CULTURAL TYPHOON 2005
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 カルチュラル・タイフーン2005 アンケート 



 カルチュラル・タイフーン2005では、発表の様子や成果、会場からの反応などをご報告いただくアンケートを実施致しました。8月末日までに届けられた分を以下に掲げます。ご協力くださった方々に感謝申し上げます。

1.セッション名・参加者数・発表者氏名・参加者数

2.発表概要

3.会場からの反応・成果


セッション3

1.「グローバル化の中の〈文化〉を問い直す」
細川周平・吉見俊哉・吉本光宏
90名

2.細川氏は「アメリカニズムとの出会い――戦後のジャズ史を考え直す」報告のなかで、グローバル化を歴史的過程として考える必要を論じながら、ジャズが1920年代の日本にどのように「アメリカ」文化として受容・再編制されたのかを分析した。吉見氏は「戦後アジアとアメリカニズム」報告のなかで、暴力と欲望が交錯するアメリカニズムを他者としての「アメリカ」に向けられたまなざしの構造としてとらえ、戦後日本の文脈において、それがどのように編制されてきたのかを歴史的に考察した。吉本氏は「文化言説の統制?」報告のなかで、戦後日本がいかにアメリカの植民地として深くアメリカ帝国主義システムの中に取り込まれてきたのかを映画や「クールジャパン」に言及しながら論じるとともに、「文化」という概念を安易に使用することで批判的視座が隠されてしまう危険を強調した。

3.およそ40分程度の質疑応答を行い、会場からは多くの質問が出された。特に「文化」を研究することが政治・経済的な不平等に目が向けられるないことと結びつくのではないか、あるいはアメリカ化/グローバル化における文化と権力を考察するとき、エージェンシーの視点を失うことなく政治・経済的不平等の問題を分析するにはどうしたら良いかという本セッションの根本的問題設定に関する質問がなされ、報告者と参加者の間で時間の許す限り活発な議論をすることができた。決定的な解答が出されたり、徹底的な議論が展開されたわけではないが、幅広く文化の研究が直面している問題についていくつかの重要な点が討議されたと思う。



セッション6
1.セッション名  身体と科学技術をめぐるポリティクス−『家畜人ヤ プー』と『イノセンス』から問う
  発表者氏名 (Jason Herlands・水川敬章・禧美智章)
  ディスカッサント (上野俊哉)
  参加者の概数 (約40名)

2.『家畜人ヤプー』、『イノセンス』についての個人発表(Jason Herlands「 歴史中毒の『家畜人ヤプー』、水川敬章「少佐は暴力の只中で可視化される―押 井守監督『イノセンス』の政治的部分と表現」、世禧美智章「『イノセンス』の 「視覚性」―「生きた人形」、「客観」、「守護天使」の「視覚」と「視線」か ら」)の後、ディスカッサントの上野俊哉氏が両作品を結びつける形でコメント 、問題提起を行う。そして、議論。

3.会場からは、両作品で重要となってくる、「マゾヒズム」、「暴力性」につ いての質問、意見があり、 議論が行われた。異なる作品、同じ作品を扱っていても、異なる観点からの共同 発表だったが、ディスカッサントから両作品を統括するコメント、問題提起、会 場からも、それらを受けての3人の発表に共通する重要な意見、質問が出たりと 、発表者、ディスカッサント、参加者が一つとなって、活発な議論が行われたこ とが本セッションの大きな成果であるといえる。



セッション8
1. セッション名:本土に住む沖縄人・北海道人のアイデンティテ ィ
発表者:安里愛美  碇雪恵
参加者概数:30名

2.発表者それぞれの出身地であり、地理的・歴史的にも特異 な背景を持つ沖縄と北海道。現在「内地」にすむ沖縄・北海道 出身者は自分の出身地に対しの程度帰属意識を持っているのか 。また、その上で文化や言語がどのような役割を果たしている のかについて、自分たちの歌謡都留文科大学の学生を対象とし た調査票とインタビューによって調査をした。

