石原裕次郎専科 / 東洋一を誇る日活撮影所
掲載している画像等の権利は全て原権利者に帰属します。
資料として掲載しているもので、利益を得たり権利を侵害しようとするものではありません。
見学者用パンフレット『日活撮影所案内』より採録〔昭和34年当時〕
東洋一を誇る
日活撮影所案内
☆ 映画の出来上るまで ☆
 先ず、企画会議で製作映画が決定すると、撮影所では製作開始の準備が始められます。即ち、企画者監督、スタッフの決定、配役の選衡を始め、脚本をライターに依頼します。
 監督や企画者も加わって再度検討された後、決定的な脚本が出来上ると、スタッフや配役も決まり、製作費や製作スケジュールの最終的な決定をみ、ここで企画者、監督を中心に製作の本読みが始まります。本読みの結果、各部の打合せが行われます。各部と云うのは、撮影録音音楽照明編集助監督記録美術装置装飾背景衣裳メーキャップ結髪擬音スチール宣伝演技事務製作主任等々のスタッフで、これらの各係が夫々、撮影準備を始めます。
 例えば、監督は撮影台本〔コンテ〕を作成し、スタッフとロケ・ハン〔ロケーション現場を探しに行くこと〕に出発し、美術監督はセットの図面をひき、大道具係は、そのデザインに従ってセットを組み、照明係はセット完成とともに、そのシーンの効果を生かす照明計画を行います。又、装飾係は撮影に必要な小道具を準備し、衣裳係は衣装合せの結果、劇中で演技者が着る衣裳を発注します。
 また、製作主任は、渉外の段取りや演技事務と演技者の都合の打合せ、又あらゆる経過を睨み合せて、撮影スケジュール及び予算を作成します。かくて、演技者が集まり、衣裳、小道具も揃い、セットも出来上って、初めてクランクイン〔撮影開始〕となるのですが、この前に必ず宣伝用の写真〔ポスター用写真、雑誌用写真等〕を撮らねばなりません。
 さて、撮影は、大体ロケーションオープンセットステージセットの三つの様式で行われますが、撮影現場は前記の各係が必至に夫々のパートを守って、努力を続けるわけです。
 普通には同時録音〔シンクロ〕で撮影するのですが、ロケーションの場合、現場の騒音などで、どうしても同時録音出来ない場合、後から画に合せて録音しなおすことがあります。これをアフ・レコ〔アフター・レコーディング〕といい、また音楽物等で撮影現場で同時に音楽等を録音出来ない場合は、先ず、音楽だけを録音しておき、それに合せて、演技をして撮影することもあります。これをプレ・スコ〔プレ・スコアリング〕といいます。
 この様にして撮影したフィルムは直ちに現像所に送り、三日分程度を棒つなぎにして試写を行います。これをラッシュといって、これで夫々の技術者が、研究を重ねて行くのです。即ちカメラマンは露出や画面の調子を見、演技者はメーキャップの調子を見るといった具合です。さてこの様にして全部の分量を終ってクランクアップするのですが、クランクアップすると、こんどは編集係が、記録係のつけた詳細なメモを頼りにカットをつなぎ合せ、一応一本の映画にまとめ上げます。この映画をもう一度試写室でかけて、監督他スタッフが校正するわけで、これをオール・ラッシュといいます。このプリントにはまだ音楽が入っていませんので、音楽やいろんな擬音の録音と編集が再び行われます。これをダビングといって交響楽の演奏や擬音などがフィルムに録音されるのです。このダビングが終り、やっと現像所では完璧な一本のネガが出来上り、これからプリントしたポジフィルムが一般に配給されて、ここに一本の映画が愈々封切られるのであります。
日活撮影所の沿革
 日活を知らずして日本映画史は語れない、と言われるように、日活は映画界に君臨すること50年という最古の歴史を誇っております。昭和17年、日活の製作機構を母胎として、大映〔註、現在の大映撮影所は旧日活撮影所〕が誕生して以来、日活は製作を中止しておりましたが、昭和29年、12年ぶりに製作再開を宣言、ここに東洋一を誇る総てに於て最新式、最良の設計を取り入れた新しい日活撮影所が完成いたしました。
