「理樹、遊ぼうぜ!」
「理樹、真人となんかより俺と遊ぶほうを選ぶよな!?」
「ち、ちょっと二人とも!」

 何時も通り二人は僕を遊びに誘いに来ただけだったはずなのに……。
 なんで唐突に喧嘩に……。

「ち、ちょっと、どうしたの!? 僕にわかるように説明してよ!!」
「ああ。俺と真人はさっきまで、俺がいかに理樹の兄貴であるかについて話していたんだ」
「そしたらよ、コイツが『どうだ、真人。俺以外には理樹の兄貴分にふさわしいヤツがいないということがよくわかっただろう!』とか言いやがるんだぜ」
「そうだろう。俺以外の誰がそうだと言うんだ?」
「いや、そうだがよ……だからって恭介が一番理樹に好かれてるとは限らないぜ」
「いや、そんなことはない。俺が一番だろ?」
「いいや、俺だな」
「俺だ!」
「俺だああああああっ!!」
「俺だあああああああああああっ!!」

 何故か声の大きさを競い合う二人。いや、けど二人のことを比べろなんて言われても困る。
 僕は二人とも大好きだし、そもそも好きっていう感情は比べられるようなものではないと思う。
 いや、まぁけど僕をそこまで好いてくれているって事実は素直に嬉しい。
 と、そんなことを考えながらどうやって場を収めようかと考えていると

「その勝負私が預かりました」
「に、西園さん?」

 どこからともなく西園さんが現れた。
 この人も恭介や来ヶ谷さんほどじゃないけど神出鬼没で唐突に現れるんだよなぁ……。
 もっと僕の心労とかを考えて欲しい。

「そうだな。確かに第三者の意見も大切だ。西園、頼めるか?」
「おい恭介、テメェ! 男と男の勝負に女を割り込ませるのか!?」
「何を言う、真人。彼女だって立派なリトルバスターズの一員だ。ソイツの意見をお前は無視できるって言うのか?」
「ウッ……」
「だ、そうだ。是非とも意見をくれ。いいんだよな?」
「はい……では、私なりの意見を。井ノ原×直枝……これは美しくありません。しかし棗×直枝。これはたまりません。美しいです。これだけでご飯3杯はいけます。つまり井ノ原さんでは話になりません」
「ほう」

 恭介は口調では冷静をとりつくろってるけど、顔と体が全然冷静じゃない。笑顔で変な踊りを踊っている。

「いやいや、恭介。嬉しいのは嬉しいけど、物凄くいい笑顔で踊るのはやめなよ! ああ! なんか僕までよくわからなくなってきた!」
「そうだぜ……恭介。西園はよくわからないがロクでもないことを言ってるに違いねぇ……そう『お前のその汚ねぇツラと暑苦しい筋肉で可愛い理樹に触れるな』っていう感じがすっげぇ伝わってきたぜ」

 出た! 真人の壮絶な言いがかり!

「いやいやいや。真人、それきっとすごい言いがかりだから」
「いえ。実際そう思ってましたよ」
「うおーーーっ!!」

 あ、自分で半ば冗談で言ったことが事実だったってことにショックを受けて髪を毟り取ってる!

「汚い筋肉ですね。あっちに行って下さい」
「そりゃ気付かないでごめんなさいでしたーっ!!」
「冗談です」

 シレっという西園さん。西園さんは何時も真顔で冗談を言うからそれが本気なのか冗談なのかがわからないことがよくある。
 ……本音じゃないよね?

「そ、そうだ! 恭介、西園一人だけだと意見も偏るかもしれない他のヤツにも意見を聞こう」
「ああ、いいぞ。望むところだ。そしてお前はたった一つの事実を知ることになるだろう」
「ほう。なんだ、言ってみろよ」
「『理樹は恭介お兄ちゃんが大好き』ってことをな!!」

 ……妙に似てる僕のものまねをする恭介を見て思った。
 鈴、助けて。
 けど……僕は自分のことを理樹なんて言わないし恭介をお兄ちゃんって呼ぶのはイヤではないものの恥ずかしい。