3.質疑応答の時間では、参加者のみなさんからそれぞれのア イデンティティに根ざした質問や意見をいただくことができて 、身のある討議が出来ました。
参加者同士でも活発な意見交換を行うことができていたので、 発表自体は拙いものであっても、そのような議論の俎上に載る ようなきっかけを作ることが出来たという意味で意義を見出す ことができました。
また、参加者の意見や指摘から「アイデンティティ」とはひと つに言い切れるものではなくて、多様であってしかるべきもの であり、また流動的なものであるということにも気付かされた ように思います。
私たちの発表に対し歴史的視点が欠如しているという指摘や、 差別に関する認識への甘さについての指摘をいただいたことは 、私たちがこれからまたさまざまなテーマと向き合う際にも重 要な観点として受け止めました。



セッション12
1.「大正・沖縄・島唄」
  仲間恵子・本山謙二・徳田匡・東琢磨
  50名

2.3者(仲間・本山・徳田)の発表に、東が司会・コメント。CDで音楽を使用。

3.用意された会場が小さく、参加者に狭い思いをさせてしまった。しかし、おおむね好意的であったと思います。



セッション13
1.セッション名 「植民地としての都市──文学/映画/批評」
  発表者氏名(松枝誠)(友田義行)(内藤由直)
  ディスカッサント(西成彦)
  参加者の概数(約40名)

2.日本の七十年代前後の文学・映画・批評に関する三人の個別発表(松枝誠「村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』論─都市をめぐる冒険─」、友田義行「占領地での失踪をめぐって──勅使河原宏『サマー・ソルジャー』と安部公房」、内藤由直「都市と土着──『内向の世代』における内と外の相剋」)の後、これらに対する西成彦先生の総括的なコメント及び問題提起を承け、セッション参加者との質疑応答・議論を行った。

3.会場からは、現在において七十年代を問う意義についての質問や、歴史的観点から行う考察不足を指摘する意見が出された。最終コマのセッションということもあり、議論の時間延長が出来なかったが、翌日のセッションの合間やパーティー会場等で個別にだが議論を継続することができた。研究対象を異にする三人の共同発表であったが、ディスカッサントからそれらを統一する視点や、全員が留意し得なかった問題点等の指摘があり、またディスカッサントの意見を敷衍してセッション参加者からも各発表を総合的に検討した上での有意義な意見が提示された。このことは今後の発表者全員の個別及び共同研究に大きく寄与する成果であった。

Naitou Yositada



セッション16
「日常性と身体:文学におけるカルチュラル・スタディーズの可能性について」
鳥木圭太・Nadya Murray・今市絵里香・内田侑理・朝見五子・村田裕和
約30名

1、本セッションにおいては、「昭和」という時代を、そして「女性」という存在をキーワードとして文学テクストを読み解き、意識の制度が日常の生活における私的な領域においていかに再生産されるのかを考察した。鳥木発表では佐多稲子「牡丹のある家」を扱い、1930年代日本の家父長制の問題を、マレー発表では宮本百合子の顕治宛書簡を中心に、百合子の思想と日常生活の矛盾点を指摘し、マルキシズムイデオロギーの抱えていた問題を考察した。また、朝見発表では山崎豊子「白い巨塔」から、男性性の再生産者としての女性表象を、今市発表では佐多稲子「疵あと」における女性の身体表象に注目し、内田発表ではプロレタリア文学運動における「ハウスキーパー」問題を通し、それぞれジェンダーと日常における身体との関わりについて考察した。
 ディスカッサントの村田氏の総括の後、休憩を挟んで参加者からの質問、全体討議に移った。

2、参加者からの質疑応答の際、例えば男性性のミミクリーによらない自己実現のあり方はあるのか、階級闘争を再生産するためにジェンダーを利用してきた女性の側の問題、あるいはこのように女性に特化して焦点を当てることがすでにセクシュアリティの二極化に手を貸してしまっているのではないかなど、積極的な議論が交わされた。また、ハウスキーパー問題が可視化される過程はどのようなものであったのかなど、当時の文化状況に関わる質問もなされた。
戦前から現在に至るまで強固に生き続けているジェンダー・イデオロギーに焦点を当てることで、それが日常のなかで具体的にどのような肉付きを与えられて再生産されていくのか、そしてそれらを考察するうえで文学がどのような力と可能性を持ち、カルチュラル・スタディーズの抱える問題項とどのように交錯するのかについて、研究領域を超えた意見の応酬ができたと思う。



