
ドイツ政府、ナチス時代の強制連行労働者に対して個人補償の道を開く
今年4月、ドイツ政府とドイツ経済界は第二次世界大戦中ナチスによって強制労働を強いられた人々に対して補償をすることを決めました。
これまでこの問題はどうなっていたかというと、ドイツ政府の公式の立場は、強制連行労働者は戦争に伴う不幸な出来事の犠牲者ではあっても「ナチス犯罪」の犠牲者ではないという曖昧なものでした。一般には、ドイツはナチス犯罪犠牲者に対する手厚い補償で知られていますが、以上のような事情で、強制労働犠牲者はドイツの補償体制の枠外に置かれてきました。しかし今回の決定により、法律的な解釈はともかく、実質的にドイツ政府は強制連行労働者に対する個人補償の道を開いたと言えます。
以下、それを伝えるドイツ連邦議会の新聞『ダス・パーラメント』(「議会」の意)4月21、28日合併号の冒頭記事をそのまま訳します。
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ダス・パーラメント(Das Parlament)(『議会』の意味)、2000年4月21、28日号
連邦議会がナチス強制労働者への補償を決定
人種主義と不寛容の再来を許すまじ
[ベルリン]ドイツ連邦議会は2000年4月14日「記憶、責任、未来」財団を設立し、旧ナチス強制労働者に対する財政的補償をすることを決定した。法案は全会派の支持で決定され、これによりナチス体制により強制労働を強いられた人々に補償するべきかどうかという長い間の話し合いに決着がついた。財団には100億マルクが付与され、半分を連邦が半分を経済界が負担する。
ゲアハルト・シュレーダー首相は議会演説で「強制労働を抜きにしてナチスの犯罪システムは考えられない」と述べた。「犠牲者への財政補償は遅きに失した」とも。財団名の「未来」はこの種の犯罪を二度と再び起こさないよう全力を尽くすという呼びかけである。私たちの社会から憎悪、人種主義、不寛容の芽をつまなくてはならない。自由で平和を愛する社会こそ日々自覚を新たにしていかなければならない。これこそ財団の「中心的課題」(首相)だ、と。
キリスト教民主・社会同盟を代表してフリードリヒ・メルツ院内総務とヴォルフガング・ボスバッハ議員が演説した。メルツによれば、意見が一致し最終的な財政規程が作られるに至ったが、ただこれはドイツ人の道義的責任の問題に蓋をしてしまうことではない。メルツはまたコール政権時に先鞭が付けられた補償年金法に言及し、これが東欧ナチス犠牲者に15億マルクを準備したことを指摘した。同時にメルツは自党が法案作成に当初から参加していなかったことを遺憾とした。首相と同様メルツが強調したのは、賠償問題がもはや存在しないことである。「賠償問題はロンドン債務協定ならびに最終的には2プラス4条約で決着がついている」と。
社会民主党からはベルント・ロイター、ディーター・ヴィーフェルシュピュッツ、マルクス・メッケル各議員が発言。ロイターは合意が成立し最終的にドイツ企業にとって公正な平和が訪れたとした。彼は企業側が「財団への参加によりその歴史的責任を果たした」と謝意を述べた。また、この間に高齢に達した犠牲者に対しては早急に救済措置が講じられなければならないとした。ヴィーフェルシュピュッツは、アメリカ側と時に応じて厳しい交渉が行われたことが、達成された結果から見ればかえって互いの関係の深化をもたらしたと述べた。
緑の党のフォルカー・ベックはこの補償が多くの犠牲者にとってあまりにも遅かったことを遺憾とし、法の安定が図られ、これ以上資産請求が報告されないようにと強調した。民主社会主義党のグレーゴル・ギージは共同の法案を指してあらゆる政治勢力がこの問題で一致してきたかを語った。
首相演説の後、前自由民主党議員のオット・グラーフ・ラムズドルフが立った。彼はの数ヶ月間首相の委託を受けて犠牲者団体やアメリカの利害関係団体との厳しい交渉を進めてきた。ラムズドルフは達成された交渉結果を今一度想起することを呼びかけ、関係者間の利害調整と、それを通じて達成されたドイツ企業側の公正な平和を讃えた。資金のほとんど、80億マルク以上は犠牲者に直接手渡され、7億マルクは「記憶と未来」基金に当てられる。
シュレーダー首相は「実に前例のない真摯さで、非難の余地のない道義的完璧さと絶妙な不屈の交渉能力とによって」この困難な課題をやり遂げたラムズドルフを讃えた。
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