デスティニーガンダム

 

ガンダム史上において、作品タイトルの名を冠した主人公機の中で、デスティニーガンダム程不遇な扱いを受けた機体はない。

 

デスティニーガンダムの存在が初めて明らかとなったのは、第2期のオープニングである。

前作の新型主役機・フリーダム同様に、第2期のOPで早くも顔見せといったところであろう。

しかし、全身にシルエットがかけられていて、その姿はわからない。それだけに、「一体どんな姿なんだろう?」と期待が高まった。

 

そして、第2期の途中。プラモのCMでデスティニーガンダムの名前や姿が遂に解禁された。

発売は随分先なのに、こんなに早く宣伝するとは、バンダイ側もきっと『新たな主役機』を売る気満々だったのだろう。第3期に大活躍してくれるであろう新型主役機を。

ところが、このときネット上では、解禁されたこのデスティニーガンダムが非常に評判が悪かった。

「デザインがダサい」「配色が変」等、様々な批判が見られた。

頭部のデザインも、これまでのヒーロー機とは異なる、禍々しい雰囲気であった。

 

そして第2期が終わり、第3期に突入する。第2期の終盤は、前作の主役機・フリーダムが大暴れしていた。今作の新型MS達もあっという間フリーダムにやられてしまった。

今作の主役のシン・アスカのインパルスガンダムも例外ではなかった。

あっけに取られている間に腕を切られ、やられてしまったのだ。

まさに最悪の展開である。

完全にフリーダムの独壇場であった。だが第3期ではそんな地獄のような展開からようやく脱出される。そう信じていた。

「第3期のOPからは、前作同様、タイトルバックのガンダムが新型に変わるに違いない。フリーダムによる蹂躙に耐えたシンの、新たなMSデスティニーがタイトルバックを飾るのだ。デスティニーガンダムがきっとこの地獄を救ってくれる」と。

新OPのタイトルバックを飾るのは、『DESTINY』の作品タイトルの名までつけられているこのガンダムに違いないと確信していた。

 

そしていよいよ始まった第3期OP。

タイトルバックの直前。見なれないガンダムが、なんとザフトのMSを撃破しまくっている。そしてそのままタイトルバックを飾る、見なれないガンダム。

しかし、それはデスティニーガンダムではなかった。

あの、第2期終盤に今作を散々に踏みにじったあのフリーダムの新型・ストライクフリーダムガンダムであった。

あまりのショックに、新たな展開を予想させるようなカットや、新型MSのカットなど、全然頭に入ってこなかった。

堕とされた主人公機と同じ名前のタイトル、『DESTINY』のロゴが虚しく輝く…。

 

第3期のOPのデスティニーの登場シーンはというと…。第2期のOPのシルエットを外しただけの飛行シーン、シン&ステラの裸カットの背景、最後のストライクフリーダムとの対決シーンのわずか3つである。しかも後に挙げた2つは静止画であるし、ストライクフリーダムにも似たようなカットがある。

ミネルバ組のMSが登場するシーンにおいても、以前までのOPの使い回しで、インパルスのままである。

 

対するストライクフリーダム(以下ストフリと略)はというと、タイトルバック直前に派手なアクションシーンがあり、そのままタイトルバックを飾る。キラ&ラクスの裸カットの背景。完全に静止画であったデスティニーとは違い、少しだけ動きがある。そした最後の方にとってつけたような発進シーンと、最後のデスティニーVSストフリのカット。

カットの数等を見てみると、デスティニーとストフリ、制作者の両者に対する気合いの入れ方の差など、一目瞭然である。

ついでに、最後の対決カット。ストフリは片手持ちで、通常のビームサーベルで攻撃しているのに対し、デスティニーは両手持ちの大剣で攻撃している。力関係においても、なんだかかなり嫌な予感がした。

 

