阿弥陀堂だより

映画「阿弥陀堂だより」のロケ地(飯山)を訪ねて

2002年の10月に封切られた「阿弥陀堂だより」
ご覧になった方も少なくないのではないでしょうか。
この映画のロケ地は北信濃飯山・・菜の花を見に、毎春必ず訪れる美しい地です。
阿弥陀だよりで静かな感動を味わった二人・・
お梅さん(北林谷栄・91歳の名女優)の住んでいた阿弥陀堂のセットが
そのまま残されていると聞き、是非訪ねて見たくなりました。
             「阿弥陀堂だより」を観ていない方のために

(内容)
孝夫と美智子(寺尾聰・樋口可南子)の熟年夫婦が主人公。
美智子は優秀な医師として大学病院で働いていたが、ストレスのためにパニック障害になってしまう。
二人は孝夫の実家のある長野で新しい生活をはじめる事にする。
大自然の中で暮し、美しい四季や暖かい人々の心に触れ、徐々に本来の自分達を取り戻していく。

(解説-阿弥陀堂だよりHPより抜粋)
撮影は長野県飯山市を中心とした奥信濃と呼ばれる地域で行われた。
監督と小泉組のスタッフが、古くからの日本の原風景が残る場所を、と探し出した場所である。
この地で約1年間、撮影日数にして100日以上に及ぶ長期撮影を敢行。
1年間の定点観測的な撮影、のべ600人近い地元の人々のエキストラ出演などが、
より現実に近い空気感を生み出し、そこでの出来事を一緒に体験したかのような気持にさせてくれる。
四季の移ろいと共に見られる風景、祭り、行事、そして季節の風物詩が、
誰もが懐かしいと感じてしまう不思議な想いを産み出していく。
日本人の心の故郷を映像化したような、そんな不思議な感動を与えてくれる。
阿弥陀堂のセットが残っている場所まで数百メートル・・まで
車で行くことができます。
ちょっと山道で、幅もさほど広くありませんが、
交通量もほとんど無いので大丈夫。
ただ、ご近所のお年寄りがカートを押して歩いていたり
道の半分くらいを使ってゴザの上で
穀類を干していたりするので
運転には充分お気をつけくださいな。
小さな駐車場に到着です。
駐車場と言っても、この地区の集会場の前の空き地です。
集会場にトイレがありますが、ここから先はありません。
先にトイレをお借りしていきましょうか。

阿弥陀堂までの地図がありました。
この坂を登って行けば良いんですね。
さあ、行きますよ!
阿弥陀堂に行く途中でいくつもの石仏に出会いました。
この石仏は阿弥陀堂より更に上に登る山道に点々とありました。
ひとつひとつに願いを込めてお祈りしながら歩きます。
苔むした石仏は何も言わずに秋の北信濃の風景の中に
ひっそりと溶け込んでいます。
この石仏さん達にはモデルになってもらったので
後で別ページでご紹介しましょう。
ススキが風に揺れる中を私たちは阿弥陀堂に向って歩きます。
あ、こんな立て札が・・
うふふ、面白いけどここまで書くなら
下手でもいいから
手書きの看板の方が雰囲気が出て良いのに〜・・
道を右に逸れたところに・・あ、ありました!
阿弥陀堂です。
確かに映画でお梅さんが守っていた
あの阿弥陀堂です!
カミさんは思わず走っていきます。
それは、もう遙か昔からそこにあるように、周囲の景色と溶け込んで存在していました。
茅葺き屋根も雨戸も・・何もかもが時を重ねてそこにあるように・・ひっそりと佇んでいました。
映画のセットだなんて・・今にも腰の曲がったお梅さんが顔を出しそうです。
「ごめんください」
そう言いたいのですが、お梅さんは不在のようです。
「ただいまお梅さんは留守にしています。
下の休憩小舎にお立ち寄りください」とありました。
お留守の所、すいません。
ちょっと失礼します・・あ、その前にお梅さん、
ちょっと裏の方を見せてくださいね。
阿弥陀堂のすぐ横にこんな小さな建物がありました。
なんだかわかりますか?
そう、厠です。厠・・わかりますよね、トイレです。
お梅さんのために孝夫が作った厠です。

