プロジェクトF

「DAY FOR NIGHT」の三年間

Project F

Three Years of DAY FOR NIGHT


当サイトとリンクしている「でんでんはうす」管理人でんでんさんの友人として、あんのさんと知り合うに至ったのは今から2年前のことでした。その後も特集企画やらさまざまな掲示板にて、お付き合いさせていただいています。ある時ご自身が大好きな「ハイ・フィデリティー」の主人公に習って、当サイトコンテンツのトップファイブを選んでくださったあんのさん。そこで今回3周年にあたって、改めてトップファイブ選出をお願いいたしました。


  

 私撰「DAY FOR NIGHT」トップ・ファイブ

 My TOP FIVE Contents of "DAY FOR NIGHT"

 あんの

 by Anno

 

 

 ある月曜日、『DAY FOR NIGHT』を読んでいて思った。

 「めまいがするほど映画だ」

 もちろん、この言葉は俺のオリジナルではない。

 去年、日本でも公開されたアメリカ・プロレスのドキュメンタリー映画『ビヨンド・ザ・マット』を見た評論家ロジャー・エバートの感想「めまいがするほどリアルだ」のもじりだ。

 言葉はもじりでも、読んでいるおれの気持ちにぴったりの言葉だった。

 多くの人が指摘していることだが、Fさんの映画の感想は「映画」だ。

 我々はFさんが映画を見ている時に、彼の心にスクリーンに映写された「映画」を毎週月曜日に読んでいるのだ。

 そして、感想の数だけある彼の映画のテーマはいつも「信じる」だ。

 

 さて、おれが今回書くのはFさんの映画感想トップ5だ。

 おれはベストテンとかトップ5が大好きだ。

 自分でトップ5を選ぶ作業も楽しいが、他人のトップ5を聞く瞬間も心がワクワクする。

 正直、自分でもかなりの病気だと思う。

(確かにトップ5選びは『ハイ・フィデリティ』からのパクリだが、実は『ハイ・フィデリティ』を知るまでのおれはベスト3選びが大好きな人間だった。つまり『ハイ・フィデリティ』のおかげでベスト2だけ俺の視野が広くなったことになる。この場を借りて、あらためて『ハイ・フィデリティ』の原作者ニック・ホーンディーに視野を広げてくれたお礼がいいたい。サンキュー、ニック。アーセナルに栄光あれ←注:ニック・ホーンディはプレミア・リーグの最強チームことアーセナルの熱狂的なファンです)

 だから、去年の12月にFさんから「3周年記念に自分の趣味で選んだ『DAY FOR NIGHT』の映画感想トップ5をやってほしい」という依頼を受けるとすぐに、某居酒屋チェーンの店員が注文を受け た時のように「はい、喜んで!」という気持ちのいいお返事で引き受てしまった。

 まるで、好きな映画のオリジナルネガを全部渡されて「好きなように編集していいよ」と言われたような気分だったからだ。

 実際、選ぶ作業は楽しかった。

 これまでの自分のルールに反して見てない映画の感想も読んだ。見る前にネタバレしてしまった作品がたくさん増えたけど、ランキング選びという病におかされているおれは平気だった(唯一の例外はFさんに読むのを止められた『助太刀屋助六』。あと、この原稿を書いてるのは2月2日なので、それ以降にアップされた感想もトップ5選考の対象外)。

 もうおわかりであろう。今からあなたが読むこの原稿はおれの楽しみの残骸なのである(笑)

 そんなわけで、この原稿をこれ以上読む必要はないと感じてるあなた、あなたも「自分の趣味で選んだFさん感想ベスト5」を選んでFさんに報告してあげてほしい。

 きっと、選んでる最中のあなたも楽しいし、あなたのベスト5を聞いたFさんも楽しいと思うから。

 ついでに掲示板に書いてくれたら、おれも読めて楽しい←やっぱり病気だ、コイツ。しかも重傷。

 

 ……ホントは、ここでこの原稿が終わったら少しカッコいいよねと思ったのだが、「自分の趣味で選んだベスト5を書いて欲しい」というFさんの御好意を無視することになるし、せっかく選んだベスト5が無駄になるので書いておく(←なんちゃって、単なる見せたがり屋のくせに)。

 

第5位『アメリカン・サイコ

 作品の本質を骨の髄までしゃぶり尽くした傑作映画感想。このサイトに来る人は映画が趣味の人が多いことを意識した上でネット映画マニアをネタにしたスタイルにもう大笑い。『ム−ラン・ルージュ』『コヨーテ・アグリー』の感想も語り口としてはこのスタイルに近いものがあるが、一番ブラックなこの『アメリカン・サイコ』がおれは好きだ。

 ちなみに、おれは映画祭やオフ会にも行ったことがないので、あまり強烈な映画ファンを見たことがない。つまり、おれがこの文章で映画マニアに感じる笑いは「偏見」の笑いなのである。でも、この感想で一番味のあるスパイスは「偏見」だと思うのでこれでいいのだ。

 

第4位『スティル・クレイジ−

 はっきり言いましょう。この感想でFさんは『スティル・クレイジ−』という作品のことを語る気はありません。ローリング・ストーンズを話したかっただけです、この人(笑)。たぶん、映画館で『スティル・クレイジ−』を見てたときも映画なんか全然見ずに、心のスクリーンに上映されてるストーンズのライブ(1990年東京ドーム)見ていたと確信しています(笑)

