―――§4 フィギュア用語解説(主要なジャンプ6種類)―――――

個々のジャンプの具体的な説明に入ります。補足説明には私の主観がかなり入っていますので、コーチの説明とは違うかも知れません。

●アクセル
 LFOから前向きのままでサッカーボールを蹴るようにフリーレッグを振り上げてジャンプします。これだけは前向きに踏み切るので、後ろ向きに降りるには他のジャンプより半回転余分に回転が必要となります。(シングルでは1回半)
かつての名選手、アクセル・パウルゼンの名を取って「アクセル・パウルゼン・ジャンプ」と呼んでいます。

振り上げる足のひざは曲げて(ももで引き上げる感じ)、右足の靴は前に行き過ぎないように踏み切りと同時に左足の内ひざに戻してきて、空中で右足軸に体重を移し替えてバックスクラッチの回転姿勢に入ります。
踏み切り動作の最後にはトウで氷を蹴るのですが、後傾になるとトウに体重が乗らずにすっぽ抜けの原因となります。また、本当にボールを蹴るようにフリーレッグを前に出してしまうと、回転に入れません。
上手く跳ぶコツは、両手をしっかり後ろに引いてフリーレッグの振り上げとタイミングを合わす、踏切りまで先に上半身が回らないようにして正面に跳ぶ、上がったら軸がぶれないように体を上下方向に真っ直ぐに伸ばして回る事、でしょうか。

●サルコウ
 LBIからフリーレッグを浮かせて前(進行方向に対しては後ろ)から軸に引きつけてくるのと同時にBIスリー前半部のインエッジからトウに出て踏み切ります。(氷を離れる瞬間にはほとんど1/2回転して前を向く)
かつての名選手、ウイリッヒ・サルコウの名を取って「サルコウ・ジャンプ」と呼んでいます。

フリーレッグを大きく勢いよく回しすぎると、足がカーブの外に飛ばされて体勢を崩しやすいので、踏み切りの時にフリーレッグが体の正面になるようにします。小さな子供ではBIスリーが終わってから前向きにジャンプするのをよく見かけますが、スリーの頂点でトウが氷を蹴るようにしないといけません。

踏み切った後の処理はアクセルと同じ感じです。(ダブルの場合は右足軸に移って締める、シングルではスリージャンプと同じようにすぐ回転を止める)

●ループ(ドイツでは人名からリトベルガー)
 右足のRBOエッジで少し腰を落とし、フリーレッグ(左足)を前にクロスしたままで体を右にひねってからRBOエッジでジャンプします。
(氷を離れる最後の瞬間にはほとんど1/2回転して前を向く)

右足一本で上がって降りるので、1回転のジャンプだとコンパルソリーのRBOループ課題を空中で滑っているようにも見えます。(上半身の使い方は全く違うが。)踏み切りの時にクロスしたフリーレッグが外に開いてしまうと軸がぶれるので、最後までひざの前に残して軸が右側になるようにします。

●トウループ(チャーリー)
 ループと同じRBOエッジからフリーレッグを後ろに付いて、両足で跳ぶジャンプです。チャーリーという名前は日本での古い名称のようです。(トウを付いて回転した跡が桜の花びら形になる、チェリー・フリップから変化した、と言う話もある。)

前傾し過ぎないように頭を起こした姿勢からまっすぐ後方に左足のトウをつき、最後は左足のトウに体重が移って右足が前にパスして上がります。やはり、氷を離れる瞬間にはほとんど1/2回転して前を向きます。
トウをつく前に体が開いてしまう(先に回転を始める)と方向がずれやすいので、フリーレッグを後ろに用意して体が上昇し始めるまでは後ろをまっすぐ向いた姿勢を保つようにし、トウが氷を離れるとすぐ右足軸に移ります。

●フリップ(トウサルコウ)
 サルコウと同じエッジ(LBI)から、フリーレッグを前にパスしないで後ろに伸ばしてトウをつき、最後は右足トウに体重が移ってジャンプします。
LBIに乗ってからジャンプするまでのタイミングがサルコウに較べてずっと早く、ターンして左足のひざを曲げると同時に後方にトウをついて跳び上がります。

先に回転を始めるとうまく上がらないので、トウをつくときには半身の体勢で入り、氷を離れる瞬間までは後ろを向いたままです。

●ルッツ
 フリップと同じ様な動作でジャンプしますが、入る前のカーブが異なり、フリップがインなのに対し、ルッツはアウトエッジ(LBO)からトウをつきます。
つまり、乗っているカーブの回転とは逆に回るので、前傾してトウをつく前には右手を強く引いて力をため、ジャンプと同時にひねり戻してトウで氷を蹴る瞬間には回転軸がちょうどトウの真上に来て、進行方向に対し腰が真後ろを向く感じになります。
ルッツという名称は、最初に跳んだ人Alois Lutzからなのだそうです。

