囲碁講座part2

「置き碁」の黒の考え方  PART1
何目か置いて互角でスタ−トしてるにもかかわらず、
いつも負けてしまう。
もう1目増やせば勝てるかというとそうでもない、
そんな経験はありませんか?
これは明らかに「置き碁」に対する考え方が間違ってると思うべきです。
初めに置いた石が働くようにもっていかないといけません。
互い先と同じ感覚で打っていては、
いつまで経っても置き石は減りません。
「置き碁」には「置き碁」独自の打ち方があります。
それを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

上手(白)は黒の石を切り離して局面を細分化し、
細かい碁(ヨセ勝負)にしようとします。
それも、できるだけ形を決めないで含みを持たせます。
この“含み”が気持ち悪くて余計な一手を入れ、
後手を引く下手をよく見かけます。
碁で大事なことは『先手を取る』ことですから、
手を抜く反発心も時には必要です。
白の“利かし”には“利かし返す”ぐらいでないといけません。
私は先手を取るためによく“捨て石”を放ちますが、
皆さんも先手を取る工夫を心掛けてください。

「後手活きは辛い」と前に述べましたが、
そういう形になる前に手を打たないといけません。
極端な話
「後手で活きるぐらいなら死んだ方がマシだ」と思ってください。
人間は死んでは何にもなりませんが、碁は違います。
死んでもまだその残骸が盤上にある内は、
その周辺にいろんなアジやキキが生じて、
取った側はその後の打ち方に制約を受けます。
ですから、取られてもけっして諦めてはいけません。
そして、
取られたことに気が付いた時点でその部分はそれ以上打ってはいけません。
少なくともコウ材は豊富になりますから、
どこかで自らコウを仕掛ける楽しみが出来ます。
それが勝負手です。

皆さんは今、
石を取ることに喜びを感じているかも知れませんが、
少し強くなると石を取ることが気持ち悪いことだと感じるようになります。
私はそれほど負けていないと思ったら、
取れる石でも敢えて取りにいきません(取らないと完全に負けの場合は取りにいきますが)。
後手で活かして他に二手連打できることに満足します。

下手(黒)の打ち方は直線的ですから、
石を取ろうとしてるとか地を囲おうとしてるのが丸わかりです。
追いかければ逃げるに決まっていますし、
囲おうとすれば邪魔をするに決まっています。
石を攻める時は“カラミ攻め”や“モタレ攻め”のように間接的でないといけません。

地は意識的に作るのではなく、
相手の石を攻めながら自然と出来上がるようでないといけません。
よく「大場より急場」といいますが、
皆さんは大所はよく知っているのに急場がわかっていない。
そのためにせっかく作った大模様が跡形もなく消えてしまっている碁をよく見かけます。
そういう意味でこれからは「本気で石を取りにいかない」(取ろう取ろうは取られの元)
「安易に地を囲おうとしない」この二点に気をつけて、
ただイジメにだけ専念してください。

このイジメは実社会では許されないことですが、
碁の世界では大いに許されます。
ですからいじめる側に立たないといけません。
実社会でも碁でもいじめられっ子では
あまりにも哀しすぎます。
碁でいじめっ子になることによって、
日頃のストレス解消にもなることでしょう。
碁でイジメに遭うのは序盤の打ち方が悪いからです。
序盤にカス石のような石を担ぎ出している碁をよく見かけますが、これが後々の打ち方を苦しくしている根元だと気付いてください。
“カス石”と“カナメ石”の見極めも大切です。

それでは個々の置き碁について序盤だけ説明していきます。

〔二子局〕
白が一手目をどこに打とうと、
黒の一手目はアキ隅の星に限ります。
初めの2子の石を結ぶ点はここしか有りません。
天元もそうですが、地にあまくなります。
私(白))は一手目は必ず小目に打ちます(星や高目に打つと黒にアキ隅を占められてしまいます)。
そして黒のカカリを誘い、
先手で切り上げてアキ隅に向かおうとします。
そうなれば自然と細かい碁になります。
黒も一手目を小目に打てば、二間高ガカリをして取り敢えず黒のシマリを防ぎます。
その後黒がどう打っても利かしですから、手を抜いて左下の黒にかかりミニ中国流を狙うというのが白の作戦です。
白が2手目で隅にシマれば黒は右辺三連星で対抗します。
左下にカカれば下辺三連星で、両ガカリには無心にコスミます。
何子局の置き碁でも、
両ガカリにはどちらにもツケないでコスムのが簡明です。
何子局でも置き碁の必勝法は“三連星”に打ち、
石と石を連絡することだと思ってください。
以下の2図は黒の悪い例です(白の術中にはまっています)。

【黒が星に打たないで、いきなりカカった場合】

            (1〜28)

