クレジットカードと海外旅行
日本ではクレジットカードは当初国内利用が中心でした。海外で利用できるクレジットカードは旧住友VISAカード(現三井住友VISAカード)などが発行する一部のクレジットカードに限られていたからです。しかし、海外旅行ブームを受けて、クレジットカード各社は国際ブランドと提携した国際カードを発行するようになりました。1970年代のことです。
それ以来クレジットカード会社は海外でのショッピング利用を獲得するために、海外向けサービスを充実させるようになりました。海外旅行傷害保険の付帯や海外アシスタンスサービスなどがその代表的なものです。その反面海外でのクレジットカード利用が多くなるにつれて、海外利用でのトラブルも多くなってきました。日本と同じ感覚でいると、カード犯罪の被害に遭う確率が高いからです。
ここではクレジットカードと海外旅行に関する情報を提供しています。海外旅行に行く前にこういった知識を身に付けることで快適な旅行ができるでしょう。
■クレジットカードと海外事情
◆イギリス
マークス&スペンサーというイギリスの大手スーパーは「&モア」というクレジットカードを発行しています。このクレジットカードはポイントサービス付きで、50日間無利子や5%の金利優遇などを年会費無料で行っています。1ポンドで1ポイント付与というポイントプログラムで、日本と同様に人気があるサービスのようです。
日本のsuicaと同じような機能を持つ「オイスターカード」も発行されています。2004年にロンドンの公共交通料金が値上がりしたことを受けて発行された非接触型のチャージ可能なカードです。
◆フランス
フランスでは「カルトブルー」というクレジットカードがもっとも有名です。フランスで発行枚数4000万枚を超える最大のクレジットカードとなっています。このカルトブルーが発行枚数を伸ばした理由はクレジットカード加盟店手数料を優遇したことにあります。日本での加盟店手数料は高いといわれていますが、そのためかクレジットカード利用代金意手数料を上乗せするなどのトラブルもあります。クレジットカード会員にとっても利用しにくい状況があります。
カルトブルーの戦略はクレジットカード会員を獲得するためにはこういった周辺環境を良くすることで、結果的にはクレジットカード会員が利用しやすくなり会員が増えるということを教えてくれます。
携帯電話での決済システムはカルトブルーとフランス・テレコムが共同で行ったのが最初のようです。「モビカルト」と呼ばれるこの携帯電話は、カルトブルーからモビカルトのICチップにチャージしてショッピングやサービス利用が可能となります。チャージの方法は携帯電話に直接クレジットカードを挿入することで行うことができます。モビカルトは身分証明なしで購入できるのでフランス旅行の際は利用してみてはいかがでしょうか。
◆オランダ
オランダのクレジットカード発行枚数は500万枚ですが、デビットカードの発行枚数が2000万枚とデビットカード方が普及しています。「Europas」というユーロカードが中心でほとんどのお店で利用することができます。一般的にデビットカードは暗証番号を入力して利用しますが、 EuropasではICチップに一定金額をチャージして、電子マネーのように少額決済することが可能です。チップクニックやチッパーなどと呼ばれていますが、紛失した場合は暗証番号なしで利用できるので注意が必要です。
◆アメリカ
アメリカはクレジットカード発祥の地ですが、最近ではデビットカードも普及しています。日本でもVISAデビットカードが普及していますが、アメリカでは後払い式のデビットカードの利用率が高いようです。本来銀行口座の残高の範囲内で利用するデビットカードは、利用金額は即時引落が原則ですが、後払い式のデビットカードは3日後に引き落としがされるようです。超短期のクレジットカード1回払といったシステムですが、日本と違って週給が普及しているのが普及した理由かもしれません。
これらは日本でいうデビットカードとは違い、VISAではチェックカード、マスターカードではマスターマネーカードという名称で発行されています。
アメリカではクレジットカードが発達していますが、金銭感覚を養う教育はあまり行われていないようです。クレジットカードの支払はリボ払いのミニマムペイメントが基本でそれ以上であればいくらでも支払うことができますが、最低支払金額で支払い続けていれば残高は減ることはありません。数百円の買い物でもクレジットカードを利用する環境で、手数料や返済の現状を理解している人が少ないことがサブプライムローンによる経済破綻の下地になっているのかもしれません。「Maxed Out」というクレジットカード業界を扱ったドキュメンタリー映画の最後では学生用カードローンの支払が原因で自殺した学生の遺族に、原因となったカード会社からダイレクトメールが送られてきたという実話が描かれています。日本でも決してありえない話ではありません。
◆香港
