日本航空の経営問題について考える(4)

−遂にJALは崖っぷち!? JAL再建に残された道は有るのか?−



TAKA  2007年07月02日




(中部国際空港でのJAL国内線旅客機)


 ※ 本文は「交通総合フォーラム」「TAKAの交通論の部屋」で書いた「日本航空の経営問題について考える (1) (2) (3)」の続編として書きました。


 近年の航空業界の経営の話題になると先ず挙がるのは「日本航空の経営危機」問題ですが、9.11同時多発テロ・SARSの流行・原油価格に連動した燃料価格の高騰等の外的要因による「航空業界に吹き荒れた世界的逆風」以来、日本の航空会社を含めて世界中の航空会社が経営難に見舞われ、国を跨いだ吸収合併や提携・連邦破産法(チャプター11)申請・大規模なリストラ等々色々な手法を用いて経営の再建が行われています。
その様な成果もあり、世界中の航空会社で再編が進み、日本では全日空が平成19年3月期に「過去二番目の水準の純利益」を出したり、アメリカではデルタノースウエストが連邦破産法チャプター11から脱却するなど、世界中を襲った「航空会社の受難」から脱却し、経営再生を実現し新たな道を歩みだしています。
 その航空業界再生の流れの中で、未だに経営再建が達成されず苦しい経営状況の中で喘ぎ苦しんでいる会社が居ます。それが日本の「ナショナルフラッグキャリア」である日本航空です。日本航空に関しては弊サイト「TAKAの交通論の部屋」でも日本航空の経営問題について何回も取り上げていますが、同時多発テロ・SARS・燃料費高騰と言う外的要因に加えて、合理化の遅れ・巨額の赤字・乗客離れ・運行トラブル・社内派閥闘争・労使間対立等々、内外共にありとあらゆる問題が発生しており、今や日本航空は再建実施中では有りますが青息吐息で力尽きつつある状況に有ります。
 実際日本航空は06年3月に作成した4カ年計画の「中期経営計画」が僅か1年で行き詰まり、07年2月に「再生中期プラン」を打ち出して、改めて再生の道を歩み出したと言う状況に有ります。弊サイトでは約10ヶ月日本航空について取り上げて居ませんでしたが、今回遂に「崖っぷち」に立たされたとも言える日本航空の経営問題について、時間の経過で変化した事を踏まえて「日本航空は今後どのような道をたどるのか」と言う点について考えて見る事にしました。

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 「日本航空関係資料」
 日本航空2006-2010年度中期経営計画(JAL説明資料)
 JALグループ平成19年3月度決算について(JALプレスリリース)
 JALグループ、2007−2010年度再生中期プラン(JALプレスリリース)
 JAL、ワンワールドへ正式加盟(JALプレスリリース)
 ワンワールド 公式HP
 Yahooニュース トピックス 日本航空

 「参考文献」
 ・数字で見る航空2006(国土交通省航空局 監修)・週刊東洋経済 2007/5/19号 「2期連続の最終赤字 JALの低空飛行続く」 
 ・「地に堕ちた日本航空 -果たして自主再建できるのか-」(杉浦一機 著)

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 ☆ 経営再建中の日本航空の状況は?

 日本航空は世間の評価で見る限り極めて厳しい状況に置かれています。実際企業の評価の物差しの一つである「株価」を見れば、昨年6月30日の大幅増資以来、2004年以来約2年半近く300円以上を保っていた株価が急落し、増資時にプレミアムが付いて優位な株価だった筈の211円に迫る200円台前半で揉み合う形で推移しています。
 加えて日本航空の格付はきわめて低い物です。日本航空は会社のHPで格付会社の格付を公表していますが、その水準は「投機的水準」と言う社債発行は困難でありしかも株を買うにも相応しく無いと言う事を示して居ます。又日本航空のメインバンクである三菱東京UFJ・みずほコーポレート・三井住友の3行は査定を「要注意先」に査定していると言われており、普通の企業であれば資金調達が困難な状況を示しており、日本のナショナルフラッグキャリアとしては非常に恥ずかしい状況に有ると言えます。