「……くっ。不覚にも自分が理樹にそう言われてるところを想像して嬉しさのあまりオギオギしちまう所だったぜ!」
「甘いな、真人。俺はさらにその先、一緒に野球をやってる所まで想像したぞ」
「何を競ってるのさ……」

 僕たちのこんなやりとりを後ろで聞いてた西園さんは真っ赤になって頬を押さえ、首を横に振っていた。
 滅多に見れないレアで一見すれば可愛い姿だが……何故だか今の僕にはそう見えない。
 あの可愛らしい様子をしてる西園さんのおしりのあたりから槍型の尻尾が出てる気がする。
 ……小悪魔ルックが凄く似合いそうだ。

「と、いうわけで理樹。お前は誰の意見が聞きたい?」
「へ? 僕?」
「そうだよ。恭介と今話してたんだがお互い、自分が有利になりそうなやつしか候補に挙げなかったからな」

 僕が西園さんを見てる間にいつのまにかそんなことを話してたみたいだ。

「そういうことだ。だから、お前に公平な審判を選んでもらおうと思ったわけだ」
「二人とも負ける度にそう言いそうだよね」

 ジトっとした目で少し睨むようにして言う。このぐらいしないと二人とも聞いてくれない。
 ……いや。これだけしても聞いてくれない気が凄くするんだけど。

「そうだぞ、理樹。俺がそんなことするわけないだろ? 俺なら悲しみのあまり海辺で人形劇をするぞ」
「そうだぜ、理樹。お前は俺をなめてるぜ。正直、そんなことぐらいで俺の筋肉さんたちはうろたえないぜ」
「ああ、もうどこから突っ込めばいいやら……まず、恭介。悲しみのあまり人形劇って何さ。なんだかよくわからない力で動かすけどただ歩くだけで全然面白くないとかやっちゃうの? 真人も。筋肉さんたちはうろたえてなくても今なんだか凄く挙動不審だったからね。と、いうかうろたえるどころか真人風におぎおぎしてたから!」
「流石だな、理樹。一気にそんなに突っ込みを入れるとは。あまりの激しさと的確さに俺らのボケも骨抜きだな」

 恭介は心底感心したまなざしでこっちを見てた!
 しかもなんか成長したなぁ、とか言いながら僕の頭を撫でる。
 なんだか凄く気恥ずかしい。

「井ノ原さん。どう見ても負けてるように見えるのですが」
「そ、そんなことねえよ! 理樹っ! 俺も撫でてやるぜ」

 そう言いながら近づいてくる真人。
 なんだか鬼気迫った表情で近づいてくるその姿は、その……なんだろう。凄い圧迫感がある。
 結果僕は

「う、うわっ!」
「うおっ!」
「り、理樹っ!! 恭介っ!!」
「ま、真人! こ、これは決して真人が怖かったとかそんな事無いから!! ちょっと恭介がくっつきすぎだったから離れただけだよ!」
「そ、そうだぞ。暑苦しいとかそんなことないぞ!! これは理樹が離れたから俺もちょいと3フィートほどステップを踏んでみたくなっただけさ!」
「なんだよ、てっきり俺がイヤだからだと思っちまったじゃねえか」

 ゴメン、真人。そうだったんだよ……言い出せない僕を許して。

「あの……今ので決着はついたと思うのですが」
「どこらへんでついたって言うんだよ!?」
「それは今のはんの……むぐっ」
「あ、あはは。何でもないよ、真人。ね、西園さん?」

 真人に曖昧でギコチないであろう笑みを浮かべながら言う。
 一方同意を求めた西園さんは何故か赤くなって固まっていた。

「……」
「どうしたの、西園さん?」
「理樹……すまない。お前はもう俺らの届かないところへ行っていたんだな」
「気にするな理樹。お別れだ……」
「ちょっと、恭介!? 真人!?」
「えーとな、理樹。おまえとルームメイトになれてよかった。長い時間一緒にすごせてよかった」

 恭介と真人が真っ白になっていた!