 でも、好きなミュージシャンのライブに行った人間の心の中にはそのライブが住み着くのだよ。そして、その演奏を心の中で一生聞ける。

 

第3位『ビッグ・ムービー

 映画館主Fなるネット上の人物が、どんな心で映画を見てるか知りたいならこの感想を読めばいい。感想の元になる映画『ビッグ・ムービー』もスタッフの映画への愛情がしみじみ感じられる快作だけど、いきなり新東宝の女優前田通子の話から始まるこの感想も(しかも、読み手が「なぜ?」と思うこの書き出しにはちゃんと理由があるのだ!)映画への愛で溢れている。『ビッグ・ムービー』本編で痛快にして大爆笑だったラストのテンションが、そのままFさんの感想に引っ越した感じ。

 この感想をこれから読むアナタ、当然ながら読む時のBGMは『燃えよカンフー』で。

 

第2位『華氏451(特集『映画を読む』より)

 『DAY FOR NIGHT』は、Fさんの感想だけでなく興味深い特集でFさん以外の文章が読めるのが一つの売りなのだが、これまでの特集でおれは『映画を読む』が一番好きだ。その特集でFさんが書いたのがこの『華氏451』

 第3位の『ビッグ・ムービー』感想には映画への愛情があるが、この『華氏451』には好きな作家への親愛と尊敬の念が感じられる。Fさんは、この文章で尊敬する監督フランソワ・トリュフォーにとても礼儀正しい。

 おれはこの『華氏451』の感想に漂うそんな上品さがとても好きだ。

   

第1位『ゴッド・アンド・モンスター

 おれは夫馬信一という人間に会ったことは一度もない。ネット上にだけ存在する映画館主Fというキャラクタ−を少し知っているだけだ。

 だから、この感想に書かれた頃の夫馬信一という一人の人間がどんなことを感じていたのか、おれは知らないし、この先知ることもないだろう。

 でも、この感想を読むと心になにか暖かいものが残る。

 大事なのはきっとそれだけ。

 

 以上が、おれのベスト5だ。

 この辺でおれがFさんの映画感想を読む時のスタンスについて書いておこう。

 そのほうが、なぜ上記の感想たちがベスト5にランクインしたのか理解しやすいと思うからだ。

 

 こんな企画をやっておいてなんだが、おれはFさんの映画感想に綴られている人間観に共感することはほとんどない

 では、なぜおれはFさんの感想を読むのか?

 おれは心のどこかに自己破壊衝動を抱えた人を信じない人間だ。

 他人に期待することは、おれの人生の基本的禁止事項。

 誤解のないように言っておくが、俺は家族を愛してるし親友もいる。基本的に周りの人間には親切にしたいし、自己破壊衝動はあっても他人破壊衝動はない。他人が幸せそうに笑ってるのを見るのも大好きだ。どんな人間の笑顔でも、見てるこっちまでうれしくなってくる。

 でも、おれは他人を信じないし期待もしない。

 自分自身に対しても信じたり期待したりしない(代わりに自分を過小評価することもしない。ありのままの自分の実力だけを感じるようにしている。)。

 当然のことながら、こんなおれとFさんの共通点は全然ない。「ピーター・ハイアムズが好き」ぐらいしか共通点はないんじゃないだろうか。あ、あと『天国の門』が好きというのもあったな(笑)

 Fさんがハイ・フィデリティの感想で「自分の心底愛した彼女のいいとこトップ5」を挙げているけど、その恋愛観が自分とあまりに違うので苦笑したくらいだ。

 ついでだから、ちょっと比較してみよう。

   

Fさんのトップ5

Fさんのトップ5に対するあんのの感想

その1

信用できるとこ

おれの中では「信用する」ことと「愛する」ことは全然つながらない。

その2

偉そうにしない

過去の事例からいって、おれは「謙虚」な人より、自己主張の激しい女性を選ぶ傾向が強い。

その3

忍耐強い

みんな、忍耐より自分の意見を選んだ

その4

フェアだ

Fさんとのトップ5唯一の共通点(笑)。この感覚だけは人間として持つのが当然だろう。

その5

モノの見方がユニーク

面白いと思うけど、おれには大事ではない。

    

 おれは、こんなにFさんと人間の種類が違うのに毎週月曜の更新を楽しみにしている。

 Fさんの文章にはなにかを「信じよう」とする意志が込めれれているように感じるからだ。

 おれには、それはとても眩しいものに見える。

 自分を変えようとは思わないが、その眩しいものはとても魅力的だ。

 辛いカレーが好きな人間も食べる途中で飲む水のおいしさを否定できない。 

 つまり、上記のトップ5は「カレーの途中で飲んだ水トップ5」の親戚のようなものなのだ。

 そういうことで上記トップ5を御理解いただきたい(笑)

              

 最後に映画館主Fなる人物が持つエネルギーを感じる簡単な方法を御存知だろうか?

 本当に簡単だから、みなさんも実行して欲しい。

 これまで『DAY FOR NIGHT』に書かれた映画感想を全部プリントアウトして手に持ってみればいいのだ。

 おれはこの原稿を書く準備作業のためにやってみたが、その紙の束の重さはタダ者ではない。

 

 

●あんの● 神戸にお住まいのあんのさんは、メランコリックな恋愛映画と男騒ぎのアクション映画をこよなく愛する映画ファン。この4月より職場で異動があり、今までにも増して多忙な日々を送られています。

  


 

 

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