 しかし業績その物は当初の再建計画であった中期経営計画の目標こそ「未達」では有る物の、出直しの「再生中期プラン」に比べると19年3月決算は「当期純利益」を除いて数字の目標をほぼクリアしています。
 加えて18年度の決算から見ると、これだけ日本航空に対する世間の逆風が吹き荒れているのに、収入の分野では国際旅客・国内旅客・貨物3分野とも増収を果たして居ます。確かに全日空と比べると伸びは低い物の国際旅客で前年比105%・国内旅客で前年比102.3%と言う数字は、営業費用が対前年比102.3%と言う事から考えて、「国内線は原価Up要因を吸収できた」「国際線は原価Up以上の増収を図れた」と言う事になります。
 又乗客数その物では06年度の数字は「JALグループマンスリーレポート2007年4月号」によると、国際線前年比94.9%・国内線前年比100.3%と言う事で、旅客数に関して言えば「国際線は縮小傾向が続いて居るが国内線は下げ止まった」と言える状況です。
 この様な数字を見る限り、今の日本航空の状況は「輸送実績には明るい数字が見えつつ有るし、収入的には反転の兆しが明確になってきた」と言う状況で営業収益的には「経営再建の最低限の基盤は出来た」と言う事はできると思います。しかし「株価・格付け」と言う社会からの経済的評価と言う側面からは、未だに日本航空は世間からの信認を受けて居るとは言えず、日本航空の経営再建は未だに厳しい状況で有ると言えます。


 ☆ 日本航空の再建には何が必要か?

 この様に光明こそ見えつつも未だに厳しい状況に有る日本航空の再建の道筋ですが、営業的には回復の基調が多少は見えつつもそれ以外の点で見ると、未だに日本航空の経営再建には色々な対策が必要で有るといえます。

 先ず第一は差し迫った問題として来期の決算対策のリストラの問題が有ります。来期に関しては営業利益を+121億円を想定していますが、これの原動力は「再生中期プラン」で掲げられた「2006年度末連結ベース社員数53,100人を2009年度末までに4,300人削減し48,800人にする」「基本給10%カットを継続し、特別早期退職措置実施・退職給付関連制度改定・臨時手当水準の大幅な抑制を行う」「それらにより2007年度以降のグループ人件費を2006年度比で500億円圧縮」と言う人件費関連のリストラ策です。しかしこのリストラも「臨時手当削減に関しては最大労組と合意済み」ですが、これらの合理化に関しては8つの労組と全面確約の合意が取れていない状況で、今回JALの株主総会で一部労組が株主にリスtら反対のビラを配布しそのシーンがニュースで放送されている状況ですから、今後も「日本航空最大の癌」とも言われている労働組合と関係をクリアにしなければなりません。
 実際従業員1名当りの売上を見ると「日本航空366,528ドル・全日空403,000ドル・キャセイパシフィック航空488,938ドル・シンガポール航空617,308ドル」と言う様に、アジアの優良キャリアから比べると1人当りの生産性は大幅に劣り、全日空と比べても1割程度生産性は劣る事になります。この点から考えても今の「再生中期プラン」のリストラは序の口と言う事になり、世界の優良キャリアと対抗するには最低1割出来れば2割以上のリストラが生産性向上のためには必須と言う事になります。
 しかし労使間の関係は上記の通りで有り、今までも日本航空の労使関係は「問題有り」だと言ってきましたが、依然として労使両方とも目覚める事が無く「日本企業最悪クラス」と言える最悪の労使関係が継続しています。その中で日本航空は大幅なリストラが必要な状況に追い込まれています。今後将来的に日本航空が生き残る為にはこの労使関係を上手く解決しながら人員or人件費総額を1割〜2割減らす大幅なリストラが日本航空再建には必要になると考えます。

 第二は未だ有利子負債だけで1兆円近く、全体では1.5兆円以上有る巨額の借金の処理の問題です。06年度日本航空は「上場商事子会社JALUX株の30%、東急・JR東日本の株等の有価証券、東京・成田を含む5つのホテル、社宅等の不動産」等の資産を軒並み売り払い約1000億円の資金を得たと言われています。05年度も650億円で天王洲の本社ビルを売却していますが、これだけ売却しても「4000億円の有利子負債圧縮」には程遠い状況ですし、決算単信に依れば「社債+長期借入金+短期借入金」は平成18年度末1兆2296億8百万円→平成19年度末1兆222億5百万円と言う金額であり、未だ有利子の各種借金は2千億円程度しか減って居ません。
 この様な状況で既に日本航空の「手元には売れる優良資産はJALカードしかない」と言う話が実しやかに話される状況であり、既に「資産売却による有利子負債減少」はかなり困難な状況に成りつつあるという状況です。しかし営業で稼ぐ利益で借金を返すという「正当な行為」を営めるほど日本航空の本業は未だ利益を上げては居ません。その中で「如何にして借金を減らすか?」と言う問題が重く日本航空に圧し掛かってきています。
 今主力4銀行(日本政策投資銀行・みずほコーポレート銀行・三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行)による「融資の一部を優先株に振り替える「債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)」を実施し、2000〜4000億円規模の資本増強を図る」と言う支援策が、水面下で行われているとの報道が流れていますが、昨年から大幅な増資や大規模な資産売却等の施策が行われていますが、其れでもこれ位強力な金融支援を取り付けないと根本的な解決策は取れない程厳しい状況に今の日本航空は有ります。

