九条科学者の会 発足一周年記念の集い 報告

                 事務局 中須賀徳行

九条科学者の会 発足一周年記念の集いに132名

 「九条の会」のアピールを広げる科学者・研究者の会(略称=九条科学者の会)の発足一周年記念の集いが去る3月12日午後に東京の日本大学で開かれ、憲法「九条の会」アピールに賛同する愛知・大学人ネットワークにも報告の依頼がありましたので、事務局を代表して行ってきました。意義深い集いでしたが、大学人の間で地域ネットワークを作っているのは今のところ他にあまり例がなく、愛知の経験は大変参考になると複数の方々が口にされたのには驚くとともに、うれしいことでもありました(132名が参加)。 
  1. 開会と事務局報告
     総合司会を若い男女の大学院生が務め、開会の挨拶を小田中聡樹専修大学教授がされたが、国民投票法案を阻止することが大きな課題であることなど3点を訴えられた。ついで片平冽彦事務局長から、賛同者が現在1573人に達したが、1万人を目指していきたいなどの報告があった。

  2. 記念講演 「憲法を守る運動の到達点と今後の課題」 小森陽一「九条の会」事務局長・東大教授
     自民党は11月に「新憲法草案」を出したが、公明党・民主党に配慮しすぎたので、「集団的自衛権」や「愛国心」などを入れた「自民党らしい」第2次草案を作ると船田元氏が2月15日に表明した。第12・13条で「公の秩序」をうたっているが、これは国民の主権を奪い、国家に対する義務と責務を強化するもので、「草案」は改正ではなく(為政者による)クーデタである。
     国連憲章第2条には「武力による威嚇又は武力の行使を...慎まなければならない」という腰の引けた表現があるが、それはこの憲章が1945年6月、つまり原爆投下以前に成立したからで、核兵器の存在という新たな条件のもとで生まれたのが日本国憲法第9条である。まさしく第9条は国連憲章の不備を補うものであり、「血であがなった憲法」(品川正治経済同友会元副代表幹事『経済』)といわれる所以である。
     米国はおよそ200の戦争を仕掛けてきたが、朝鮮・ベトナム・アフガンなどそれらはすべて「自衛」の名の下に行われたきた。Warとは「自衛のための戦い」を意味し、米国民にとって心地よく聞こえる言葉であって、大統領令のみで行うことのできるものなのである(War on Terror など)。
     アジアにはかつて米国に追随する国が多数存在したが、韓国も民主化して今や残っているのは日本だけである。中国とロシアを軍事的に押さえるには、日米安保条約を強化するしか手は残っていない。そうした意味においても、第9条を守りきることの世界史的な意義は大きい。

  3. 各地の運動の報告・交流
    • 神戸女学院大学九条の会(石川康宏氏報告)
       昨年2月に学生2名がHPで立ち上げた。韓国・ナヌムの家の訪問などの活動とも絡むが、11月の映画「ベアテの贈りもの」上映(650人、うち学生400人)活動と連携して行った。学生の方が教官に個別に当たって呼びかける活動が効を奏した。
    • 宮城・研究者「九条の会」
       昨年12月11日に発足集会を開き、広中俊雄(東北大名誉教授)の「戦争放棄の思想−憲法九条を考える視点」という講演が感銘を与えた。なお、報告者は別に「スポーツ九条の会」を全国と宮城で立ち上げたとのことである。
    • 憲法「九条の会」アピールに賛同する愛知・大学人ネットワーク
       愛知での経緯と現状を報告(7分、別掲)。
      核兵器廃絶を求める数学者の懇談会 全国の数学者が学会やウェブを通じて平和を求める活動をしてきた歴史や現状について報告した。昨年11月の「憲法9条を戦争のない21世紀へのかけ橋に」というアピールには、431名が署名した。
    • 「九条の会」アピールに賛同する東大生の会
       一昨年11月から連続学習会を開いており、現在までに13回、常時10〜15名ほどが参加している。伊藤真氏(伊藤塾)や樋口陽一氏などを招いている。

  4. その他
     口頭報告は以上であったが、資料集にはその他3地域(筑波研究学園都市研究所・大学関係九条の会、九条科学者の会・かながわ、科学者九条の会)、13大学(九条の会・北大、室蘭工業大学九条の会、弘前大学九条の会、「九条の会@群馬」を立ち上げる学生の会、茨城大学「九条の会」、早大九条の会 ’article 9’、中央大学・9条の会、中央大学教員9条の会、九条の会・岐阜大ネット、憲法「九条の会」アピール賛同をすすめる名古屋大学有志の会、阪大・9条の会、大阪市大・九条の会、経大九条の会(憲法九条を護る大阪経済大学教職員の会))からの報告が載っていた。

  5. 行動提起 (米田貢事務局次長・中央大学教授)
     「九条の会」アピールをさらに大きく広げようという提起などがあった。

 このあと、浜林正夫・一橋大学名誉教授から閉会の挨拶があり、会を閉じたあと記者会見が開かれた。また交流懇親会も向かいの中央大学のレストランで開かれ、口頭報告から漏れた参加者などが発言したが、河合利秀氏も名大の状況を平和憲章の歴史も含めて報告した。