タイトルバック関連でもう少し述べてみる。

第3期のOPのタイトルバックを、前作主人公のキラのMSが飾った事に対し、このことについて触れた各雑誌には、「物語後半の主役とも言える存在となった」など書かれていた。前作主人公のキラやストフリに対し、『タイトルバックになったことにより、見事に主役へと返り咲いた猛者』というような見方をし、讃えていた。

それによって、ドン底へと突き落とされてしまった、『本当の主人公』がいるということも知らずに…。

また、講談社の「コミックボンボン」においても、インパルスガンダムに続いて表紙に現れたのはストフリで、デスティニーが表紙に描かれた事は一度もない。

 

デスティニーガンダムが本編で登場したのは第3期の終盤である(それなのに何故第3期に全く登場しないストフリがタイトルバックを飾ったのだろう?)

主人公シンの新型MSデスティニー。その初登場及び初戦は、あまりにも醜いものであった。

 

脱走した二人…前作からの人気キャラであり、脚本家の両澤千晶氏の寵愛を受けているアスランと、これより前の回での大胆な行動力から一躍人気が急上昇した、か弱い女性キャラのメイリンを、レイのレジェンドと共に追跡するというものであった。

新型より性能の劣る、一機のグフに乗る二人を、新型2機が、暗黒の雷雨の中、追撃してくるのである。

どう考えても『主人公のデビュー戦』とは思えない。

前作のフリーダムの華々しいデビュー戦などとは大違いである。

 

さらに、相方のレジェンドも初戦なので、デスティニーの独壇場ではなかった。レジェンドもいる分、どうしてもデスティニーが薄れてしまった。

新型二機対旧型一機。どう見ても卑怯である。主人公なのに…。

端から見れば、明らかに主人公・デスティニーが悪役である。

おまけに、二体のガンダムの外見もなんだか物騒であり、追撃されているのは人気キャラだ。

 

新たな主人公機デスティニーのデビュー戦の戦果はというと…。シンに心の迷いがあったため、いきなりビームライフルを破壊される。かなり情けない。

そしてシンが種割れした後は、グフのロッドを砕き、インパルスVSフリーダムの時同様に、大剣で突撃し、コックピットを貫くというこれまた悪役にしか見えないような技でグフを落とした。

 

この『新主人公機のデビュー戦』は、主人公の独壇場でもなければ、主人公っぽくもない。むしろ完全に悪役扱いにされてしまったという、最悪の結末で幕を閉じた。

あと、武装もいくつかしか披露されてなかった。

シンをひいきに見ている僕の目からも、この時のデスティニーは悪役にしか見えなかった。

 

そういえばこの間に、第4期に突入している。

第3期のOPの映像を初めて見た時以来ずっと、「はやく第4期になれ〜」と思っていたものだった。理由は一つ。ストフリのタイトルバックが嫌だったからである。

第4期、即ちこの作品の閉めの章のタイトルバックこそ、作品の名を冠するデスティニーガンダムであるハズだ。だから第4期こそデスティニーガンダムに変わってくれる。そう淡い期待を抱いていた。

そして第4期OPが始まった。

いきなりキラとアスランのアップ、その後ろではミーティアを付けた因縁の相手・ストフリとインフィニットジャスティス、そしてエターナルが飛んでいる。

いきなり旧キャラ側のカットである。

そして次に…。いよいよシンが登場!宇宙背景に飛翔するシン、そしてデスティニーガンダムへ。

ブァッと羽を広げ、更に飛翔!羽が舞い散る。

このままデスティニーガンダムがタイトルバックに突入か…!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞い散る羽の中からストフリが登場。前回と全く同じのタイトルバック。

 

まるで、ニュース速報の時にこのアニメが急にプツ切りになった時のような感じだった。

もはや何も言えん。最後になっても、『作品のタイトルの名を持つ主人公機』は、そのタイトルバックを飾る事が出来なかった。

デスティニーガンダムの登場カットはどんなものだろうか。

まず初めに上でも述べた飛翔カット。シン及びデスティニーガンダムファンを騙すためのフェイントとしか思えない。「シンが主人公!…と見せかけておいて、真の主人公はキラで〜す」という福田監督のメッセージが込められている感じがする。

