学院研究室 生物科



学院研究室 生物科 実習

ザリガニを解剖しよう


                                   Presented by 早大学院 理科部生物班

CrabClub


実習を終えて

 無事、「ザリガニを解剖しよう」を行うことができました。予想通り、2回の実習で約25人のお客さんが参加してくださいました。
 前半の回には、学院生数名と2L高橋君。後半の回には、受験生と保護者の方が来てくださいました。
 解剖レジュメは、残念ながら写真が真っ黒になってしまいましたが、素晴らしいものができました。作った自分でいうのもなんですが、持っていて自慢できるものです。訂正版をアップしておきますので、興味のある方は印刷して保存してください。
 前日に考案した「興奮水の実験」も何とかうまくいき、ほっとしています。
 幸運なことにオコノカンクリ(胃石)も見つかり、予定以上に話題を広げることができました。
 悔やまれるのは、教室外装飾が許可されていることに気付かず、かなり地味な会場になっていしまったことです。外部装飾をすれば、興味のある方がもう少し足を止めてくださったのではないかと思いますが、実際どうでしょうか。
 また、例年通り、頭祭自体の集客力が無さが目立ちました。パンフレット代を節約した分、もっと外部に(HPやポスター送付など)宣伝をするべきであったと思います。頭祭を学院祭に続く存在にしたいのなら、もっとお客さんを集めようとする姿勢が必要だと思います。何年かかるかわかりませんが、人が来ることが分かれば、参加する学院生も増え、祭り全体が活性化すると考えられます。頭祭委員のみなさん、反省会では是非、生産的な意見をお願いします
 最後に、前日に印刷など手伝ってくれた中央幹事会の皆さんと、当日参加してくださったお客さんに感謝します。ありがとうございました。

レジュメ≪改訂版≫


1.実習に当たって

 毎年、学院祭で展示を行っています。今年も600人以上の方に展示を見ていただくことができました。今回、頭祭での企画の話が来たのは、学院祭の熱がまだ冷めないうちでした。「より多くの人の興味を集められるのは何か」と考えてみました。そこで「アメリカザリガニの解剖」を思いつきました。

毎年、お客さんの中には「実験的なもの」を求める方が少なくなく、学院生の中にも、「生物やるなら解剖がしたい」という声が多いのです。私は夏休みに、博物館で同テーマのアシスタントをこなした後だったので、高校生活で一度くらいやってもいいだろうと思い、今回の実習を企画したのです。

2.アメリカザリガニの簡単な紹介

 1930年(昭和5年)に、河野芳之助という人が、ルイジアナ州ニューオルレアンスから食用ガエルのエサとして100匹のアメリカザリガニを持ち帰りました。大部分のザリガニは航海中に弱り、日本に来たのはわずか20匹でした。その後、鎌倉市岩瀬の養蛙場に放され、各地に広がっていったと言われています。(食用ガエルの池に放されたという通説は誤りで、最初は別の池に分けられて養殖されていた、というのが事実です)

 もともと日本にはニホンザリガニ(天然記念物)が生息していましたが、繁殖力の高いアメリカザリガニが日本中に広がっていくにつれて、東北地方の一部にのみでしか見られないようになってしまいました。現在、日本にはニホンザリガニ、アメリカザリガニ、ウチダザリガニ(摩周湖、阿寒湖周辺)、タンカイザリガニ(滋賀県今津市淡海ため池のみ)の4種が「野生で」生息しています。ニホンザリガニの他はみな北アメリカからやってきた移入種です。

 なかでもアメリカザリガニは、丈夫で飼いやすく、繁殖も簡単なので、「子供の遊び相手」として、また「格好の研究材料」として親しまれています。生物学史上、「最も研究材料にされている生物」と言ってもいいでしょう。

3.実習のテーマ

 昔から、たくさんの人と係ってきたザリガニですが、皆さんはザリガニの体についてどれだけ知っているでしょうか。この実習では、生物学の基礎中の基礎である「標本の観察」で、ザリガニの体に目を向けてみたいと思います。

4.解剖と観察

(1)ザリガニは何の仲間か
     節足動物
       甲殻類
         十脚類(エビ・カニ・ヤドカリなど)
         等脚類(ダンゴムシなど)
         蔓脚類(フジツボなど)
         櫂脚類(ミジンコなど)
         などなど...