 この様に日本航空の再建に必要な物はこれ以外にも多数有りますが、大きく見て「大幅なリストラ」と「より一層の有利子負債削減策」の2つで有ると言うのは間違い無いと言うことが出来るでしょう。
 この課題は日本航空の経営問題が表面化した1年前から変わって居ません。この解消に日本航空が努力をしている事は間違い有りません。しかし(特にリストラ問題は)「日本航空の癌」と言えるほど根が深い問題ですが、それゆえに根本の問題に手が打てないで居るというのが今の状況で有るといえます。この根本の問題に手を付けて「真に日本航空が再生する為」には如何なる再建施策を取る事になるのであろうか?結論に替えて考えてみたいと思います。


 ☆ 今後日本航空の再建が進むべき道とは?

 では此処まで追い詰められた状況で、今後日本航空が再建に歩む為に進むべき道は如何なる道なのでしょうか?取りあえず「一つの山場」であった株主総会をクリアする事が出来ましたが、これは儀式に過ぎず此処から日本航空・主力銀行・国等複数の利害関係者の綱引きの中で今後新たな日本航空の再建策が練られて行くと思います。
 此処では結論に替えて「今後日本航空の再建策が進むべき道」と「どの道が好ましいのか?」を、@自主再建 A銀行管理下での再建 B会社再生法or民事再生法での法的整理 と言う今の段階で考えられる3つの施策を考えながら、今後の日本航空の再建の道筋について考えて見たいと思います。

 @ 自主再建路線の推進
 先ずは今の路線のまま進むと言う「自主再建」の路線です。これは全てに取りベストな選択で有る事は間違い有りません。しかし問題は「自主再建で日本航空は再建できるか?」と言う問題です。今までの自主再建での進み方を考えると難しいと言わざる得ません。何故なら「今まで上手く行っていない物がこれから上手く行く」保証が無いからです。
 特に難しいのは「リストラ関連」の問題で有ると言えます。確かに経営陣の組合に対する姿勢には問題が有った事は間違い有りません。しかし今まで見てきた通り最大の問題は「組合員に再建への覚悟が微塵たりとも感じられない」と言う点です。今後再建の為に退職金の減額・大幅な追加リストラ・給与やボーナスの更なる削減が経営陣から提案された時に組合は簡単に飲むでしょうか?私は今までの経緯を見るとNOだと思います。
 労使間での関係が根本的に改善され労使一丸となり再建へ動く事が出来れば、日本航空の再建は不可能ではないと思います。しかしもし1年前に其れができていれば此処まで再建に苦戦し世間に叩かれる事は無かったと思います。真からの労使協調は今より環境が良かった1年前に出来なく危機が深化した今だから出来ると言う考え方も出来ますが、それは絵空事で有ると思います。
 ですから当座は自主再建で進もうと、遠からず自主再建路線は挫折し他の道を歩みだす事になるのは避けられないと考えます。