「ね、ねえ……どうしたの二人とも! 西園さんも!? 皆、変だよ! おかしいよ! 何があったっていうの!?」
「むっ……むぐぐっ」

 真っ赤なままの西園さんがなにやらもごもご言ってる。
 あ、そうか。僕が口を押さえたままだったんだ。

「ごめんね、西園さん」
「い、いえ……それは構わないのですけど……その、手を……」
「手?」
「……はい。どけていただきたいのですが……」

 僕はもう口から手を離してるしどこの手を……って

「うわぁっ!?」

 口を押さえてなかったほうの僕の手は思いっきり西園さんの胸を鷲掴みにしていた!

「う、うわわわわわわわわわわ!!」
「な、直枝さん?」
「ご、ごめんなさい! うわわっ!? ぼ、僕とんでもないことを!!」

 ぐ、偶然とはいえ、西園さんの胸を触っちゃうだなんて……。
 あああああ……これじゃあ完全に変態だよ。

「そ、その……許して貰えないと思うけど……本当にごめんなさい」
「い、いえ。そこまで気にされると余計に恥ずかしく……」

 普段では考えられないぐらいアクションを交えた会話を西園さんがしている。
 数瞬前まで考えられないほどの狼藉を自分が働いていたなんてことを忘れてしまう。
 それほどに今の西園さんは可愛かった。

「こ、こういう時は……!」

 必死で解決策を模索する。このハプニングを乗り越えられないで成長したなんて言えないぞ、僕!
 そして、現実の時間にしておよそ3秒ぐらい経ったころ僕はある答えに辿り着いた。
 この3秒の間に壮絶な脳内会議が繰り広げられてたのはきっとバレてないと思う。

「西園さん。触らなかったことにしよう、触られなかったことにしよう。おっけー?」
「いやです」

 即答だった!

「いやいやいや。そこはおっけーって頷くところだよ!?」
「いやです。私の純情な乙女心と体を汚した行為を忘れることが出来るでしょうか、いえ出来ません」
「……あの、西園さん。キャラ違ってない?」
「……すみません、取り乱しました」

 再び赤くなって俯く西園さん。うう、僕はいったいどうすればいいんだ。
 考えたすえに思いついた解決法も役に立たなかったし……。

「はははっ。なんだよ、西園は初心だなぁ。だからたまに漏れ出る妄想もフルーティーなものが多いんだな」 「っ!?」
「ああっ……」

 唐突に現れた恭介の一言でフラリと倒れそうになる西園さん。

「いや……理樹。俺はさっきからずっといたからな。と、いうかお前もしかしなくても、何をしてたか覚えてないだろ」
「そ、そんなこと無いよ。僕たちはさっきからずっと恭介がいかに僕の兄貴分かってことを話してたじゃないか」
「なんだ、覚えてるじゃないか」
「いや、待て。なんか違ってるぞ、おい」
「あ、真人。いたんだ」
「なんだ、真人いたのか」
「井ノ原さんもいらっしゃったんですね」
「ずっといたじゃねえかよおおおおお!!」

 あ、ショックのあまり髪を掻き毟ってる!

「なんだよ、真人。細かいことを気にしてると筋肉が萎れちまうぞ」
「な、なにいいい!!」

 叫び、急いで腕を組んでるいつものスタイルに戻る。
 ……これで誤魔化せたと思ってるのかな? 思ってるんだろうなぁ。

「なんだよ、俺はそんな細かいこと気にしてないぜ」
「いやいやいや、今さら取り繕っても遅いから! それに真人、言葉では落ち着いてるつもりだろうけど組んでる腕が髪を掻き毟りたくってウズウズしてるよ!」
「ち、ちげーよ。こいつは俺のこの戦車砲も跳ね返す胸筋が暴徒と化しそうになって唸りをあげてるだけだぜ!」

 いくら真人の筋肉でも戦車砲は無理だと思う。と、いうかそんなものを跳ね返したらそれは人間じゃない気がする。
 本人は大真面目なんだろうけど、それが僕を余計に笑わせてしまう。
 本当に真人は憎めない。
 いつでも全力で、本気で、そして大真面目なんだ。

