『バトル・クッキング』



「もう11月だな・・・」

朝。
恭介がいきなりそんなことを言いだした。
・・・いや確かにそうなんだけどさ

「11月と言ったらあれしかないよな?・・・ヒントは〜の日だ」
「サラダ記念日」
「さすがだな。謙吾。65点」
「えっ?大喜利だったの?」
「筋トレの日」
「3点」
「うおおおおおおおおおおお!!謙吾に負けたああああああああ!?」

今のは完敗だった気がする・・・
しかし・・・11月?
なんだろう?

「お前らわからないのかよ・・・?あんなビッグイベントだってのによ」
「ふむ・・・。11月にそんな日があった覚えがないんだが」
「ちょっと待て・・・俺は今大変な事に気づいた・・・」

どうせ大したことじゃない。

「十一って縦に書いてみろ・・・士にみえねえか!?」
「わふーーーー!!見えましたっ!!」
「なにぃ!?・・・ホントだ・・・見えるぞ」
「いやいやいや。周知の事実だから」

真人のせいで話が脱線した。
でも誰も11月のイベントと言われて思いつかないようだ。
そんな大きなイベントなんだろうか。

「恭介さん、それで答えは・・・?」
「しかたねえなあ・・・11月と言えばあれしかないだろう!?」

そういって恭介はいつものポーズをとり、宣言する。
い、一体何なんだ・・・!?



「勤労感謝の日だ!!」



・・・地味。




_____________バトル・クッキング____________




「どこが一大イベントなんだよ!?ただの祝日じゃねえか!?」
「馬鹿・・・勤労感謝って何回もいってみろよ。勤労感謝、勤労イベント・・・一大イベント、ほら、なっただろ」
「うん。ならないから」
「やべぇ・・・確かにそうなるぜ」
「こいつ馬鹿だ!!」

真人は納得したようだが・・・
正直僕らは恭介の意図がわからなかった。
そもそも勤労感謝の日だからなんだというのだろう。


「恭介君!!勤労感謝だと何かあるんデスカ!?」
「ふっ・・・毎日働いている人々への感謝・・・プライスレス」

「「「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」」」」

静まりかえる一同。
いいセリフなのに恭介が言うとやたら胡散臭い・・・

「お前らっ!!なぜ感動しないっ!?」
「いや・・・そんな一方的にキレられても・・・ねえ、謙吾」
「・・・」
「謙吾?」


「うっ・・・うっ・・・プライス・・・レスだ」

涙を流して感動していた!!
相変わらずぶっ飛んでるなぁ・・・

「うん!!プライスレスだよ〜」
「さすがだな、謙吾!!小毬!!」
「リトルバスターズは・・・プライスレスだ」


よくわからないけど三人で盛り上がっている・・・
それで恭介は結局何が言いたいんだ・・・
さっきか全く話が進んでいない。

「で?恭介。勤労感謝だから何なの・・・?」
「今日は俺達で自炊しようと思う」
「は・・・?なんで?」
「考えてもみろ。俺たちは当たり前のようにいつも学食のおばちゃんに飯を作ってもらってきた。・・・たまにはそのありがたみを知るべきだ」

・・・
何というか目から鱗だ。
確かに僕たちはそうやってご飯を作ってもらうのが当然になっていた。
さすがだなあ・・・恭介。



「よし、第一回。スッキリ、クッキリ、クッキンファイト!!開幕だ!!」


・・・前言撤回。
何だよ!!結局みんなで遊びたいだけじゃん!!
・・・まぁいいけどね。

「テーマはカレー。今回は鈴と小毬で対戦してもらおうと思う」
「なにぃ!?あたしかっ!?」
「わ〜い、鈴ちゃんとだ〜」

鈴と小毬さん?
小毬さんはともかく・・・鈴は料理なんかできないんだけど。

「確かに鈴と小毬じゃ実力差がありすぎる」
「ううっ・・・!!」
「恭介・・・!!鈴がショック受けてるよ。もっとオブラードに包んで」
「ん?・・・そうだな。確かに鈴と小毬じゃ能美と来ヶ谷のスタイルと同じくらい差がある」
「なにぃ!?さすがにそこまではないぞ!!そこまでは!!」
「確かにな・・・スマン。言い過ぎた」
「ふ、二人とも・・・クドがヘコんでるから・・・」