セッション19
1.「「障害者自立支援法」とは何か?――「福祉」ダンサンデモにむけて」 
小林勇人・野崎泰伸・岡田建司・定藤邦子
17名

2.障害者自立支援法の概要と「自立」とは何かについて述べ、法案が成立するとどのような問題が生じるかを障害当時者の方に述べてもらった。そして、今法案に反対するために、また今ある施策が運動によってどのように勝ち取られてきたのか、関西の障害者運動について報告し、フロアーとのディスカッションを行った。障害者/健常者、支援者/被支援者、障害の種類や程度といった壁を取っぱらって、「自立支援」の名の下に、グローバリゼーションのもと、貧困や失業問題が「個人の責任」とされている状況に、どのように抵抗運動を展開していけるのかを提案した。

3.反応
  ・ダンサンデモとは何か? ・法案に反対する団体もあるが賛成する団体もあるのでは? ・親と子の関係を(障害運動のなかで)考える際にフェミニズムの視点は必要 ・「法」と「現場」の双方で働く権力の両方を見る必要がある ・障害者で働きたいという人への就労支援は必要ではないか ・生ぬるい音楽や文化を通しての主張とは異なり力強かった。
  成果
  ・今法案について、概要を知ってもらえた ・障害当事者の声を聞いてもらいつつ、法案の問題点を知ってもらった ・その問題を、障害者やその家族、福祉職の人のみのものとしてではなく、今の自分たちを取りまく状況の中での出来事として、提出し抵抗の可能性を模索した。


セッション21
1.アスリートが政治を纏うとき
  清水諭、山本敦久、有元健、小笠原博毅
  60名

2.清水は戦後のスポーツイヴェントと世界の政治との関係を重厚なレジュメを駆使してまとめ、最近の中国や北朝鮮とのサッカーをめぐる言説を新聞記事や雑誌記事を交えて詳細に紹介した。山本は NATOの空爆に反対するパフォーマンスを演じたストイコヴィッチの行動とそれに対する内外の反応を批判的に論じ、政治とスポーツの二元論的対抗図式の無効性を指摘した。有元は、真正なレプリカシ ャツを纏い、リフティングしながら、なぜサッカーを真剣に研究する人間が少ないのか、もっとちゃんと考えよう、と呼びかけた。
3.在日朝鮮人サッカー選手の評価の仕方、地域政治とサッカーのスタイル、カルチュラル・スタディーズにおけるサッカーの理論化の可能性、女子スポーツが着目されないこと、セッション自体の設定のジ ェンダー的排他性、サッカーの特権化など、批判的な指摘が数多く出され、活発な応酬が展開された。


Hiroki Ogasawara (PhD)


セッション25
(1)
セッション名:既知の転倒ー何が「私」をつくるのか?
発表者:立石尚史、横田徹、崎山政毅、岡真理
参加者概数:40名

(2)発表の概要
ニューヨークから発展した「グラフィティ・カルチャー」について、その波及を ヒップホップ文化の世界規模にわたる商業主義的な拡散に求め、日本における実 践を紹介した。そして「描く側」の語りと、「消す側」の政治的実践を報告し、 「グラフィティ/落書き」が「社会問題化」されるプロセスを示し、この抵抗的 実践が一方的な消去作業では解決しえないという問題提起を試みた。

(3)会場の反応や成果
ロサンゼルスでの生活経験がある方からの反応で、ロスにはギャング団の抗争の 道具としてグラフィティが利用されていた実情をコメントしていただいた。それ により、本報告が、日本にまでもグラフィティという文化が普及してきた理由と して際立っていた要因と考えられるのが、やはりニューヨーク発祥のヒップホッ プ文化をめぐるグローバルな商業主義の流れであったことを再確認・強調するこ とができた。またセッション後にも、特にロンドン地下鉄のストリートミュージ シャン、黒人音楽、BMX自転車といった、都市空間と自己表現をめぐる問題意識 を共有する若い学生さんとの意見交換ができたことが収穫である。

立石尚史




セッション30
1. Section Title: 他者の主体にであう-ジェンダー・コミュニケーション
Presenters: Joanne Quimby, Kyoko Gardiner
Attendance: roughly 20 people

2. Please summarize the actual content of your presentation:
Usuing photographs projected onto the screen, I described the shashinshu "Guy") (Maya Miki/Kishin Shinoyama) as a narrative, and analyzed the narrative in terms of (gender) subjectivity and psychoanalysis. I also considered the possibilities of queer readings, and the discrepancy between the Takarazuka company and "queer" interpretations (see handout in Japanese).