 
           (29〜35)



【黒が星に打たないで、小目に打った場合】

             (1〜16)



            (17〜35)


この後、黒AでもBでも白bはと打ちます。
以上が白の考え方です。

〔三子局〕
白の一手目の小目が下辺を向いていれば、下辺に三連星。
右辺に向いていれば右辺に三連星です。
決して単独でカカってはいけません。
まず自分の土俵を作ることが置き碁の基本です。


                【三子局】


白3でAなら、黒bと挟みます

〔四子局、五子局〕
白は小ゲイマにカカり黒に一間(又はケイマ)に受けさせて、
対角線上の黒にカカって細かい碁にしようとします。
ですから、受けないで右辺又は下辺に三連星です。
五子・七子・九子の天元の石は地を囲う時の足しにするのではなく、戦いに参加させるように打たないといけません。
四隅で起こるであろうシチョウがほとんど黒有利ですから、
隅のキリチガイが恐くありません。
天元に石があれば、黒は隅で強く戦うことが出来ます。


               【四子局】



〔六子局、七子局〕
既に二カ所に三連星が出来ていますので、
白のカカリには手を抜いて下辺三連星の一手です。
白の両ガカリにはコスミでもいいですが、
六子以上の場合はそれにも手を抜いて天元または右下三々でもいいくらいです。
一隅捨てるつもりになれば気が楽に打てる筈です。
しかも、封鎖されても隅の黒はまだ死んでいないというのが強味です。
ですから、白は両ガカリすると大勢に遅れますから両ガカリするとは限りません。
両方三連星の右下にカカってきたら、
コスミ付けて白を重く(2目に)し、簡単にサバかせないよう強引に攻めます。
この場合も単にイジめるだけで、
取る気などサラサラ無いという気持ちが大切です。


                【六子局】



〔八子局、九子局〕
白一手目の左上のカカリには手を抜きます。
黒は一番遠い右下三々と打ち、
右上と左下を見合いにします。
両ガカリにも手を抜いて右上(又は左下)三々と打ちます。
三々を打ち終えたら天元です。
あとはせっせと辺の星下に“鉄柱”です。


                【九子局】



このように下手(黒)の打ち方は奇しくも“三連星”ばかりになりましたが、何のことはない碁盤の星印の点に打っているにすぎません。
この碁盤の九つの星印は、
神様が(或いは昔の人が)「ここに打ちなさい」と言っているのかも知れません。
「ヒカルの碁」の“神の一手”とは、
単に星に打つことだったかも(^o^)。

何れにしても、
コウや両ガカリを恐れていては碁は打てません。
コウは上手(白)も同じように怖がっているということを肝に銘じてください。
私のアドバイスを実践して弱くなったと言われても、
それは後の打ち方が悪いだけで私のせいではありません。
私の経験上、「上達前」は一旦弱くなるな気がします。

中盤以降の戦い方はプロの棋譜を見ることをお奨めします。
ただ棋譜を眺めているだけで「筋と形」が自然と身につきます。
今は昔と違って、
本を読まなくてもパソコンソフトで自動鑑賞できます。
私のお薦めは「碁ワ−ルド」です(普及版ではありません)。
この中には360局の名局がありますから、
「一日一局」で一年間は楽しめます。
そしてその中の【対戦型問題集】は最強に応じてきますから、自然と力もつきます。
当時非常に高価なソフトでしたが、
今ではネットで安く売っていると思います。
ぜひ探してみてください。

置き碁でも互い先でも、
真剣に打ってくれる相手と気持ちよく打つのがベストです。
そういう相手を一人でも多くネット碁で見つけてください。
白地と黒地が同じ場合、目の錯覚で白地が大きく見えます。
ですから、むやみにヤキモチを焼くのはやめましょう。
いくら実生活でヤキモチ焼きでも、
せめて碁の世界だけはヤキモチを焼かせる側に立ちたいものです(^o^)。

では、皆さんのご健闘を祈ります。
「置き碁」の黒の考え方  PART2
「置き碁」の必勝法は
序盤に自分の石を連絡することだと言いましたが、
もっと言えばスケ−ルの大きな布陣を組むことです。
大風呂敷を敷くことです。
これは単なる模様で地ではありませんが、
ほっておいたら本当に地になってしまうので、白も打ち込んできます。
その時が黒のチャンスです。
白を強引に攻めますが、
これは取るためではなく地を作るためにです。
ですから、自分の地の方に追いやってはいけません。
攻めながら自然に取れたのならいいですが、
無理やり取りに行くのは寝た子を起こすようなものです(やぶ蛇になる場合がほとんどです)。