地面に「の」の字をかきながらどんよりとした空気を放出しているクド。
と、そこに来ヶ谷さんが・・・


「クドリャフカ君」
「・・・ひんぬーわんこの私に、ぐらまらす・くいーんこと来ヶ谷さんが何か用ですか?」

なんか卑屈になってる・・・
来ヶ谷さんはうまく励ましてくれるのだろうか


「ああ・・・可愛い。君はずっとそのままでいてくれっ!!」
「わ、わふー!!へるぷみーなのですっ!!」
「ああ・・・このぷにぷに感・・・堪らん」

駄目だこの人・・・
・・・とにかく話を戻そう。

「で、結局、鈴と小毬さんで勝負になるの?」
「普通にやればならないだろう。・・・そこで特別ルールだ」
「特別るーる?」
「ああ、まずひとつめは、俺が用意した中から、無作為に選んだ食材を1つ使用しなくてはいけないということだ」

なるほど。
確かにそれなら運の要素もでてくるというわけだ。
こういう時の小毬さんの運のなさっぷりは真人に迫るものがある。
これだけでもわからなくなった。

「そしてもうひとつは俺達がくじ引きでチームに別れ、そいつら全員に5分間ずつ調理をまかせなくてはいけないというものだ。その間のアドバイスなどはすべて禁止する」

うわあ・・・
それはつまり二人とも合計20分間は他人に調理を任せなければいけないということだ。
これはチーム編成が非常に重要になりそうだ・・・。


「よし、早速チーム分けだ」
「ちょ、ちょっと待てよ。そもそも勝手に調理場使っていいのか?」
「ああ、もう許可はとってある」
「へ?」
「朝の皿洗いを全部引き受ける条件付きでな。当然これは敗者の罰ゲームだ」
「なにー!!はるちんそれは絶対阻止せねば!!」

・・・なんというか
相変わらず隙がないというか、無駄に凝っているというか・・・

「ほらお前ら、さっさとくじをひけ」

そうして僕たちは恭介のクジを引く。
その結果・・・


鈴チーム   ・・・僕、恭介、来ヶ谷さん、西園さん
小毬さんチーム・・・真人、謙吾、クド、葉留佳さん


に決まった。
最終的になかなかバランスのとれたチームだと思う。
それを満足そうに見た恭介は・・・

「よし、鈴!!小毬!!食材チョイスだ!!」

と言って鈴と小毬さんに目隠しをする。
・・・隣で「エロい・・・」と言ってる人がいたが見なかったことにした。
何はともあれ緊張の食材選択だ

「これだっ!!」
「これにするよ〜!!」

鈴が取ったのは    ・・・うなぎパイ!!
小毬さんが取ったのは ・・・酢コンブ!!


どないせえっちゅーねん・・・


「二人ともなかなかいいチョイスだな」
「ええええええええ!!どこが!?」


「制限時間は60分。バトルスタートだ!!」



cooking battle start!!



「まずは野菜を切ろう」
「お、わかってるじゃないか」
「ふん。馬鹿にするな」

そう言いながら包丁をどこぞの「るろうに」のように構える鈴。
そのネタはシャレにならないから!!
抜刀術じゃ野菜は切れないと思うよ・・・


「ゆっくりでいいから・・・少しずつやっていこう?」
「でも・・・」

そういって鈴が指をさす先には・・・
空を舞う野菜と、それを空中で細切れにする謙吾。
向こうのチームは早くも一回目のチェンジをしたようだ。

「すごいな・・・謙吾少年」
「デタラメな人ですね・・・」
「ああ・・・だがあいつは課題がカレーだということをすでに忘れている」
「・・・小毬さん・・・不憫だ」
「・・・あたしだってやってやる!!」
「いやいやいや。危ない上にメリットないから」

なんとか鈴を説得して野菜を切らせる。
さすがにこれくらいは鈴でもできるようだ。
たどたどしい手つきながら確実に作業をこなす。
だが・・・

「玉ねぎが・・・目にしみてっ・・・」
「ああ・・・萌える・・・」
「交代しましょうか?」
「ううう・・・頼む」

ここで一回目の交代を使うことになった。
・・・ちなみに西園さんも目に染みたらしく涙がでている。

「二人の女を泣かすとは・・・やるな理樹!!」
「直枝さん・・・鬼畜です」
「理樹・・・ヒドいぞ・・・」
「理樹君は鬼だな」
「いやいやいや。何もしてないから」

などとやっていると・・・

「はーっはっはっは!!中華は火が命だああああああああ!!」
「うえええええええ!!中華じゃないぃぃぃぃぃ!!」
「そしてのりたま、のりたま、のりたまあああああああ!!」
「と、トップギアだぜ・・・」

というあっちのチームの声が。
どうやら既に野菜や肉は切り終わって炒める段階らしい。
どう見ても焼いているが・・・そして、なぜにのりたま?