 A 銀行管理下で再建を進める
 では自主再建路線が早晩に挫折した時登場してくるであろう、銀行管理下の再建は如何でしょうか?
 実際今の日本航空経営陣は「債務の(優先)株式化」を検討しているとの事ですが、実際的には有力な資本増強策で有る事は間違い有りませんが主力4行にしても既に日本航空への融資が「要注意先」になっている状況から考えて、債務の株式化をした段階で優先株で有ろうと銀行が日本航空の再建と経営に深く関与して来る事はほぼ間違い無いと言えます。その段階で日本航空は実質的に銀行管理下に入る事になります。
 その段階で銀行がかなりの主導権を握り経営再建の旗を振ったとして果たして上手く行くのでしょうか?今までの日本航空の歴史と労使間の悪い関係から考えると非常に難しいと言わざる得ません。
 過去に日本航空には経営再建の為に大物会長が送り込まれた事が有ります。それは85年の御巣鷹山事故の後当時の中曽根総理の肝煎りで経営の抜本的な革新と労使関係の改善を目指しカネボウの伊藤淳二会長を日本航空会長として送り込みます。カネボウの伊藤会長はこの当時は「ペンタゴン経営」でカネボウを再生したと高い評価を得ていましたが実際は今のカネボウの破綻の原因を作ったとも言われており経営者としての評価は別れるところですが、実際の所伊藤会長は当時は名経営者として名声が有り内閣総理大臣の肝煎りで送り込まれた実力会長でしたが、日本航空内部では役員・管理職間の派閥闘争と組合との対立の中で僅か1年3ヶ月で退任と言う結果になり、ここでも日本航空の改革は挫折してしまいました。
 この様な過去が有る会社で、幾ら銀行管理下でも「内閣総理大臣肝煎りの名経営者」が挫折した再建を行う事が出来るのでしょうか?私は外部から銀行が人を入れる事はその様な前科がある以上難しいでしょう。
 では銀行管理下銀行が黒子となり現経営陣に経営の抜本的な改革を行わせるのでしょうか?これも又今出来ない事が銀行管理下になっても同一人物ではとても出来るとは思いえません。そういう意味では非常に難しいと言う事が出来ます。
 この様に考えると、銀行管理下での再建と言うのは現行の流れ上では一番有り得そうなシナリオでは有りますが、残念ながら「銀行管理下で日本航空は再建できるか?」と成ると非常に難しいと言わざる居ません。銀行管理下でも最終的には日本航空傘下の事業をバラバラに売却した上での解体的再建と債務回収しか出来ないのでは無いか?と思います。

 B 最後の手段?会社更生法or民事再生法での法的整理
 この様に考えると「自主再建は困難」「銀行管理下でも早晩に行き詰るだろう」となると、最後の残された道は法的整理の道を辿るしか有りません。約2年半前迄ならば「産業再生機構」を活用して再建を行う事が出来たかもしれません。実際同じ様な巨大な不良企業で自主再建にも銀行管理にも失敗したダイエーは最終的に産業再生機構に駆け込み再生を行いました。しかし今は「産業再生機構」は有りません。そうなると会社更生法or民事再生法による法的整理しかないと言うことが出来ます。
 この様な道は日本航空再建にとって、自主再建→銀行管理を経た後の「最後の手段」で有る事は間違い有りませんが、残念ながら強ち否定できない方策で有ると言えます。
 正直言って日本航空社内には今回の経営改革の障害と成っている「派閥関係」「労使関係」等々昔から住み着いている「癌」が多すぎると言えます。この「癌」は過去に伊藤会長の様に取り除こうとした努力をした人も居ますが、残念ながら内側からは取り除けなかったのが実情で有ると言えます。
 今後日本航空が「スポンサーが付いてその下での再建」を目指すにしても、「多種多様な人々の間接支援を受けて再建」を目指すにしても、この「癌」は取り除かなければ成りません。そうなると内部的努力で取り除けない「癌」は思い切った外科手術による対処で取り除かなければ再生は出来ないと言えます。
 そういう点から考えると、もし「自主再建→銀行管理下での再建」が日本航空社内の「派閥闘争・労使間闘争」で挫折した場合には、思い切った施策・最後の手段として「会社更生法or民事再生法」を用いて債務だけでなく会社その物を労使関係を含めて綺麗に掃除した上で、新たな会社として歩み出す事が必要なのでは無いか?と考えます。
 「自主再建・銀行下での再建」が挫折した場合、強硬な手段では有るとは思いますが「法的整理もやむなし」であると思います。