毎度お馴染みのキャラ&MSのカットにも登場、シン&デスティニー。別に最後を占める訳でもなし(ちなみに最後に映るのはラクス&ミーティア。なんじゃそりゃ)

しかも映っている映像は、よりによって一番地味なビームブーメランの映像である。

後にキラやアスランやカガリのMS、そしてカガリがネオに変えられたり、レジェンドのモーションも変わったりしたが、デスティニーはずっとこのビームブーメランのモーションのままである。あんまりだ。

前回からある飛行シーンや裸カットの背景にもそのまま登場。キャラが変わっていたりはするが。

 

そしてラストのカット。『DESTINY』OPの最後のカットである。

その映像は…。真ん中にキラ。そしてその横にアスランとシン。

MSもストライクフリーダム真ん中。その両側にインフィニットジャスティスとデスティニーがいるという有り様。

 

もう完全に『主人公』の地位を奪われてしまった。改めてそう思いざるを得ない構図である。

しかもこのカット。他のMSはこっちの方を向いているのに、デスティニーだけは何故か左の方、ストフリの方を見ている。『完全に主人公へと返り咲いたストフリを、うらやましそうに見ている、偽りだった主人公・デスティニー』みたいな感じにさえ見えてしまう。

さらに、何故かこの後しばらくしてから、真ん中のストフリの関節の金色の光が強い風に書き直されている。右隅にいるデスティニーガンダムはそのままなのに。

 

第4期に入って間もなく、デスティニーガンダム二度目の出撃が訪れる。

今度の敵は、一機で街を崩壊させ、フリーダムやインパルスも圧倒したあのデストロイガンダム。しかも五機である。

圧倒的な強さを誇っていたデストロイを、それも複数倒す。しかも街を破壊したりした極悪なガンダムである。

ヒーローとして、これはこの上ないくらいおいしい活躍の場だ。

実質上これがデビュー戦だ。そう思っていたが……。

 

ここでも、福田監督の「キラが主人公。シンは脇役」という理念に基づく『福田マジック』の発動となる。

デスティニーガンダムの戦闘シーン。数少ない活躍シーン…

それすらも福田監督は許さなかったのだ。

デスティニーはじめとするミネルバ側の戦闘シーンの間に、何回も旧キャラサイドの、キラとアスランの会話が入って来るのである。

しかも話は少しずつ少しずつ進められていき、ミネルバ側のシーンに戻ったかと思うと、またキラとアスラン。そして、また戦闘シーンかと思えばすぐにキラとアスラン。あんまりだ。

キラやアスランの会話なんていつでもできるだろ!

こんな『いつでもできる』もののために、折角のデスティニーの数少ない活躍は途切れ途切れにしか映されなかったのだ。福田監督は鬼だ。

デスティニーは戦いに勝利したが、ハッキリ言って全然そんな実感は湧いてこなかった。キラやアススランのウザの方がよっぽど目立った。

 

そして、いよいよ『ヤツ』の…ストライクフリーダムのデビュー戦もやって来た。

まず、この回のタイトルは「天空のキラ」。見てのとおりパイロットであるのキラの名前がタイトルについている。デスティニーの時は、シンの名前はおろか、デスティニーのデビューと何の関係も無いタイトルだったのに。

あと、デスティニーは初出撃もその回のメインですらなかった。だが、コイツの場合は、思いっきりメインである。

 

出撃シーンにおいても、福田監督の両者に対する愛の注ぎ方の差が浮き彫りとなる。

暗黒の雨風の中、レジェンドと共に「裏切り者」を追跡するというデビューを飾ったデスティニー。それに対しストフリは、ザフト軍の攻撃を浴び、ピンチのエターナルを、ラクスを救うために出撃。まさにヒーローそのものである。

しかもその際、キラには前作から専用の挿入歌『Meteor』があるにも関わらず(ちなみにこの歌は『DESTINY』でもフリーダムが登場する時に使われていた)、新曲の『Vestige』をバックに出撃している。