「なぁ、理樹」
「なに、真人?」
「西園はほっといていいのか?」

 くいくいと真人が指差す先を見れば僕にもたれかかり今にも崩れ落ちそうな西園さんが。

「あ、ああ! 真人が馬鹿なこと言ってるからすっかり忘れちゃったじゃないか!」
「え、俺のせい?」
「諦めろ、真人。いつでも元気なお前と、今にも意識を失いそうな西園……結果は……ダメだ。こっから先は俺の口からはとてもじゃないが告げられない!」
「き、恭介! 悔しくないのか、お前! 西園に理樹を奪われちまうぞ!!」
「ああ……悔しい気持ちもあるし、正直嫉妬しちまってるくらいだ……だがな、真人」

 真剣な面持ちで真人に話しかける恭介。
 うわ、かっこいい……。
 って、なんで僕は恭介にときめきそうになってるんだ。
 お、落ち着かないと! 僕は別に男に興味はなかったはずだ!
 い、いやだからと言って恭介や真人に興味がないわけじゃないし……け、けどそれは親友として何をしでかすかわからない二人のことが心配であるからで。
 だからと言って女の子のほうが好き……って、違う! これじゃあ変な人みたいだ。
 と、とにかく恭介の言葉の続きを聞かないと。

「俺は理樹の兄貴なんだ。そんな俺に今まさに成長しようとしてる弟を止める権利があるわけないだろ……っ!」
「くっ……そいつは脳天だったぜ」

 おしいような気がしないでもないけど全然違う。

「だから、理樹。俺らのことなんて気にしないで大人の階段を三段跳びで駆け上がるがいい」
「ど、どうしてそういうことになるの!?」
「ん? 違ったのか?」
「違うよ!」

 な、なんてことを言うんだ恭介は……。

「だが、ほれ。西園も残念そうにしてるぞ」
「……そ、そんなことありません」
「もう、恭介! 西園さんが余計に恥ずかしがっちゃったじゃないか!」

 視線を下げればもうこれ以上は赤くなれない、といった感じの西園さんがいる。
 まったく、なんてことを言うんだ恭介は。
 ああ……そっか、普段子供すぎる鈴を相手してるからこういう反応が嬉しいのかな。

「いや……俺の所為じゃないと思うんだが。それと理樹。別に俺は人をからかって喜ぶ趣味なんてない……ほとんど」
「いやいやいや、よく恭介はからかってるからね」
「違う、面白おかしく盛り上げてるだけだ!」
「それをからかうって言うんだと思うよ、僕」
「ふむ……ならからかうことは俺の生き甲斐だ!」
「いやな生き甲斐だね……」

 ああ、なんだか恭介の評価がこのいくらかの時間で凄く下がっていく。
 と、いうかそんなことを爽やかに認めないで欲しいよ……。

「ふっ、恭介。どうやらお前の生き甲斐は理樹に気に入られてないようだな。だが……俺の生き甲斐が理樹に気に入られないわけがないぜ!!」
「も、もしかして……」
「おっしゃ、筋肉、筋肉〜!」

 や、やっぱり! 流石、真人だ。
 いい意味でも悪い意味でも僕の期待を裏切らない。

「筋肉祭りだー!!」
「血沸き肉躍る祭りだぜ! ひゃっほーぅ!」
「筋肉わっしょい! 筋肉わっしょい!」
「筋肉いぇいいぇーい! 筋肉いぇいいぇーいっ!!」
「筋肉旋風だ!!」

 ああ! 恭介までもが真人の筋肉空間に!
 って、僕もなんかノせられてる!

「なんて言うとでも思ったか!!」
「な、なんだとっ!? 恭介、お前は筋肉の素晴らしさを理解していないのか!?」
「いや、筋肉は素晴らしいさ。だが、俺は今筋肉よりも理樹が大切なんだ」
「き、恭介っ!?」

 ああ、もう何で恭介ってばこう大切なことをサラっとカッコよく言っちゃうんだろう。
 そんなことを言われる方だって心の準備が必要なのに。
 ああ、けど準備してたら今ほど嬉しくないだろうし……。

「やはり、勝負ありですね。この勝負は棗さんのほうが圧倒的に上手のようです。ああ……棗×直枝、美しいです」
「く……流石にここまで見せられちまうと俺の筋肉さんたちも何も言えないぜ……」
「ま、真人……」
「いいさ、理樹。俺の思いが恭介に負けてただけだ。また……いい筋肉で会おうぜ! おっしゃあ! 筋肉、筋肉〜!」

 唐突に筋トレを始めていた!