香港ではオクトパスカードが普及していますが、これは日本のsuicaと同じような交通機関用のプリペイドカードです。香港には主要交通機関が8つあることからタコの足になぞらえているようようです。主なクレジットカードでオクトパスは購入できるので、香港旅行したときには便利です。
一方でクレジットカード事情はあまり健全ではなく、未払いなどが原因の貸し倒れも多く経済状態の悪化からクレジットカードが定着できる状況にはないようです。これは中国全体にもいえることのようで、ユニオン・ペイ・ネットワークが発行している銀聯(ぎんれん)カードは、実質的にはデビットカードでクレジットカード機能はないようです。
◆韓国
2008年のクレジットカード利用学派20兆円を超え民間消費支出に対する割合は50%に近くなっています。日本では2006年度で12%なので、韓国のクレジットカード利用率の高さがわかります。これには政府の政策が大きく影響していて、カード利用額の10%が税控除されたり、カード売り伝番号で福引を導入したり、法人利用に関しては5万ウォン以上の交際費のカード利用を義務付けています。当然の結果としてクレジットカードの売上が急増しましたが、不良債権も拡大して業界再編成が行われました。
しかしその後は急増した多重債務者を救済する民間組織が発足し無料相談などを行い、債務整理や返済計画の作成を行いました。現在では景気の影響で破産宣告も増えてきているため、国が延滞債権の買い取りを行う救済制度も2008年12月から実施されるようです。
韓国でも年会費無料のクレジットカードが増えていましたが、カード会社の経営安定のため国が2007年からカード年会費を義務付けています。さらに驚くことは消費者ローンの金利です。日本では20%に引き下げられましたが、韓国では引き下げられても49%となっています。この背景には金利の引き下げは業者間の競争で行うべきだという国の考えと、消費者も低金利にすると無登録業者が増加するという兼があるようです。いずれにしても金利に関しては日本と正反対の考え方のようです。
◆オーストラリア
オーストラリアには日本の戸籍や住民票のような制度はありません。その代わりとして納税者番号が与えられ口座開設や保険の加入、公共料金の支払などで必要となります。長期滞在の旅行者にも発行されるので、これで口座開設をすると「エフトポスカード」がオプションで発行されます。デビットカードと同じ機能があるので長期滞在のときは便利です。
◆カナダ
カナダはクレジットカードが普及していて発行枚数は人口を超えています。クレジットカード発行の主体は銀行で70%は銀行発行のクレジットカードとなっています。しかし、そのためカード犯罪も多いのが悩みの種のようです。カナダへの旅行の際はスキミングには十分注意した方がよさそうです。
スキミング対策としてカナダではICカードが普及しています。EMV(Europay Mastercard VISA
)はこのICカードの暗号技術の名称で標準的な技術となっています。同じ企画のクレジットカードは同じ端末機が利用できるので、カナダではこの規格のICカードが普及しています。
■海外旅行向けサービス
海外アシスタンスサービスは海外旅行には欠かせないサービスのひとつです。クレジットカード会社が提供している海外アシスタンスサービスでは、現地でのトラブルをはじめとして、観光案内や便利なサービスなどを日本語で案内してもらえます。言葉が通じない地域では頼もしい存在となります。
海外旅行前にクレジットカードの利用枠を一時的に増枠するサービスや、帰国後に1回払をリボ払いに変更するサービスなどもクレジットカード会社のほとんどが提供しています。そのほかにも海外旅行のお土産をネットで購入できるサービスもあります。このサービスでは事前に購入することで荷物を減らすこともでき、買い忘れた場合にも便利です。
ゴールドカードには空港ラウンジサービスが付帯されています。空港ラウンジは空港や航空会社が設置しているもので、出発前に無料ドリンクや雑誌などを利用してくつろぐことができます。このラウンジをゴールド会員は無料で利用することができます。一般カードではほとんど付帯されていないサービスのひとつです。
またアメリカン・エキスプレスカードは特に海外旅行向けのサービスが充実していて、手荷物の無料宅配サービス、無料ポーターサービス、海外用レンタル携帯電話の割引などのサービスがあります。
■海外旅行傷害保険
クレジットカードには海外旅行傷害保険が付帯されることがあります。すべてのクレジットカードに付帯されるわけではなく年会費無料のカードには付帯されないこともありますが、一般的には付帯されるケースがほとんどです。しかし、自動的に付帯される場合だけではなくクレジットカードで旅行代金を決済する条件が付く場合もあります。
クレジットカードに付帯される海外旅行傷害保険の補償は死亡・後遺障害の金額が強調されていますが、実際に海外旅行で役立つのは治療費用や携行品損害などの補償です。そのため死亡・後遺障害の補償金額よりもそれ以外の補償金額が充実している保険が付帯されるクレジットカードを選ぶことが重要です。クレジットカード会社が違っていればこれらの補償は合算して支払われるため、年会費無料で海外旅行傷害保険の補償を充実させることも可能です。