 当日活撮影所は昭和28年9月着工、翌29年3月第一期工事が竣工し、「かくて夢あり」「国定忠治」を第一回作品として華々しく製作を再開いたしました。爾後引続き第二期乃至第三期工事を行い、現在の如き東洋一を誇る鉄筋コンクリート造り冷暖房換気装置完備の6棟13ステージ、大ダビング・ルームを始め、敷地面積約99,171平方米〔30,000坪〕という広大な土地に、23,500平方米〔7,100坪〕の諸建物の完成を見るに至ったのであります。
 このデラックス建物に加え、斯界最高の撮影機器施設と相まって、夏は涼しく、冬は暖かい健康的な最良の環境の中で、所長以下製作に従事する所員約1,300名が最高の能力と機動性を発揮して、現代劇の製作に主力を注ぎ、今日まで飛躍的発展をとげたのであります。
設備・機材
☆ ステージ〔6棟〕
撮影所の心臓部はステージです。
当撮影所は第1ステージから第13ステージまで斯界に誇る大ステージです。
冷暖房換気装置を完備〔盛夏22℃、厳冬18℃、電気容量3000KVA〕
この理想的なステージで月9本の現代劇が製作されています。
第1~第2 903平方米〔縦43m・横21m〕
第3~第4 903平方米〔縦43m・横21m〕
第5~第6 882平方米〔縦42m・横21m〕
第7~第8 882平方米〔縦42m・横21m〕
第9~第10 738平方米〔縦41m・横18m〕
第11~第13 902平方米〔縦41m・横22m〕
☆ 撮影機
ミッチェルNC型カメラ
補助カメラ
特撮用合成カメラ
13台
6台
1台
☆ 録音機
35mm磁気録音機
6mm磁気録音機
光学録音機
11台
7台
2台
☆ 照明器具
アークライト、サンスポット、
ソーラスポット、スカイライト、
サイドライト、スクープライト、
ストリップライト
合計1500台〔5000KV〕
☆ 特撮
〔スクリーン・プロセス〕
スクリーン・プロセス用ステージ
兼用第5ステージ〔432平方米〕
特撮ステージ
特殊撮影機
特殊撮影用機
☆ 特撮プール
300平方米
海上・水中特殊撮影用
☆ その他
7米大型クレーン
中型クレーン
ベビー・クレーン
1トン半〔3段マスト〕フォークリフト
風起機100馬力エンジン大型
1台
1台
3台
1台
1台
☆ 本館
2階建 2,810平方米
社長室 所長室
総務部〔庶務課・人事課・業務課〕 製作部〔製作課・技術課・美術課〕
俳優部〔俳優課〕 企画部〔企画課〕 宣伝課 経理部〔会計課・管材課〕
スタールーム・俳優控室・結髪室・美容室・編集室・衣装室
※ 2階の配置は別図の通り
☆ ダビング・ルーム
1,157平方米
演奏室・映写室・録音調整室・スクリーン等
伴奏音楽を録音したり、各種の音〔セリフ、擬音、伴奏音楽等〕を種種組合せ、
一本のサウンドフィルムに録音して、映画の最終仕上げを行うところ。
☆ 試写室及びアフレコ室
661平方米
アフレコ室・モニター室・映写室・試写室・技術課事務室
ニュースター映写機〔ウエストレック音響装置付〕 6台
〔ダビングルーム、アフレコ室、試写室各2台〕
この試写室では初号プリント〔最初に出来上った映画〕を製作関係者が観ます。
☆ 稽古場
694平方米
俳優の稽古、控室等に利用。
☆ 大道具作業場
760平方米
映画を製作するに必要な各種装置を製作する作業場です。
☆ 大道具倉庫
992平方米
装置類建具類の保管所です。
☆ 小道具倉庫
1,344平方米
美術課事務室、各種小物倉庫。
☆ 食堂
2階建 826平方米
A食堂〔一般食堂〕 B食堂〔従業員食堂〕
従業員1,300名のサーヴィスに当る大食堂。
食堂の2階は、スタッフルーム、監督及び助監督室があります。
☆ 電気冷暖房設備
変電所1棟 第1・第2電気室 第1・第2冷暖房室
電気設備
変電設備
特高変圧器 22KV/3.3KV