「謙吾!!そろそろ5分だ!!」
「む、名残惜しいが仕方ない・・・あとは任せた。うまいのりたまを作ってくれ」
「う、うん。頑張るよ〜」

・・・料理がかわっていた
と考えている間にこっちも西園さんの活躍により具材が切り終わった。
ここからは炒める段階だ。

「よし、うなぎパイも炒めよう。隠し味だ」
「・・・隠れるかなあ・・・」

西園さんから選手交代をした鈴が炒めにかかる。

「ん?油が足りないな・・・えい」
「わっ!!鈴いれすぎっ!!」

ゴオオオオオオオオオオオオオオオ!!
こういうのをフランベと言うのだろうか。
言わないよっ!!←ノリツッコミ

「鈴、かわれっ!!」
「う、うん・・・!!」

恭介が強引に鈴とチェンジする。

「大丈夫なの!?」
「フッ・・・俺がバーニング棗と呼ばれているのを知ってるだろう?」

・・・知らない。
でも恭介は本当になんでもできる。
料理だって簡単にこなせるのだろう。


「FIRE!!」
「「FIRE」って何やってんじゃぼけー!!」


・・・真面目にやればだけどね。
何故か嬉々として火力をあげる恭介。

「うぉぉぉぉぉ!!きたきたきたぁぁぁぁぁ!!」
「・・・美魚君。今回のお題はなんだったか?」
「・・・カレーじゃないことは確かそうですね」
「すげぇ・・・往年の料理漫画をみているようだぜ」

「できたぜっ!!」

5分ちょうどで炒めるのを終了する恭介。
タイムキーパーもびっくりだ。
・・・中身は凄いことになっていたけど・・・。


「き、恭介氏。これは・・・?」
「・・・正直スマン。悪ノリしすぎた・・・」
「ふん。あたしがカバーしてやる」


そういって煮込みに入る鈴。
・・・これならミスはしないだろう。


「卵料理ならまかせてヨ!!」
「はるちゃん・・・カレーに卵は・・・」
「おっと小毬。アドバイスは禁止だぞ」
「ボクノナマタマゴォ」

向こうのチームでは葉留佳さんが鍋に生卵を入れまくっている。
・・・どうやらあちらもだいぶカオスな状態になっているようだ。
恐るべし三枝クオリティ・・・

「ふむ、そろそろおねーさんの出番だな」
「・・・そーだな。頼む」


大分煮立ってきた頃に鈴が来ヶ谷さんとチェンジする。
向こうもクドにかわったようだ。

・・・まあ来ヶ谷さんも相当の万能キャラだ。
煮込む過程なんて朝飯前だろう。


「ふむ、キムチはあうだろうか?・・・もずくも入れてみよう」
「・・・う」
「・・・大丈夫か?西園」


真面目にやればだけどね!!
あっちはクドが相当手際よくやっている。
さすがは家庭科部だ。
・・・これは大分差をつけられたかもしれない・・・

「ふむ、どちらかと言うと可愛い娘を料理する方が得意なんだがな」
「恭介さん・・・直枝さんを料理してみませんか?」
「しないから」

脱線している二人・・・
そんなことをしている間に5分が過ぎる。

「そろそろチェンジだ」
「こっちも5分だよ〜」

両チーム同時に交代をする。
その後変わった鈴と小毬さんは無難に作業をこなし・・・
いよいよ最後の交代。
僕と真人の番が回ってきた。

「理樹・・・手加減はしねえぜ」
「・・・むしろした方がいいと思うよ。みんなの生命のために」
「いうじゃねえか・・・。とにかくルー○柴をいれるぜ」
「僕はいれないけどね・・・」
「へっ・・・馬鹿だなお前。トゥギャザーしねえと大変だろうが」

・・・先生。馬鹿がここにいます。
とにかく二人ともルーを鍋に入れる。
・・・でもこれはカレーなんだろうか・・・
どうみても闇鍋がいいところだ・・・
なんとか巻き返さないと。

