、それなりの内容を持っている。 映画では、航空消防士ピートの死後、その名も“Smoke Gets In Your Eyes 煙が目にしみる”という想い出の曲と衣装でベリンダが独り踊る、一言の台詞もない情感たっぷりの中盤のシーンがとても印象深い。しかし、とりわけ圧巻だったのは、終盤のベリンダによる山火事の消火飛行の場面だ。スピルバーグお得意の畳み掛けるようなスピード感とスリリングさで展開したアクションシーンに、震えるような官能性とエクスタシーにも似た深い一体感が宿っていたのは驚きだった。アクション場面のなかで霊のピートと生身のベリンダが到達したセックスのような深い一体感は、生前の二人でも得られなかったほどのもので、なおかつ性的一体感以上の至高の共感をもたらしているように感じた覚えがある。スピルバーグにこんな芸当ができるのかと感心したものだ。これなら、先に挙げたデート・ムービーの条件をすべて備えていそうだ。

 しかし、ここまで綴ってきて、語るに足る内容の豊かさと性的刺激に満ちながら、露骨な性描写がなく、美男美女の物語ではないという点で比類なき映画と言えば、まさしくはルイス・ブニュエルじゃないかと気づき、思わずうろたえてしまった。ブニュエルをデート・ムービーなんぞに挙げたら、変人扱いされるに決まってるよね。

 

 え? で『オールウェイズ』は、結局だれと行ったのかって? もちろん妻です、妻。じゃあ、全く参考にならないって? ヘイ、おっしゃるとおりで、ご免なせぇ。

 

 

間借り人ヤマ

高知で映画上映運動にも携わったヤマさんは、本もお出しになっています。『高知の自主上映から−「映画と話す」回路を求めて−』(発行:映画新聞 、発売:フィルムアート社 、書籍コード:ISBN4-8459-9662-6 C0074)がそれです。ぜひお読みください。

間借り人の映画日誌

http://www4.inforyoma.or.jp/~mai7665/

 

 

 

Date Movies - Index

"Chasing Amy" by Anno

"The Bodyguard from Beijin" by Misa

"The Natural Born Killers" by Tetsuya Maruyama

"Meitantei Conan" by Miyee

"Big" by Keisuke

"Boogie Nights" by Satoshi Ohkura

"Keeping the Faith" by natsumegu

"Follow Me" by Shutetsu

"French Kiss" by Mie

"Hana-bi" by Naomi

"Groundhog Day" by Eiga-ya Hiroki

"The Fabulous Baker Boys" by Kanoko

"An Autumn's Tale" by Shinichi Fuma

 

 

 

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