正直カッコ良すぎてうらやましい。

前作から挿入歌があるキラには新たな挿入歌が作られるのに、『今作の主人公』のシンには専用の挿入歌など無い。

 

戦績はどうだろうか。

デスティニーは、グフ一体をレジェンドと共に撃墜。その際ビームライフルが破壊されている。

一方ストフリは…。一機だけで数体のザクとグフを、しかも一瞬で片付けた。

グフの鞭で足を掴まれていたが、ダメージはなかった。

いくら何でも扱いの差がありすぎだろ。これは。

 

デスティニーガンダムが次に出撃したのはオーブ戦である。オーブ軍のMSを撃破していき、カガリの新型MS・アカツキと遭遇する。

アカツキとデスティニーの対決!ビームを跳ね返す、アカツキの装甲に苦戦するも、デスティニーが有利!

さあ、アカツキが体勢を崩し、いよいよとどめだ!

と思ったとときにやって来た。『ヤツら』が…。

「侵略者に追い詰められ、絶体絶命のピンチの姫様を救うためにやってきた正義のヒーロー」と言わんばかりに、空から舞い降りて来た、ストフリとインフィニットジャスティス。当然、挿入歌「vestige」まで流れている。

 

そして、遂に対決するデスティニーとストフリ!!

 

 

この頃のガンダムや『DESTINY』のグッズ等では、『デスティニーVSストフリ』の対決をプッシュしていた。

プラモの1/100シリーズにはそれぞれのガンダムに初回限定で、対決を再現する台座が付けられていた。プラモのCMでもシン視点版とキラ視点版で、この対決を全面に出していた。

 

宿命の対決。新旧主人公の新型同士の対決。『DESTINY』後半の盛り上げとなるべき対決。

だが、そこに待っていたのは、あってはならない悪夢だった。

 

デスティニーの外付けのビーム砲の威力が、ストフリの腹に付いているビームと互角の威力であった。

だが、気を取り直して接近戦。必殺技ともいうべき、大剣「アロンダイト」による攻撃!光の翼を展開し、残像を残しながら突撃する!

しかし、ここでキラが種割れし、ビームシールドを利用した白羽取りで受け止められてしまう。

さらにこの際、ストフリの腰のレールガンの砲撃を喰らい、シンが「これがビーム(ストフリの腹の大砲)だったらもう終わりだったとでも言いたいのか!」なんて情けない台詞まで吐かされる始末だ。

この後シンも種割れ。お約束のビームライフルの打ち合い。ストフリはかわすかわすかわす。

そんな中、更に絶望的な性能差が明らかとなる。

デスティニーガンダムが燃料切れ…。

ハッキリ言ってこれは致命的すぎる。ストフリはおろか、旧フリーダムでさえ、核動力によりエネルギー切れなんてものは気にせずに戦えるのだ。なのにデスティニーは、燃料切れ…。

ちなみにデスティニーのエネルギー源は、『ハイパーデュートリオン』という、 従来型デュートリオンと核動力のハイブリットである。半分はフリーダムやストフリ達と同じ、無尽蔵な核動力だが、もう半分は従来型デュートリオンだから…なのだろうか?

燃料切れなんてものがあるデスティニーが、それのないストフリに勝つなど、とうてい不可能だと思われる。

この「燃料切れを起こすハイパーデュートリオン」というのも「福田マジック」だろう。デスティニーを意地でも最強にさせず、ストフリを最強にさせるための。

 

この後、燃料補給も兼ねてデスティニー帰還。またしてもレジェンドと共に出撃し、ストフリを迎え撃つ。

2体だとそれなりにいい勝負をする。完全にレジェンドと2体で1つだ。デスティニーは主人公なのに。プラモ等ではストフリとの1対1の対決が前面に出されているのに。

 

ストフリへのリベンジ。デスティニーガンダムの特権である、掌ビーム砲(?)「パルマフィオキーナ」を遂にストフリに打つ!しかし、当たる前にストフリに蹴り飛ばされてしまう…。

 

デスティニーの主な武器全てが、ライバル機ストフリに対して通用しなかった。

しかもストフリはまだ、スーパードラグーンという武器を残している。

 

レジェンドがストフリを攻撃し、ストフリが体勢を崩す。そこへデスティニーが攻撃に入る!と思いきや、またしても乱入される!!