「ん?理樹?それはチョコレートか?」
「うん。カレーにはチョコとかが合うんだよ」
「ほう、さすが理樹じゃないか」
「うっ・・・負けてられるかよ!!」

僕は考えられるカレーをおいしくする手段をとっていく。
それに対して真人は・・・


「よっしゃあ!!マッスルエクササイザーの出番だぜ!!」
「さすがだね!!すごいよ真人!!」
「ヘッ・・・そうだろ?さらにプロテインと食パン一斤追加だ!!」

やはりそうきたか・・・
僕はうまく真人を口車に乗せていく。
そして見事に自爆していく真人。
これでなんとか差はつまったかもしれない。


「タイムアップだ!!」

恭介の声がバトル終了を告げる。
なんとか頑張ったけど・・・
やはり闇鍋にしか見えない・・・
そしてそれは向こうサイドも同じだった。

「よし!!審査タイムだ!!」
「えっ!!これ食べるの!?」
「そりゃそうだろ。何のために作ったんだよ?」

いや・・・それはそうなんだけど。
これを食べるのは・・・

「棗鈴特製うなぎパイカレーだ」
「シーフードカレーだよ〜」

・・・シーフードだったの!?
鈴もうなぎパイカレーって・・・
僕の思いもむなしく2つの謎の料理が僕達の前に並ぶ。

「き、恭介氏。私は用事があるので・・・」
「俺も部活が・・・」
「どこに行くんだね。来ヶ谷女史、謙吾少年」

ガシッと来ヶ谷さんと謙吾の肩を掴む恭介。

「お前ら・・・あの二人を見ても食わないなんて言えるのか?」

恭介が指さす先には・・・落ち込む鈴と小毬さん。
それをみた二人は・・・


「・・・うむ、いただこう」
「食べない・・・なんて・・・言えるわけないだろうっ!!」

謎の料理を口の中にかきこむ!!

「「ぐはっ・・・」」

・・・そして二人はその場に倒れた・・・
被害者二名。

「よし、みんなも食べよう」
「いやいやいや!!今の2人見たよね!?」
「・・・どれも等しくミッションさ」

結局僕たちはその料理を食べることになった。
これを食べるのは・・・度胸がいるな・・・

「・・・こ、これはかつてないほどのピンチデスヨ・・・」
「失礼ですよ、三枝さん。こんなにおいしいのに」
「え!?みおちんたべたの!?なら私もっ!!えいっ!!」

パタリ・・・
その後三枝葉留佳の姿を見たものは誰もいなかった・・・
・・・いやいやいや。

「西園さん・・・よく大丈夫だったね・・・」
「むしろすがすがしいです・・・こんなにも綺麗なお花畑が目の前あるんですから・・・」
「・・・え、えーと?」
「ほら・・・蝶が飛んでますよ・・・平和ですね・・・うふふ・・・あはは・・・」
「ちょっ!!しっかりしてよ!!西園さん!!」

駄目だこりゃ・・・
周りを見てみるとみんなダウンしている。
死屍累々とはこのことだろう。

「り、理樹・・・」
「恭介・・・!!」

息も絶え絶えの恭介。
それでも完食するのはすごいと思うけど・・・。

「それは想像を絶する過酷の始まりだ・・・強く生きろ・・・」

ガクッ
その場に倒れる恭介。
僕はその姿を目に焼き付けた後・・・
謎の料理(カレー)へと向き直った。

「恭介・・・僕は誓ったんだ・・・これからは強く生きると」

僕は二人の料理を口に運ぶ。
・・・これは・・・!!

うなぎパイの鮮やかな風味が見事に他の具とせめぎ合って!!・・・さらに酢コンブのすっぱさとマッスルエクササイザーの筋肉が・・・げふう

僕の意識はそこで潰えた。


リトルバスターズ・・・全滅。



こうして今回の事件は幕を閉じた。
その後、僕たちは学食のおばちゃんたちに深い感謝をするようになったのだった・・・
そういった意味では今回の目的は達したのだろうか。


「ミッションコンプリート」
「いやいやいや」

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祭りだ祭りだ〜!!
後の祭りだ〜(オイ)

とりあえずできましたー・・・

ほのぼのコメディでいってみました。

なのでカオス度はたりませんね・・・。

よろしくお願いします!!

{小劇場}
「お花畑が見えます・・・」
「・・・西園さんが帰ってきてないんだけど」
「あっ・・・あんな所に川が・・・。向こう岸で手を振っている人がいます。」
「うわー!!それはダメだって!!」
「う〜ん、どうにかして正気に戻さないと・・・」
「理樹」
「え?何?恭介」
「好きだぜ」
「うわああああああ!!いきなり何を!?」
「・・・じー・・・」
「って西園さん!!いきなり正気に戻らないでよ!!」
「・・・お花畑が見えますね・・・」
「いやいやいや!!バレバレだから!!」
「いえ・・・見えたんです・・・恭介さんと直枝さんの背後に花園が・・・」
「うまいこと言わないでよ!!」
「俺は花を摘んだんだ・・・理樹という名の花を・・・」
「あまーーーーーーーーーい!!」
「謙吾・・・そのネタ危ないから・・・」