最近の女子等ではルッツの姿勢でジャンプに入りながら、アウトエッジではなくてフリップと同じインエッジからジャンプする人が多く、これを通称「フルッツ」と呼ぶ人もいます。(Flutz=FlipとLutzの合成語)
厳密にジャッジするとフリップなのですが、「質の悪い」ルッツと見るのが一般的な解釈のようです。逆にフリップでアウトにエッジが入ってしまうのは、通称で「リップ」(Lip=LutzとFlipの合成語)と言われるようです。

●ジャンプの難易度
 一般的には(3回転の場合)、
  サルコウ≒トウループ < ループ < フリップ < ルッツ < アクセル
と言われていますが、3回転以外では
  1回転の場合、トウループ < サルコウ < ループ
  2回転の場合、サルコウ < ループ < トウループ
  4回転の場合、トウループ < サルコウ < ループ
の順番が普通のようです。(もちろん人によって得意/不得意はある)

つまり、トウループはシングルでは「跨ぎジャンプ」で易しいが、ダブル以上の軸を作るのがサルコウやループのようなエッジジャンプより難しく、いったん軸を作る技術が修得できさえすれば多回転にしやすい、という不思議なジャンプです。

●ジャンプの略記号
 人によって表記の方法は違うかも知れませんが、観戦しながらメモを取る時など省略記号を使うと便利です。ジャッジも使っているはず。

アクセル  :A
サルコウ  :S、Sa
ループ   :Lo、Lp、R
トウループ :T
フリップ  :F
ルッツ   :Lz、Lt、L、z
シングル  :1、省略
ダブル   :2、D
トリプル  :3、T
クアドラプル:4、Q
コンビネーション:**+**、**/**
J.シーケンス :**−**、**〜**

例えば、トリプルアクセルとダブルトウループのコンビだと、3A+2T

【6種類のジャンプの見分け方】
 まず、片足で踏み切るエッジジャンプ系か、両足で踏み切るトウジャンプ系かを見ます。

●エッジジャンプ :アクセル、サルコウ、ループの3種類
●トウジャンプ  :トウループ、フリップ、ルッツの3種類
次に、各3種類の中で準備動作の特徴を見て何を跳んだかを区別します。

エッジ系
『アクセル:前向きに踏み切るのはこれだけ。』


たいていはスピードを付けてからRBOエッジで構え、LFOに出る時にはすでに跳び上がる準備動作をしているのでLFOに出た瞬間にアクセルだと分かります。

『サルコウ:後ろ向きからフリーレッグを前に回して引きつける動作』

FOスリーから入るのと、モホークから入るのとでは準備動作がかなり異なります。FOスリーからの時は最初の動きはアクセルに入る前と似ていますが、LFOに出た後の腰の位置が高く、そのまま滑ってFOスリーでLBIエッジに乗り、いち、に〜、さ〜〜んっ!と言うような感じでジャンプします。(準備動作が長い)
モホークから入る場合はインサイドモホークでLBIエッジになり、同時にフリーレッグを後ろにしっかりチェックするやいなや前に回してジャンプします。準備動作は一瞬です。(いち、にっ!と言う感じ)

『ループ:後ろ向きからフリーレッグを前に交差して一瞬両足滑走』

大抵はターンしてRBOに乗った後、左足をクロスにかぶせてほとんど両足滑走に見える状態から右手を内側に強く引き、その体勢からジャンプに入ります。

トウ系
『トウループ:後ろにトウをつく時に外から回す』


後のフリップ、ルッツとはトウをつく足が逆になるのですが、動きが速いとどちらの足か分かりにくいので、外から足を回してつくのがトウループ、内側から足を出すのがフリップ、ルッツと覚えると簡単です。
ややこしいのは、いったんフリップの体勢にゆっくり足を出してから、跳ぶ間際にタタっと踏み替えて跳ぶ人もいるので、紛らわしいです。

『フリップ:後ろにトウをつく時に内側から足を出す』

トウループと似た感じで、内側から出した足でトウをつくのがフリップです。
よく見ると、氷を離れるタイミングも違います。(フリップがやや早い)

『ルッツ:バックの片足で動きを止めてから後ろにトウをつく』

一番分かりやすいのは、ランでスピードをつけた後、バックのエッジ1本に乗って、立ったままでまっすぐ構えている時間が長いことです。大抵はその姿勢から前傾してトウをつきます。

新採点では「ステップから」の指定などで真っ直ぐ構えてから跳ぶことが少なくなり、見分けが難しくなっています。トウを付く瞬間の動作で、滑っている脚の傾きが内側(フリップ)か、外側(ルッツ)かで見分けることが出来ます。

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