アスランの乗るインフィニットジャスティスの乱入だ。流石にコイツには専用のテータ曲は無かったが、出撃のシーンはデスティニーのそれよりも絶対にカッコ良かった。

さて、このジャスティスに乗っているのは、前回のデスティニーとの戦いで重症を負ったアスランである。

こんな時に限ってアスランが『DESTINY』で初の種割れ。半死人の操縦するジャスティスに腕を切られ、負けてしまった。

 

そりゃあ、インフィニットジャスティスは、何故かストフリやデスティニーよりもHGシリーズプラモが発売されるし、この後最終決戦まで出番がないし、なんといってもこれがデビュー戦である。

相手は主人公である上、こちらは半死人である。だからちょっとぐらいはダメージの1つや2つくらい受けてくれてもよかったんじゃあないか?

まあそれでもデスティニーガンダムのデビュー戦の事を思えばまだまだマシな方だと思う。デスティニーガンダムのあのデビュー戦の事を思えば…。

 

 

この戦いでの主人公機・デスティニーは、旧主人公勢の新型機のかませ犬でしかなかった。

圧倒的な力差を散々に見せつけられたのだ。

 

 

次の戦いで遂にデスティニーガンダムは宇宙へ進出。連合軍との最後の戦いである。この戦いでは、シンがインパルス時代に苦戦していたMSや MAを、いとも簡単に仕留めていく快挙を見せる。

しかもこの時、シンは1回も種割れしていない。

戦いにも、完全勝利。今度はアークエンジェル勢のシーンを途中に挟むなどということもなく、テンポ良く進んで行った。

だが、心無い視聴者からは、「対雑魚戦だけは強いんだな。」などと煽られる始末だった。

 

次に出て来たのは、なんと最終回である。主人公機なのに、作品タイトルの名を冠するガンダムなのに、最終回より前の回では、戦闘シーンはなく、最後に出撃するだけの出番であった。信じられない。

 

 

デスティニーガンダムの最終決戦。

だが、そこに待っていたのは、もはや悪夢と呼ぶのさえも生ぬるい、あってはならない、いやあるはずがない、絶望の地獄絵図だった。

 

 

 

 

デスティニーはストフリと戦っていた。宇宙を舞台に、今度こそ新旧主役による熱い再戦を繰り広げてくれるのかと思いきや…。

またしても互角の大砲VS腹ビーム。

そしてストフリに向かうデスティニー。スーパードラグーンによる砲撃を喰らってしまう。

第3期OPやプラモのCMのように、ストフリに接近し刃を交えることさえも許されなかった。

 

このアニメの後半のメインとなるべきだった戦い・デスティニーVSストフリは、たったこれだけで終わりである。

CMやグッズ等であれだけ盛り上げていたのに。

 

レイに「お前はジャスティスと戦え」と言われ、今度はジャスティスとの再戦だ。

ルナマリアを攻撃されたことに怒ったシンが先に種割れを発動。刃を交え、ジャスティスを押す。

しかし、ビームブーメランは弾き返されるわ、大剣はビームサーベルで切り裂かれてしまうわで、武器がどんどん無くなっていく。

大砲によるビーム砲撃も、ビームシールドで防がれる。

ちなみに、この際シンは種割れしているが、アスランは種割れしていないのに、である。

 

だが、武器が無くても、デスティニーには特権の掌ビーム砲(?)「パルマフィオキーナ」での攻撃が残されていた。

パルマフィオキーナでジャスティスを攻撃!と思いきや、インパルスが割って入って来る。この際、何やら訳のわからん演出が入る。なんかストフリが舞い降りて来るのを錯角(?)してしまい、そのままインパルスに攻撃するような感じだった。