例えば九局、
これだけで既に大模様ですから戦わずして勝てそうです。
白は普通に打ったんでは勝てませんから、
何かとイチャモンをつけてきます。
その時まともに応じていては手にされる可能性大ですから、ヒラリヒラリとかわします(牛若丸のように)。
そう、白の振り上げた拳の持っていき場所が無いようにすることです。
一カ所や二カ所石が死んでもまだ負けていないのが九子局の強みですから、気持ちに余裕を持って臨むことです。

何目の置き碁でも序盤に黒がリ−ドしているのは当然として、問題は中盤以降です。
「このまま黒地では白は全然足りない」という局面があるとします。
そこで白は打ち込んできますが、
これは勝負手というより悪あがきの場合がほとんどです。
無理手は咎めないといけませんが、
悲しいことに黒にはそれを咎めるだけの力がありません。
石が込み入ってくるとなかなか読めるものではありません。
白だって読めてるわけではありませんが、
ダメ元のつもりですから白は気が楽です。
黒の方は白に活きられては逆転負けになるから必死です。
実はこの気持ちの差で、
戦う前から負けていると言っていいでしょう。
白の力を魔力と感じたり、泥沼にはまるのはそのためです。

黒の土俵の中ですから、
急所急所と強くいけば決して取れない石ではありません。
今黒が打とうとしている手は
白の予想の中に入っていますので、
その隣の手も考えに入れてみましょう(俗筋と手筋は隣り合わせの場合がほとんどです)。
碁に限らず勝負事は
「気持ち」の占める割合が大きいですから、
まず「気持ち」で負けないようにしましょう。

松本清張の作品に「腹中の敵」(武将の話)、
「弱気の虫」(普通のサラリ−マンの話)というのがあります。
本当の敵は今打ってる相手ではなく、
己の腹の中の弱気の虫なのかも知れませんね。
戦わずして負けるよりは、
ボコボコにやられる方が次につながります。
だから怯まずチャレンジ精神で立ち向かってください。

負けた石数を気にする人がよくいますが、意味ありません。
1目負けも百目負けも同じです。
小差の負けで満足してはいけません。
単に、上手が勝ってる時に無理をしなかっただけですから。

私たちアマに共通して言えることは、
考え方(視野)が狭いから部分にこだわるんだと思います。
これからはほんのちょっと角度を変えて
盤面全体を見るクセをつけましょう。
そうすればきっと妙手が見つかることでしょう
(岡目八目で、他人が打ってる碁はよくわかるように)。

一局の碁はその長い道のりからよくマラソンに例えられますが、「置き碁」は競馬に例えることができると思います(私は競馬はしませんが)。
黒は“先行逃げ切り馬”で白は完全な“追い込み馬”です。
“先行馬”は並ばれたらもうその時点でオワです、
二度と差し返すことはできません。
黒も白に追いつかれたら
ヨセでひっくり返すのは不可能です。
ですから、
追いつかれないよう始めから飛ばして“大逃げ”しないといけません。
「白の猛追撃もわずかに及ばず」が理想的な勝ち方です。
でも、
あまり飛ばしすぎて途中で落馬(ポカ)しないように(^o^)。

では皆さんのご健闘を祈ります。
打ってみました   パート1
九段相手に、私が4子で実際に打ってみました。
両ガカリに手抜きで、上辺と左辺に三連星の作戦です。
後に白から左下三々に入られる事を思えば、
黒52ではC−16のほうが良かった。
76手まで、以下略(黒10目半勝ち)。
打ってみました    パート2
黒2は上辺の三連星が正しい(白1から出来るだけ遠くが)。
ものすごい攻め合いになりましたが、
白95の3目アタリの時スグつないだのが敗着でした。
この瞬間に、
白25の左にキリを入れて様子を見るところです。
J−13とかかえてくれれば、それからツギます。
3目抜きなら、黒J−13と横にノビます。
95手まで、以下略(白中押し勝ち)。
打ってみました    パート3
白一手目のカカリに普通に受けるとどうなるか、やってみました。
白5に対して黒8ではなく、黒6のツキアタリが肝要。
白7と立たせて白石を重くさせます。
白5だけの1子だと捨てやすいが、
2子だと捨てにくくなっています。
それにしても黒22〜34までは、
利かされまくりヒドかった。
黒22ではもっと大場に行くべきでした。
少なくとも白33の所は黒の権利の所。
右辺下分かり難いですが、
白55が2の上にツケ、黒56(66の所)と上ハネに白がキリチガった形です。
ポンポンと打ち抜いたのも気持ちいいですが、
その前に黒69(又はその左)に打つべきでした。
白がもがいてくれると、
中の黒は自然と形が整うという寸法です。
黒70手まで、以下略(黒中押し勝ち)。


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