これは筋肉革命により、世界に筋肉が浸透した後の日談である。


 

 

真人のうた 元 あいのうた ストロベリーフラワー

僕たちリトバス 真人だけに ついていく
今日も出会う 戦う 負ける 称号つけられる

筋肉つけて また会って また負けて
でも私たち真人に従い尽くします

そろそろ下克上かな
そっと闇討ちしようかなーんて
筋肉! 筋肉! あの理樹に
恋とかしながら

力合わせて 戦って また負けて
でも私たち真人に従い尽くします

筋肉つけて 黙って ついてって
でも私たち褒めてくれとは言わないよ

 

 

 

 




男子寮…そこは異世界だった。

「ん……」

ある一室、そこに住んでいる一人の学生、直枝理樹。
彼には一人のルームメイトがいた。彼は、

「ごがぁー……」

井ノ原正人。理樹の幼なじみである。
彼は理樹とは違い、実に男らしい体つきである。
まず、理樹の体格の一回り二回り…いや、三回りほどあるだろう。
その肉体はベッドが窮屈そうに思えてしまうほど大きい。
実際、何度かベッドの縁を壊し、理樹に怒られている。
今ベッドの縁は金属コーティングされていて、滅多な事では壊れないが、これからも日々精進していくであろう筋肉の主、井ノ原真人はそれすらも破壊していくだろう。
その大胸筋は今日もたくさんの空気を吸い込むために働き続けている。
筋肉に休みはない……。
その活動は規則的に他の筋肉を生かすための重要な役割を絶えず行っている。
それこそまさに、愛すべき筋肉なのかもしれない。
真人の上腕二頭筋は今日も隆々と猛々しい。
その筋肉が生み出す力はきっと、好調の銅像さえも持ち上げてしまうかもしれない。
もちろんそれには他の筋肉の協力も必要だが。
そんな平和な筋肉の……もとい、静かな部屋にも漸く物音が生まれてくる。

「ん……もう朝か」

理樹が起床する。身体を伸ばし、解す。
ある時までは、その後の理樹の行動はすぐに真人を起こし始めていたのだが、

「さてと…今日も飲もうかな」

理樹が机の引き出しを開け、取り出したもの…それは、プロテインだった。

『これさえあれば、あなただって真人様のような筋肉が見る見るうちについてきます! 一回につき、一粒の服用で、一日三回、食前にどうぞ』

そう書かれているが、理樹が試してから一ヶ月、その身体に変化の兆しは見えなかった。
まだまだ女性に見えるとも言えなくはない、真人に比べれば貧弱な身体である。
コップに水を入れ、プロテインと一緒に口に含み、流し込む。

「さて、真人を起こさないと…」

理樹はまだ寝ているであろう真人に向かって、言い放った。

「YOYO! 俺マスク・ザ・筋肉! おまえの筋肉…はりゃほれ筋肉筋肉〜♪」
「おう、今日も一緒に筋肉センセーションだっ!」
「筋肉筋肉〜」
「筋肉筋肉〜。うおおおおぉぉぉっ! 唸る、唸るぞ! 俺の上腕二頭筋と三頭筋が…僧坊筋大殿筋……全ての筋肉が歓喜の身震いを上げているぜ!」
「今日も絶好調だね、真人」
「おう、おまえもな、理樹」

絶好調というか、既におかしい二人組だった。

「って、あれ? マスク・ザ・筋肉はどこいった?」
「彼ならもう帰ったよ」
「ちっ…せっかく筋肉勝負パート287でもやろうと思ったのによ……」

マスク・ザ・筋肉の正体が理樹である事に気づかない時点で真人の脳は筋肉に支配されている事を証明付けている。
ちなみに筋肉勝負パート287とは、自分の筋肉密度をどうやって身体で表現するかの勝負である。
生憎と、まだその勝負方法は実施されていない。

「まあ、早くご飯食べに行こう。もう恭介たちも待ってるよ、きっと」
「そうだな、行くか」

真人が立ち上がったその時だった。
真人の机の上に置いてあった目覚ましが鳴り始める。

『筋肉! 筋肉! 筋肉が唸りを上げる……おまえを倒せと轟きうねる! 食らえ! 必殺、筋肉ゴ――』

ブツン……都合により、音声は遮断されました。





食堂に着いた二人は、いつもの席の方を見る。
そこには既に恭介、鈴、謙吾が席を取って待っていた。
理樹と真人もすぐにカウンターで朝食を受け取り、三人の向かい側に座る。
今日の朝食はモーニングマッスルセットAである。
内容は玄米、ハムエッグ、味噌汁、プロテインA、プロテインB、プロテインC、プロテイン付けの鮭の切り身の焼き魚である。
それらを嫌な顔もせず明るく談話しながら食べるこの世界は変わっているのだろうか。いや、それは誰にもわからないのだ。筋肉革命の起こったこの世界の中では。

