はじめに

今回は昔ポータブル・ラジオに使われていた電池管と不要になったCD、そして100円ショップで見つけたブックエンドを使って小出力のアンプを作ってみました。名付けてブックエンド・アンプ。ハイエンド・アンプに迫ろうなどという大それた気持ちはありませんが、ローコスト、ロー パワーだからといって、音質までローエンド・アンプにならないようしっかり基礎実験をしてから製作に挑むことにします。
私の場合、朝から晩まで音楽を流しながら仕事をする関係上、今回製作するアンプのコンセプトを次のように決めました。
(1)長時間(1日10時間〜12時間連続)小部屋(4畳半程度)でアンプを付けっ放しにしても発熱量が少ないこと。
(2)昼間でも普通に音楽が聴けること。スピーカーに耳をあてて、やっと聞こえるようではNG。あくまで実用的であること。
(3)回路は出来る限りシンプルにすること。
ただし、音はいいこと。(シンプルで、しかもいい音をだすのはちょっと難しいかな?)
)大きさは出来るだけ場所をとらない小型にすること。
出来れば自分だけのユニークなデザインにすること。
今まで小出力のアンプを幾つか作ってきましたが、夏場クーラーのない私の部屋では真空管といえどもその発熱量は結構なものです。(逆に冬場はいいですけどね、暖房代わりになって。)

また、今まで作ってきたアンプのB電源電圧は、偶然にも200Vクラスから100Vクラスに下がってきています。そういうこともあって今回はB電源電圧100V以下でやってみることにします。

以上のような経緯から今回は電池管を使ってCOOLなヤツを作ってみることにします。 英語で "It’s cool!" と言うと、「おー、カッコいい!」という意味だそうです。そう、今回は「熱くならず冷静で、そしてカッコいいアンプ」を作ってみることにします。


予備実験

 
まずは昔、実際ポータブル・ラジオに使われていたFig.1の回路でいろいろ実験を やってみることにします。(100KΩのボリュームは、オリジナル回路では1MΩ)

 

Fig.1の回路では、バイアスにグリッドリーク方式を使っています。また初段管の負荷抵抗も1MΩという大きな値になってい るのが目立ちま

予備実験では、ブレッドボードの代わりに辛子明太子の空き箱を使ってみました。言わばブックエンド・アンプの生みの親、メンタイ・アンプです。

早々にメンタイ・アンプを組み上げ、「明太子のようにいい味を出してくれよ!」と願いつつCDをつなげてみると・・う〜ん、 やはりラジオの音というか、CDを聞くのにはちょっと改良が必要な感じです。


数日間真空管のデータと格闘しているとその中に下図のような1U5の三結データがあることに気が付きました。今回のアンプ ではそれ程パワーも必要ないし、とりあえず三結も実験してみることにしました。下のグラフによるとバイアス電圧がゼロボルトでも何とか使えそうな感じがします。出来れば 少しマイナス方向に設定したいところです。まあ、グリッドにも多少電流が流れますから、グリッド抵抗で調整してみることにします。

1U5の三結時の内部抵抗はグラフから凡そ20KΩと読み取れます。そこで負荷抵抗としておよそ3倍の60KΩロードラインを引いてみます。

1U5データシート

ついでに出力管3V4の方も三結でやってみることにします。しかし、残念なことに3V4の三結データが見つかりません。実際にデータを測定するのはちょっと大変なので( これは次回のプロジェクトにします。)、同じポータブル・ラジオの出力管S4の三結データがありましたので、これを参考にします。Ep=60V 〜70VでIp=8mA〜10mAを流すためには、だいたい-5V前後のバイアス電圧が必要であることが読み取れます。

3S4データシート

数週間、いろいろ実験と測定を重ねた結果、最終的にFig.2のような回路になりました。Fig.1の時と比べて重厚な音になったのが聴感上 もはっきりと分かります。そこで、この回路をベースにしてブックエンド・アンプの製作に入ることにします。

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