実用性重視

デートムービー最終兵器

The Lethal Weapon of the Date Movies


 

 これだって、立派なデート・ムービー!

 「ナチュラル・ボーン・キラーズ」

 It's also a Date Movie, Isn't It ?

  "The Natural Born Killers"

 丸山 哲也

 by Tetsuya Maruyama

 

 さて、デート・ムービーの定義とは、何でありましょう? 私自身は「意中の異性を伴って鑑賞する映画で、観賞後、二人の会話の活性化に寄与するもの」という、いささか堅苦しい解釈をしております。付け加えるならば、「その作品に対する満足度が二人とも同程度であることが望ましい」ということになりましょうか。

 実はこの、後に追加した部分が重要なのですね。どんなに良い作品でも、どちらか一方が気に入らないと、デートの成功はおぼつかないどころか、そのカップルの破局に繋がりかねないからであります。

 これは決して大袈裟な話ではありません。私の知人がある女性を誘って「メリーに首ったけ」を観に行き、即座に振られてしまった、とコボしておりました。こういうことも、ままあるわけです(私に言わせれば、そういうシャレのわからん女とは付き合わん方が良いと思いますね)

 デートで映画を観るというのは、ただ、二人で楽しむというだけでなく、互いがどういう価値観と好みを持っているかを推し量るためのテストであると言えましょう。同じ作品を観て、同じように楽しむことができ、かつ、自分の見落としていた部分を指摘してくれたり、別の角度からの見方を示唆してくれたとしたら、その相手は、永く付き合うにふさわしい人なのであります。

 さて、では、いざデートに臨むとして、どういう作品を選べばよいでしょう。相手から「こういうのが観たい」という希望がなければ、こちらから選んであげなければなりません。こういう場合、ジャンルにこだわる必要はないでしょう。もし、相手が女性で、「戦争映画はキライ」とか「何かクラそうだから、イヤ」などと言うようであれば、そんな馬鹿女とはさっさと手を切るがよろしい。また、男性が相手の場合、「えー、ラブ・ストーリー? そんな甘ったるいの観たくねーなー」などとホザくようであれば、これもさっさと振ってしまうに限ります。映画と食い物に対して好き嫌いの激しい人間なんて、ロクなもんじゃありません。いかなるジャンルの作品にも関心を持ち、かつ楽しむことのできる相手でないと、付き合う価値はありません。時間を無駄にすることになります。まあ、そういう人間はめったにおりませんが。

 とりあえず、相性を確かめるために、最初の内は毒にも薬にもならないような作品を軽いジャブ程度にくり出して、様子を見るのが無難でありましょう。もしあなたが筋金入りの映画好きを自認される方であるなら、この段階で、相手が自分と同じように“楽しみ”を共有してくれるかどうかをしっかり見極めることをお勧めします。

 さて、ここからは私の経験であります。

 今のカミさんと出会ったのは、かれこれ10年前。1年近く付き合っていたおネエちゃんと別れてクサッていた私に、友人の彼女が紹介してくれたのでした。はっきり言って、あまり気乗りはしなかったのですが、やけくそ半分で映画に誘いました。お題は「七人の侍」。嫌がられるかと思いきや、意外にも返事は「OK」。

 彼女も元々映画は嫌いではなかったらしく、その後も二人で頻繁に映画館に通うことに。ロマンティックな作品からゲテモノまで、黙って彼女は私に付き合ってくれたものです。

 しかし、さすがに、「ナチュラル・ボーン・キラーズ」の東京ファンタスティック映画祭での上映には、誘いづらいものがありました。内容が内容だし、映画祭では、いい席で観ようと思ったらかなり早い時間から並ばなければなりません。でも、まあ、彼女のごヒイキ「ギルバート・グレイプ」のジュリエット・ルイスも出ていることだし、どうかな、と思って声をかけてみたら、あっさり「いいよ」。

 作品そのものは、クセ者オリバー・ストーンらしく、けたたましくて乱暴なシロモノでしたが、時折はさまれるブラックなユーモアに二人して爆笑。楽しませてもらいました。

 見終わってから、彼女が一言。「あれだけのパワーで筒井康隆の『俗物図鑑』を作ったら、凄いものができるだろうね」。・・・あ、なるほど、と思いました。「俗物図鑑」は過去に一度映画化されてはいるのですが、いかんせん自主映画だったため、原作のクライマックスにある、壮絶な戦闘シーンがかなり貧相なものになっていたのです。

 しかし、それを、ふんだんにお金をかけて「ナチュラル・・・」並みのドギツさでリメイクすれば、相当なものができるに違いありません。

 さすがの私もそんなことは思い付かなかったので、「面白いことを考える奴だな」と感心しました。同時に、1本の映画をともに観て一緒に楽しみ、感想を言い合える幸福を味わった次第であります。

 このように、気の合う者同士で観るのなら、「ナチュラル・・・」のようなギンギラギンの暴力映画でも、充分デートムービーになり得るのです。

 ただ二人で食事をしたり、どこかへ出かけるだけでなく、1本の映画をネタに語り合い、お互いの価値観や世界観を確認しあうのもいいものですよ。倦怠期を迎えた夫婦が、ふとしたキッカケで若かかりし頃に二人で観た映画のことを語り合い、付き合っていた頃の気持ちを戻すということだってあるのですから。

 

 

丸山 哲也

東京にお住まいの丸山さんは、映画評が「キネマ旬報」の「読者の映画評」に掲載されるほどの筋金入りの映画ファンです。また、この文章お読みになってもお分かりのように、大変な愛妻家!

 

 

Date Movies - Index 

"Chasing Amy" by Anno

"The Bodyguard from Beijin" by Misa

"Meitantei Conan" by Miyee

"Big" by Keisuke

"Boogie Nights" by Satoshi Ohkura

"Keeping the Faith" by natsumegu

"Follow Me" by Shutetsu

"French Kiss" by Mie

"Always" by Yama

"Hana-bi" by Naomi

"Groundhog Day" by Eiga-ya Hiroki

"The Fabulous Baker Boys" by Kanoko

"An Autumn's Tale" by Shinichi Fuma

 

 

 

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