「きんにく、きんにく〜……」

 けれどいつもと違いその筋トレにも覇気がない。
 どうやら勝負に負けてしまったことがかなりショックだったみたいだ。

「真人。さっきも言ったと思うけど僕は真人も好きだから。そんな気にしなくてもいいよ。だって僕たちは友達でしょ? リトルバスターズでしょっ!?」
「ああ、そうだぜ真人。理樹の言うとおりだ。俺達はリトルバスターズだぜ。誰一人、お前を攻めることなく迎えてくれる。行こうぜ!」

 そうして真人に手を差し伸べる恭介。
 そして真人は手を取り、立ち上がる。

「すまねぇな。どうかしてたみたいだ」
「まったくだ。元気のないお前はただの筋肉だ。俺らはただの筋肉に用は無い。俺らが好きなのは真人だ」
「そうだよ、真人。ただの筋肉は言いすぎだけど、もし真人が落ち込んでるなら必ず僕らが助けるから」
「お、お前ら……!」

 感極まったのか僕らはその分厚い筋肉で覆い尽くされる。

「よし! 行くぜ、お前ら! 今から練習だっ!!」
「おっしゃあああああっ! 全球ホムーランだ!!」
「うん!」

 グラウンドに向かおうとした時、視界の端に西園さんが見えた。
 西園さんはテンションが最高潮へと上っている僕たちとは違い呆気に取られていた。
 けど、今の僕はそんなこと気付かず西園さんの手を引いて

「ほら、西園さんも行こうよ。僕たちはリトルバスターズなんだから!」
「……はい」

 その時、赤くなりながらもかすかに、けれど力強くうなずいてくれたのを僕は感じた。

「待ってよ、二人とも!!」
「遅いぞ、理樹」
「筋肉が足りないぜ」
「まったく、二人とも。僕だけならともかく西園さんにそんなことを求めたら酷だよ」
「その……あれだ理樹」
「……ま、悟らないってのも理樹らしくて俺はいいと思うけどな」
「俺でも西園が不憫に思えるレベルってのが凄いな」
「ああ、こいつは凄いぞ」
「何のこと?」

 僕の質問に西園さんが普段では見せないような憮然とした表情を浮かべながら答えた。

「直枝さんが主人公ということです」
「ああ……俺でもここまでの主人公っぷりは無理だぜ」
「俺の筋肉さんたちでも参っちまうな」
「もうっ! だから何の話なの?」
「理樹、お前を無理に求めても無駄だし、どうしょうもならないってことさ」
「恭介の話には脈絡が無いよ……」
「ははっ。なぁに、いつかはお前にもこの話の意味が解る日は来るさ」

 そう言って恭介は僕の頭をひとしきり撫でてから西園さんと繋いでるのとは逆の手を取り

「ほら、行こうぜ。脈絡が無いんなら繋げればいい。リトルバスターズのみんなで手を取り合えばいい」
「そうだな。そいつは楽しそうだ。オギオギしてきたぜ」
「そうですね。たまには皆さんで直枝さんについての愚痴を言うのも悪くないかもしれません」
「決まりだな。今日の練習の後は『第一回ドキッ!グチグチ愚痴っチャオッ!ってどこの国の挨拶? ポロリもあるよ!』だ」
「ち、ちょっとどうしてそうなるの!?」
「さっきも言ったが、いつの日か解る日が来るさ。まぁ、そうだな。今俺が言えることと言えば……理樹、お前はもうちょっと自分への評価を気にしたほうがいいと思うぞ」









 その後、僕たちは練習のあと何故かリトルバスターズのみんなで手を繋いで輪になり、本当に僕への愚痴大会が開かれることになった。
 そしてその大半が情けない、とか男らしくない、とかだった。
 うう……これでも僕、結構気にしてるんだけどなぁ。



 

back