3. Please describe the audience response, with any other comments you may have:
The commentator and chair both asked appropriate, stimulating questions. A few audience members also asked critical questions, and after the panel a few people who had not asked questions asked me questions individually. I felt that I was asked difficult questions and was unprepared to give sufficient answers (by the commentator and a few audience members). (But this was a good experience-->necessary to think more critically.)





ブース

ブース:劣化ウラン

劣化ウランに関する写真の展示を行いました。特に、アフガニスタン・イラクに おけ る米英軍の劣化ウラン弾の使用による子どもなどへの犠牲を中心として展示しま した 。また、劣化ウランについてのパンフレットを販売しました。
来場者は劣化ウランについてよく知っている人も走でない人もいましたが、来て いた だいた皆さんに劣化ウランのひどさを知っていただいたと思います。


横山 祐介


1. ブース名 (池田克彦、白石彩乃、萩原由記、樋渡隼一郎、松田伸子)

参加者の名前はブース名同じです。
参加者の総数 (5名)


2. 内容

発表者、来場者、教授、学生、、、その場にたまたま居合わせた人が気軽に このタイフーンについて話す場があれば・・・というような発想で場所を お借りすることにしました。これには、“いろんな人と出会いたい”という 想いがあり、はっきりとしたものを示すことはできませんせしたが、私たちが ここ数ヶ月、カルスタから考えたものを提示し、テーブルといすを並べて 近くにいる人に話しかけたり、知り合いのカルスタ関係者をよんでみたりして、 会話をしました。

3. 反応・成果

最初会場の様子にとまどったり、また、自分たちも発表を聞きに行ったり したためにあまりその場にいられないときがあったりで、至らない点はとても 多くありましたが、興味をもって見てくれた人も何人かいて、その人たちと カルスタ、立命館、京都の大学、自分たちの大学や専攻内容、そして まったく関係のない話なども含めて、盛り上がった場面も何回かありました。
自分たち以外の人のカルスタとの関わりや、今回のタイフーンについての 考えなどを知ることができ、一見大きな成果ははないですが、私たちに とっては興味深い会話をすることができました。


参加させていただき、とてもいい経験になりました。
ありがとうございました。

代表 ICU3年 白石彩乃


1 ブース名・・・crazy & mixed-up, hair &make-up

  参加アーティスト
   【メイク】岸部里香、西尾佳美、須山智未、高橋未来、大久保知佳、丸岡奈美恵、稲荷田希望/山口裕子、島部佳美、渡部江津子(ミキヤ)/野村嘉奈子、三原郷子(ピュアネス)
   【制作】長田浩典、久原将史、楠林美智子


   2 @メイク
 <コンピューター・ジェンダー診断でお薦めのメイク・プランを提案> → <ジェンダーとメイクの関係を示した立体オブジェの中で、そのメイクがどこに位置付けられるかを説明> → <メイク> → <写真撮影(by大久保)> → <希望者には販売>
  A書籍販売
 ポーラ文化研究所及び澤田知子の写真集を販売
  B展示
 男性のアイブロー・キットが、当初はジェンダー規範に逆らった【フェミ男】を対象として発売され、【ギャル男】へと受け継がれていく一方で、男性性を誇示したいと考える【メテロセクシャル】の必須アイテムとも化していく過程を、男性化粧品のイメージ・キャラクターやファッション・リーダーの変遷と絡めながら図式化。

3 @メイク
   予想以上の反響に驚いた。メイクをしたままセッション会場に行った人が沢山おり(その場に立ち会うことは出来なかったが)、【発表者−聴衆】の位置関係にズレを生じさせるきっかけを作れたことが、発案者としては嬉しく思う。沢山の研究者からも賞賛を頂き、某大学教授からは、同じ試みを授業でやってみたいとの声も頂いた。
  A書籍販売
ポーラ文化研究所の高橋さんの読みが見事当たり、予想を大幅に上回る売上となった。
  B展示
少ない展示しか出来なかったのは残念だったが、多くの方に興味を持って頂けたようで、数十人の方に詳細の説明を求められた。また『京都ジャーナル』の記者から来年の「アジアにおけるジェンダー」という特集の執筆依頼を受けた。

長田浩典



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※2005/05/21をもって、受付終了しました。

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