一般電灯用 変圧器


一般動力用 変圧器



照明用 ステージ用変圧器
          〃
          〃

      オープンセット用変圧器
          〃

直流発電機


1000KVA ×  3台   計 3000KVA

 100KVA ×  2台
  50KVA ×  3台   計  350KVA

 100KVA ×  3台
  75KVA ×  2台
  50KVA ×  2台   計  550KVA

  200KVA ×  9台
  150KVA ×  3台
   50KVA ×  1台

  100KVA ×  3台
   50KVA × 10台  計 3100KVA

  300KVA
   40KVA        計  340KVA
空調設備
ボイラー

冷凍機
4M-12S
4M-13S
75㏋
100㏋
3台
1台
3台
2台
☆ 編集室
編集用機具ムビオラ7台
20秒、30秒と小刻みに撮影された短い映画フィルムをつなぎ合せて、一本の映画に仕上
げる最後の処理室。
☆ 車庫
ロケバス
トラック
録音車
乗用車

三輪車
フォークリフト
スクーター
単車
9台
5台
1台
15台
〔内ワゴン3台〕
5台
1台
2台
1台
☆ 写場
284平方米
撮影開始前に必ず撮らねばならない宣伝用写真を撮影するところです。
ここには他のステージ同様ホリゾントがあり、自由自在に背景をしつらえることができ
ます。
↑ 拡大は画像をクリック ↑
《 日活五十年史 》 より採録

パーマネント・オープン・セット 〔昭和38年〕 メイン・ストリート
正面玄関 会議室〔プロデューサー会議〕 食堂前広場
製作部 美術センター アフレコ・ルーム及び試写室〔2階は技術課〕
食堂 光化学技術室 パーマネント・オープン・セット
日活寮 衣裳合せ プロデューサー、監督、
俳優らの打合せ
小道具合せ
ロケーション パーマネント・オープン・セッ
トにおける夜間撮影
セット撮影
〔特殊移動レール使用中〕
反射式スクリーンプロセス装置 ミニチュア撮影
日活式拳銃の一部
プールを使用しての特殊撮影 ワンショット・カメラによる特殊撮影
原寸大飛行機の製作
音楽ダビング 乗馬訓練中の乗馬クラブ 演技研究室における技斗訓練
編集室ポジ班 オプチカルプリンター
〔米国オクスベリー〕
立体磁気録音機
〔米国ウエストレックス社製〕
日活撮影所自家製機械群〔主として軽合金利用〕
直角移動、カーブ移動装置・移動車・小型クレーン
・三角台・100馬力送風機・中型クレーン
大型クレーン ロケーション用
直流75Kwディーゼル発電機
〔自家製〕
冷暖房室 300KW直流電導発電機とその操作盤
丸ノ内日活劇場
〔東京・直営〕1,425席
浅草日活劇場
〔東京・直営〕1,028席
両国日活映劇
〔東京・直営〕815席
神田日活館
〔東京・直営〕987席
新宿日活劇場・日活名画座
〔東京・直営〕1,012席・430席
上野日活館
〔東京・直営〕603席
立川日活映劇
〔東京・直営〕513席
横浜日活映劇
〔神奈川・直営〕711席
横浜日活シネマ
〔神奈川・直営〕264席
小田原日活国際劇場
〔神奈川・太陽企業〕593席
名古屋日活劇場
〔愛知・直営〕1,220席
日活シネマ・愛知
〔愛知・直営〕319席
万松寺日活劇場
〔愛知・直営〕482席
一宮日活劇場
〔愛知・太陽企業〕528席
浜松日活劇場
〔静岡・太陽企業〕645席
金沢日活劇場
〔石川・太陽企業〕658席
仙台日活劇場
〔宮城・直営〕594席
盛岡日活劇場
〔岩手・太陽企業〕692席
梅田日活劇場・梅田日活シネマ
〔大阪・直営〕1,307席・71席
鶴見日活館
〔大阪・直営〕348席
布施日活劇場
〔大阪・太陽企業〕613席
京都日活映劇
〔京都・直営〕800席
千本日活館
〔京都・直営〕467席
神戸国際日活劇場
〔兵庫・直営〕802席
徳山国際日活劇場
〔山口・太陽企業〕795席
福岡日活劇場
〔福岡・直営〕899席
博多日活劇場
〔福岡・直営〕690席
長崎日活劇場
〔長崎・九州興業〕805席
熊本日活劇場
〔熊本・九州興業〕727席
高知日活モデル劇場
〔高知・太陽企業〕626席
札幌日活館
〔北海道・直営〕600席
函館日活劇場
〔北海道・太陽企業〕534席
札幌日活劇場
〔北海道・直営〕863席
旭川日活劇場
〔北海道・太陽企業〕610席
青森日活劇場
秋田日活劇場
山形日活劇場
福島日活劇場
前橋日活テアトル
長野日活劇場
四日市日活劇場
岩国日活劇場
日活ピカデリー劇場〔松江〕
日活徳島会館
松山日活有楽座
高松日活劇場
佐賀日活劇場
宮崎日活劇場
日活国際会館
掲載している画像等の権利は全て原権利者に帰属します。
あくまで資料として掲載しているもので、利益を得たり権利を侵害しようとするものではありません。
サイト内の掲載情報には私見が含まれており、正しいというわけではありません。
サイト内の資料は自由にご活用いただいてかまいませんが、それに起因するトラブル等につきましては
責任を負えませんので、くれぐれも取り扱いにはご注意いただきますようお願いいたします。
ページトップへ戻る
石原裕次郎専科 / 東洋一を誇る日活撮影所