「おは筋肉、恭介」
「よう、理樹。相変わらず成長してないな」
「うっ…今に恭介を抜かして、真人だって抜いて見せるんだから」
「はっはっは、楽しみにしてるぜ」
「話すのもいいが、さっさと食べてしまえ。ああ、今日もこのプロテインはうまいな。俺の腕にそのまま付加されていく感じがする」

終始変な会話だが、いい加減慣れるべきなので、敢えて突っ込みはしない。
強いて言うなれば、『おは筋肉』とは『おはよう』の意味である。
同じように、『こんに筋肉』、『こんば筋肉』、『ありが筋肉』などもある。
……言葉さえも変わりつつこの世界に、意味はあるのでしょうか?
と思う人もいるだろうが、まあこんな世界もありだろう。

「理樹、これやる」
「鈴、それは嬉しいけど、鈴も食べないと筋肉つかないよ?」

女の子に向けて言う言葉ではないと思うのだが、それはそれ。

「いやじゃっ。見ているだけで充分だっ」
「ふ、この兄の筋肉に見惚れたか」
「誰が見惚れるかボケーっ!」

ドガッ

鈴のハイキックが見事に恭介の後頭部へと吸い込まれていった。
その顔がモーニングマッスルセットに直撃し、バラバラとプロテインが零れていく。
もったいない…と呟く真人はすぐに拾い、

「3秒ルールだぜ!」

すぐ口に入れた。それを見ていた謙吾は、呆れた口調で、

「そこまで意地汚くなってまで筋肉を手に入れようとは……愚問だな」

もちろんそれで真人VS謙吾が勃発したのは当たり前の事だった。





とまぁ、いろいろあるが、ネタが尽きそうなので作者は一気に飛ばします。ご了承ください。

「ワレワレハ筋肉星人デアル」
「コノ星ヲ大人シクワレワレニ受ケ渡セ。キシャ―――ッ!」
「大変だよ、真人! 筋肉星人が攻めてきた!」
「なにぃ!? 筋肉だと!?」

真人、以下リトルバスターズの面々は校庭に出る。
そこにはまるでどこかのボディービル大会と思えるような筋肉を持った人物が筋肉をところせましとアピールしていた!

「ふっ! ふっ! 唸る! 俺様の筋肉が今こそ輝けと慟哭を上げているううぅぅぅ!」
「くっ…こいつは強敵だぜ」

真人が怯んでしまうくらいの筋肉、それは全員が怯むのと同じくらいのものである。
しかし、ある人物は怯むだけで終わる事はなかった。

「いけ、真人! 今こそおまえの筋肉を見せるときだ!」

棗恭介! 彼はこの状況でも慌てず最適な判断を下した!

「おう! いくぜ! 筋肉センセーションだ!」

真人の掛け声を機に、リトルバスターズ全員が手を胸の前に。

「いくぜ! 筋肉筋肉〜」
『筋肉筋肉〜』

リトルバスターズの筋肉センセーション!

「くっ、こいつは強敵だ! 我々も立ち向かうぞ!」
「ガッテン承知!」

筋肉星人に多少のショックを与えたが、さすがは筋肉星人、直ちに反撃の狼煙を上げる!

「我々の筋肉ピラミッドを見よ!」
「この隆々とした筋肉の上に、さらに筋肉の猛々しさを加える!」
「その頂点には我らが最高峰の筋肉を!」
『これぞ、筋肉ピラミッド!』

まあ、単に組体操なだけだが。
しかし、その筋肉が見事にマッチしていて、互いを煌かしていて、それでいて下品でなく、頂上の筋肉星人を見事華やかに見せている演出は流石であろう。

「くっ! 負けちゃいないぜ! 筋肉センセーションはこっからだぜ!」
『筋肉いぇいいぇ〜い! 筋肉いぇいいぇ〜い!』
『ぬぅ! 負けるか! マッスルマッスル〜!』
『筋肉いぇいいぇ〜い! 筋肉いぇいいぇ〜い!』
『ぬぅ! 負けるか! マッスルマッスル〜!』
『筋肉いぇいいぇ〜い! 筋肉いぇいいぇ〜い!』
『ぬぅ! 負けるか! マッスルマッスル〜!』

………
……






結局、その後筋肉の争いは続き、筋肉星人とリトルバスターズの戦いは……、

『筋肉いぇいいぇ〜い! 筋肉いぇいいぇ〜い!』

リトルバスターズの勝利だった!





「っていう物語考えてみたんですけど、姉御、どうっすかネ?」
「却下だ」






後書き

まずは謝ります、ゴメンナサイ。
何も起こらなかった世界ですが、私の頭では何かが起こってました、ゴメンナサイ。
そういうわけで、今回は初めての試み。
壊れSSを書いてみよう〜。
無理です。ぶっちゃけギャグの何たるかをわかっていないうちには無理だったんですよ、もう(ぁ
そんなわけで、凄く心の広い方だけ読んでください(遅いっての
それでは、私はこの辺で引き下がります。
他の方のSSをごゆるりご堪能くださいませ。



back