スイッチングACアダプタ利用 DC12Vで動作する

 

 


はじめに

アメリカで1940年代後半から1950年代前半に生産された自動車用ラジオ のうち、6.3VのmT管を使ったものは、だいたいがRF(6BA6)−CONV(6BE6)−IF(6BA6)−DET&AF(6AV6/6AT6)出力管としては6AR5または6AQ5のシングルかプッシュプルの構成になっていました。当然B+電源は220V〜230V をバイブレーターにトランスと整流管を使って供給していた訳です。ところが、1950年代 の後半になってトランジスタが出現すると、これらの真空管に代わってプレート電圧が12Vで動作するハイブリッド ・オリエンテッドな真空管が開発され使用されました

今回のアンプでは、そのプレート電圧が12V程度動作する真空管の中からスペース・チャージ4極管(空間電荷格子4極管)として有名な12K5を使ってみ ました。

この球はその当時、低周波出力段(=パワートランジスター)の前段、つまりドライバー用として開発・使用されていました。

まあ、華々しくデビューしたトランジスター嬢の傍で文句も言わずに脇役を演じていた訳です。(普通、真空管は文句 を言いませんが、たまに設計を誤ると真っ赤になって怒ることがあります。

そんなこともあって、今回は12K5君にリベンジで主役を演じてもらうことになりました。(本当かな〜?)

左下の写真は、プレート電圧が12Vで動作する真空管を使った自動車用ラジオの一例です。真空管の外観は、普通の5球スーパーに使われていたものと殆ど変わりません。右下の写真は、左側が今回主役の12K5。そして、その右側35C5 です。二人の間に特別な関係はありません。(当り前ですね)単に背の高さが同じなので友情出演してもらいました。Hi

さて、いつものように、今回製作するアンプも次のような実験目的とコンセプトを決めました。
(1)出力トランスの代わりに(手持ちの出力トランスが底をついたので)ヒータートランスを使ってどの程度の音が出るか確認してみる。
(2)初段管としては、12V動作管ではなく普通の双3極管、12AU7等で実験してみる。
(3)いつものように、回路は出来るだけシンプルにすること。
(4)しかし、出来るだけいい音を出すこと。(出来るだけ歪の少ない音が出るように努力すること。)
(5)日常生活で使えるアンプを作ること。つまり実用性があること。

予備実験

 
SYLVANIAの真空管データによると、12K5の動作例としてEp=12.6V、Eg2(Contorol Grid)=−2V、Eg1(Space−charge Grid)=12.6V、Rp=800Ω、Ip=8mA、Ig1=85mA、Power=35mWとあります。そこで、取り合えず12K5のカソード抵抗として手持ち部品 の中から22Ωを使ってみることにします。12AU7Aの方は、今回供給するプレート電圧が10V〜12Vのため真空管の特性図から負荷抵抗やカソードバイアス 用の抵抗値を割り出すのはちょっと無理があります。そこでまずは、えぃーやーでFig.1の回路で実験してみることにします。また今回は出力トランスの買い置きが全く無くなってしまったため、手持ちの117V/12.6Vのヒータートランスで代用することにしました。

Fig.1の回路をブレッド・ボードに組み上げて試聴してみると、何と音質的にそこそこの音が出て来ました。勿論、最高の状態ではない と思いますが 結構まともな音が出てきたので、ちょっとビックリです。

測定結果は次の通りです。

入出力特性:700mV/12.8mW(MAX)
周波数特性:29Hz−10KHz(−3dB) at 8Ω 0.1V
ダンピング・ファクター:0.6 (1KHz 8Ω ON−OFF法)

 

 

 

最終的にこのラインナップにするかどうかは別として、折角ですからFig.1の定数を追い込んでみることにします。低周波発信器から1KHzの正弦波をアンプに入れながら、初段管12AU7Aのカソードとプレートにそれぞれ10KΩと250KΩのボリュームを入れて最良点を探ることにします。同様に12K5のカソードには100Ωのボリュームを入れてチェックしてみることにします。

実験の結果、初段管のカソード抵抗を2.2KΩ、そしてプレート抵抗を8.2KΩに した時が一番いい結果が得られました。 初段管のカソードには抵抗とパラにコンデンサーを入れた実験も行ってみましたが、この回路では多少利得を犠牲にしてもバイパス・コンデンサーを入れない方が歪が少なかったです。それから初段管を12AU7Aから5963に代えました。これは5963の方が12AU7Aよりも若干内部抵抗が低い (でもμは少し高い)分、聴感上安定感があったためです。名前も5963(ご苦労さん)とゴロがいいのも気に入りました。12K5の方は、プレート電流を10mA〜30mAの範囲で変え てみましたが、実際に音楽を聴く分にはそれ程大きな違いがなかったので現状のまま22Ωとしました。

これでだいたい回路の方も決まりましたので、次にアンプの製作に取り掛かることにします。

 

 

 

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