木戸を開けようとしたら、開きませんでした。
中はどうなってるんだろう。
「何もないよ」とダンさん。そうかなあ・・とカミさん。
上の空いてる所からそっと覗いてみたら・・ふふ
穴が掘ってあって足を乗せる板が2枚・・
ちゃんと渡してありました。
間違いなくお梅さんの厠です。
阿弥陀堂の横には
こんな土間(台所)の部分もありました。
此処でお梅さんが漬け物を漬けたり
煮炊きをしていたのですね。
さらにその横には・・

かまどの脇の煙突は
ちゃんと屋根の上に突き出てます
これは・・お風呂ですね!
使い込んだ感じの風呂蓋もちゃんと付いていて・・
お梅さんの入浴シーンはなかったけれど
こうして生活感をちゃんと表して・・
お梅さんが確かにここで生きて・・生活しているのです。
なんだか、ジンと胸に迫るものがあります。
さあ、ちょっと失礼して、阿弥陀堂の中にも入らせていただきましょう
正面に阿弥陀様がおられます。
と言っても、今はお写真。
映画では飯山のお寺からお借りした
仏様がいらっしゃったのです。

思わず正座してお祈りをします。
同じ気持ちの人達がいるのでしょう。
お供えのお菓子がありました。
阿弥陀様の後ろには
仏様になった人の札がかけてあります。
勿論セットですが・・
でもよく見ると・・
木札の一枚一枚の色が違うでしょう。
最近のモノはまだ真新しくて・・
こんな細かな所にもこだわりが感じられますねえ。
そこがまるで映画でなく
実際の生活を垣間見ているような錯覚を覚えます。
いいえ、錯覚なんかじゃなくて
ここには確かに「人の気配」が感じられます。
阿弥陀堂から遠くを眺めます。
千曲川もハッキリと見えます。

都会の生活に疲れた美智子さんはここでこうして景色を見ながら
どんなに心を癒された事でしょう。
傍らには優しいご主人がいつも寄り添って・・
お梅さんの節くれだった手で煎れてくれたお茶を飲みながら・・

じっと座っていれば、気分はもう樋口可南子です(笑)

でも、いつまでもこうしてるわけには・・
そろそろ おいとましましょうか、孝夫さん・・違った、ダンさん。
帰りは駐車場まで来たときとは違った道を歩きましょう。
遠くの山々を見ながら手をつないで歩けば
いつまでもこの道が続けばいいと思ってしまいます。

稲がスッカリ刈り取られた棚田が続きます。
少し前なら金色に輝いて、さぞかし美しかったでしょう・・
またそんな時期にも訪れたいねと話しながら歩きます。
下の写真は同じ村の中にある「神戸(ごうど)のイチョウ」です。
この付近もロケに使われたところ。
村の子供達が夕焼けに赤く染まる畦道を
「夕焼け小焼け」を唱いながら帰るシーン。
美智子はそれを見送りながら
「悲しくないのになんで涙が出るんだろう」と孝夫に呟きます。

そのシーンで映っていた大銀杏がすぐ近くにありました。

長野県の天然記念物
周囲13メートル高さ36メートルの大銀杏。
現在日本一と言われる岩手のイチョウと大差のない大樹。

幹の太さが判るでしょうか?
イチョウを守るために周りに綱が張ってあり
樹に触れることはできません。ちょっと残念。
私たちが訪れたときはまだイチョウは緑のままでしたが
いつか金色に色づいたイチョウを夕焼けの中で見たいと思いました。



さあ、今日はそろそろ帰りましょうか。
まだ見たい所もありますが・・
孝夫の恩師が住んでいた庵。
雪の中で祀祭の行なわれていた舞台・・

でもそれは、又の機会の楽しみに・・
きょうは、阿弥陀堂を訪れた・・それだけで満足いたしましょう。


後日、二人は再び飯山を訪れました。
「阿弥陀堂だより」のロケ地を訪ねて2をどうぞ。
     15年10月中旬訪問 
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