こんなことするぐらいなら、普通にストフリと戦わせろよ…。

 

「バカ野郎ー!!」と、アスランが種割れ。ジャスティスがビームシールドで、パルマフィオキーナをインパルスから反らす。

そして、ジャスティスが両手で2本のビームサーベルを振る。両手のパルマフィオキーナで受け止めるデスティニー。流石にビームサーベルを受け止めるのは無理があったのか、デスティニーの両腕が爆発。

そして蹴りに入る。インフィニットジャスティスは、足にもビームサーベルが付いているため、デスティニーの右足だけが切り飛ばされる。

そしてそのまま月表面へと落下。

 

 

 

 

これが、主人公の乗るガンダムの、作品の名を冠するガンダムの、最終回、最後の戦いだった。

デスティニーガンダムVSインフィニットジャスティスガンダム

勝者:インフィニットジャスティスガンダム。ダメージ無し

敗者:デスティニーガンダム。大剣「アロンダイト」破損、両腕切断、右足切断

最後に戦った相手であったインフィニットジャスティスは、ダメージを全く受けていなかった。

いくらなんでもこれはあんまりだ。ひどい。ひどすぎる!!

 

エンディング直前のシーンで、全くダメージを受けていないAA軍の全員集合カットと対比させるかのように、ボロボロのデスティニー&インパルスが映る。

「ノーダメージでピッカピカのストフリよりも、ボロボロであるデスティニーの方が『ガンダムの最後』らしくてかっこいい」と誉め称える意見はよく見かける。

確かに僕もそうは思うが、ボロボロになったきっかけの最終決戦が、一方的な敗北だったことを思うと、なんだか微妙な感じである。

この差は一体何なのだろうか?

 

更にひどいことに最後のエンディングでは、キャスト紹介の順番は一番上がキラで、シンは3番目。背景で流れている白黒カットではデスティニーは、スティング機のデストロイを撃破するシーンと、オーブでインフィニットジャスティスに敗れたシーンの2カットが映っていた。

そしてEDの最後。最後の最後、『DESTINY』のしめである。

 

映ったのは、ストフリの飛翔シーン

タイトルバックといい、キャスト順といい……。

このアニメは『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』かよ!?

 

僕はこの文章をうつ為に、わざわざこの「主人公、最後の戦い」をビデオで見直していたが、正直見る度に吐き気がした。

 

 

さらに、放映終了後にHGシリーズのデスティニーガンダムのプラモの発売を控えていたのである。

ちなみにインフィニットジャスティスのHGプラモはこの時に発売していた。

最終回でこんな有り様じゃあ、HGデスティニーはとても売れるとは思えない。

登場より一足先に「新主役機」をプラモのCMで公開したと思いきや、「地味な悪役」でしかなく、渾身の出来のHGプラモの試作品を雑誌等で公開したかと思いきや、最終回では只の雑魚、引き立て役。

プラモを作っている株式会社バンダイも、このようなデスティニーガンダムの扱いに、ただ唖然とするしかなかっただろう。

更に虚しい事に、最終回後にはインフィニットジャスティスのプラモは良く売れていた。

「タイトルの名まで冠した主人公」を一方的に撃ち破った「脇役」という、あまりに偉大な存在である。そりゃあ売れるだろう。つーか、売れてくれなきゃ困る。

結局、本編でもプラモの売り上げでも、シンはアスランの引き立て役でしかなかったのだ。

 

デザイナーの大河原氏曰く、デスティニーガンダムは、歴代のガンダムシリーズの名主役機を思わせる要素を多く取り入れた『全部のせラーメン』だそうだ。

確かにデスティニーガンダムには掌での攻撃や残像、ビーム状の翼といった、歴代の名機を思わせるような兵器が多い。

それに大剣と大砲の両方を背負っていたりする。

何故、デスティニーガンダムをそんな『全部のせラーメン』にしたのか?