       昆虫類、クモ形類、唇脚類、倍脚類(ヤスデ)、
       剣尾類(カブトガニ)、ウミグモ類など

(2)ザリガニの脚は何本か
     節足動物の大原則
      「体が体節に分かれている」
      「1つの体節に対して 付属肢1対」
                       ※倍脚類(ヤスデ)は除く

     エビ・カニ・ヤドカリの体節数
         ↓
     21節で共通(一部くっついている)
     ザリガニ・・・19対(38本) の脚を持つ
     ■ 頭部
            第1.2触角、大顎、第2小顎
     ■ 胸部
            第1〜3顎脚、1〜5歩脚
     ■ 腹部
            第1〜5遊泳肢(腹肢)、尾扇
                          ※配布資料 表2 を参照
      (付属肢のない残りの2節は、第1触角の前の節と尾節である)

(3)オスとメスの区別
      第5歩脚の根元に精子の出る穴(顕微鏡で見る)
     第1遊泳肢が石灰状の突起になっている
                             ⇒オス

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     第3歩脚の根元に卵を産む穴(肉眼で見られる)
                             ⇒メス

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(4)ザリガニの目
     長い柄の先についている

     たくさんの目(約3300個)が集まった「複眼」

     「明るさ 暗さ 動き」の3要素を見分けている
     (形は見分けていない)


(5)おしりの穴はどこか
      意外性はなく、尾節の裏側
      しごくとウンチが出てくることもある

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(6)では、おしっこする穴はどこか
    ■ ザリガニは、触角の付け根の穴からおしっこをする
      「触角腺」という

    ■ 捕まえたときに「ちびる」ことがある

    ■ 「トリビアの泉」でも紹介された

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(7)興奮水を作る
     ザリガニを純水中で30秒以上追いかける
                     ⇒興奮水ができる

     ゆっくり別のザリガニのいる水槽に加える
     (3秒間に1滴くらいの速度)

     威嚇姿勢もしくは警戒姿勢を誘導できる

     興奮水とは、ザリガニが洩らしたおしっこの水溶液
     尿の中のアンモニアを察知して、周囲のザリガニは警戒する

(8)脚を外してみよう
   ■ 配布資料を見ながら、
     ハサミとピンセットを使って第1〜5歩脚を取り出す

   ■ 時間に余裕があれば、その他の付属肢も外してみる

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(8)胃の中に歯がある
   ■ 殻をたてに切り開く

   ■ 胃が見つかったら、切り開く
     → ファスナーのような歯(胃歯)が見える

     胃のぜん動運動とともに動き、消化を助ける

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(9)オクリカンクリはあるか
   ■ 胃の中に白い石が2つ入っていなかったか

   ■ オクリカンクリ(ヲクリカンキリ)という

   ■ 珍しいため、江戸時代に薬にされた
     →効果は無かったようだ。なぜなら...

   ■ 脱皮する前にカルシウムを固めたもの
     →カルシウムが少ない淡水中でカルシウムを節約する

オクリカンクリ



参考文献  山口恒夫(2000)「ザリガニはなぜハサミをふるうのか」中公新書
 「週刊 日本の天然記念物10 ニホンザリガニ」(2002)小学館

 今回の実習に当たって、いろいろと企画調整をしてくれた頭祭委員長の大石君、企画班長の渡辺君、解剖道具を用意していただいた多ケ谷先生、冷凍ザリガニを提供してくださった国立科学博物館の武田正倫博士に深く感謝します。