開設2周年記念特別企画

遙かスクリーンを離れて

いま、映画は本当に「映画」なのか?

(2001/04/16)

*上の画像はシネマスコープの画面比率を再現したものです。


「DAY FOR NIGHT」はこの4月18日で開設2周年を迎えます。ここで改めて、日頃からこの「DAY FOR NIGHT」をご覧いただいたり、ご協力いただいてきたみなさまには厚く御礼申し上げます。で、2周年記念特集としてお届けするのがこの「遙かスクリーンを離れて」。映画とは果たしてスクリーンでのみ、映画館でのみ見るべきものなのだろうか?という、映画サイトにあるまじき特集です。しかし、けしからんとお怒りになる前にまず考えていただきたい。今、スクリーンや映画館とは、本当に映画ファンにとって望ましい環境と言えるのかどうか? そして、より大きな映画の楽しみとは何か? ここにご意見を寄せてくれた方々とともに、改めて考えてみませんか?


CONTENTS

 

はじめに

Introduction from Editor

夫馬 信一 by Shinichi Fuma

 

映画館を離れれば離れるほどに

Far Away from the Theaters

AKIRA by AKIRA

 

地方の映画ファンに関する往復電子書簡

E-Mails about Local Movie Fans

しーた by Shita

 

映画はやっぱり映画館で見るべきもの!?

あるいは自主上映に関わった経験から

It's Only Screen, But I Like It

間借り人ヤマ by Yama

 

テレビはわが映画体験の「原点」

Movies on TV, Why Not?

みのり by Minori

 

映画をDVDで見る時代

Now We are in a DVD Age

noribow by noribow

 

WOWOWを楽しもう

Enjoy WOWOW

ギタ郎 by Guitaro

 

『吹き替え』版はお嫌い?

Don't You Like Dubbing Version ?

あむじん by Amujin

 

テレビ洋画劇場黄金時代

The Golden Age of the Movies on TV

夫馬 信一 by Shinichi Fuma

 

 

(C)2001 AKIRA, Shita, Yama,

Minori, noribow, Guitaro, Amujin,

and FUMA'S WORKSHOP

 


 

 

 はじめに

 Introduction from Editor

 夫馬 信一

 by Shinichi Fuma

 

 「目出度さも中くらいなり、2周年(笑)」

 こんにちわ。皆様いかがお過ごしでしょうか? Fです。

 さて、冒頭にも書きましたように、このたび当サイトも何とか開設2周年を迎える事が出来ました。思い起こすことは数多くありますが、それはさておき。そんな今年2001年、「DAY FOR NIGHT」ではこの一年のテーマとして「実用品」としての映画、「生活必需品」としての映画…を掲げました。

 で、一応このテーマに沿うようなかたちで、一連の特集企画をアップしてきたつもりです。代表的なところでは2月のバレンタイン特集(「実用性重視」と銘打ったのはダテじゃありません。)…先日の「出走直前!オスカー・ダービー大予想」、その完結篇としての「オスカー・ダービー大懺悔」も、映画を作品としてだけでなくイロイロ積極的に楽しんでしまおうという試みでした。考えようによっては「20世紀の100本」も「みんなのベストワン2000」も、そして偶然参加することになりましたが「映画好きへの100の質問」もその一連の流れにかなっていたと思います。今後も同種の企画は、いくつか用意していくつもりです。

 そこで今年2周年記念の特集もこのテーマを反映させたものを…と考え、企画したのがこの「遥かスクリーンを離れて」です。

 

 以前、映画好きが集まった席で、映画はやっぱりスクリーンで…映画館で見るべきものだという話が盛り上がったことがあります。過去の有名な名作といわれる作品、それらも「やっぱりスクリーンで見ると違うよね」とは、確かにおっしゃる通りではありましょう。僕もその意見に何ら反論するつもりはありません。

 が、その席で会話に加わらず、寂しそうに黙っていた人の表情を、僕は忘れることが出来ません。彼は誰にも聞こえないようにポツリと言いました。

 「そんな昔の映画、見たくたって見れないよ、スクリーンじゃあ…」

 彼はそれらが映画館にかからない…と不平を述べているのではありません。(いや、そうだったかもしれませんが)丹念に探したり機会を待っていれば、東京圏内なら映画館で見るチャンスもあるでしょう。しかし彼は仕事柄、そんなに映画館へ足を運ぶ訳にはいかなかったのです。まして試写会などは論外。