福田監督が大河原氏に、「デスティニーガンダムのコンセプトは『とにかく最強!』って感じに」と注文したのである。

デスティニーガンダムを『最強』どころか、主人公機からかませ犬へと転落させた元凶である福田監督が、である。

 

こんな注文を付けた理由は、もはや一つしか考えられない。

 

子供達や、『DESTINY』をあまりよく知らない人を含め、誰もがこの『全部のせラーメン』を見た時、真っ先に「強そう」「最強」だと思うだろう。おまけに、作品のタイトル名まで名に持つ。むしろ「雑魚」だと思う方がおかしい。

1/100シリーズのプラモの箱や説明書の文章にも、「正にデスティニーは史上最強の機体となったのかもしれない」「シン・アスカは最強のパイロットとして君臨するのだ」などと書かれてある。

この1/100プラモは、初回版限定のスタンドが付いていたこともあり、大いに売れた。即ち多くの人が手に取り、この説明を見た、ということになるのである。

そしてその多くの人々の間に「デスティニー=最強」という、福田監督が大河原氏に注文したコンセプト通りの概念が定着した。

しかし、これも福田監督の作戦の一部でしかなかった。

彼が、キラやアスランを差し置いて、シンのデスティニーごときを、本当に『最強』にするハズがない。したいハズがない。

 

キラやアスランの強さを十二分にアピールするためには踏み台かませ犬が必要となってくる。

その為に作られた最高のかませ犬『最強の主人公機・デスティニー』だったのだ。

 

オーブ戦での敗北は、上に述べたような説明文等から「デスティニーが最強」と思った多くの人に、「デスティニーは最強なんだよ〜。でも、それを圧倒したストライクフリーダムやインフィニットジャスティスはもっと強い、本物の最強なんだよ〜。」とアピールする為の演出だったのだ。

そして、その『もっと最強』のストフリは絶対に売れる!と思ったのだろう。1/100をはじめ、プラモシリーズでストフリの出来が明らかに悪いのも、「少々出来が悪くても、アニメじゃあ活躍してるから売れるだろう」と、そういう所から来る余裕からであろう。

 

これじゃあ、『全部のせラーメン』の『材料』となった、歴代の名ガンダムや、そのファンに合わせる顔がない。

どれも有名で人気な主人公機なのに…。どれも大いに活躍したのに…。

それらの要素を全部持った、夢の機体とも言えるデスティニーは…。

デスティニーはきっと『劣化パクリ』などと罵られてしまうことだろう。

 

キラ達のかませを作るという目的の為だけに、わざわざシンという『主人公』は生み出され、作品タイトル名を持つガンダムにまで乗せたのだろうか。

デスティニーガンダムの頭部なんかは、いかにも悪者っぽいデザインである。

ちなみにこの悪者っぽい頭部デザインや、白色ではなくグレーなのは、大河原氏曰く「シンのキャラのイメージから」だという。

この「悪役っぽい頭部デザインのガンダム」が初登場したのは第2期のOPのシルエット。ということは、第1期の地点で既にこのガンダムが、いや、この『計画』が出来上がっていたと考えても何ら不思議ではない。

しかも、第1クールではシンは出番が少なく、「シンのキャラのイメージから」と言われても、どんなキャラなのかイマイチわからない。

 

つまり、シンがかませ犬になる事は、『DESTINY』が始まった時点からすでに決まっていた。はじめから、かませ犬になることこそがシンの運命、即ちDESTINYだったのではないか、と。

そんなことないだろうと思いたいが、どうしてもそう思えて来るのが悲しい。

 

デスティニーガンダムは、その頭部のデザインから、軽蔑の意も込めて、「ピエロ」なんて呼ばれているのをネット上で見かけたりするが、『主人公』『最強』という偽りの名を与えられ、制作者の作戦の上でまんまと踊らされていたデスティニーガンダムの姿は、まさに『ピエロ』だ。


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