しかし現実的には年会費無料のクレジットカードはカード利用条件付の海外旅行傷害保険が多いため、いくらカードを持っていても付帯される保険には限界があります。そのため年会費があり無条件で海外旅行傷害保険が付帯されるクレジットカードを1枚持ち、年会費無料のクレジットカード2枚で旅行代金と交通費を決済するというのが現実的な利用方法となります。
■海外犯罪
海外旅行先では日本では考えられないような手口の犯罪が行われています。旅行前にこういった海外での犯罪の手口を十分に理解しておけば現地でのトラブルを未然に防ぐことができます。
観光地の往来で洋服にケチャップやアイスクリームを付けて気をそらせてバッグなどを盗む手口があります。クレジットカードと現金を分けて携帯するなどなるべく被害を少なくするようにしましょう。また、道を聞かれて地図を見ていたら偽の警察官が現れて、麻薬密売の証拠としてクレジットカードを持って行くという詐欺が発生しています。制服だけで警官だと信じないように十分注意しましょう。
クレジットカード加盟店にも十分注意する必要があります。特にカード伝票の数字をよくチェックしないと0が多く記載されていることがあります。また、ホテルなどで白紙の伝票にサインを求められた場合も丁寧に断りましょう。二重請求の可能性があります。断り切れなかった場合はチェックアウトの時に白紙の伝票を破棄するのを確認することが必要です。
■VISAデビットカード
デビットカードは買い物ができるキャッシュカードで、VISAデビットカードはVISAと提携して世界中のVISA加盟店で買い物が可能となっています。基本的にはキャッシュカードなので買い物は預金残高の範囲内でしか利用できませんが、逆にクレジットカードのように買い過ぎることもありません。買い物と同時に預金口座から引き落としをされるのが基本ですが、アメリカでは3日後に引き落とされる後払い式のデビットカードもあります。
日本ではスルガ銀行が初めてVISAデビットカードを発行していますが、その後イーバンク銀行や日興コーディアル証券などもVISAデビットカードを発行しています。VISAデビットカードのメリットは現金を持たずに買い物ができることで、カード盗難保険も付帯されているためセキュリティー面でも現金より安心です。さらにキャッシュバックも付帯されていてイーバンク銀行のマネーカードでは、年会費によってキャッシュバック0.2%、0.5%、1%のカードを選ぶことができます。
海外利用でも現金を持たずに旅行ができる上、旅行先のATMを利用して現地通貨で引き出しが可能です。両替所を探す手間や現金を持ち歩くリスクを避けることができます。そのためスルガ銀行では旅行会社と提携したVISAデビットカードも発行されています。海外旅行におけるサービスではクレジットカードに及ばない部分もあるので、クレジットカードと併用することでより便利になります。
■一時増枠
現在クレジットカード会社で行っている一時増枠の対象は海外旅行が多くなっています。海外旅行の期間中に一時的に利用枠を増額しますが、リボ払いや分割払いで支払った場合は残高が減るまでは元の利用枠を残高が超えている状況なのでしばらく利用できないことになります。申請はクレジットカード会社に連絡をして簡単な審査を受けることになります。問題がなければ当日中にも増枠が認められます。
海外旅行以外でも一時増枠が認められることもあります。結婚費用や出産費用などは一定期間後にはご祝儀や健康保険により支払が可能となるので、増枠が認められる可能性は高くなります。一時増枠で利用すると高額利用になりポイントも多く貯まるというメリットもあります。冠婚葬祭などの場合は一時増枠が可能かどうかクレジットカード会社に確認してみましょう。
割賦販売法が改正になりカードの一時増枠に関しても制限が加えられことになりました。2ヶ月以内で増枠は2倍までという制約が加わります。結婚費用で数百万円の増枠をすることは今後できなくなりそうです。
【本日の一言】
‐‐‐リアルライブより引用‐‐‐ 最近、クレジットカード現金化という言葉をよく聞きます。外に看板を掲げたり、ホームページを作って堂々と営業している業者も多いです。これを利用して、痛い目にあったという人が後を絶たず、社会問題になっています。ここでは、その商法についてまとめてみたいと思います。 クレジットカード現金化には大きく分けて2種類あるようです。1つがキャッシュバック付商品販売商法、もう1つが金券買取商法です。 まず、キャッシュバック付商品販売商法についてです。これは二束三文の商品を高値で客にカード決済で販売し、多額のキャッシュバックをするシステムです。対面販売の方法を取っている業者もありますが、通信販売の体裁を取っている業者も多々あります。