 映画をスクリーンで、映画館で…というのは原則であり、基本であり、本質でありましょう。僕も劇場で見たものとテレビ、ビデオで見たものとは、内心どこか区別してとらえているところがあります。

 しかし、個人の事情で映画館まで足を運べない方々は数多くいます。そして何より最寄りに映画館がない方々、あってもさまざまな映画が上映されないという方々、いやもっとシビアな問題としてそんなに映画館に行くお金がないという方々、試写会のハガキ書いてるヒマも行く時間もない方々…こうした方々を前にして、「映画はスクリーンで見るものだ、それ以外は邪道だ」などと言う理屈に、果たしてどんな意味があるんでしょう? 

 今回はそうした素朴な疑問からこの特集を企画した訳です。

 実際、僕もどうして映画が好きになったかと言えば、テレビで湯水のごとく放映された洋画劇場を見て…というのが本音のところです。感想文の中で「あの作品はどうだった」「こうだった」と引用している映画も、実際のところはテレビ、ビデオで見たものを多く含んでいます。「邪道」と思われてはいても、実際のところ今「映画好き」と自称する人々の中で、まったく純粋にスクリーンでのみ映画を鑑賞している人を探すのは、「週刊宝石」の「処女探し」企画を当てるのより難しいのではないでしょうか(笑)?

 しかも、今はこれだけ豊富なビデオ、DVDのソフトが氾濫し、BSなどのテレビ放送があり、器材も充実してきています。これをすべて「ないもの」と無視することは、もはや偽善と言っても過言ではないでしょう。

 実際、映画館で見る暗闇の映画体験は素晴しいものです。しかし場合によっては、その施設や設備の貧弱さ、上映コンディションの粗悪さが、作品を明らかに損なっていることだってあります。劇場公開されてる作品が必ずオリジナルかと言えば、配給会社その他の都合でカットされている場合もあるし、上映を続けているうちにフィルムの欠損も生じてきます。元々、映画とはそういう性質のものなのです。見た人の数だけ「オリジナル作品」が存在するとも言えましょう(この映画のオリジナルバージョンと別バージョンの問題は、今年また別の機会に改めて掘り下げてきたいと思っています)。

 

 ただ、今回の企画はやはり映画ファンや関係者の「一番微妙な部分」に触れてしまったのか、かなりの難産となりました。やはり「スクリーンで見ない映画」というテーマは、純潔主義の映画ファンから見れば腹立たしくも認めたくないタブーなのかもしれません。それほど…とは決して思っていなかったのですが、やはり抵抗があったのでしょうか。今回の人選はかなり難航しました。また原稿をお願いして快諾いただいた方の中にも、なぜか用事が急に発生したままの方、遠方に出かけられたまま帰ってこない方などが出てきて、ピラミッド発掘に携わった人間に次々不幸が襲いかかるファラオの呪いみたいで、実に不思議でした(笑)。

 さらに、一方的に問題提起しっぱなしにしたくなかったので、映画を送り出す側の方々…配給に関わる方や映画館関係者の方にも声をかけさせていただいたのですが、これも事情で実現出来ませんでした。結局時間切れになってしまったのが何とも残念です。

 以上、今まで特集について一度も言い訳めいたことを述べてこなかった僕が、なぜあえて今回このような一文を寄せているのか?…ということについての説明です。

 ここで改めて、今回参加してくださった方々には、心から感謝の言葉を捧げたいと思います。

 

 ここでハッキリ申し上げますが、「映画はスクリーンで見るべきものだ」…なんてことは、誰に聞いたって分かり切ったことです。それを当り前の前提とした上で、「スクリーンを離れた」映画との付き合い方、楽しみ方を考えようというのが今回の特集の真意です。

 どうかそのあたりのことを誤解せずに今回の特集をご覧くださいますよう、皆様には何卒よろしくお願い申し上げます。

  


 

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