 ☆ ではどれが一番良いのだろうか?
 正直言って「どれが一番良いのだろう?」と言う問いかけに答えは決まっています。当然「自主再建」が一番良いに決まっています。敢て順番を付ければ「自主再建→銀行管理下での再建→法的整理」と言う事になります。これは一般的事例に当てはめて考えれば当たり前の事になります。
 しかし日本航空の場合、私は必ずしも「自主再建が出来るのか?」と言う事を信じられない状況に有ると思います。前にも述べている様に抱え込んでいる「癌」が余りに深刻で有る以上、外科手術を行い思い切って「癌」を切除して新たな出発を図る事が必要なのでは無いか?と考えざる得ない状況が存在していると考えます。
 赤字体質が長く続き満身創痍になった上に労働組合が複数有り労使関係も最悪でサービスも安全性も大幅に低下して瀕死の状況に成りながら、根本的な解体で直しと言う外科的手術で劇的にサービスも経営状況も改善された例が交通界には存在します。それは国鉄です。実際は国が責任を取る「国営」と法的処理になる「民営」の差は有れども、国鉄末期と現在の日本航空は置かれている経営状況は余りにも似ていると感じるのは私だけでしょうか?
 日本航空の場合抱え込んでいる債務は僅か1.5兆円です。これは国鉄が抱えていた債務に比べれば小さいと言えますし、日本航空が持つその潜在的価値を考えれば、解体をして分割して売却すれば回収できる金額で有ろうと思います。しかし今の「派閥闘争・労使関係」と言う「癌」を持ったままでは誰もそれだけの価値を日本航空に見出すことは出来ないでしょう。
 そうなると旧国鉄が解体→新生JR誕生時に解雇再雇用で過激な組合員を分断し、労使関係の正常化を図り劇的に経営・サービスを改善させた様に、日本航空も法的手段を用いて「新会社設立→解雇再雇用で社内の正常化を図る→新たな環境で出直す」と言う事が、日本航空の為にも日本の航空界の為にも必要な事では無いかと思います。
 又国と法制度と状況が根本的に違えども、アメリカの航空業界は同時多発テロ・SARSショックから経営を立て直す為に、過去とのしがらみを上手く断絶できる「連邦破産法第11章(チャプター11)」をアメリカン航空以外の殆どの大手航空会社が用いて、過去からの負債を切離して再生を果たして居ます。日本航空にもこれ位の「解体的出直し」が必要なのではないでしょうか?
 その様に考えると「日本航空再生のシナリオ」としてベストな方策は、自力で浄化出来ないのであれば残念ながら「法的整理による解体的出直し」では無いかと思います。有る意味今の日本航空の状況は其処まで行ってしまっているのでは無いかと思います。

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 最初に弊サイトで日本航空の経営問題を取り上げたのは約1年半前です。それから日本航空も無為無策で過ごしてきた訳では有りません。経営再建の為に資産売却も進めていますし、見込みは大外れでも大型増資も行いましたし、給与の10%カットも行いました。これだけ見ても普通の企業で見れば人員削減こそ少ない物の、かなりドラスティックなリストラクチャリングが行われている事は否定できません。その点は率直に認めるべきであると思います
 しかしその様な大規模なリストラクチャリングの成果は残念ながら「砂に吸い込まれる様」に何処かへ消えてしまい、本業では再生の兆しが見えて来たと言えども、未だに1.5兆円近い巨額の借金を抱えており、再生計画が未達で新たな再生計画を練り直さなければ成らない様な御粗末な状況になってしまっています。
 この様な「苦しい日本航空の経営」と言うのは昔からの伝統(?)です。1987年の日本航空は民営化していますが、今資料の有る1992年以降の配当の推移を見ると15年間の内配当が行われたのは僅か5回で1株当り3〜4円と言う低い水準です。交通界で近年これだけ無配が続く会社はそう聞きません。この様な状況から日本航空の経営不振は「万年行事化」して居たと言う事が出来ます。

 しかし日本のフラッグキャリアたる航空会社がこれだけ長期間に低迷し、非効率的な経営を続けていると言う事は日本航空・交通界だけでなく日本全体の国益から考えても好ましい話では有りません。これは何とか改善しなければならないと言えます。
 実際日本航空と言う会社は「巨額の債務」「派閥対立」「労使間対立」が無ければそれなりに魅力的な会社であり、全日空との合同による世界に冠たるスーパーキャリア化・JRとの提携で総合交通企業化・貨物航空で海運会社と組んで総合物流企業化等々、考えれば色々な提携策が思いつく訳で、「綺麗になって再生した日本航空」との提携は大きな効果をもたらすと言う事が出来ます。其れこそ「1兆円」と言う金を出しても提携したいと言う会社が国内外から出てきても決して可笑しくは有りません。
 けれどもその様な「日本航空の将来戦略」はあくまで、再生が行われ特に根本的問題である「派閥対立」「労使間対立」と言う「癌」を取り除き、日本航空が綺麗な体に成らなければそれだけの魅力が見えて来ません。その意味でも「日本航空の再建」は待った無しの所まで来て居ると言えます。その中でこの状況の「自覚」が無いのは、当事者の日本航空の経営者と社員だけかもしれません。早く目覚めて欲しい物です。




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