たとえば原価100円のCDを10万円で購入させ、客に 85%の8万5000円をキャッシュバックしたとします。カードの支払日はすぐには到来しませんので、客は当座現金を手にできます。差額の1万5000円が実質的な金利となります。カード会社の販売店へのマージンは通常5%といわれていますので、業者はカード会社から95%の9万5000円の入金があり、 10%の1万円の利益を得ることになります。 仮に1カ月後にカードの支払日が来たとします。1回払いにすれば、通常金利はかかりません。客側にすれば、「1回払いだから金利はかからない」と思いがちですが、これは大間違い。わずか1カ月で実質1万5000円の金利を取られるわけですから、月利15%。年利に直すと180%に相当します。分割払いにしたら、さらにカード会社の金利がかかります。カードの支払日が来て、大変なことに気付くわけですが、あくまでも業者とは商品を購入しただけの関係。債務はカード会社側にありますから、業者には文句の付けようがありません。 果たして、これは合法なのでしょうか? 「不当景品類及び不当表示防止法」(以下、景表法)では、景品は取引総額の10%以下と規定されています。ですが、ほとんどの業者は、この販売方法は景表法の「もれなく型」に該当し、キャッシュバックは景品の例外に該当するため、取引総額の10%以上を提供しても合法と主張しています。返品したくとも、業者は商品、サービスの性質上、クーリングオフは不可と謳っています。 これについては、グレーというしかありません。そもそも、二束三文の商品を高値で売ること自体が問題ですが、客側はあくまで「金を借りた」との認識で、商品を購入したとの認識が薄いため、どこに苦情をいったらいいか分からず、表に出づらいのです。 次に金券買取商法ですが、たとえば新幹線の回数券10万円分を客にカードで購入させます。それを業者は85%で買い取り、客に8万5000円を渡します。業者はそれを、95%で金券ショップに売ったとして10%の利益を得ることになります。なかには、金券ショップ自体が、この商法をやっている場合があります。それだと、金券を買いに来た客に98%で売ったとすれば、業者は13%の利益が出ます。 各カード会社は換金目的のカード利用を規約で禁止していているようです。これはバレたら規約違反になるでしょう。処罰されるのは業者ではなく、あくまで客です。冷静に考えれば、これは業者をはさまず、個人で金券ショップに売れば、95%の9万5000円が入ります。早急に金が必要で冷静さを欠くと、つい利用してしまうのでしょう。ただ、個人で金券ショップに売っても規約違反になるのでしょうから、こういったことは奨励しかねます。 他に、客に自店でカード決済で販売した商品を、販売価格より下回る額で業者が買い取る空売り商法。あるいは、金券のケースと同様に、客にカードで商品(例:パソコン)を買わせ、それを業者が買い取る買取商法などがあるようです。 いずれも、合法なのか違法なのか、グレーな商法です。 ‐‐‐ここまで引用‐‐‐ 上記の記事はクレジットカード現金化とはの説明になりますが、みうのほうで補足します。クレジットカード現金化の風当たりは日に日に厳しくなっています。業者は、この商売は「不当景品類及び不当表示防止法」に抵触しないから合法だと主張していますが、法律はそれだけではないんですね。ショッピング枠は本来買い物を使う機能です。それを現金化するわけですから本来の機能から反れています。また、ショッピング枠を現金化する人は、お金に困っている人です。貸し倒れ率が高いという特徴があります。カード会社から見れば不当に貸し倒れリスクを負っていることになります。これは詐欺罪にあたる可能性があるんですね。また、金融庁はショッピング枠の現金化の業者は貸金業法における貸金業者に指定する動きがあります。これが実現すれば、現金化の事業は完全に違法行為になります。それによく考えたら、わざわざ業者を通さなくても自分で現金化できますよね。新幹線の回数券を買って自分で金券ショップに売れば業者からピンハネされることもありませんし、Paypalをごにょごにょしたら自分で現金化できそうな感じです。でも自分で現金化する行為もカード会員規約に反する行為です。カード会社は何にクレジットカードを使ったのかを把握しています。ショッピング枠を現金化したことが原因で、クレジットカードが使えなくなることだってあります。クレジットカード現金化には近づかない、かかわらないでいきましょう。
【クレジットカードのネタ】
次々商法を規制するために割賦販売法が改正されました。
>>次々商法
(最終更新日:2011年1月30日)
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【姉妹サイト】
■クレジットカード♯:クレジットカード総合サイト。
■クレジットカード?:Wikipedia風クレジットカードおまとめサイト。
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